ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
MONTHLY COLUMN ワイテマタ・ハーバーに響いた歓声の意味
キャビンの棚 房総半島西端で潮気に漬かる生活!「マンボウの刺身―房州西岬浜物語」
船厨 “加熱用”の鮮度を思いつつ「牡蠣のスパゲッティ」
海の博物誌 船乗りが提供した気象データ
YAMAHA NEWS 「ボートショー2009IN横浜」開催/「手軽にボートレジャーを楽しむ」/「FR-23 ActiveSedan」新発売/「FR-32LX/ FR-32LX-RH」新発売 /「大漁ネット」更新/「カジキ釣り講座」壁紙更新
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MONTHLY COLUMN
 南半球、ニュージーランド北島の大都市オークランド。かつてアメリカズカップの歓声に沸いたワイテマタ・ハーバー。1月31日から2月14日にかけて「ルイ・ヴィトン・パシフィック・シリーズ」と銘打ったマッチレースが、ここで開催されていた。D・バーカー、R・クーツ、G・ダルトン、B・バタワース、E・ベアーズ、L・エリソン、E・ベルタレッリ…、今ではエミレーツ・チーム・ニュージーランドに不動のポジションを築いた鹿取正信やBMWオラクルレーシングの助っ人として参加した早福和彦の顔も見える。
 現カップホルダーのスイス「アリンギ」とアメリカ「BMWオラクル」とのアメリカズカップを巡る法廷闘争は1年以上前から続いている。話はこじれ、次の大会(第33回)が一体、いつ、どこで開催されるかも危ぶまれているのだ。そうなると各シンジケートはモチベーションどころか、経済的な問題が浮上してくる。それでなくともこの世界的な経済恐慌下、ヨットレースどころではない、といわれかねない。
 そんな背景とは裏腹に、久しぶりに活気づいたオークランド。シティ・オブ・セールの面目躍如、誰もがこの「ルイ・ヴィトン・パシフィックシリーズ」の成功を願った。
 ニュージーランドはカップの奪還を目前にしながら、僅か1秒差でカップをスイスに逃したショックからも立ち直り、次のチャンスを目指し苦労してスポンサーを集め、傷ついたチームを一つにまとめ、なんとか存続してきた。これ以上国民の期待を裏切ることはできない。信じて後援してきてくれた国民や政府に対しても、何かを起こさなければ─。そこで自ら所有する2艇のレース艇を提供、チームのファシリティはすべて開放し、お金をかけずにとことん楽しむための、全く新しい形の親善レースを企画提案した。
 その話に一も二もなく共感して力を貸したのが、これまでアメリカズカップのチャレンジャーシリーズ(予選レース)の冠スポンサーであったルイ・ヴィトン。内心、現アメリカズカップの経済最優先の有様に辟易していたルイ・ヴィトン・カップの立役者ブルーノ・トュルブレが、このオークランドでAC艇のレースを開催することに意義があると考え奔走したのだ。画してBMWオラクルも2艇のレース艇を提供。ほぼ同型艇に調整された。使用艇は抽選で決められていく。レースエリアはどこからでも観戦しやすいワイテマタ湾に決まった。
 過去ルイ・ヴィトン・カップに出場した全てのチームに案内状は送られ、一時は20チーム以上の関心が寄せられたが、最終的には10チームがエントリー。誰もの気持ちの中にふつふつとしていた憤懣がエネルギーに変わった。
「Back on the water !」
 果たして、レースがしたくてうずうずしていたセイラーたちは海に帰り、世界中から集まったファンは久しぶりにAC艇が浮かぶ海面を眺め大満足。
「エルネスト!(スイス/アリンギのチェアマン、ベルタレッリのファーストネーム)次の大会はいつだい?!」なんてメッセージを掲げた観衆のボートがレース海上を横切る。メディアボートの中は爆笑の渦。
海にゴミ一つ浮いていない、この美しい海で繰り広げられたマッチレース。だからこそ、その背景に何があろうと、ニュージーランドの目の覚めるような大逆転勝利は誰の心にもストンと修まった。スキッパーのD・バーカーは晴れやかに優勝カップを掲げる。
「よくやった!!ディーン!!」
 国民はまるでアメリカズカップを奪取したような騒ぎである。
 思えばカップがスイスに渡った時から、アメリカズカップは軌道を失っていた。一時は多勢のセイラーを引き連れてスイスに渡った元ニュージーランドのスキッパー、R・クーツも、すったもんだの末、オラクルのスキッパーとなって戻ってきた。かつてのチームメイトと固く握手を交わし、談笑する光景を目の当たりにすると、なんだか胸が熱くなってきた。
 大金をかけなくても威厳のある、フェアなヨットレースはいくらでもできるという、彼らの成し遂げたことに敬意を表して乾杯! 本場のソヴィニョン・ブランが殊のほか美味しい。自然を愛し、大切にし、そしてセーリングとボートを心から愛している人たちであふれるニュージーランド。何よりもアメリカズカップの歴史と意義を尊重している。やはり「海洋大国」と言ってはばからないこの国は、何かが違う。


