イラスト・高橋唯美
感動の海 非日常か日常か。東京湾のボート&フィッシング
キャビンの棚 気持ちよくなりたかったらロッドを抱えて楽園へ
「Fly Fishing high! 楽園釣り紀行」
船厨 牡蠣養殖家の誇りを頂戴する
「牡蠣のガーリックバター焼き」
海の博物誌 渦を生む時速19kmの水の流れ
YAMAHA NEWS 「カジキ釣り講座」を公開)/ボートショースペシャルサイトがオープン/新製品情報「BAYSPORTS 21」登場/「マリーナ百景」 今回は、葉山マリーナー/「大漁ネット」更新
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 よく晴れた風のない真冬の海が好きだ。船足を止めれば、海の上はぽかぽかと汗ばむほど暖かい。ボートを走らせると、冷たい風が顔をたたきつける。これがまた気持ちいい。ボーティングが夏のものだけだと思っている方には、ぜひお勧めしたい。
 そんな一日を選び、シーバスとの出会いを求めて真冬の東京湾を徘徊した。この時期、確かにシーバスはオフシーズンではあるが、まあ、海に出るだけでも気持ちが良いし「釣れればもうけもの」ぐらいの気持ちで、ボートにタックルを積み込み、桟橋から舫いを解く。


 ご存知のように『シーバス』とは釣り人による呼称で、地域によってその呼び方は変わるものの、スズキ、セイゴ、フッコの総称と考えて良い。そのことを考えれば、決して釣りそのものが新しいというわけでないし、特に東京では古くから江戸前の伝統的な釣魚として親しまれてきた。
 全国的に見てもスズキの釣り方は多彩で、オカッパリでは、朝バネ釣り、エビ撒き釣り、ウキ釣り、フカセ釣り、そしてノマセ釣り。オフショアでは手たぐり釣り、脈釣り、流し釣り、一本釣り、などがある。
 いずれの釣りも、釣り人が知恵を絞って編み出した、とても魅力的なスポーツフィッシングであるが、この日は、ルアーでの釣りにこだわった。ルアー釣りの人気の秘密は手軽だからと良くいわれるが、私はボートでシーバスを狙うなら、餌よりもルアーに分があると考えている。ストラクチャー(障害物)についているシーバスを確実に誘い出す手段として、また大物を狙う上で、餌釣りよりも確率が高いはずだ。ほぼ一つの仕掛けで、ルアーを付け替えさえすれば表層から深層まで幅広いレンジを探ることができる。また、手返しよく何度でもキャストする事でヒット率を上げることができる、などがその理由だ。


 運河をゆっくりと走り、いくつもの橋をくぐり、海へと出る。このときのわくわく感がたまらない。鱸がルアーをくわえ込み、身を翻したその瞬間、ラインを通してに手元に伝わるあの感触。それから始まるファイトがまた痺れる。五感で、全身で楽しむ、まさにルアーフィッシング、スポーツフィッシングの魅力がシーバスには凝縮されていると言っていいだろう。そんなことを期待するだけでも充分その日の目的は達成されるのだ。
 「大都会の、すぐ側の海でこれだけ素晴らしい釣りを楽しめる場所は世界にそういくつもない」と、いつだったか、プロアングラーのヒロ内藤氏が東京湾を絶賛していた。シーバスだけではない。タコやメバル、穴子、イカ釣りなど、ゲームフィッシュは多様だ。釣りだけでない。春の花見シーズン、潮干狩り、花火見物などなど。ファミリーボーティングにも魅力はつきない。
 日本の首都の海も、世界に誇ることのできるマリンフィールドである。ボート先進国の海を巡ったり、国内でも地方の美しい海をみているとついつい羨ましく思ってしまうが、地元の海を見つめ直せば、まだまだ遊び足りないことに気づくものだ。
 さて、肝心の釣果、、、。豪快なファイトとはいかなかったものの、かわいいセイゴ君に何とか出会えて、満足ゆく東京湾の一日を締めくくった。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れたの大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、某プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



 ロッドとカメラを抱え、世界60カ国以上を旅してきた残間正之氏。氏の行動力、釣りに対する情熱に触れるたび、「これはかなわない」と舌を巻く。
 僅かな時間ながら共に過ごした時に耳にした残間さんの言葉から、また「だからロッドを抱えて旅に出る」という著書を通して、「好奇心」という言葉では片づけられない「何か」を感じていた。不思議な「人間力」。それは何なのだろうと、この「 Fly Fishing High !」をめくりながら考えていたら、次の一節に目がとまった。
 「この一瞬のために人生を投げ出せないようなら、アングラーなんて辞めた方がいい」
 アマゾンで出会った幻の魚「ピラルクー」を抱えながら映っている写真に添えられたキャプション(説明文)だった。そうか、残間さんはこの釣りのために人生を投げ出していたのか。いや、投げ出す、というのは適切ではないのかもしれない。釣りそのものが残間さんの人生なのだろう。
 そういえば、いつか、フライフィッシングの手ほどきを受けるために里川につれていってもらったとき、残間さんはアロハシャツに短パン、ビーチサンダルという出で立ちでやってきたことを思い出す。フライフィッシングがいかに残間さんにとって身近なものであるか、今にして思えば納得。残間さんにとってフライフィッシングはカジュアル・ライフ、「暮らし」そのものだったのか。
「Fly Fishing high! 楽園釣り紀行」

