Pro rider Interview

MJ-FZユーザー必見!!GP1800はこんなにすごい

次世代スポーツモデルとして、今年ヤマハからリリースされたMJ-GP1800。
果たしてその性能は、FZを超えているのか。
砂盃肇のインタビューをもとに、史上最強のマリンジェットたるゆえんに迫っていく。

今年ヤマハからリリースされた、史上最速のマリンジェットとの呼び声も高いMJ-GP1800。軽量な船体とハイパワーなエンジンの組み合わせは類い希なる走行性能を発揮し、スポーツモデルとして高い潜在能力を秘めている。そんなGPのポテンシャルを日本で一番体感し、証明しているのはこの男をおいて他にいないだろう。モンスターマシンが集うJJSFプロランナバウトクラスに、ほぼストックのGPで参戦している砂盃肇だ。しかも参戦するだけではなく、着実に上位でポイントを重ねて現在の年間ランキングは2位(第7戦終了時点)と、GPの戦闘力をいかんなく発揮。もはやその性能については疑う余地がなさそうだが、ここでは昨年までの相棒であるFZと比較しながら、GPのリアルな性能を砂盃に語ってもらった。

ストックでも勝負できる
ポテンシャルを持っています。

―― なぜJJSFのプロクラスにほぼストックのGPで出ようと思ったのでしょうか?

シーズン前にGPを試乗したとき、このポテンシャルを自分で証明したい、ストックでどこまでいけるのか勝負したいと思ったのが第一の理由ですね。旋回性能が格段に向上していてスラロームも走りやすくなっていますし、FZよりもエンジンパワーが上がったと錯覚するほど加速も良くなりましたから、かなり戦闘力はあると感じました。それとHKSのとき(2012~ 2014)はレースボートが1号機から5号機まであって、メインはFZだったんですけど、たしか4号機がVXハルだったんですよ。それに乗っていた経験もあったので、そこそこいける可能性は感じていたんです。

―― ストックでもプロクラスで戦える手応えを感じたと。

うまくいけば、シリーズチャンピオンも狙えるとは思っていました。毎戦1位をとるのは厳しいけど、コンスタントに2位から4位ぐらいには入れるかなって。自分も長いことレースをやっているので、それを1年間積み重ねていけばチャンピオンも見えてくると、経験則で感じていたんですよね。

―― ここまで7戦を戦って、その予測はおおむね正しかったと言えそうですね。

シリーズチャンピオンはちょっと厳しいですけどね(笑)。でも、手応えはかなり感じていますよ。GPはストックでも戦える戦闘力があるぜ、というのを見せつけられているかなと思います。ストックだからトラブルもまったくないですし、レース会場でバタバタすることがないのもラクですね。ただ、ここまで戦えているのはGPだからこそ。FZだったら、正直ストックでは厳しかった思います。スラロームもそうですし、あとはスタートのときも、やっぱりパワーウェイトレシオがすぐれているGPの方が有利なんですよね。レースでもトップスピードは他のボートに敵わないですけど、出足の加速は自分の方が速いですから。これは足回りを試行錯誤した恩恵でもありますけど、エンジンをいじらなくても戦えるのはGPだからこそ。総合的に見ても、FZの次のモデルというか、進化したモデルという感じですよね。

ほぼストックのGPで7戦中1位が1回、2位が2回、4位が3回と、並みいる強豪のなかで確実に結果を残している

FZS vs GP1800

スペック FZS GP1800 比較
全長(mm) 3370 3350 -20
全幅(mm) 1230 1220 -10
乾燥質量(kg) 361 349 -12
エンジン質量(kg) 123 123 0
船体質量(kg) 217 205 -12
最高出力(ps) 250 250 0
シフト メカニカル RiDE -
トリム Q.S.T.S. RiDE -

FZSとGP1800を比較した表。船体サイズは長さ20mm、幅10mmの差とそれほど変わらないが、乾燥質量はGPの方が12kgも軽い。この軽さが強烈な加速やクイックなコーナリングを生み出している。

―― 走りの挙動もFZとGPでは大きく異なるのでしょうか?

乗り方はそこまで大きく変わりませんけど、ハル形状が違いますから、コーナリングでは違いがでてきますね。GPはほんとにイージーライドというか、ハンドルを切ったら切っただけ入ってくるんです。狙ったところに入っていけるという部分では、GPの方がすぐれていますね。船体もバンクするので、グリップ力もGPの方が高いです。FZはどちらかというとアンダーステアで、狙ったところにちょっと遅れて入ってくる感覚。ハルがフラットなので、横から滑らせて入っていくんですよ。それを見越してちょっと早めにスロットルをオフにするんですけど、GPの方が少しだけ遅くまで握っていられるんです。

―― 旋回性能はGP に軍配があがるということですね。

クイックに曲がれますし、それに加速がすぐれているということは、コーナーの起ち上がりも絶対的に速い。たとえばの話ですけど、GPの方がFZよりもコンマ1秒速かったら、10個ブイを回れば1秒の差になります。それを繰り返していけば、クローズドレースでは1周のラップタイムでわりと大きな差になりますよね。プロランナでの自分のベストラップも、速くはないですけど他のライダーとそこまで大きな差はついていません。中位以上のラップタイムはでていますからね。

―― S-1でもその旋回性能が好タイムにつながりそうですね。

S-1なら断然GPですよ。なんでみんな乗り換えないのかな(笑)。足回りを少しだけいじってちょっと練習すれば、すぐにFZよりいいタイムがでると思うんですけどね。

―― 足回りをいじるとは?

