ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
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MONTHLY COLUMN 甦れ、カジキの海、カジキの町。
キャビンの棚 鎖国時代に海を渡った若者の冒険活劇「南海放浪記」
船厨 見ているだけで楽しい水産物の「缶詰」たち
海の博物誌 魚の大きさ
Salty Who's Who 海の風景と魚の存在感を油彩に求めて
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MONTHLY COLUMN
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 300円を払って紙袋に包まれたアツアツの揚げたてを手にした。けっこうずっしりと重い。そしてでかい。ソースをかけ、はふはふとかぶりつく。まわりはサクサク、中身は柔らかな魚肉が詰まっている。うん、かなりイケてる。これがSea級グルメ全国大会(小名浜)で優勝した福島県いわきの「ジャンボカジキメンチ」か。実は一度は食べてみたいと思い続けていたのだ。このメンチ、決して地元びいきだけで優勝したのではない。その後の苫小牧の大会で3位、大分の大会では4位。毎回上位に食い込んでいる実力がある。
 福島県いわき市の「カジキ料理で町おこし」という試みは震災前からあった。マリンファンならご存知の方が多いかもしれないが、夏から秋にかけての常磐沖はカジキが豊富だ。

 「ところが、地元の人でもいわきの沖でカジキがたくさん釣れることはあまり知られていなかったんですよ。みんな外国でしか釣れない魚だと思っていたみたいで」(みなとまち創造会議会長・脇山智彦さん)
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 第1回のカジキ料理コンテストは2010年の福島ビルフィッシュトーナメント開催時に行われたが、これが思いのほか好評だった。震災後は2012年からコンテストを再開し、この9月には14、15日の2日間にわたって「ふるさとの祭り2013」と併催という形で、初となる「カジキグルメサミット」が開催された。
 天気に恵まれた初日、会場となったアクアマリンパークには県内外から多くの人が訪れていた。特設ステージではふるさと祭りの伝統芸能が披露されていた。「カジキメンチ美味い」というカジキグルメ公式ソングに合わせた女の子たちによる可愛らしいダンスも見ることができた。思わず一緒に躍りたくなる。かなり華やかで楽しいイベントではないか。
 広場では名物「ジャンボカジキメンチ」を筆頭に、「カジキタコス」「カジキバーガー」「カジキ竜田」「カジキスティック」「カジキカツカレー」などが一堂に介して販売される。ステージ近くの特設キッチンでは巨大な鍋が鎮座し、湯気を立てつつ周辺にいい臭いを漂わせていた。中身は500人分のカジキのつみれ汁だ。会場に並んだテントだけでなく、ここにもに長い行列ができる。いずれの料理も材料はクロカワカジキ。カジキといえば一般的にマカジキやメカジキが美味いとされるが、あえてクロカワカジキに限定しているところがポイントなのだそうだ。

 
 「カジキグルメによる町おこしは震災前から試みていたことですが、震災後からは“成功させたい。全国に発信したい”という思いがますます強くなりました。いわきは海に面した町です。津波の被害でマリーナも消滅し、漁業の再開もまだですが、海に背を向けてはいられないんです」(脇山さん)
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 震災によって観光産業は大打撃を受けたが、いわきは、地元が誇る海の幸で勝負しようと頑張っているのだ。
 ボートオーナーでありカジキアングラーでもある脇山さんは、自分のボートも津波に流されて失った。震災直後は港の惨状を見て「大好きだった海からなぜこんな仕打ちを受けなくてはならないのか」と涙を流した。でも、今年の夏、脇山さんは新たなマイボートを手に入れ、すでに海に出始めている。そして、このグルメサミットに合わせて震災後初となる「ビルフィッシュトーナメント」を開催する予定だった。
 「東北と関東地方から計17チームのエントリーがあり、開催に必要な許可もすべて取りましたが、トラブルで予定されていた漁業の試験操業が延期となってしまいました。おおっぴらに海で釣りの大会をするのは、漁業が再開してからだとの考えがあったので、残念ながら直前になって中止にしました。ここが検量所になるはずだったんですが」(脇山さん)
 世間には「なかなか東北の復興が進まない」との指摘がある。でも、いわきで会社を経営し、いわきで家族とともに暮らしている脇山さんは「確かに重機が足りない、作業の人出が足りないなど、課題もありますが、一歩一歩、確実に元に戻りつつあるとの実感はあります」と、復興への手応えを感じとっている。
 さて、汗をかきかき、テントとテントの間を行ったり来たりして、ジャンボメンチカツとカジキバーガー、そしてタコスを、コーラを飲みつつ平らげた。できればすべて食べてみようと目論んでいたのに、それで満腹になってしまった。なかでもカジキカツカレーを口にできなかったのは相当な心残りである。だが、今日ここに会したほとんどのメニューは、いわきに来ればいつでも食べることができるようだ。東京から車を走らせればたいした距離ではない。近いうちに、また来よう。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
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「南海放浪記」
発行:集英社文庫
著者:白石一郎
定価:¥438(税別)
 「南海放浪記」は、前号の巻頭エッセイでも取り上げられた、白石一郎の海洋冒険小説だ。
 「海狼伝」「海王伝」に登場する笛太郎、「サムライの海」の海に登場する蘭次郎など、白石一郎の小説に登場する若者は、どことなく似ている。野生児であり、何よりも海への憧れが強い若者たち。「南海放浪記」の主人公・岡野文平もそうだ。
 元々は武家の出だった文平は若くして家を飛び出し、長崎で暮らしていた。いつか海を渡り、外国へ行きたいという夢を見ていた。そんなとき、朱印船に乗る機会が生まれ、東南アジアの国々を巡ることになる。
 白石一郎は、「海のサムライたち」という著書の冒頭で次のように書いている。「四面環海という立地条件に恵まれながら、日本は、海を防壁としか考えない国家となった。日本人は、そろって海に背中を向け、狭い国内だけをみつめて過ごす習性を身につけた。そのためものの考え方も陸地中心に限定され、はるかに広い海を忘れてしまった」
 そして海に憧憬を馳せ、海を渡った若者を好んで書いた。それらの小説には、「日本とは本来、そういう若者の志を育む海洋国家であったはずだ」との思いが込められている。
 いまや飛行機で誰もが気軽に海外へ行く時代だが、やはり海を渡るという行為は特別だ。たとえ隣の港へ行くのでさえ。
 海水浴すら経験のない子供が増えているというが、日本は海洋国家であるという思いをこんな小説を読んで取り戻したい。



