イラスト・高橋唯美
感動の海 世界三大美港の魚市場
キャビンの棚 国生み神話の作者に共感できる本
「日本の島々」
船厨 芸のある、カレーを作る「タイ風シーフードカレー」
海の博物誌 眠る魚と眠らない魚
YAMAHA NEWS 「キャプテンズ・ワールド」/「わたしとヤマハ」フォトコンテスト/「マリーナ百景」/「カジキ釣り講座」ストライクからランディング
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 シドニーは世界三大美港のひとつに数えられている、と何かの本で読んだことがある。残りの二港がどこなのかを調べてみたら、ひとつはブラジルのリオデジャネイロであるらしいことが解った。そして残る一港は、これがサンフランシスコであったり、香港であったり、シンガポール、ナポリなど、どれも怪しい。こうしたランク付けは言った者勝ちのようなところがあるようで、諸々の説が生まれるのだろう。ただし、シドニーは、様々なパターンの世界三大美港のいずれにも出てくる港である。確実に世界のナンバースリーに位置づけられていると言ってよいだろう。
 オーストラリアのパース・ヨットクラブがアメリカズカップを挑戦国として初めて獲得し、国外に持ち出すことに成功したのが1983年。その4年後の1987年、アメリカ以外での初のアメリカズカップ・ヨットレースがフリーマントルで行われたのだが、そのときのオージーたちの熱狂ぶりは、日本のヨット乗りにとっては信じられない光景だった。
 シドニーはオーストラリアの西岸・フリーマントルとは大陸を挟んで東に位置する。かの酔狂なヨット・レース「シドニー/ホバート」に見られるように、ここに住む人々もまた、セーリングに対する思い入れは深く、熱いと見受けられる。
 高台から美しい、入り組んだシドニーの湾内を見渡すと、あちらこちらにヨットのマストが見える。南半球で最も大きいこの都市は、海を愛する人々から、遊び場を奪うような暴挙はしなかった。わたしたちにとって、それこそが先進国の証である。


 マリーナや小さな湾に浮かぶヨットやボートの他、シドニーで「海のある生活」を堪能する楽しい場所のひとつにダーリング・ハーバーの隣、ブラックワトル・ベイに面した「シドニー・フィッシュ・マーケット」がある。築地などの市場に比べれば規模は小さいが、ここもまた、南半球でナンバーワンのフィッシュ・マーケットといえるだろう。海老・蟹類はもちろん、牡蛎、様々な魚が、生で、またボイル、グリルされて売られている。観光名所のひとつであることに抵抗を覚える向きもあるかもしれないが、妙な見栄は捨ててシドニーに訪れる機会があればぜひ立ち寄りたいと思っている。
 いくつもある魚屋で素材を選び、晩のパーティーの食材を調達するもよし。調理をしている魚屋もあるから、遅いランチを此処で頂戴するのもいい。場内には魚屋だけでなく、パン屋も肉屋もある。もちろんワインショップも。名産の牡蛎と、イカと海老のガーリック・ソテー、少々のパンとチーズ、その他諸々を買い込んで、最後にワインショップで適度に冷えた白ワインを調達。紙袋を抱えて、ボードウォークに用意された空いているテーブルを探す(これが実は困難。いつも食いしん坊でいっぱいなのだ)。
 こんな食事も、オーストラリアならではのソルティ・ライフの楽しみなのではないか。
 ところで、先日、気になるニュースを耳にした。「シドニー・ロック・オイスター」が、謎の寄生虫の影響で徐々に餓死しつつあるのだという。このままでは絶滅するかもしれないとの説もある。何とか阻止する方法はないものだろうか。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れたの大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、某プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



 古事記によれば、男神のいざなぎ、女神のいざなみの二人は、天の神から、地を創り、治めるようにと命ぜられた。二人の神は天から矛を使って潮をかき回し、引き上げたところ、矛先から潮のしずくが落ちて、固まった。こうしてできた最初の島が淡路島だった。その後、四国、隠岐、九州、本州の順に島ができていった。
 突拍子もない寓話だと言う方もおられるだろうが、「日本の島々」に収められた「絵島」(淡路島の岩屋の南島にある砂でできた小島)の写真を眺めていると、そんな神話も、本当にあったことなのかもしれないと、思いこみたくなる。淡路島に限らず、これらの美しい島々の写真を眺めるにつれ、旅情(周航への思い)をかき立てられると同時に、宗教の種類や信仰心をさておき、創造神の存在を信じたくなるのだ。
 通信社の写真を集めた、どちらかといえば図鑑の雰囲気が漂うシンプルな写真集。だが美しい、日本に浮かぶ99の島の時間を切り取った、この写真集から、海の好きな貴方は何を感じるだろうか。
 「日本の島々」

