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貝類

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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ホタテ養殖

北海道長万部

3時30分に出港し、4時には網揚げが始まる

北海道南部、太平洋に向かって東に開く噴火湾は、オホーツク海での地蒔き養殖と二分する、北海道産ホタテの養殖漁場として知られています。今回はこの噴火湾で活躍するヤマハ漁船「たか丸」の作業に同行しました。

 長万部の大中(おおなか)漁港で営まれるホタテ養殖は、稚貝をかごで育て、貝殻に穴を開け細紐でロープにつなぎ、それを幹綱(桁)に下げるやり方で、その姿から「耳吊り」と呼ばれています。平成18年6月に進水した、たか丸(DX-97C-0A)は午前3時に出航し、ホタテの収穫に向いました。
 浮きとアンカーで固定された桁の長さは200mあり、30cm毎に13.5cmの枝ロープが結びつけられ、そこに200枚のホタテが耳吊りされています。水面から垂れ下がるロープに大人の手のひらサイズのホタテが、びっしりとついています。1年から1年半の間、沖合いで稚貝から成貝に成長する時間にホタテの貝殻やロープにはたくさんの付着物が付き、その重さは約4kgにもなります。
 松井孝夫さんとご長男の隆博さん、中田修記さん、黒滝健一さんの4人の連携で「耳吊り」のホタテが次から次へと水揚げされます。
 「多いときで船に積み上げる重量は1トンを超えます。でもこの船は安定して、しっかり走ってくれるよ」とは隆博さん。「ヤマハに相談したら、やりたいことを全部出してくれって言うので、とにかく大きくて、船首の造りは写真を見せて説明したり、あれこれ言いたい放題出した」と当時を振り返ります。
 「いざ建造にかかると、ポイントごとに連絡してくれるので5回も6回も現場を見に行った。その場でもああして欲しい、こうして欲しいと意見を言うと、ヤマハも自分たちの意見を言う。そんなやりとりがあってその結果納得のいく、いい船が出来上がったと思っています。
 実際に漁が始まって、それが証明されたというのが実感です。だからこのタイプの船が地元で増えていくといいと思っているんですよ」ようやく明るくなった海原で「ホタテの海外輸出も考えていますから、この船にも」と将来を話す隆博さん。見据えるGPSの画面の向こうに洋々たる設計図を描いています。

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桁を揚げてから、その下に繋がれているホタテをデッキへと揚げる

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耳吊りのロープの長さは1軒5,000mと決められていて、後継者に2,000mが割り当てられる。松井さんのところでは計7,000mを管理している

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仕掛けは海岸線と並行に並ぶ「浜なり」で沖合い5kmと定められており、その位置はGPSにプロットされている

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空が白み始める頃には、はちきれんばかりの網でデッキは足の踏み場も無い

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船主の松井孝夫さんの長男、隆博さん。16歳のときから漁に出て、今では作業のほとんどを任せられている

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大中(おおなか)漁港に係留されている「たか丸」。20隻ほどあるホタテ漁船の中でもひときわ大きく目立つ存在

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