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55mph - モーターサイクルをカッコよく撮りたい!

モーターサイクルをカッコよく撮る方法をプロカメラマンが指南。ちょっとしたポイントで見違えるような愛車写真を撮れるようになります!

#2 カッコいい「動感」のある写真を撮ってみよう!

スマートフォンやSNSの発展により、愛車の写真を撮る機会が大幅に増えた昨今。どうせ撮るならクォリティの高い写真を残しておきたいもの。ここでは、そんなモーターサイクルをカッコ良く撮る方法をプロのカメラマンが指南。ちょっとしたコツを覚えるだけで見違えるような愛車写真が撮れるようになります!

今回は「動感」のある写真の撮り方について長谷川 徹カメラマンにレクチャーしてもらう。前回の「置き」の撮影テクニックはバイクの造形のカッコよさを上手に表現するためのものだったのに対し、こちらはバイクの躍動感をカッコよく表現するためのテクニックだ。表現方法から機材、カメラの設定、撮り方のほか、一般的にこういった用途には向かないとされているスマートフォンを使った撮影にもチャレンジしてもらった。

講師:長谷川 徹さん

日本大学芸術学部を卒業後、広告制作会社のカメラマンを経て独立。現在は二輪、四輪の各専門誌、メーカー広告などのほか、ロードレースやモトクロスのレースカメラマンとしても活動している。1968年生まれ。

使用カメラ1:キヤノン EOS 70D EF-S18-135 IS STM レンズキット

動感を表現するには、レンズ交換ができて、シャッタースピードなどを自由に変えられる一眼レフカメラが適している。今回はメインカメラに長谷川 徹カメラマンの私物であるキヤノン EOS 70Dを使用。普段の仕事で使うプロ機材とは違い、APS-Cセンサーをもつ中級機だが、最高約7コマ/秒という速い連続撮影速度によって流し撮りなどにもしっかり対応できる。 撮像素子:APS-C(有効画素数約2020万画素) 最高連続撮影速度:約7.0コマ/秒

使用カメラ2:アップル iPhone 6

スマートフォンでの撮影は優れたカメラ性能で知られるアップル iPhone 6で行った。いつでも気軽に撮影が行えるのがメリットだが、近年は画質もコンデジに勝るとも劣らないものになっている。また連写も速い。とはいえ、オートモードでしか撮影できないため、シャッタースピードやレンズの絞りといった設定を任意で変更することは不可。動感を表現するのはコツがいる。
有効画素数:約800万画素 レンズ:5枚構成レンズ f2.2
手ぶれ補正付き

使用マシン:MT-09

低速トルクと高回転での伸びを両立させた並列3気筒エンジンをアルミフレームに搭載するロードスポーツモデル。軽さとマスの集中化を徹底的に追求したスリムな車体は400㏄並の車両重量を実現。ネイキッドとモタードを融合させたスタイリングも魅力だ。

動感をカッコよく表現するためのコツ

01バイクの「動感」はこうやって表現する

まずは、動いているバイクをより動いて見えるように表現できる基本的な方法について解説します。シャッタースピードを遅くすることで意図的に横ぶれを発生させ、速度感を強調する方法はよく知られていますが、構図によって走行感を強調するというやり方もあります。

(1)背景を流すことでスピード感を与える

いわゆる「流し撮り」はバイクの動感を表現するうえで欠かせないテクニック。シャッタースピードを低速(1/60秒~1/125秒)に設定し、バイクだけをピントから外さないようカメラを動かして撮影します。この写真のように背景に物があるロケーションでないと流れていることが伝わりにくいので注意。シャッタースピードを任意で変更できないスマートフォンやコンデジなどではかなり難しい撮影方法になります。

CANON EOS 70D / マニュアルモード / 焦点距離 91㎜ / シャッター速度 1/80秒 / 絞り値 F7.1/ ISO 100

(2)道路を生かしてバイクに動きを与える

こちらは構図を工夫することで動感を表現した例。左右にうねりながら伸びるワインディングロードを入れ込むことで軽快に走っている様子を強くイメージさせます。望遠レンズの圧縮効果によって道路をS字型に切り取り、写真にリズムを与えているところもポイント。ぶれをつくる訳ではないのでスマートフォンでも比較的撮影がしやすい。

CANON EOS 70D / マニュアルモード / 焦点距離 135㎜ / シャッター速度 1/640秒 / 絞り値 F6.3 / ISO 800

「圧縮効果」とは?

