巻頭エッセイ/心に響く、海  「ある日曜日、海の友からのプレゼント」
  高橋唯美 (イラストレーター)
船厨 ギャレーを使いこなしてこそ、海の男
キャビンの書棚 「ニライカナイ 神の住む楽園・沖縄」
ボーティングチップス 快適!オイルスキンの着こなし術
YAMAHA NEWS 展示試乗会/新免許制度/世界初のインバーターエアコン新発売
6月の壁紙 『Salty Life』読者限定壁紙カレンダー

海での感動。フライブリッジの上で顔に当たる風の香りを知ったとき。吹かれたクルージングでたどり着いた小さな漁港での安堵。初めて大物と対峙したとき。ナイトクルージングで見た満天の星、海の仲間と酌み交わすキャビンでの夜。異国の海で、普段通うマリーナで、、、。海と付き合えば付き合うほど、様々な感動を知ることになる。巻頭エッセイ「心に響く、海」。海を愛する人々に日常の、時に特別なそれぞれの「海での感動」を語る。第一回はSALTY LIFEのタイトルカットを描く、アーティスト・高橋唯美氏のマリンライフから。


 9月、とある日曜日。都内の荒川河口から、千葉県館山までトローリングに出かけようっていうのに、マリーナに着いたのは朝の8時。理由は寝坊。朝マズメなんて夢の夢。車から降りて桟橋に向かう脇で、マリーナでだけのお付き合いの倉さんが、道端に仕掛けを広げてナニやら勤しんでいる。高校の剣道の先生らしいが、話す声の大きさは、魚を散らすのに充分なほどである。だから数回釣り行きに誘われたが、狭いキャビンの中でのあの声を思うと、とてもとても。
 それに無類の女好き、夜遊び好きも、馴染めそうにない。
 僕に気がついた倉さんが
 「なんだよ、釣りに行くのかよ。独りかぇ?良かったらこの仕掛け使ってみなぁ」
といって糸巻きに巻かれた潜行板とピンクのタコベイトと肌色の弓角のセットを放りよこした。僕はロッドで釣るのが好きだから、この手の釣りはちょっと・・と、思いながら愛想良く受け取って、出港。17ftに115馬力の船外機で3時間弱。ロッドを2本立てて、自分なりにおさらいして決めた淡いピンク系のソフトルアーと小さ目のコナヘッドを引いて東京湾口をうろつく。今日はカツオかメジを食べたい。ドラッグを強めにセットしてあったせいか、数分でクリックが啼きだす前にロッドが煽られてる。来たナァ、よしよし。潜ってくれればいいのに、やたら跳ね回るじゃないの。シイラかヨォ。以前1m超のシイラ持ち帰って捌くのに苦労したから、好きな味だけどリリース。それからの30分、ルアーを替えてもシイラばっか。
 諦めて帰り支度しながら、倉さんから預かった仕掛けを流してみる。潜行板が小さいから、ロッドのラインに付けて、である。シイラばかりで少し気落ちしながらコンビニ弁当開けて一口カツにソースをかけた途端にクリックが大騒ぎ。なんだよぉ、と膨れっ面でリールを巻く。やたら重い。ラインの先の暴れ方が変だ。汗かきかき15分ほどして慌てる。メジとカツオが掛かってるじゃないの! 両方とも3kg一寸で、僕にとって一番美味しいと思うサイズ。
 翌週、倉さんに、お礼方々仕掛けを返すと、「ナ、釣れたろう、こんなもんでも捨てたモンじゃないだろ」だって。
 倉さんの人柄も捨てたもんじゃなさそうな気がしてきた。
●高橋唯美(たかはし ただみ)
68年「平凡パンチ」誌にクルマのイラストを描き始める。翌69年「舵」誌にヨットのイラストを描き始めたのを皮きりに、ヤマハ、ニッポンチャレンジ(92年オフィシャルイラストレーター)、釣り誌などマリン関連を中心に多方面で活躍し今日に至る。都内に17フィートのボート、千葉県・館山に26フィートのセイリングクルーザー、沖縄・西表島に17フィートのボートを所有し、仕事にプライベートに海を満喫している。



「スパイシーソテー」
● 一口大に切ったサワラの切り身にレモン汁、塩、胡椒、パプリカ、ガラムマサラで下味をつける。
● 小麦粉、塩、パプリカ、ガラムマサラ、ガーリックパウダー、黒胡椒、オニオンソルトで衣を作る。
● フライパンにサラダ油を熱し下味をつけたサワラの水気をキッチンペーパーで軽く拭き、衣をまぶして皮が下になるように焼く。
● 両面が狐にろになったら出来上がり。チリソースまたはサルサソースでめしあがれ。
● 安全な場所ならば、170度の油でフライにすると、ますます美味。ビールに合います。