GPは旋回するときに少しだけケツが抜けるクセがあるので、スポンソンは変えた方がいいですね。それだけで1秒ぐらいはタイムが縮まると思います。その他にもライドプレートとかゲートとか色々ありますけど、スポンソンを変えるだけで劇的に変わりますよ。自分が去年のS-1ファイナルでデモランをやらせてもらったときは、フルノーマルのGPでたしか20秒ぐらいのタイムでしたけど、あのときはスポンソンもなにもかもノーマルでしたらかね。滑らないようにセーブして乗っていたので、今の自分のGPでトライしたら、あのタイムは大幅に超えられますよ。GPじゃなきゃS-1は勝てないって状況になっても、おかしくないと思うんですけどね(笑)。

砂盃仕様のGPは足回りに秘密あり

SE製のビレットスポンソン・クーガーは、ベースのバウ側を少しだけ上向きに取り付け、ブレードは一番下で一番うしろにセット。これにより旋回性能がさらに向上するが、「かなりハードなセッティング」とのこと。ライドプレート、インテークゲートも特別仕様だ。また旋回時の横Gに耐えるため、極限まで低いポジションを可能にするSEのハンドルマウントを採用。レース用シートは着座位置を10cmほど前にしている(写真はノーマルシート)。

―― ハイパワーで軽いGP だからこそ、じゃじゃ馬のようで自分には乗りこなせないと諦めてしまうひともいるようですが。

勘違いしてはいけないのが、オールラウンダーなボートではないということ。ツーリングがメインのひとに、GPが一番いいよとはオススメできないですよ。FXがありますからね。もちろんツーリングができないって意味ではないですけど、それよりもコーナーの速度であるとか、刺激的な加速であるとか、そういった走行性能を味わいたいならGPですよね。優越感もあると思うんですよ。友だちとヨーイドンしても、GPの加速はおそらくどのボートにも引けを取らないはずですから。そこからちょっとインペラを変えたり、足回りをいじるだけでさらに速くなりますからね。それがなければ、自分もプロクラスで勝負できません(笑)。あとはじゃじゃ馬だからって敬遠せずに、乗りこなす練習をしてほしいですね。じゃじゃ馬を乗りこなせれば、とてつもなく速い名馬になりますよ(笑)。

―― 砂盃さんは荒れた水面に強い印象ですが、GP はそういった水面でも乗りやすいですか?

自分は乗りづらいと感じたことはありませんけど、ツーリングではFXとかFZの方がラクかもしれませんね。ただこれも乗りこなす楽しさというか、GPはスポーツモデルですから。この波ならこれぐらいスロットルを開けて、あそこに着水しようとか、すべては練習と経験です。GPはピックアップがよくてレスポンスもいいですから、荒れた水面でもスムーズに走れると思いますよ。ちなみに練習するときのコツは、波と友だちになること(笑)。冗談のようですけど、自然の力って本当に強大で恐ろしい部分もありますから。自分もやっつけられたことが何度もありますけど、なめてかかったら絶対にダメ。侮らず、挑まず、自分の力量を超えず、友だちになって波を楽しむのが上達するコツだと思います。

FZS SVHOと同じ250馬力を発生するSVHOエンジンを搭載するが、FZよりも船体が軽いため加速性能はGPが上。

―― 来年もGP でレースを戦う予定ですか?

そのつもりです。もちろんストックですよ。今シーズンは1年目で、GPが発売されてからは実質半年ぐらいしか経っていないので、まだまだボートも改良の余地があります。これがあと半年、1年となったら、もっと乗りやすく、もっと戦闘力も上がってくるでしょうね。今はほとんどのパーツがポン付けですから、ストックの範囲でできる開発をこれからも続けていきます。それとストックのGPで結果を残すことで、それを日本だけじゃなく世界のひとに見てもらって、ストックレースはGPじゃなきゃ勝てないって流れを日本から発信していければ最高だなと思っています。

S-1ならGPの方が速い。
GP一色になってもおかしくない。

砂盃 肇

いわずと知れた日本を代表するランナバウトライダー。幾度となくJJSFのシリーズチャンピオンに輝いた華々しい経歴を持ち、2012年からはヤマハでレースに参戦。2013年にはヤマハに久しぶりのシリーズタイトルをもたらした。

2013年のシリーズチャンピオン以来、年間2位が3年連続で続いている砂盃。今シーズンもチャンピオンは厳しい状況だが、来シーズンはGPとともに頂点に登り詰められるか。