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今年の冬は、思い出せる限りで過去最長のシーズンオフ、といっていいかもしれない。テスト回数は非常に少なかったけど、楽しく実施できたと思う。というのは、多くの事柄を試したし、2010年仕様のYZR-M1の仕上がりも素晴らしかったからね。
今回のダイアリーは、2009年最終戦が終わって11月に参戦したカーレースの話から始めよう。第19回バレルンガ6時間耐久レースに、僕はアンドレア・チェカットと親友のウーチョことアレッシオ・サルッチと組み、チームケッセルのフェラーリ430でGT3クラスに参戦した。僕の最初のセッションでは、運悪く霧のためにセーフティカーに先導された状態で走らなければならなかった。そして、レース終盤にはメカニカルトラブルでマシンが火を吹いてしまい、優勝を逃してしまったんだ。
炎が出たときは少し怖かったけど、セーフティスタッフが迅速に対応してくれた。勝利を目前にしていただけに、とても残念だった。レース序盤はセーフティカーの先導でバトルにはならなかったけど、その後はいい走りができて楽しかった。合計10,000人という多くのファンも詰めかけてくれたしね。最終的に、僕たちは3位でレースを終えた。もし来年もチャンスがあれば、是非とも再挑戦をしたいと考えている。残り40分でトップを走っていながらこの結果で終わったのは、苦々しい思い出だしね。
11月最終週はモンツァラリーに参戦し、2位でフィニッシュした。マシンはフォードフォーカスWRCで、9ステージ中4つで勝利したものの、スペシャルステージ4と5でミスをしてしまったために、シトロエンC4のディンド・カペッリに差を開かれることになってしまった。このラリーに参戦している全選手が走るエリミネーション方式(ノックアウト方式)のスペシャルステージ、マスターズショーにも参加したよ。ベストタイムを記録したにもかかわらず、僕は準決勝でまたもやカペッロに敗れ、敗退してまった。カペッロは準々決勝で、僕の友人にして新しいMotoGPのライバルであるマルコ・シモンチェリ(ホンダ)も破っているんだ。
とはいえ、このラリーでは、雨の中行われた最後のスーパースペシャル<グランプリ>テストで勝利して終えることができたので、とても満足をしている。ここ数年のモンツァラリーは、とてもレベルが上がっていて、勝とうと思うと、速さに加えて、できるだけミスをしないことも要求される。モータースポーツの一年を締めくくる前にもうひとつ、クリスマス前にベッテガ・メモリアルというラリーショーに参加した。これは毎年、ボローニャモーターショーの一環として行われるイベントなんだ。
そして、1月末には数週間ぶりにステアリングホイールを握り、バルセロナでのフェラーリF1チームのテストに2日間参加した。両日とも朝からウエットで難しいコンディションでのスタートになったけど、600km以上を走行することができた。マシンは、マラネロのF1クリエンテ部門が用意してくれたF2008。ラスト2周には1分21秒900というベストタイムを記録したんだけど、チームのコース使用許可タイムをもう少しで破ってしまうところだったよ! 最後の45分は燃料を軽くして、フレッシュタイヤでタイムアタックを実施した。満足のいく速度で走れたよ。これだけのタイムが出せたのは、テスト前に努力をした甲斐があったからだね。今回のテストは、2008年11月にムジェロで行った走行よりも楽しかった。モンメロ(カタルーニャサーキット)のほうが、ムジェロよりも少しだけ走りやすいね。ムジェロを走るときはかなりの努力を要するけど、モンメロは四輪・二輪いずれにとっても、本当に素晴らしいコースだ。とはいえ、第10コーナーは少しキツい(スピンしやすい)ので、ブレーキングをかなり深くしなければならないんだけどね。
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冬の間に四輪で時間を過ごすのはとても楽しかったけど、セパンで行われたMotoGPのプレシーズンテストで久々にバイクに乗ったときは、さらに大きなワクワク感があったね。プレシーズンテストでいいスタートを切ることが重要なのはいうまでもないけど、今年は特にバイクのセットアップに費やせるテスト日数が6日間しかないので、わずかな時間も無駄にはできない。その意味でも、マレーシア初日の結果にはとても満足をしているんだ。シャシーもエンジンも新しい2010年仕様のバイクに跨って、たくさんの距離を走り、早速良いタイムを出すことができた。サーキットのラップレコードやファステストラップに迫る勢いで、直近のライバル、ケーシー・ストーナー(ドゥカティ)より約0.5秒ほども速かった。2日目は雨もあって32周にとどまったけど、この日のベストタイムは2分00秒925。僕自身がここで記録したポールタイムに、わずか0.5秒ほどの差だ。最後の2時間ほどは雨に降られてしまったけど、予定していた項目はすべて消化したし、トップタイムも出せたので、いい内容だったと思う。
テストの後、僕とホルヘはタイへ行き、二日間タイ・ヤマハの宣伝活動に従事した。初日はヤマハライダースクラブに参加してVIPカスタマーたちへ挨拶し、夜のゴールデンタイムに放送するテレビのスペシャルインタビューを収録した。2日目はタイじゅうのメディアを前に記者会見を行い、それが終わると、約10,000人ものファンの前に立ってステージ上で新車Mio125の発表をした。僕とホルヘは、46と99のゼッケンをつけたレプリカカラーの新車で数周デモランも実施したよ。タイ・ヤマハ代表の永島氏とヤマハ発動機の新社長に就任する柳氏にもご挨拶をさせてもらった。
