イラスト・高橋唯美
感動の海 船に暮らす人
キャビンの棚 世界最高峰のセイラーが絶賛する海とは
船厨 魚の王様に敬意を表し
「魚介のトマト煮、またはズッパ・ディ・ペッシェ」
海の博物誌 ややこしくも楽しい気象用語
YAMAHA NEWS フィッシングボートのニューモデル「YF-27」新発売/メールニュース登録キャンペーン実施中/マリーナ百景が更新/「実践!ロープワークMOVIE」公開
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 ハワイの州都ホノルルは世界有数の観光都市だ。白砂のビーチに珊瑚の海、美しい山々、それらの自然を臨んでリゾートホテルが林立し、映画館からショッピングセンター、レストランなど、都市生活者にも不便を感じさせないあらゆる近代的施設が整っている。
 だが、ハワイの魅力はこうした気候や自然、それらと隣接する施設だけにあるのではないだろう。もともとこの土地と先住民には古くから他者を受け入れる土壌と、包容力があったように思える。ハワイの言葉で歓迎の意を表す『アロハ』。現地で何気なく使われるこの一語の中には、謙虚、柔和、誠意など、相手を思いやるさまざまな心が込められている。アメリカ合衆国50番めの州・ハワイ州が、アロハ・ステイツと呼ばれ親しまれるのは、ハワイの島々すべてが、『アロハ』の心で覆われているからだろう。
 だから日本を含む、世界の多くの人々がこのアロハの心の恩恵に授かろうと、夢み、訪れ、その一部の者はこの南の楽園を永住の地に選んだ。
 観光客でにぎわうワイキキ地区の西のはずれにいくつかの高層ホテルに抱かれるようにして州が管理する公営のアラワイ・ヨットハーバーがある。この壮大なヨットハーバーは、旅行雑誌や観光ガイドにもしばしば登場し、観光名所のひとつにもなっている。約1,000隻のボート、ヨットが係留されているが、そのうち120隻の船への居住が認められており(係留費は割高になる)、実際にはそれ以上の船に人が住み、生活しているのだという。
 もうずいぶんと前になるが、そんな船上生活者の一人、M氏とデイクルーズする機会を得ることができた。実は船上生活者というイメージからして、仙人のようなオジサンが出てくるのだろうと想像していたのだが、現れたのは風格のあるジェントルマンとその夫人だった。結婚して25年になるという、とても仲の良さそうな夫婦だった。
 「ヨットに住んでいるわけ? ぼくらは二人とも船が大好きだからね。それに(家の)ローンの心配がないからだよ」
 ある程度予想はしていたが、答えは単純にしてごく明解、『好きだから』なのである。
 オレゴン出身の二人はアメリカで結婚後、仕事の関係でオーストラリアに移住し、シドニーでセイリングの楽しさを知った。ある造船所から図面を買って、自分なりにそれを引きなおし、こつこつと6年かかって造り上げたのが51フィートのケッチだ。
 M氏の仕事は株式の取り引き。キャビン内には電話もファクシミリも引かれていて、マッキントッシュが接続されていた。生活空間としてみても、サロンはもちろん、冷蔵庫、オーブン付きのキッチンに寝室、シャワールーム……、といった具合に二人で生活するには十分な空間だ。
「実は新婚旅行でこのハワイにやって来た時、二人ともすごく気に入ってね、いつか住んでみたいと思っていたんだ。それにカウアイ島には親戚もいたし、仕事をするにもこちらの方が(情報収集の点や経済事情など)都合が良かったんだよ」
 二人はアメリカ人だからハワイに住むといっても海外に来たわけではない。けれども、新婚旅行で気に入った地に船ひとつでやって来て、生活するなんて並大抵の行動力ではない。そうさせたのは単に二人のバイタリティなのか、いや、やはりこれこそが『アロハ』の持つ魔力なのだろう。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れたの大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、某プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



 永くヨット専門誌の編集に携わっている人間から聞いた話だが、世界一周をしてきたような多くのセイラーがもっとも心に残った海のひとつとして瀬戸内海をあげるのだそうだ。ブルーウォーター派のセイラーではないが、ラッセル・クーツも瀬戸内海に魅了されたセイラーの一人である。
 ニュージーランド生まれの彼は1995年のアメリカズカップではじめてニュージーランドにカップをもたらし、2000年大会ではカップを防衛、さらに2003年にはスイスのアリンギ・チームに移籍し、再びカップを獲得した、いわば世界最高峰に位置するセイラーだ。本書は、その彼が、日本を訪れ、瀬戸内海をクルージングしながら語った印象を、海洋写真家・添畑薫氏の詩情豊かな写真と共に綴っている。
 自然、生活、歴史、そして未来を感じさせる海だと、クーツは瀬戸内海を後書きの中で語っている。
 日本人は海外に自国の海を誇ることができるのだと、改めて感じさせた書である。
「ラッセル・クーツが見た 紀州・瀬戸の海」
どりむ社・刊
ラッセル・クーツと紀州・瀬戸内海の旅編集委員会
添畑薫・写真
定価;¥1.575(税込み)