船厨
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 テレビで「サバ缶」にダイエット効果があると紹介されて、夏の一時期、どこもかしこも「サバ缶」が品薄の状態であったと聞いた。さすがに、すでに落ち着いたらしく、スーパーの缶詰コーナーにはしっかりとサバ缶が並んでいた。 
 実は今回の「船厨」では、サバ缶を使った料理を取りあげてみようと思い立ってスーパーの缶詰売り場に赴いたのだが、缶詰をあれこれ物色しているうちに、気が変わってしまった。棚を見ていると、こんなにも水産物の缶詰があるのか、と感動してしまったから。
 例えばタイ風カレーのツナ缶。実はまだ開封していないのだが、興味津々で買ってしまった。グリーンとレッドの2種類がちゃんと用意されているのであった。缶のデザインもいろいろあって楽しい。
 缶詰じたい、昨年からブームだったらしい。都内には缶詰を温めたり、ちょっと手を加えて出してくれる専門のバーまであると知人が教えてくれた。昔は貧乏学生の酒の肴ぐらいに思われていたはずなのに、世の中何が起こるかわからない。
 でも、水産物に限らず、缶詰だからこそ人気の食材はけっこうある。トマト缶やスイートコーン、コンビーフや沖縄の食卓に欠かせないスパムミートなどはその代表だろう。
 なお、缶詰は保存がきくので、非常食としても注目されている。ボートに積んでおいてもいいのだが、その保存性が永遠というわけではない。だから少しずつ、賞味期限を目処に食し、入れ替えておきたい。



海の博物誌
 秋の釣りシーズンだ。個人で楽しむのはもちろんのこと、このシーズン、各地で釣りのトーナメントも開催される。
 さて、「逃がした魚は大きい」とはよく言ったものだが、それに限らず、一度出会った魚は釣り人の記憶の中でどんどん大きくなっていく。「釣り人と話す時は相手の両手を縛っておけ」と言われる所以だ。
 一概に魚の大きさといっても、人によって、魚によって、その計り方が異なったりする。そして計り方によって、頭の先から尾びれの先までを「全長」、尾ひれの付け根までを「体長」、尾ひれのくびれまでを計るのが「尾叉長」となる。
 例えば「タチウオ」。タチウオは尾ひれがとても切れやすい。したがって、タチウオの体長を測る場合は肛門から頭までを計るというのが一般的で、ボートフィッシングのトーナメントでもその方式が採用されていることが多いようだ。またスズキは尾叉長で計られることが多い。カジキはビルを省いて目から尾ひれまでを計ることがあるという。
 なお、IGFA(国際釣魚連盟)の記録管理は重量で行っている。これなら公平である。計測する寸前に口に海水を流し込んだり、仕掛けの錘を仕込んだりしなければ、の話であるが。