その2週間ほど後に、マレーシアで2回目のプレシーズンテストを実施した。このテストでは、前回のテスト内容や、そのときに決定したバイクとサスペンションセッティングの方向性が正しかったことを確認できた。アクセラレーションを改善するために、新しいマッピングも試してみた。これが実に良くて、僕が持っているポールレコードを上回るタイムで走ることができたうえに、フィーリングも上々だった。この走行は中古タイヤだったのだけれども、ブリヂストンが持ってきた新しいタイヤも試すことができた。この新タイヤは、開幕戦で使いたいと思っているんだ。さらには、日本人スタッフのテスト車にも乗ることができた。僕のフィードバックがいい方向に作用して、将来的に役立ってくれればうれしいんだけど。
セパンサーキットでの計4日間のテストは、とてもいい内容だった。とはいえ、カタールのロサイルサーキットで行われるナイトテストは、僕にとってもヤマハにとっても得意なコースじゃないから、ここのほうがいろんな意味でさらに明確な感触を与えてくれるんだ。初日は僕たちがトップで、2日目はケーシーに次ぐ2番手だった。ケーシーはロサイルを得意にしている選手だから、ここからわかるのは、今年のM1は実に素晴らしい、ということなんだ。初日に僕は昨年よりも速いタイムで走ることができて、2日目はレースに向けた準備に集中した。セッション終盤にはロングランを実施して、有益な情報も入手できた。これがレースでは役に立ってくれるだろうね。気分的にはいつでもレースができる、って感じだよ。
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カタールテストの前には、ヤマハの重要なマーケットのひとつ、インドネシアを訪問したんだ。素晴らしい経験だったよ。まず最初に、3番目に大きな都市メダンに行った。ここでは、ヤマハモーターインドネシアの代表とともに記者会見を行った。この記者会見では、<Semakin di Depan>を正式に発表した。これは、「一歩前へ」というヤマハモーターインドネシアのロゴで、僕のマシンやツナギに貼ることになっているんだ。その後、インドネシアで2番目に大きなヤマハのディーラー、PT.Alfa Scorpiiを訪問し、400名の報道陣やお客さんたちの前で、新ショールームの発表に同席した。メダンから2番目の都市スラバヤへ移動し、インドネシア最大のヤマハディーラー、 PT. Surya Timur Sakti Jatimへ行った。ここでも<Semakin di Depan>を発表し、最後は4,000人のヤマハカスタマーが詰めかけたDBLアリーナで締めくくった。インドネシアでは、とても楽しい時間と日々を過ごすことができた。この場を借りて、親切かつ丁寧に対応をしてくださった現地の皆さんに、心からの感謝を表します。
冬の期間をイタリアで過ごすのは、とても気持ちが良い。ロンドンで数年暮らしてからイタリアに戻ってきて、僕は今の生活をとても楽しんでいるよ。数週間前には、ローマのヴィラ・マダーマで外務省から、初代「ウィニング・イタリー・アワード」を授与されたんだ。これはとても名誉なことだと感じているし、ヴィト・イッポリト、カルメロ・エスペレータ、ジャコモ・アゴスチーニを式典に招待できたことも、とてもうれしく思っている。その式典では、外務大臣のフランコ・フラッティーニから「ウィニングドクター、イタリア大使」と銘刻したトロフィーをいただいたんだ。
帰国してから、ある種の人々とは距離を置き、現在は親友たちとの生活に戻っている。今はスポーツや競争を楽しんでいる。楽しめているから、もう数年はこの競技を続けることもできると思う。楽しむことが、長期間トップでいる秘訣だ。これが僕のモチベーションだし、そうすれば無益な争いを避けることもできる。物議を醸して楽しんでいた時代もあったけれども、今はもうたくさんだと思ってるんだ。
テストも終わり、今はシーズン開幕が楽しみでならない。6日間のテストで僕たちはずっと速かったし、過去に苦労したカタールでいいタイムを出せたことも、シーズンを迎えるにあたり大きな自信になった。ふたつのコースで走っただけなので、新しいバイクを十分に理解するためにはまだ慎重になる必要があるけれども、総じて調子はいいと感じている。今年型のM1のフィーリングは上々だから、レースが待ち遠しくてしかたないよ!!
今シーズンは新しいライバルがやってくる。同じヤマハのベン・スピースと、友人のシモンチェリ。でも、今現在のシモンチェリはあまりいいコンディションじゃないようだ。走行ペースもよくないし、すでに2回、頭から落ちる大転倒を喫している。彼はとても才能のある選手だし、いずれはMotoGPのトップライダーに成長するだろうけれど、どうして速く走れないのか、なぜ転倒してしまうのか、を理解することがまずは先決だろうね。
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今シーズンは厳しい一年になるだろう。しかし、僕たちは着々と準備を整えてきたので、いい戦いができると思う。僕は今まで以上にやる気に満ち溢れているんだ。僕は常にこの競技のトップでありたいと努力し、新しいマシンに慣れようと全力でがんばってきた。さまざまな経験を重ねてきてわかるのは、ぼくたちは常に新しいマシンやルールに対応していかなければならない、ということだ。今現在が自分の頂点だと思うようなことがあったら、もうそれでおしまいなんだ。一年一年、それぞれに異なったストーリーが展開する。困難の度合いが毎年増し続けるなかで、さらに速く走らなければならない。僕にとってレースとは、挑戦し、そして勝つ、ということだ。それを実行できなくなったときが、MotoGPに「チャオ!」と永遠の別れを告げるときなんだろうね。
でも、今はまだそのときじゃない。「チャオ!」といっても、それはほんのわずかの間だけだ。
バレ #46 |