ソルティライフ ソルティライフ
ソルティライフ ソルティライフ
イラスト・高橋唯美
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
感動の海 海に魅せられた人々。
キャビンの棚 緻密な取材で描いた凶暴な海の叙情詩「パーフェクトストーム」
船厨 トマトソースを常備して「メバルのオーブン焼き」
海の博物誌 対象魚やスタイルによって釣り道具も進歩、細分化
YAMAHA NEWS マリンクラブ「YAMAHA Marine Club Sea-Style」誕生/2006名古屋ボートショーのご案内/ニューモデル「UF-30S/D」新発売/ニューモデル「24シエスタFV」新発売/カジキ釣り講座更新
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感動の海
 ボルネオ島の沖、セレベス海に浮かぶマブールという小さな島で、一人の日本人女性に出会った。すぐ近くには、シパダンという入島制限された島があり、その周囲は世界でも有数のダイビングスポットとして知られている。彼女は、学生時代からあちこちの海でダイビングを楽しんできたが、「いつかどこか、海外の海で働きたい」と夢見ていたそうだ。
 島には、本当に何もない。もっとも近い「町」であるボルネオのセンポルナにしても決して大きな町ではない。ブティックやレストラン、カフェやクラブなど、同じ年頃の女性が夢中になりそうなものは皆無である。だが、彼女はここでの生活を、とりあえず今は、それこそが最高の生き方であると信じて選び取った。そして海や生き物を心から愛し、一人でも多くの人々にそのすばらしさを伝えたいと、汗を流して働いている。


 厳しい冬が過ぎ去り夏が近づくと、その静かな海は、世界中から、サーモン・フィッシングがお目当てのリゾート客を迎える。北米大陸とバンクーバー島、そして無数の小さな島々によって形成されたフィヨルドの海峡は、絶好のフィッシングポイントとなっている。そんな秘境の海を抱える小さな町、キャンベル・リバーで日本人のフィッシングガイドに出会った。
 彼は学生時代、素敵な釣りがしたいからと北海道に住んだ。そして、たまたま、住んでいた町の国際交流イベントのためにやってきたキャンベル・リバーのクアドラ島にリゾートを持つ紳士と知り合ったことを機に、釣りのためにクアドラ島に移り住んだ。
 「エンジンと釣り道具、フィッシングガイドは“日本製”がベストなんだ」というのが、彼のセールストークだ。独特のフィッシングメソッド、タックルへの拘り。「ようするに釣りオタクなんだよ、あいつは。でもガイドの腕は確かにいいんだ。地元の漁師出身のガイドもそれは認めてるよ」。日本からやってきた彼の顧客である男が自分の息子の自慢でもするように語っていたことを思い出す。


 オーストラリアのブリスベンに自宅兼事務所を構え、フィッシングツアーのコーディネートを生業とする男性がいる。彼は日本人であったが、オーストラリアの国籍を取得した。もともとは、大手電気会社のエンジニアとしてシドニーに赴任していたのだが、元々釣り好きだった彼は、素晴らしい海や川を目の前にして、釣り以外のことが考えられなくなり、会社を辞めてしまった。釣り好きの男をオーストラリアのような所へ派遣した会社の大きなミスだった。
 石を投げるだけでフィッシュイーターが群がる湿地帯、大海原で格闘したグランダー、バンディラムを仲間とやりながら大騒ぎしたフィッシングキャンプ、パース沖の豪快なイソマグロのジギング。ここには世界のどこにも負けない釣り場があると力説する。オーストラリアの釣りの話をするときの彼の目は、よくある喩えだが“少年のよう“になる。


 世界の海に暮らしの場を求め、実現している同邦の人々がいる。「羨ましい」と簡単に言えるほど、いいことばかりではないだろうが、それにしても彼らの実行力には舌を巻く。そして何よりもかなわないと思うのは、彼らの、海や自然、好きなことへの「愛」だ。

田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れたの大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、某プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
 この冬、関東近海が荒れに荒れた日が幾日かあった。冷たい強風が唸りを上げ、波頭をたたき壊す。海を眺めていたら、さらに凄まじい映像が頭をよぎった。あの海に比べれば、と思う。2000年に実話を元に制作された映画・パーフェクトストーム。
 ご紹介する本書は映画の原作となったルポルタージュで、日本では1999年に刊行された。
 著者であるノンフィクション・ライターのセバスチャン・ユンガーはその前書きの中で「出来るだけ事実を尊重することにした」と記しているが、その通り、取材の過程で知り得た細かな事実の積み重ねは、映画以上の真実味を持って、読む者に迫ってくる。メカジキ漁船〈アンドレア・ゲイル〉号が6人の乗組員とともに沈没する場面を始め、同じ海域にいた日本籍の漁船やセーリングクルーザーの様子、沿岸警備隊や空軍州兵の救助活動の描写が続く後半部分は、こうしたディテール取材が生かされ、十二分な迫力を伴うのである。
 映画をご覧になった方も多いことだろう。あの映像を観る前この本を読んでおきたかったと、少し残念に思うのも事実だが、あの映像を見た後で読んだからこその味わいも、確かにあると感じた。
 それにしても、不謹慎を承知で書けば、このような凶暴な海にさえも、魅力や優しさを見いだしてしまうから不思議だ。もちろん暖かな部屋で読んでいるからなのだろうが。
「パーフェクトストーム」

