イラスト・高橋唯美
感動の海 シンガポールのリバークルーズ
キャビンの棚 大人の感性を刺激する「SEAGULL」 KARIN KROG
船厨 秋の味覚に舌鼓「秋刀魚ごはん」
海の博物誌 水中をセーリングするハマグリ
YAMAHA NEWS 「ネットTV」/新製品フィッシングボート「F.A.S.T.26」登場!/「マリンジェット」インプレッション/「マリーナ百景」/「カジキ釣り講座」
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 東南アジアの中でももっとも美しく近代的な国といわれるだけあって、日本人からは観光地としても人気のシンガポール。ショッピングや食べ歩きを楽しむ人が多いが、ボーターやセーラーにとってはつかみ所のないようにも思える。美しい海を求めてリゾートを探しても、ビンタン島など国外に出かけなければならないし(日帰りで行けるけれど)、釣りの情報も耳にしない。
 それでもここは、イギリス連邦だ。1826年に創立したリパブリック・オブ・シンガポール・ヨットクラブは、名ばかりのヨットクラブとは異なり、メンバーによって運営されている正真正銘のヨットクラブだ。日本のどのクラブも敵わない優雅なクラブハウスに、コンドミニアムとプールを備え、テラスに面したレストランは豊富なメニューで私たちの舌を楽しませてくれる。もちろんチャーターセーリングやボーティングも可能だ。
 もうひとつ、シンガポールで気軽に船遊びを楽しめる場所がある。シンガポール・リバーをひっきりなしに往来しているクルーズ船だ。
 つい先日、インド洋方面からのトランジットで思いがけずシンガポールで一日を過ごすこととなり、仕事仲間とリバークルーズに乗ってみようということになった。今時の言葉で言えば、いささか「ベタ」な観光ではあったけれども、船に乗ると水を得た魚のようになる相棒は、まんざらでもなさそうだった。
 彼の場合、類い希な船への好奇心がこのクルーズを余計面白いものにしたようだ。乗船すると、一般の客席ではなく、最後尾に据えられた操舵席の隣に座り、船頭と身振り手振りで会話を始めだした。彼にとっては古いディーゼルの排気臭さえ話の種になる。河口にあるシンガポールのシンボル「マーライオン」にたどり着いたころには、眼光鋭かった老船頭の顔はすっかり穏やかになり、お互い煙草を勧め合うまでに親密になっていた。船を知っているとは、そういことなのだ。
 河口付近にはボート・キー(Boat Quay)と呼ばれるエリアがある。中華料理、マレー料理、和食やイタリアンなど、レストランが建ち並び、河面に向かってテラスをオープンしている海鮮レストランも多い。船を下りたら、美しい夜景を見ながら食事をするのもいいだろう。
 船のある水辺は、やはり楽しい。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れたの大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、某プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



 某全国紙の朝刊をめくっていたら、CD紹介のコーナーから印象的な写真が目に飛び込んできた。波止場だろうか、海辺で手を伸ばして餌を差し出す女性と空飛ぶカモメ、そして小さな女の子。その味のある写真を自分のアルバムのジャケットにしたのはノルウェー出身の女性のジャズ・ヴォーカリスト、カーリン・クローグだった。
 ノルウェーとジャズというとなかなか結びつかないが、カーリン・クローグはこの北欧で、確固とした実力の上に、先鋭的な技法を取り入れながら活躍を続けるアーティスト。「SEAGULL(かもめ)」は、長年のパートナーであるジョン・サーマンを指揮に、ノルウェーのベルゲンを拠点に活動するビッグバンド「ベルゲン・ビッグバンド」を従えた意欲作だ。
 スタンダードとカーリン・クローグの代表的なオリジナル曲を交えたダイナミックで聴きやすいアルバム。実験的な手法というが、女性ヴォーカリストならではの落ち着いた、しっとりした歌声は、大人の感性を刺激する。
「SEAGULL」KARIN KROG

