ソルティライフ ソルティライフ
ソルティライフ ソルティライフ
イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
MONTHLY COLUMN サンゴに囲まれた豊かな海へ
キャビンの棚 海洋国家イギリスの生んだ
ヴォーン・ウィリアムズ「海の交響曲」
船厨 秋の鮭を愉しむ「生鮭のソテー(パン粉がけ)」
海の博物誌 縦にも流れる海の水
YAMAHA NEWS ネットTV!「風はすべてのヨットに吹き渡る~ブラインド セーリング」公開/「マリン体験レポート」公開中!/展示試乗イベントでボートを体験しよう!/「マリーナ百景」更新/「大漁ネット」更新
11月の壁紙 『Salty Life』読者限定壁紙カレンダー

※お使いのブラウザでHTMLメールを表示できない場合は、こちらのサイトからもご覧いただけます。

MONTHLY COLUMN
 僕がまだスキューバダイビングのライセンスを持っていなかった頃にしきりに先輩から勧められたのが、沖縄でのダイビングだった。
 「そりゃなんと言っても沖縄が一番だろ。ガラパゴスだってグレートバリアリーフだって、沖縄の海には勝てないよ。水深が浅いから長い時間見ることができるし、珊瑚礁がワンポイントじゃなくて、スケール感がある。それに同じ国の海なんだよ」
 その先輩には、長い時間をかけて沖縄の海中生物論の講義を受けたのだが、今の記憶に一番強く残っているのは、「ダイバーなら一度は沖縄へ潜れ」ということだ。
 それから間もなくして、南の島でライセンスを取得した。その後、どういうわけだか日本で潜る機会には恵まれず、海外の海ばかりで潜ってきたのだが、つい先日初めて沖縄の海で潜ることができた。
 タンクを背負うこと自体が何年ぶりだったので少々心細かったのだが、バディとなった学生はなんとライセンス取り立て。ここぞとばかりに話しかけて、機材のチェックを一通り行い、バックロールでエントリー。と、ここまでは多くのファンダイビングでも同じだが、海中に入り海底を眺めると、そこにあるのは珊瑚礁ではなく、すでに死んだ珊瑚が白く広がる光景だった。
 実はこのダイビングツアーは、珊瑚の植えつけをメインイベントとしており、ありのままの沖縄の海を見て、今の海を知るとともに、珊瑚を植えつけることで、豊かな海を取り戻そうという企画で年に2回ほど、恩納村で行われている。通常のダイビングは珊瑚や魚たちを見るのが目的なので、それらが豊富に生息しているポイントに足を運ぶわけだが、このツアーでは、一番身近な場所がどのようになっているのかを確認するので、観光ではうかがい知れない、海のありのままの姿を見ることができる。
 ガイドの話によれば、温暖化の影響で水温上昇の期間が長くなり、低い水温を好む珊瑚から徐々に減少して珊瑚礁の白化が拡大しているのだという。
 その拡大を防ぐためにも、現在多くのボランティアにより、珊瑚の植え付けが行われており、減少への歯止めをかけるために、漁協を中心に年間を通じて、活動を行っている。
 かつての沖縄周辺の海には全世界で600種といわれる珊瑚のうち400種が生息しているといわれ、種の多様性では世界一であったという。先輩が力説していた沖縄世界一説は、あながち間違いではないらしい。
   まだ沖縄の海に潜ったことのないダイバーと話す機会があれば僕はこういうかもしれない。「ダイバーなら一度は沖縄で潜れ」と。


山口克夫●やまぐち かつお
北は稚内から南は与那国島まで。3000m級の稜線から水深50mクラスのディープウォーターまでをフィールドに執筆活動を続ける。海よりも港の酒場が 好きな1972年、東京生まれ。



キャビンの棚
 ドビッシーの海が絵画的であり、海そのものの詩であり、結局、誰もいない海であるのに対し、ヴォーン・ウィリアムズの海は文学的であり、ウォルト・ホイットマンの詩によって、船も船乗りも海を語る。 「すべての海、すべての船に寄せる歌」と題された第一楽章は、合唱と管弦楽が壮大にホイットマンの”海“を謳いあげる。

 見よ、海そのものを、
 そして、その果てしなくうねる胸に、あの船たちを。
 見よ、白い帆が風をはらんで、
 緑と青の海に点々と浮いているのを見よ、
 汽船が港から出たり入ったりして、行き交うさまを。
 見よ長旗のような長い煙が、暗くたなびいているさまを。
 見よ、海そのものを
 また、その果てしなくうねる胸に、あの船たちを。


 第二楽章「夜なぎさにひとりいて」では、あたたかく優しいバリトンと女性合唱の対話が美しい。あらゆるものの生みの親である海、全ての人の心深くにある回帰への憧れを呼び起すような感動的な楽章。

 夜、なぎさにひとりいて
 老いた母なる海が寄せたり返したりして、
 しゃがれ声で歌をうたい
 明るい星のきらめきを見守っていると、
 私は宇宙と未来の音部記号について思いをめぐらす。


 第三楽章は「波」のスケルツォ。うなり声をあげ、風が船を追う。船の下で泡だち、うねり、競いあう波。引き波が陽の光を浴びて、きらきらと輝やく。緊張と輝やきに満ちた管弦楽と合唱とのハーモニーが、豊かな海原の彼方へ、もっと、もっと遠くへと聴く者を誘う。
 「探検者」たちと名づけられたフィナーレ。かつて未知なる大海原を渡ってアメリカを建国した祖を持つホイットマンと、七つの海に乗りだした海洋国家に生まれたウィリアムズの壮大な海が広がる。