 発売元/ピエ・ブックス
 定価/1,800円(税別)



「タイ風シーフードカレーの作り方」

●材料
タイのレッドカレーペースト(市販のもの)、ココナツミルク1缶、海老(Mサイズ)8~12尾、めかじき2切、するめいか1杯、竹の子細切り1/2袋、塩・コショウ・酒適宜

●作り方
1)海老は殻を剥き背ワタを取る
2)めかじきは一口大に切る
3)いかはハラワタを取り皮を剥いて輪切りにする
4)1~3にに塩コショウ酒で下味をつける
5)鍋にサラダ油を熱しレッドカレーペーストを香りが出るまで炒め、ココナツミルクを入れよく混ぜる
6)1~3をフライパンでサラダ油で軽く炒め、5の鍋に入れる
7)竹の子を入れシーフードに火が通るまで煮る
 野外料理におけるカレーに対して「芸がない」とのたまう人々がいる。一理あるかもしれないが、そう簡単にカレーを否定する方がよほど芸がない、とある夏の日のクルージングで考えた。料理長がこしらえたカレーは「タイ風シーフードカレー」。芳しいタイの香り米にかかったベージュ色をしたカレー。ココナッツミルクの風味でまろやかな味わいだと思った次の瞬間、赤唐辛子の刺激的な辛みが、口の中に広がる。「まろやか、辛い、でもやっぱり、まろやか、、、」という不思議な連続技で攻められ、気づくと何とも気持ちのいい感覚に包まれていく。
 カレーといっても様々な種類がある。カレーを食す国を考えてみても、インド、スリランカ、タイ、パキスタン、イギリスなど、いろいろ。気になって、カレーで有名な大手食品会社のホームページで調べたところ、日本のカレーはインドではなく、イギリスから伝わったものらしい。よく「これはカレーではない」と言われるインドのかたの談話を見たり、聞いたりするが、小麦粉を入れてルーにしたのはイギリスのカレーが元祖なのである。
 ちなみにタイではカレーのことを「ゲーン」というのだとか。高温多湿なお国柄、そうした中で食欲を保つためには、やはり刺激的な香りや味は欠かせない。日本でも同じく、夏のシーフード料理として一工夫したカレーをメニューに取り入れたい。



 世界の魚は約4万種類。日本近海にはそのうち2000種がいて、市場に出るのは150種、商品として重視されているのは数十種にすぎない。魚好きの日本人といえども、あまり多くの魚を知っているとはいえない。
 さて、魚の分類は大変ややこしくて、一般に淡水魚1万種、海水漁3万種といわれるが、では、鮭、鱒、鰻、ワカサギはどちら?となると諸説フンプン。そのほかの分類法でもスッキリとはいかない。その分類の一つに、「眠る魚」と「眠らない魚」というのがある。回遊魚はすべて眠らない魚で、定住する魚には眠るものが多い。魚を下ろすとき、料理の先生は「血アイをとって」などと言うが、その血アイがあるのが眠らない魚である。これは眠らなくても疲れないように、また脳に異常をきたさないように、血液を浄化するところであると考えられている。




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「わたしとヤマハ」フォトコンテスト
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「マリーナ百景」
今回は、広島観音マリーナ。

「カジキ釣り講座」ストライクからランディング
オフショアフィッシングの醍醐味。ルアーでカジキを釣るための基礎講座を連載しています。


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【編集航記】
5月の20日から22日にかけて、新西宮ヨットハーバーで「関西国際フローティングボートショー」が行われた。ここ西宮でもこれまでにフローティングによるショーは行われてきたし、横浜でも既に定着しっつあるが、日本舟艇工業会が主催するのはじめてということもあって、マスコミからも注目されたようだ。わたしとしては、土曜日の夜、イルミネーションされたヨットを背景に行われた航海機器メーカーの軽音楽部さんによるバンド演奏が、とても楽しかった。こんな雰囲気が今後も定着すると一ファンとして嬉しい。(編集部・ま)

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