遠くにある被写体を望遠レンズで拡大して撮影すると、その後ろにある物との距離が短くなって写る現象のこと。複数の被写体同士の距離を縮めて撮影したいときなどに用いられるテクニック。

(3)大胆なブレで疾走感を強調する!

(1)よりもさらにシャッタースピードを遅くすることで大胆な横ぶれを発生させ、写真に躍動感を与える手法。とはいえ、すべてがぶれていると違和感のある写真になってしまうので、作例ではフロント部だけ少しピントが合うよう撮影した。シャッタースピードが遅いので縦ぶれを発生させないようスムーズにカメラを動かす技術が求められる。

CANON EOS 70D / シャッター優先モード / 焦点距離 78㎜ / シャッター速度 1/13秒 / 絞り値 F16 / 露出補正 -1段 / ISO 100

02動感描写で使える機材&テクニック

流し撮りには望遠レンズが便利

動きのあるものを大きく撮る際には物理的に焦点距離の長い望遠レンズが必要となる。また、望遠レンズは広角レンズに比べてぶれをつくりやすいという特性があるため、流し撮りを効果的に行うことができる。写真(左)は55‐200㎜の入門用望遠ズームレンズ。

カメラはしっかり固定。シャッター操作は繊細に

望遠かつ遅いシャッタースピードで撮影する流し撮りは、当然手ぶれもおきやすい。身体を振る動きを妨げない程度に脇を締め、ボティとレンズの先端をしっかりと保持し、カメラが縦方向に動かないようにしよう。またシャッターボタンを連続して押すときは指をボタンから完全に離さないよう操作したい。一度指を離して押し直すと、わずかながらカメラが縦に動いてしまうからだ。

03スマートフォンでも可能な動感の表現

最近のスマートフォンのカメラの写りはなかなか侮れないが、シャッタースピードやレンズ絞りが任意で変更できないため、一眼レフやマニュアルモードのあるコンデジに比べると表現の「幅」は狭い。ここでは、そんなスマートフォンのカメラでもバイクの動感を表現できる方法について紹介しよう。

スマートフォンは流し撮りが苦手

iPhone 6で流し撮りをしてみた例。手ブレを起こさないようカメラがシャッタースピードを自動調整してしまうため、漫然と撮ってしまうとバイクや背景が止まって写ってしまう。これではスピード感を表現することはできない。

大胆な構図でスピード感を引き出す

画質が劣化するためあまり使われることのないスマートフォンのデジタルズーム。しかし、それを活用して被写体を大きく流し撮りをすれば、背景の流れ方はわずかでもなかなか臨場感のある絵になる。さすがに大きく引き伸ばしてしまうと画質が気になるが、動感はちゃんと表現できている。

静止している物との対比で動感を出す

動いているバイクを止めて背景を流すのとは逆に、静止している背景にピントを合わせて撮影することでバイクをぶれさせ、動感を表現するという方法もある。ぶれた被写体は絶好のアクセントとなるのだ。

覚えておきたい、動くバイクをスマホで上手く撮るコツ!

スマートフォンの液晶モニターにはタイムラグがあり、素早く動く被写体はわずかに遅れて表示される。つまり、モニターだけを見ながら流し撮りをすると、実際にはカメラが遅れて追いかけることなってしまう。スマートフォンの流し撮りは、液晶モニターで構図を確認しつつ、肉眼でスマートフォンの一部分をつねにバイクの同じ場所に合わせて本体を振ると、しっかり追従させることができる。

決めた場所がずれないように振るとシンクロさせやすい

作品A 一眼レフ

手前に緑を入れることで写真に季節感を与える

ただの流し撮りではなく、バイクとカメラの間に木を入れてスローシャッターで撮影してみたのがこの作品。手前の木々を流すことで画面全体が緑色となり、スピード感に加えて季節感を表現しようと意図した。シャッタースピードをかなり遅めにしているため、被写体は相応にぶれているが、現場の空気が伝わるような臨場感のある写真になった。撮影時はあらかじめ被写体をとらえたい場所でピントを固定し(置きピン)、マニュアルフォーカス&連写モードで撮影を行った。

CANON EOS 70D / マニュアルモード / 焦点距離 135㎜ / シャッター速度 1/10秒 / 絞り値 F9 / ISO 100

作品B スマホ

走行中でしかありえない動きを捉える

こちらはスマートフォンによる作品例。左右にくねりながら伸びるワインディングロードを背景に、コーナリングへの予備動作を行っている瞬間を撮影。流し撮りによってスピード感を強調するのではなく、バイクが傾いた走行中でしかありえない一瞬の動きをとらえることで動感を表現してみた。

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