Salty Who's Who
画家
浜中せつお
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 大海原で我が意を得たりと泳ぐマーリン。時にはルアーのチェイスに睨みを利かせ、またある時にはボートとの駆け引きにも屈することなく、フックオフを狙い海面に姿を現す。カジキ釣りを一度でも体験すれば、その作品に思わず引き寄せられてしまう。
 海と緑の画家、浜中せつおさんは、油彩でカジキやその釣りのシーンを描く日本でも数少ない画家だ。カジキという生態を写実的に描きながらも、ひとつひとつの作品には釣り人なら思わず頬が緩む情景が映し出されている。
 浜中さんの生家は横浜の磯子。今のような埋め立てられた工業地帯になる前の海で友達と堤防に行き、サビキ釣りをしたのが最初の釣りだというものの、当時の海は開発のまっただ中にあり、今も思い出すのは釣った魚の姿よりも開発が進んでいく海辺の景色だった。そうした幼少期を都会の海辺で過ごした浜中さんが、現在のようにイラストレーターとして活躍し、油彩の作品を生み出すようになったのは新聞社の写真部を辞めてからのこと。
 「美大受験の浪人の時にはじめたカメラの売り子やカメラマンのアシスタント、そこから新聞社でのアルバイトが始まって、庶務から暗室勤務。そして写真部に配属されてカメラマンの仕事を続けていたのですが、ふと自分の人生を考えると、このまま新聞社のカメラマンでいいのか、自分は絵を描きたいのではないかと考えるようになって。同じフリーランスで仕事をするなら、写真よりも絵で勝負したい。稼ぐことよりも好きなものに時間をかけて過ごしてきたいと思ったんです」
 独立した当初こそ写真の仕事を請け負っていたが、さまざまな編集部と仕事を重ねていくうちにイラストの仕事も増えていく。そうした新しい生活の中で浜中さんの心を捉えたのがバスフィッシングだった。
 「当時一緒に仕事をしていた編集部の方とバスフィッシングに行ったのですが、ぜんぜん釣れなくてね。それで忘れていた釣り心に火がついたのです。子供の頃は堤防に行ってサッパとかアジとかを釣っていたのに、バスが釣れないなんて思わないじゃないですか。でも釣れなかったからこそ、のめり込んでいったのかもしれませんね(笑)」
 バス釣りに行くようになると、違うジャンルの釣りの誘いも多くなり、さらに仕事でも釣行取材に同行することで、奥深い釣りの世界にどっぷりと浸かりこんでいった。
 「イラストの仕事としては車雑誌が多かったのですが、釣りをするようになってからは、釣り雑誌や釣りのムック本の仕事が多くなって。その頃から油彩の個人作品も描き始めたのですが、やっぱり当時の興味の対象は魚で、バスやGTを描いたのが最初だったと思います」
 イラストなどの依頼仕事とは異なり、油彩はすべて個人作品。学生時代に慣れ親しんだ油彩は、色作りに始まるその過程や仕事とは一線を引く意味において浜中さんの自然な選択だった。今でもアトリエには、GTやバスといった初期に取り組んだ作品やカジキやスズキなど浜中さんを虜にした魚たちの雄々しい姿を見ることができる。
 「これまではカジキ釣りや海外の海の景色を描いてきましたが、同じジャンルの作品を見たり、作家の方と一緒に話したりするなかで、自分の原点はなんだろうかと記憶を辿っていくと、家のすぐ近くにあった東京湾なんですよね。そこで釣ったサッパやセイゴは今も記憶の中で生きている。私もそうした魚たちを描いていきたいし、できればそうした作品を通じて、多くの人が海や魚、そして自然に興味を持っていただければ、作家冥利に尽きると思います」
 自然の中で生物が魅せる一瞬の輝き。浜中さんの作品に登場する生き物は、ふだん人前では決して見せることのない、ありのままと思える姿が映し出されている。現実よりもリアリティを以て迫ってくる力には、作者の自然に対する畏敬の念や生物に対する情愛の深さを感じずにはいられない。
 「魚はノンフィクションだけど、作品自体はフィクションですからね」
 海を知る者同士の会話であれば、海におけるフィクションもノンフィクションもさほど大きな意味を持つことはない。お互いに海が好きであれば、すべてが真実にもなるしホラ話にも聞こえる。それは海が千変万化する環境であり、そこに身を置くこと自体、日常では感じられないフィクションを求めているからだ。浜中さんの作品には、そうした海の話で感じられるような潮の気配がたっぷり含まれている。


今回ご紹介した浜中せつおさんの個展が下記の日程で行われます。

浜中せつお展 ―魚と海の風景―
会期:2013年10月21日(月)~10月26日(土)
時間:11:30~19:00(最終日26日は17:00まで)
場所:東京都中央区銀座4-10-6 永井画廊5F
入場:無料

オフショアのカジキや東京湾のシーバスなど、
釣りと海をテーマにした油彩画を約20点展示します。



ヤマハニュース

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ヤマハマリンクラブ・シースタイルWeb入会キャンペーン!(10月9日まで)
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/

バスボート専用 4ストローク船外機「F165A」新発売
軽量・コンパクト設計に加え、加速性能、クリーン排気、優れた燃費性能を実現
http://global.yamaha-motor.com/jp/news/2013/0920/f165a.html



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【編集航記】
「船厨」で触れたようにサバ缶がスーパーで品薄になっていたそうです。テレビでダイエットに効くと紹介されると、一気に消費者がそれを買うという傾向はなかなか興味深いですね。ここでこっそり教えます。海で遊ぶとダイエットになります! 僕の場合、一日ボートフィッシングをすると、翌日、脇腹が軽い筋肉痛になるのですが、ジムにあるロデオマシーンと同じような効果があることに気づきました。さらに劇的な体重減を経験した僕から真面目なアドバイス。栄養バランスのよい食事を摂り、基礎代謝に合わせてその摂取カロリーを越える適度な運動をすれば、間違いなく体重は落ちていきます。ご健闘を祈ります。
(編集部・ま)
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