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船体や艤装

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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船が走る時にどのような抵抗が生じるのか

大漁ニュース 第30号掲載

 船が走るときに、船体に対していろいろな抵抗が発生しますが、なかでも最も影響を受けるのが、摩擦抵抗と造波抵抗のふたつになります。
 低速で走っている時は、水と船体とが接触していることによって生じる摩擦抵抗が船体に加わる抵抗の大部分を占めています。フジツボや海藻が大量に付着している時には、船足がガックと落ちることを皆さんは経験されているかと思います。これは船底の平滑度が極端に悪くなって、摩擦抵抗が大きくなったからです。
 船底をなめらかに作ると、摩擦抵抗を小さく抑えることができますが、船底の形を工夫して抵抗を少なくする方法もあります。よく高速のモーターボートに見られる例ですが、船底の横方向に段をつけた船型(ステッパー)や縦方向に刻みをつけたストライプ型は、高速で水面を滑走するように考え出された船型であって、船体と水の接触する面積を小さくして摩擦抵抗を減らすことを狙っているのです。

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 船がスピードを上げるに従って、船首や船尾に波がつくられます。造波抵抗とは、この波を起こすエネルギーが船の走行に及ぼす影響のことです。この造波抵抗は高速になるにしたがって、比例的に増加するのではなく、スピードの変化に応じて山と谷が繰り返し現れる曲線を描きます。これは、船首の波と船尾の波が互いに打ち消して全体として造波抵抗が小さくなる場合と両方の波が同調してしまい、より大きな抵抗になる場合が交互に繰り返されているからです。

 そこで大型船の設計では、ある範囲の条件の下で造波抵抗の軽減を目的に船首を球状に膨らませる手法を採ることがあります。これが球状船首とかバルバスバウと呼ばれているものです。
 造波抵抗の最大の山をラストハンプ(もしくは単にハンプ)と呼びます。だいたい8~9ノット、船長によっては10ノット近辺のところでこの状態が現れ、全体の抵抗カーブで大きなコブのようになります。船尾の水が切れはじめるスピードよりやや速いところでこの現状が生じるのがおわかりかと思います。造波抵抗は、このほかにもトリムや船体形状によっても左右されますが、ラストハンプを避けてそれよりも速いスピードがあるいは遅いスピードを選んで走らせるのが効率が良いと言えます。


※「設計室だより」は大漁ニュース掲載号の原稿を掲載している為、内容がお客様の船に合致しない場合がございます。漁船、エンジン、艤装品の詳細については必ず最寄りの販売店にてご確認をお願いします。

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