MUZAK/fab.
定価/2,520円(税込)



 8月も中旬になると、波の音や風の感触、雲の形など自然のちょっとした変化に夏の終焉を思い、センチメンタルになったりする。ただ、秋の訪れにわくわくすることもしばしば。
 その一つが毎年8月に入ってくるサンマの水揚げのニュース。1本100円、200円であの味が得られるのだから素晴らしい。サンマはそのずば抜けたコストパフォーマンスを誇ってよい、と思う。
 今年、本州最初のサンマは岩手県の宮古に水揚げされた20トンだった。8月12日に新聞記事によるとその漁船は色丹周辺のロシア領海域で操業し、一路、宮古を目指したのだという。体長は25センチ以上と大きく、脂ものっているとも。その後、次々にサンマのニュースが届いてくるが、いずれも「大型で脂がのってる」というものばかり。こうなるといても立ってもいられなくなる。
 今シーズンの初サンマは炊き込みご飯にしてみた。魚臭いのが苦手という方にも新鮮なサンマなら心配ご無用。脂のたっぷりのった秋刀魚はまるでふかふかのウナギのような食感だ。刺身にできる新鮮なサンマで、刺身丼、塩焼き、蒲焼き、天ぷらなどにしても良い。秋を楽しもう。
「秋刀魚ごはん」作り方
●材料(5~6人分): さんま4尾、米4カップ、酒大さじ2、醤油大さじ1、塩小さじ1

●作り方
1)米は研いで30分から60分水につけておく。
2)さんまは頭とはらわたを取る鉄鍋(土鍋)に米を入れ、水3.5カップ、酒(大2)醤油大(大1)塩(小1)を入れ、上にさんまを乗せて炊く。
3)沸騰するまで強火にし、沸騰したら中火で5分、弱火で10分、強火で1分(おこげのため)。
4)火からおろし10分蒸らす。
5)さんまの骨を取り、粗くほぐして混ぜる。
6)好みで煎り胡麻や針しょうが等の薬味をのせる。



 昔の海辺はにぎやかだった。砂浜にはハマグリやアサリ、マテガイがいたし、岩場にはサザエ、アワビ、ウニなどの高級魚介が張りついていたものである。
 最近はおいそれと見つからないが、魚と違って泳がない貝は、素人にも簡単に捕まえられるありがたい食材だ。
 貝は、タイラガイなどのように、岩についていて、岩が動かないかぎりそのままというイメージが強い。しかし、岩とくっついている繊維をときどき切って、数メートルほど移動するアコヤガイなどもいるし、ふつうの二枚貝は開閉したり足(舌)を使って移動する。
 そのなかで一番活動的なのがホタテガイ。貝を開いて急に閉じる動作で、1回に1m50cmくらいまで飛ぶ。この繰り返しで、数十km移動したという記録もある。
 二番目はハマグリ。大量の粘液を吐き出して、それをヨットの帆のようにして潮流に乗るのである。うまくいけば、時速60mで進むことができるという。




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「マリンジェット」インプレッション
レーサー中野剛人選手がマリンジェットを試乗レポートします。

「マリーナ百景」
今回は、秋田県南部の本庄マリーナをご紹介します。

「カジキ釣り講座」今月はルアーのポジショニングと投入方法の講座です。
オフショアフィッシングの醍醐味。ルアーでカジキを釣るための基礎講座を連載していきます。


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【編集航記】
かなり厚く信頼していたマッキントッシュのハードディスクがクラッシュしてしまいました。つい以前はマメにバックアップを取っていたのですが、最近のハードは安定している思いこみ、それを怠ってたことが悔やまれます。心機一転、自分自身もリセットして仕事に取り組もうと開き直ってみたものの、1ヶ月ほどしてボディーブローのようにじわじわと仕事に響いてきました。海でも仕事でも、基本には忠実に。(編集部・ま)

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