塩澤 朋子●しおざわ ともこ
フォトウエーブ代表。プロデューサー&ライター。海洋専門誌、映像製作会社を経て現在に至る。東京生まれ。



キャビンの棚
 1965年、著者は東京の大学生だった頃に、千葉県館山市にある香(こうやつ)という漁村を訪れた。房総半島の西端、房総湾を北に抱えるその地で、漁師が水揚げをする風景や何もないただの砂浜、遠浅で透き通るような海に加え、そこで生き生きと暮らす人たちに魅了される。「マンボウの刺身」は、それから四半世紀のあいだ香の暮らしに溶け込んで綴ったエッセイ集だ。
 漁師として夏のあいだだけ香に暮らす生活ののち、ついには家を建てて暮らし始めた著者。夏になってもそれほど多くの海水浴客でごったがえすことはないという、ひっそりとしていたその漁師町での数々のストーリーは、活気と温もりに満ちている。
 著者が「嘆いてみたって仕方ないのではないか。偏愛した人間は偏愛したままにじっと見守っていればいいのだ」と想うのは時を経て姿を変えていくのどかな海に対してだ。増加した交通量、階段式の護岸が築かれてなくなった砂浜など、初めて見たときのものからその風景は大きく変わっているようだ。
 さて、著書のタイトルであり、章の一つにもなっている「マンボウの刺身」。マンボウの刺身は味がないようだが人によって好き嫌いがはっきり分かれることを紹介している。まるで、派手さのない香の暮らしそのものを表しているようで「なるほど!」と思いながら読み進むと、「好きな者はドンブリで何杯も平らげるほど夢中になる」と書いている。なんだか著者のことを指しているようで面白い。 著者は岩本隼。香の歴史や海のニュースなどを伝えるウェブサイト「こうやつ新聞」の編集長を務めている。
 「マンボウの刺身―房州西岬浜物語」
 著者/岩本隼
 発行/文藝春秋
 定価/¥524(税別)



船厨
 長らくソルティライフを読んでいただいている読者の方は、このコーナーにやたらと「牡蠣」が登場することにお気づきかもしれない。このコーナーの筆者が貝好きなけで、他意はない。ただ、バックナンバーを読んでいいただくと、牡蠣の養殖家のコメントだとか、様々な角度から「牡蠣」について書かれているので、これらを読めばレストランで牡蠣をオーダーした際、パートナーにちょっとした蘊蓄をぶつことのできる仕組みになっているからご容赦願いたい。
 さて、以前、新聞を読んでいたら目から鱗、衝撃的な事実を知った。スーパーなどで販売されている牡蠣の「生食用」と「加熱用」の違いである。
 それまで、ただ、自然に「生食用」が新鮮であると信じ込んでいたが、どうやら違うらしい。生食用の場合、紫外線で滅菌した海水を循環させた水槽につけておくのだという。一方の「加熱用」は水揚げしたものをそのままパックに詰め込んで製品化している。すなわち、鮮度という点では加熱用の方が高いということになるのだ。これって、もしかして常識でしたか?
 なんだか生食用をわざわざ購入して、それに火を通して「こちらの方が上手いんだ」と思っていた己の無知を憎んだものだ。
 牡蠣の季節も終盤に近づいたので(岩牡蠣は夏が旬だったりするけれど)、名残惜しみつつ、牡蠣入りトマトソースのパスタ(スパゲッティ)を作った。もちろん「加熱用」で。
「牡蠣のスパゲッティ」
●材料(4人分)
スパゲッティ400g、加熱用生牡蠣400g(パックのもの2コ)、にんにく2片、白ワイン40cc、カットトマト水煮缶1、イタリアンシーズニング、塩、コショウ適宜、バジル2~3枚、オリーブオイル大さじ4

●作り方
1)牡蠣は水で洗い、粗みじん切りにする
2)フライパンにオリーブオイルを入れ中~弱火で熱し、つぶしたにんにくを入れ香りがたったら取り出す
3)強火にして牡蠣を入れサッと炒め、白ワインを加えアルコールを飛ばす
4)トマト缶を入れ汁気が少なくなるまで煮詰める
5)イタリアンシーズニング、塩、コショウで味を整えて、細切りにしたバジルを入れる
6)茹で上がったスパゲッティにかける



海の博物誌
 世界中でいちばん天気を気にしている人は、今も昔もおそらく、船乗りと農民だろう。どちらも生活や生命がかかっている。特に船乗りはあちこちを移動するだけに天気についての情報をたくさん持っており、初期の気象学者は彼らのデータを使っていた。
 たとえば史上初の風系図。ハレー彗星で知られるエドモンド・ハレーが1686年に発表したもので、その論文は、貿易風と季節風をほぼ正しく説明したことで知られている。根拠になったデータは、自分の観測と船乗りから聞き集めた情報だった。
 また1697年には『新世界周航』という本が出版されたが、この本には台風の記録が初めて載っており、中国の近海であった、猛烈な大嵐の様子が克明に記録されている。そのほかの部分も含めて、海上記録の古典といわれる本だが、著者のウィリアム・ダンビアはなんと元海賊。8年間の海賊暮らしの後でこの本を書いたという。



ヤマハニュース

「ボートショー2009 in 横浜」3月12~15日パシフィコ横浜
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クルージング、釣りなどの楽しさを映像とトークを交えて習う1日講座です。

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充実した釣り機能性に加え、豊かな居住性を持つマルチパーパス・モデルです。

新製品フィッシングボート「FR-32LX/FR-32LX-RH」新発売
優れた釣り機能と、上質なインテリアを持つ快適な居住性を両立したモデルです。

漁船や沿岸漁業の情報「大漁ネット」今月は設計室だよりより
日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

「カジキ釣り講座」壁紙更新!
オフショアフィッシングの醍醐味。ボートでのカジキ釣りをご紹介します。


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【編集航記】
 ボートショーが間もなくはじまります。残念がら今年は「不況」とやらの影響で関西のボートショーは中止になってしまいましたが、横浜では例年通り、4日間にわたって開催されます。ヤマハのブースも楽しいニューモデル「FR-23」、インテリアとエクステリアデザインに高級感を追求した「EXULT 45 CONVERTIBLE」などみどころ盛りだくさん。ぜひとも足を運んでください。(編集部・ま)

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