 秋冬の鯛はもっとも脂がのっていて美味い、とは江戸時代の調理書にも書かれている。夷の神は鯛を担いでいるが、その夷様の祭り、夷講が10月に行われることもあって、江戸時代では秋が鯛のもっとも美味い季節として定説となったようだ。実際には春か秋冬かでどちらが美味いかと未だ論議されている。そこまで話題になるのもやはり魚の王様の故なのだろう。
 鯛が祝い事に供されるようになった理由は単に「めでたい」に通じるかららしいのだが、実際に美しいピンクにかがやく色といい、堂々とした体格といい、さらに、美味となれば祝い事にはぴったりの魚という気がしてくる。
 塩焼きをはじめ様々な調理法が思いつくが、今回はトマト風味の煮込み(イタリア風に気取ってアクァ・パッツァ、フランス風にブイヤ・ベーストマト風味といっても良い)を作ってみた。料理法としては魚体はぶつ切りにした方が都合がよいのだが、やはり尾頭つきに拘りたい、ということで、このような仕上がりになった次第。料理はイベントだから、テーブルの真ん中にどんとおいて、客席から「わー! すごい」となったら、ほぐしてスープに戻せばよろしい。お試しを。
「魚介のトマト煮」(ズッパ・ディ・ペッシェ)作り方
●材料(5~6人分)
鯛など白身の魚(一尾または切り身4切、鱗は徹底的に落とす)/ムール貝500g/イカ1杯/蛸、海老、蟹など/ニンニク3片/赤唐辛子1本/ホールトマト1缶(裏ごしするかフードプロセッサで潰す)/タイム(2~3枝)/ローリエ2枚/白ワイン150cc/塩、胡椒/エキストラバージン・オリーブオイル
●作り方
1)鍋に多めのオリーブオイルを敷き、魚の両面をこんがりと焼き、取り出す。
2)魚を取り出した鍋に薄切りにしたニンニクと唐辛子を入れ、香りが出たら魚介を火に通りにくい順から入れて炒める。※魚を丸ごとでなく切り身で料理する場合は、他の魚介と炒める。
3)白ワイン、ホールトマト、水(400ccぐらい)を入れ、沸騰したら軽く灰汁を取る。
4)タイムとローリエを入れ、取り出しておいた魚を加え、蓋をして弱火で煮る。時々スープを魚にまわしかける。
5)塩・胡椒で味を調え、できあがり。



 以前の天気予報は、「今日はくもりときどき雨でしょう」とか「くもり一時雨」「くもりのち雨」などと大変まぎらわしかった。「ときどき」は1日の4分の1以上2分の1未満、「一時」は4分の1未満、「のち」は後半が雨、という意味である。
 また、天気予報で「今日」というと、その日の日の出から日没までをさす。日没から次の日の日の出までが「今夜」である。「あす」は、明日の日の出から夜中の12時まで。日没では区切らないし、「明晩」という単位もない。「あさって」以後は夜中の12時から夜中の12時までとなる。「朝のうち」というのは、日の出から午前9時頃まで。「日中」は、午前9時頃から日没の2時間前後頃まで。「夕方」は、日没の前後それぞれ1時間くらい。「夜半」は、夜中の12時前後のこと。
 一見面倒くさそうだが、日常なにげなく使っている言葉をうまく定義してあって、なかなか便利である。覚えておくといいかも。




フィッシングボートのニューモデル「YF-27」新発売
風流れに強く、卓越したスピード性能、凌波性を実現した27フィートのアウトボード搭載のフィッシングボートを新発売しました。

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ボーティングに必要な代表的な結び方を動画で確認できます。ボーラインノット、フィッシャーマンズベント・・・、ボート免許の試験前の方、久しぶりの出航という方にお勧めです。


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【編集航記】
 あっというまに11月。後ひと月でもう師走 が訪れる。残暑が長かったせいか、例年に比べると余計に冬の訪れが早く感じられる。地域によってはボートやセイリングもしばらくお休みとなるのであろうか。ちなみにいま、東京湾のシーバスはデーゲームのベストシーズン。次の日曜日が待ち遠しい。(編集部・ま)

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