King of Cruiserの誕生

クルーザーモデルらしさを失わず、走りも楽しさも、快適性も向上

「“King of Cruiser”と謳われるFXシリーズ。ロングクルーズを楽しむモデルにハイパワーSVHOエンジンを搭載することにどんな意味があるのだろうか?」
―2018年モデルが登場した今のFXの原型となる、2014年モデルが発売された当初の疑問だ。
2014年モデルまで主流だった210馬力から250馬力へ。そして、それに伴う足回りの変更は、結論からいえば、前に進むためのものではなかった。SVHOモデルの変更は様々なベクトルを持っており、走行性能アップだけでなく、快適性や楽しさの向上にも作用している。船体とエンジン、そして足回りというトータル的なバランスのよさが感じられる仕上がりだ。

振り返ってみると、FXシリーズは2012年モデルで大幅なモデルチェンジを行っている。その時の主な変更点は船体全長を190mmも伸ばして大型化し、より多くの水を取り込めるようにポンプケースの容積も拡大。さらにハイグリップタイプのスポンソン採用など―。そして今、これらの変更点を改めてみると、2012年の時点ですでに将来のSVHOエンジン投入が予定されており、それを踏まえての各部変更だったようにも感じられる。それぐらい、FXの船体にはSVHOエンジンのパワーが違和感なくマッチしているのだ。

原 敬三氏 impression

「加速性能はSHOもかなり良いですが、それに比べてもSVHOは特に中速からの伸びが良くなっています。ただし、最初からガツンとくる乱暴な感じではなくて若干、出足は抑え気味な感じですね。おそらくガツンとくるような仕様にもできるだろうけど、そうなると『FXらしさ』という点で疑問符がついてしまう。その点、今の味付けはFXらしさを保ちつつ、迫力を残していますね。
エンジンのパワーはあがっていますが、同時に乗り易さも向上しています。荒れた水面でもハネることが少なくなったし、ノーズが逃げるような動きもなくて、走りが安定している。旋回時はテールが少し滑る感覚もありますが、グリップが強すぎるとその分、乗り手の消耗も早くなりますから、FXというモデルの性質を考えた場合、これが適切なグリップ感なのかもしれません。
総評としては、エンジンのパワーアップで走りは良くなっているし、それでいて安定性も高くなっているので、ストレスを感じず、走りを楽しめるようになっていますね。FXシリーズの方向性を曲げることなく、まっすぐにすべての性能を伸ばしたという印象です。だからいままでのFXシリーズのオーナーが乗り換えても違和感なく、それでいて違いを十分に感じられると思います」

現役時代「JJSF A 785 MOD」で全日本チャンピオンを獲得するなどトップライダーとして活躍