 著者/残間正之
 発行/舵社
 定価/1,890円(税込)
フライフィッシングに魅せられた男が、世界の辺境で出合った大物、希少種、そして人、文化、自然との交歓を、表現力豊かな写真と文章で綴る。地球上に残された最後の楽園の姿を描写するとともに、自然を破壊し続けてきた身勝手な人間の行いに警鐘を鳴らす。



「牡蠣のガーリックバター焼き」

●材料
殻付き牡蠣3~4個、バター50g 、白ワイン30cc 、ニンニク1カケ、イタリアンパセリ、赤唐辛子1本
●作り方
1)小鍋にバターを溶かし、みじん切りにしたニンニクを入れ香りがたつまで炒める。
2)1にイタリアンパセリのみじん切り大さじ1と赤唐辛子のみじん切り(量は好みで加減する)を加え、白ワインを入れ沸騰させる。
3)殻をよく洗った牡蠣の殻を開け、2のガーリックバターソース大さじ1入れて、炭火かバーベQグリルなどで焼く。4~5分で、グツグツと牡蠣に火が通れば出来上がり。
 宮城県牡鹿半島の牡蠣の産地の話。
 牡蠣養殖は、7月からその本格的な作業が始まる。最初に行うのは牡蠣種を付着させるための原盤造り。これには面白いことにホタテの貝殻を使う。
 8月から9月は種をその原盤に付着させる。この時期は漁協の青年部が当番制で1日に二回、海水を採取し、顕微鏡で牡蠣の稚貝の繁殖状況を調べ、最も良い時期に原盤を引きずりながら海に船を走らせる。原盤に付着した牡蠣は、その後、漁師さんに育てられ、二年後、出荷されるのである。
 「これに失敗すると二年後に困るから大変だ。急に風向きが変わって稚貝が流されて原盤に付着しないなんてこともあるんだ」と、牡蠣養殖家のKさん。この時期は浜のみんなが緊張するのだそうだ。
 最も忙しくなるのは9月から翌年3月まで。牡蠣の本格的シーズンだ。Kさんは早朝に船を出し、2時間ほどかけて牡蠣をあげた後、自宅で一服。その後、朝の7時から夕方の4時まで、共同の作業小屋で、一家総出で牡蠣剥きの作業を行う。
 「自分の頭に描いている牡蠣というのがあって、それと同じ品物ができあがったときほど嬉しいことはない。けれども100%満足することはないねえ。だからあれこれと工夫しながら、最後の最後まで手をかける。そこがこの仕事の面白さだな」と、Kさんは目を細めて言っていた。
 さて、牡蠣のシーズンもあと僅かだ。まだ試していない方は、ぜひ、今年の出来映えを堪能して欲しい。



 カナダのブリティッシュコロンビア、キャンベルリバーは、北米大陸とバンクーバー島、またその他のいくつかの島からなる複雑な海峡だ。ここでは凄まじい潮流がひとつの名物になっていて、場所によっては、まるで河川の激流のような様相を見せる。風景も川のような場所なので、海にいることを忘れさせてしまう。
 さて、海流が風や海水の密度差などで生じるのに対し、潮流は潮汐(干満に)よって生じる。それに流れ方はというと海流は一定の方向にだけ流れるのに対して、潮流は潮汐とともに約6時間ごとに反対の方向に流れる。
 日本沿岸で最も早い潮流は、鳴門海峡の上げ潮で10.6ノット(下げ潮は9.3ノット)。2番目は来島海峡の上げ潮9.7ノット(同8.9ノット)、以下関門海峡の下げ潮8.5ノット、明石海峡の上げ潮7.1ノット、大畠瀬戸の上げ潮6.9ノットと続く。1ノットは毎時1852mのことだから、鳴門海峡の上げ潮は19.63km/時、同下げ潮は17.22km/時である。
 潮の強さで知られる黒潮が、最も速くなる潮岬沖でも2.5~4ノット、時速4.63~7.4km。動力を持たないダイバーや漂流者が、なすすべもなく運ばれてしまうこの海流と比べても、瀬戸内海の潮流の速さはケタはずれである。




「カジキ釣り講座」を公開
ヤマハのウェブサイトにてルアーでカジキを釣るために基礎を連載する「カジキ釣り講座」を開設しました。ぜひご訪問ください。

ボートショースペシャルサイトがオープン
2月10日に千葉市の幕張メッセで開幕する「第44回東京国際ボートショー」。そのスペシャルサイトを公開しました。ボートショー・ヤマハブースの見どころをチェック。

新製品情報「BAYSPORTS 21」登場
最高レベルの不沈性「Super Float(スパーフロート)」を実現したフィッシングボートが登場。

「マリーナ百景」 今回は、葉山マリーナー
日本のヨット発祥の地。湘南エリアを代表するマリーナを紹介します。

「大漁ネット」更新
北海道サロマ湖の牡蠣養殖漁をご紹介しています。


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【編集航記】
不況が長引き、残念ながらここ数年、マリン業界は元気がない。毎年行われているボートショーも出展者数は減り、それと比例するように展示されるボートの総数も減ってきた。だが、それでも、やはりボートショーは楽しい。私事だが今年のボートショー、「一人でも多くの人に海の素晴らしさを知って欲しい」「ショーに来て頂いた人たちに楽しんで帰ってほしい」と本気で願い、様々な制約を受けながらも取り組んでいる人々が身近にいる。少しでもそんな裏方の思いが伝わり、変化を感じていただければ、と思う。第44回東京国際ボートショーは2月10日から始まる。(編集部)

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