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開発者インタビュー

開発者のインタビューをご紹介します。

2011年デビューのSR-Xに始まった、ヤマハ・フィッシングボートの新しい流れ。スクエアバウに象徴される特徴的なスタイリングが目をひくが、そのスタイリングは性能面における“REVOLUTION”を目指したものでもあった。デザイナーをはじめ、各モデルの開発担当者に、開発の経緯やねらいを聞く。

革新のスタイリングには理論的裏付けがある

レボリューション・シリーズの先駆けとなったSR-Xの登場は2011年。同じ年に発表されたYF-24と、ほぼ同時進行で開発が進められたという。YF-24も、その後のシリーズに共通するスタイリングのフィッシングボートだ。

デザイナー

当初からシリーズ化が予定されてたわけではありませんが、BMWなら誰が見てもBMWだとわかる、そういう統一感をねらったのは確かです。今回で言えば、スクエアバウもそうだけど、ハルとデッキの一体感を持たせるキャラクターラインとか。特にフネの場合はサイドビューで見るケースが多いですから、そういうところは意図して、一つのアイデンティティーを通しています。

レボリューション・シリーズのスタイリングを特徴づけているスクエアバウ。船首の釣りスペース拡大や、走行時のスプレーカットなどの点で効果をもたらしている形状だ。

デザイナー

なんでスクエアバウにしたかって言われても……あんまり覚えてない(笑)。YF-23との差別化を図りたいというのもあったし、少しでもバウのスペースを確保したいというのもありました。でも、ヤマハの昔のバウライダーモデルにも、スクエアバウのものがありますよね。オリジンはあっちで、それを導入したとも言えます。

SR-Xって、奇異なデザインに見られるかもしれないけど、結構理詰めで造ってるんですよ。このマーケットに初心者に入ってきてもらうのが目的なので、分かりやすいデザインにということで、キャノピーとかエッジを利かせたところでは遊んでますけど、基本的には機能優先です。
そしてSR-XとYF-24の方向性は評価してもらえたので、それをブラッシュアップしていく形で、YFR、DFRも絵を描いていったんです。

一方、YFRは、もう少しおとなしいデザインかもしれません。市場調査をすると、昔人気のあったUF-28とかUF-30や33、そういったモデルに乗っていた人たちが次に乗るフネがない。そのお客さまの平均年齢が50代後半あたりなんですね。そういう方が違和感なく受け入れられるように、と意識してデザインしています。

そんなオーソドックスなYFRに対して、DFRはヤマハとしてはずっとFG-35とかFG-40といったタイプしかなかったマーケットに仕掛けていくということで、デザイン的に洗練されたほうに振っています。

より大きなサイズへYFRとDFR

SR-XとYF-24の成功を受け、同じスタイルを踏襲した27フィート艇として2014年に登場したYFR。太田淳司さんは、このYFR開発のプロジェクトリーダーを務めた。

ヤマハ発動機マリン事業本部ボート事業部
艇体開発部ボート開発グループ主務の太田淳司さん。

YFR開発のプロジェクトリーダーを務めた。

太田

性能に関しても釣り機能に関しても、“最高のボート”を目標に開発を進めました。特に工夫したのは、釣りスペースをいかに広く取るかということと、収納も多くすること。デッドスペースをどこまでつぶせるかっていう点です。

例えば、サイド通路の下のスペースを物入れにするとか、パッセンジャーシートを跳ね上げ式にしたりとか。釣りスペースに関しては、スクエアバウはもちろん、トランサム両サイドのプラットフォームも広くフラットにしてあります。

ステップハル(船底の最後部を斜めにカットしたような形状)は、実は別のモデルで先行して開発していたものを、YFRにも採用したんです。ステップハルにすると、水流が変わるとともに、脚が短かい仕様の船外機を採用できる。その結果、風流れ抑止性能が向上し、抵抗が小さくなって、スピードも速くなります。

ただ、泡をかみやすい、直進走行時の挙動が変わってポーポイズ(上下動)が生じる、といった現象も現れるので、細かい調整を重ねてそれらを改善していきました。

一方、DFRは同じ2014年に、YFRよりも半年ほど早く発表されている。主にデッキ周りや居住空間の設計を担当した中島優樹さんは、FB(フライングブリッジ)前提という制約のなかで居住スペースを確保するのに苦心したという。

ヤマハ発動機マリン事業本部ボート事業部
艇体開発部ボート開発グループの中島優樹さん。

DFR(ハードトップ仕様)の開発で主に外周りのフィッシングスペースや居住スペースの設計を担当。

中島

FB仕様を出すことが決まっているので、カジキ釣りなどの使い方もする。そうするとファイティングチェアを置かなきゃいけないとか、スペースの制限がある程度決まってしまうので、その上で居住スペースを確保するのは厳しいところがありました。
室内レイアウトはオーソドックスなものですけど、広くしたことで、例えばドライバーシートとナビシートの間隔を広くでき、両方が前を向いて座ってもそれほど狭さを感じない、といった効果は生まれていると思います。トイレも、30フィート台の艇としては広めに設計しました。

船型的には、インボード艇では初めてのスクエアバウということで、そのへんの艇体と走行性能のバランスを取るのが一番大きいところだったと思います。

もう一点は、このフネで初めて導入されたスーパースローリモコン。ボルボ・ペンタのエンジンとフィッシングサポートリモコンの組み合わせですよね。流し釣りのとき、超低速域でも微速調整ができる装置です。自分は開発に関わっていないんですが、操船したときはびっくりしました(笑)。500馬力のエンジンで、シフトショックなしにあれだけスムースにギアが入るのは、やはり驚きです。

FB仕様のDFR-FBは同年、YFRとほぼ同じタイミングで登場した。プロジェクトリーダーを務めたのは、現在は商品企画を担当する馬上(もうえ)隆之さん。

ヤマハ発動機マリン事業本部マーケティング統括部
企画推進部商品企画グループの馬上隆之さん。

DFR-36FB開発当時はプロジェクトリーダーとして設計を担当し、のちに現在の部署に異動した。

馬上

FB艇というと、どうしてもコンバーチブルタイプをイメージされてしまうんですが、今回はトローリングに縛られない遊び方というか、いろいろな釣りができるFB艇という考えで開発を進めました。ですのでFBも非常にコンパクト。FBの広い視界や爽快感を残しつつ、トローリングもできますし、キャスティングやジギング、底釣りもできる。そういうところが最大のセールスポイントかと思います。

FB仕様もハードトップ仕様も、キャビンのモールドは同じなんですよ。なのでFBを載せるためにハードトップのデザインが平面的で単純なものにならないよう、少し複雑な形状になっている。そこはちょっと苦労しました。

これまでとは明らかに違ったテイストを持った、ヤマハの新世代フィッシングボート。その“レボリューション”をもたらしたのは、デザインや船型だけでなく、若い開発者たちが自ら乗り込んで長距離を回航したり、全国で行われる釣り大会「ボートゲームフィッシング」に参加したりするようになって、その実体験がフィードバックされていることが大きいと、デザイナーは言う。

スタイリングだけでは語れないその優れた性能を、ぜひ実感していただきたい。

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