著/セバスチャン・ユンガー
訳/佐宗鈴夫
発行/集英社文庫
定価/700円(税込)



船厨
「メバルのオーブン焼き」

●材料
メバル2尾、玉葱1コ、マッシュルーム5コ、カリフラワー1/4株、プチトマト8コ、トマトソース1缶(市販のものでもOK)、オリーブオイル適量、パセリ

●作り方
1)メバルははらわたを取り、洗っておく
2)オーブン用耐熱皿にオリーブオイルを敷き、薄切りにした玉葱を敷き詰める
3)2)にメバルを置き、そのまわりに半分に切ったマッシュルーム、カリフラワー、プチトマトを並べる
4)3)にトマトソースをかけて180゜のオーブンで30分ほど焼く。仕上げにパセリのみじん切りをふりかける
 人気作家、パトリシア・コーンウェルのミステリー、検死官シリーズの主人公といえば、ケイ・スカーペッタ。ミステリーとしてのおもしろさや彼女を取り巻く人間関係の動きに、新作が出る度に引き込まれるが、実は密かに、イタリア系アメリカ人である彼女が作る、料理のファンが多い。アメリカでは、検死官シリーズに登場する料理のレシピ集が発刊されているのだとか。トリノからのスポーツ中継を眺めながら、ケイのように手際よく、かっこよく、イタリア料理が作りたいと思っていたら、そのためにはトマトソースの常備が欠かせないことに気づいた。
 さあ、実践。割と簡単だ。用意するのはトマトのホール缶詰4個、タマネギ大3個みじん切り、セロリ1本みじん切り、ニンジン1/2本みじん切り、ニンニク4個みじん切り、月桂樹1枚。鍋にオリーブオイルを多めに敷き、ニンニクを炒め、香りが出たらばタマネギ、セロリ、ニンジンを炒める。焦げないように、しんなりと。白ワインを少々、そしてトマト缶を入れて煮込む。30分ぐらいしたら塩とこしょうで味付けするが、ソースを料理に使うときに塩加減は調整すればいい。
 この自家製トマトソースに料理された最初の名誉ある魚介はメバルだ。以前にもこのコーナーで「春告げ魚」として紹介したことがある。その姿にそぐわない(失礼)、なんとロマンチックな呼び名だろう。
 しばらく我が船厨では、このソースを使ったイアタリア料理&ワインの日々が続きそうだ。



海の博物誌
 釣り竿という言葉をなかなか耳にしなくなってしまった。多くの人は釣り竿のことをロッドという。釣り竿の素材として主流であったグラスファイバーは、終戦後になって登場。釣りの大衆化、人口の増加に伴って大量生産の時代に突入し、今では釣り竿といえばカーボンファイバーが主流となっている。
 また対象魚や釣り方によっても釣竿はその長さ、調子、弾力、さらに機構等によって細分化され、ボートフィッシング用の釣竿を見てもその種類は様々である。また、こうした事情は釣竿に限らず、針や釣り糸、リールなど、その性能の進歩はもちろん、やはり細分化が進んでいる。
 西洋では昔、材木で作った長くて太い釣竿が使われていたが、これが格段の進歩を遂げたのは18世紀、熱帯アメリカ産の弾力のある木を張り合わせたものや竹製のものが現われだした頃かららしい。日本では竹製のものが古くから使われてきた。釣り人気が隆盛を極めた文化文政から天保の時代にかけて(19世紀前半)は、茶道や華道と同様、釣り道具にも名譜や流派が生まれている。いわゆる竿師と呼ばれる職人はこの時代に生まれ、竹製の継ぎ竿もこの頃に登場している。こうした手作りの釣竿は知る人ぞ知る世界では今も名品として人気がある。ロッドもいいが釣り竿もいい。



ヤマハニュース

マリンクラブ「YAMAHA Marine Club Sea-Style」誕生
3月6日より入会募集開始!全国のホームマリーナが遊びの拠点です。

2006名古屋ボートショーのご案内
3月11日(土)12日(日)、ポートメッセなごやにおいて開催されます。
ヤマハブースではニューモデルの展示や新しいマリンクラブ「SEA-STYLE」のご案内も。ぜひヤマハブースへお越しください。

ニューモデル「UF-30S/D」新発売
居住性、釣り性能、走行性能に優れたディーゼル・フィッシングボートが登場。

ニューモデル「24シエスタFV」新発売
広く明るいキャビンの24シエスタにフィッシングバージョンが新登場。
4ストローク150馬力の信頼のパワーにベストマッチした、24フィート船体構造は、海原を快適に、軽快に走破します。

カジキ釣り講座更新
カジキ釣りの基本的なノウハウを連載中。2006年イベントスケジュールを公開しました。


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【編集航記】
冬の海の澄み切った空。冬型の気圧配置ですが、風はそれほどでもありません。日が差してロッドを振り続けていると少し汗ばむほど。スロットルをあげると、顔に冷たい風が突き刺しますが、それがかえって気持ちよい。好きです。冬のこんな一日が。釣果は前日まで続いた極寒故しぶく、中の上のシーバス一本。でも幸せでした。さて、本題。忘れてしまいました、ボート免許を。3日前に更新講習を受けて、ウォレットから取り出してあったことをすっかり忘れていたのです。マリーナから家に取りに戻り、ロスすること2時間。いやあ、話のネタを作るのも大変です。(編集部・ま)

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