 おお、宇宙を泳ぐ広大な球形
 すべて眼に見える力と美におおわれ


で始まる詩は、

 おお 勇ましいわが魂よ!
 おお はるか遠くの海へ船出しよう!
 おお 果敢な喜びよ だが安全だ!
 みな神の海じゃないか
 おお はるか はるか 遠くの海へ行こう


と、静かに終る。
 円熟したハイティンクの、感動的でスケールの大きな演奏で聴く、この交響曲は、海を愛する者の愛聴盤となるだろう。(K.H)

 「海の交響曲」
 指揮: プレヴィン(アンドレ)
 演奏: ロンドン交響楽団
 発売: BMG JAPAN
 定価: ¥1,260(税込み)



船厨
 岩手産の旨そうな生鮭が手に入ったので、生鮭のソテーにして頂戴する。
 秋、沿岸で産卵を控えた鮭を北海道ではアキアジ(秋味)と呼ばれていたが、その呼び名は北海道以外でも使われていて、いまや一般家庭にも浸透しているようだ。この岩手産の鮭にも「アキアジ」とのラベルが貼られていた。
 ご存じのように、今、日本には多くの水産物が輸入されている。鮭も例外ではなく、特に南米のチリやノルウェーの養殖サーモンは、多くのスーパーでみることができる。それぞれ、現地で丹誠込めて育てられた魚だから、養殖だからといって馬鹿にできないし、なかなかに旨い。ただ、深まる秋、季節感をも味わいたいというなら、やはり、鮭は日本のアキアジなのかな。
 原油価格の高騰は、水産物の価格にも影響をもたらしそうだが、沖ではなく、沿岸の定置網で捕獲される鮭の場合、値上がりに影響は少ないと、テレビでいっていた。少しばかり、ほっとさせられた。
生鮭のソテー(パン粉がけ)
●材料
生鮭の切り身2切れ、にんにく2片、パン粉2/3カップ、パセリみじん切り適宜、オリーブオイル大さじ5、塩/こしょう適宜
●作り方
1)生鮭に塩こしょうをふり、フライパンにオリーブオイルをひき中火で両面を焼く
2)厚めのフライパンにオリーブオイルとにんにくのみじん切りを入れ弱火で香りがたつまで炒める。
3)2にパン粉を加えカリっとするまで炒め塩こしょうを加え味を整え、仕上げにパセリみじん切りを入れる。皿に盛った鮭にかける



海の博物誌
 オフィスの暖房や冷房では、暖かい空気は常に上へ上り、より冷たい空気が床の近くにたまることが多いが、海の中でも同じような理屈で流れが起きている。
 赤道近くの海水は暖められて密度が低くなっており、極近くの海水は凍りつくほど冷たくて密度が高い。そのため、極近くの水は下に潜って赤道方面へ向かい、赤道からは極へ向かう流れが発生する。
 しかも、極近くで氷ができるときには海水の塩分濃度が高くなる。つまり、重くなる。こうしてできた冷たくてしょっぱい水は、海底まで沈んでいく。そして、表面の流れと連動して、やがて浮上する。
 これを湧昇流といい、海底の栄養分を持ち上げてまき散らすので、好漁場となる。このタイプの漁場としてはカリフォルニア沖、ペルー沖、アフリカ西岸沖などがよく知られている。もちろん、カジキ釣りにおいても湧昇流はひとつの鍵だ。



ヤマハニュース

ネットTV!「風はすべてのヨットに吹き渡る~ブラインドセーリング」公開
マリンレジャーやマリン文化をテーマに最新情報を映像レポートでお届けします。

「マリン体験レポート」公開中! 今回は沖縄西表のマリンジェットツーリング。
ボート、マリンジェットの遊びや免許体験など様々なレポートをお届けします。

展示試乗イベントでボートを体験しよう!
各地で開催されるヤマハボートニューモデルのイベント情報をお届けします。

「マリーナ百景」 今回は熊本県天草市のヤマハパールマリーナ
イルカウォッチ、フィッシング、クルージング。風光明媚な天草でマリンレジャーを満喫する。

漁船や沿岸漁業の情報「大漁ネット」
設計室便りより、今回は小型漁船質問箱・その(4)です。


今月の壁紙
『SALTY LIFE』読者限定
11月の壁紙カレンダーはこちらからダウンロードできます。


バックナンバー
『SALTY LIFE』のバックナンバーはこちらからご覧になれます。


【編集航記】
 10月も末になって、台風がやってきた。楽しみにしていた釣りの予定もおあずけを食らう。農業にしても漁業にしても、暦に従って作業をする産業にとって、季節外れの台風というのは厄介なもの、厄介と言うより死活問題に関わる。そのことを考えたら釣りの中止なんて、たいした話ではないのだけれど。(編集部・ま)

■ 『SALTY LIFE 』について
メールマガジン配信サービスにご登録いただいているお客様に定期的に配信するマリン情報マガジンです。
■ お問い合わせに関するご案内
『SALTY LIFE』は送信専用のアドレスより配信しております。
「配信の停止」についてはhttps://www2.yamaha-motor.co.jp/Mail/Saltylife/をご参照下さい。
※お使いのブラウザでHTMLメールを表示できない場合は、こちらのサイトからもご覧いただけます。
ページトップへ
『SALTY LIFE』
〒438-8501 静岡県磐田市新貝2500
発行:ヤマハ発動機株式会社


Copyright(C) 2007 Yamaha Motor CO.,LTD. All rights reserved.
掲載文章および写真の無断転載を禁じます。