 今からン十年前、ちょっとばかり封建的な学生の外洋帆走部に道を踏み外したとき、まずたたき込まれたのは、「揺れる狭いキャビンでの中でもしっかりと旨い飯を作る」ということであった。自分自身、それをやり遂げたかどうかは別として、今でもクルーの技量を図る際、「料理の腕」という要素がかなり高い位置を占めてしまうのは致し方ないと思う。そして、私のごく浅いボート&ヨット乗艇歴をたどってみると、ゲストに旨い物を作って出せるそのボート(ヨット)は、かなり高い確率で、時化に滅法強く、レースを走らせれば速く、そして釣りがやたらと上手かったりする。キャビンを使いこなすことはシーマンシップに通じるのである。
 先日、オーストラリアのケアンズでトローリングボートをチャーターし、ルアーを流す機会にありついた。まあ、世の中、そんなに上手くいかないもので、その日あがったのはサワラ一本。しかし、小さな幸福はその後やってきた。のんびりビールでも飲ろうかと、早々とロッドをしまい込み、小さなサンドアイランドの沖にアンカリングすると、まだ十代とおぼしきオージーの若きクルーが物の見事に先ほど釣り上げたサワラをさばき、あっという間にギャレーで調理し、肴を出してきたのである。おきまりのサンドウィッチしか予想していなかった日本人ご一行様が感動したのはいうまでもない。しかもそれがとても美味く、ビールに合う。これまでにも客に釣らせることのできなかった窮地から、こうして脱してきたのだろうか。あっぱれである。
 早速レシピを聞いて、我流にアレンジした次第。日本に帰ってからシーバスやカジキでも試してみたが、それでも美味い。(編集部/たき)


「ニライカナイ 神の住む楽園・沖縄」
撮影:三好和義
音楽:新良幸人
(アコースティック・パーシャ)

制作・発売:小学館
定価:¥2,500 (税別)

 「楽園」を撮り続ける写真家・三好和義氏による写真集「ニライカナイ 神の住む楽園・沖縄」のDVDバージョン。
 「ニライカナイ」とは、海の向こうには神様の住むこの世とは別の世界がある、という沖縄の言い伝え。その神様は一年に一度、こちらの世界にやってきて幸せや豊饒をもたらしてくれる。三好氏は、その神の住む世界を「楽園」なのだと悟る。さらに彼は、今でもたくさんの神様が人々の心の中に生きている神秘の国・沖縄こそが「ニライカナイ」なのではないか、とも。なるほど、三好氏が撮る沖縄の海美しさの向こうには、人の力では抗えない目に見えぬ力、しかし優しく包み込むようななんともいえない不思議な力潜むのを感じる。それは確かに神々しい。
 写真集も捨てがたいが、新良幸人氏率いるアコースティック パーシャのソウフルフルな島唄と三弦に載せて「楽園」が綴られていくDVDを勧めさせていただいた。





 せっかくのボート遊びの日、天気が良いのに越したことはないけれど、海に親しんでいると雨の日でさえボートが楽しくなってくるもの。せっかく買ったオイルスキン(合羽)も時には出番を与えてあげなくては。
 さて、雨の日にデッキの上で風を受けるとどうしても気になるのが合羽のフードである。風にあおられ脱げてしまうので、オープンボートでは走っている間はいつも片手でフードを押さえてなければならないし、釣りをしていても鬱陶しい。そこでボートフィッシャーマンがよく使うのが「キャップ」と「洗濯ばさみ」である。
 つば付きの帽子、いわゆるキャップをかぶり、フードをかぶるフードのつばの部分とその下に被った帽子のつばとを洗濯ばさみでしっかり挟むのだ。これで走っている間でも多少風が吹いてもフードも脱げないし、帽子のつばもしっかり機能する。眼鏡をかけている人にもおすすめだ。「洗濯ばさみでは格好悪い」と言う声はある意味、正しい。事務用のダブルクリップなど、納得のいく物を探せばよい。



ボートの展示試乗会を全国各地で開催中
03モデルの人気モデル、話題のモデルをみて、さわるチャンスです。お気軽にお越しください。
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新免許制度がスタート!
6月1日よりボート免許の制度が変わります。24m未満なら20トン以上でもOK! マリンジェットは専用免許に。
世界初のインバーターエアコン新発売
ヤマハの関連会社ワイズギアでは夏に備えて快適なキャビンライフに欠かせない「インバーターエアコン」を新発売。


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