ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・高橋唯美
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
MONTHLY COLUMN 釣った魚の大きさについて
キャビンの棚 クルージング前夜に心を清めたい「海上の凪と成功した航海」
船厨 いにしえの海賊や漁師の船上料理「ひゅうがめし」
海の博物誌 もしも、月に海があったなら
YAMAHA NEWS ネットTV「Captain’s World TV 」の新シリーズ/「YAMAHA Marine Club Sea-Style」申し込み受付中/「YAMAHA31SF」が新発売/「マリーナ百景」更新/「横浜国際マリンエンターテイメントショー '06」
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MONTHLY COLUMN
 「釣り人と話をするときは相手の両手を縛っておけ」とは開高健氏の著作の中で知った諺だが、事実、釣り人は釣った魚の大きさには嘘をついてまでこだわる傾向がある。が、そのくせ小さい魚に興味がないかというと、そうでもない。人間でいえば、少女のようなかわいい魚をしっかりと海からかっさらい、クーラーボックスにしまい込んで家に持って帰ったりする人がいる。

 ちゃきちゃきの浪速っこで、大の釣り好き、大阪湾でチャーターボート&フィッシングガイド業を営む藤原きよみさんから先日、メールで『“小さな魚はリリースしましょう”スケール』のデザイン見本を送っていただいた。
 今年のボートショーの会場でお話を聞いていたのだが、要するに、自分のボートに乗ったお客さんに、キャッチ制限を課そうというもの。たとえばロックフィッシュ(根魚)用のスケールでは、「25cmあれば美味しくいただけます」「35cmは大きいですね」「45cmはキングサイズ」という表示があり、釣り上げた魚にこのスケールを当てることで、魚の大きさの相対的な大きさがわかる。そして「18cm以下はリリース」ということになる。
 巷ではお客さんの釣った魚を買い取って漁協に売るチャーター船もあると聞いたが、お客さんに対して釣った魚をリリースせよと言うのはなかなか難しいと思う。ところが、藤原さんはそうは思っていないらしい。「魚は限りある資源だし、いつまでも楽しい釣りがしたいから」という、至極単純な発想なのだ。
 以前、オーストラリアのクイーンズ・ランドでキス釣りを楽しんだことがある。そのときのボート・オーナー兼ガイド氏は「ここでは25cm以下のキスはリリースだ」と宣うた。日本なら天麩羅サイズが次々と釣れるのだが25cm以上というのはなかなか釣れない。結局、その日の夕食に予定していた食材を確保するにはいたらず、帰りにスーパーで牛肉の塊を買って帰った思い出がある。しかし、それでもそのときの釣りは、自分の中で忘れられない釣行の一つに数えられている。
 こうしたキャッチ制限は日本の海にもあるのだがご存じだろうか。たとえば神奈川県の場合、地区ごとに協議会があり「遊漁に関する申し合わせ事項」として規則を定めている。それによると県下の海域では20cm以下のマダイはすべて再放流しなければならない。

 海は誰のモノでもない、という御説はもっともだが、水産資源はそうはいかない。多くの漁業者は、自分たちで稚魚や稚貝を放流し、生活の糧として、魚、貝、海藻類を大切に守り「育てている」のだ。そのベースには自らの「乱獲による漁業資源の枯渇」という苦い体験がある。ボートフィッシングを楽しむ釣り人もそろそろ学ぶべきなのかもしれない。
 筆者も釣り好きだが、決して「キャッチ&リリース派」ではない。牛や豚の生肉を見ても涎を垂らすほど、生まれながらの食いしん坊(意地汚い)だから、美味そうな魚をみすみす海に逃がす人に共感するには時間がかかる。それでも、食しても美味くもない小さな魚、ご近所に配らないと裁けない量の魚は持ち帰るまいと、心に決めている。少なくとも決められたルールだけは守りたいものである。

田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れたの大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、某プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
 航海が成功するか否かはその前夜にある。母なる海に快く抱かれたいと願うなら、斎戒沐浴とまではいかないまでも、どうか清らかな夜を過ごしていただきたい。ただでさえうつろいやすいこの季節の空模様をさわやかな一日にするために、ゲーテの詩に寄せた「海上の凪と成功した航海」を聞けばこのうえなし。メンデルスゾーンもこの詩を演奏会用序曲として管弦楽化したが、ベートーヴェンはカンタータとして作曲している。

第一部「海上の凪」では

  「深き静寂 水を制し
  動めきもなく 海は休む」


とうたい、船を出帆させようとした船長の不安や波一つ立たない凪の海の様子が描かれる。
第二部「成功した航海」では

  「霧は晴れ
  空は明るく輝いて
  そしてエオルスおずおずと
  風の袋の紐をとく」


と不安が消え去り、喜びの航海が始まる。
 風が吹き、船が滑り出し、波を割りながら遠くに見える陸地に近づいていく様子が、音楽の昂揚で表現されていく。
 クラウディオ・アバドのウィーンフィルハーモニー管弦楽団によるベートーベン交響曲「田園」にカップリングされた、魅力的なディスクとなっている。
ベートーヴェン交響曲第6番『田園』
合唱幻想曲、カンタータ『海上の凪と成功した航海』

マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)
クラウディオ・アバド指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ユニバーサルミュージック
定価:1,600円(税込)



船厨
 愛媛県の沖合、宇和海・備後水道の真ん中に日振島(ひぶりじま)という島がある。面積は3.25平方キロメートルという小さな島だが、グレ(メジナ)やヒラメの絶好の釣り場として、太公望にとってはまことに魅力的な島だ。
 中世には伊予水軍のルーツとも言える藤原純友がその一党1000隻の船を擁し、この島を本拠地とした。
 ここでには「鯛めし」とも呼ばれる郷土料理がある。別名を「ひゅうが飯」といい、松山や宇和島などではその名の方がむしろ有名かもしれない。「ひぶりじま」が訛って「ひゅうが」といわれるようになったとか、九州の日向(ひゅうが)から伝わった料理なのだとか、いくつかの説がある。前者の方が有力のようだが、「ひぶりじま」が、どうして訛ると「ひゅうが」になるのか、今ひとつ無理があると思わないでもない。
 さて、料理は鯛の切り身を醤油ベースのたれに生卵と漬け、それを温かいご飯にかけるというご飯モノ。作り方はシンプル、それでいてとても美味い。一見、豪快な漁師料理に見えなくもないが、味はまことに繊細で上品である。いにしえの海賊や漁師たちは沖でこんなにうまいモンを食べていたのか。
 鯛の代わりにアジなど他の魚を使うレシピもある。今回は旬のカツオを使用。ミカンの香りが決め手になる。
「ひゅうがめし」の作り方
●材料(5~6人分)
米4カップ、鰹の刺身・大きめのもの1さく、いりごま大さじ2、卵2コ、甘夏の皮1/4コぶん(みかん、夏みかん等で代用OK)、万能ねぎ8本、塩小さじ1、酒大さじ1と1/2、みりん大さじ2、醤油大さじ4

●作り方
1)米を研いで普通の水加減で30分程おいて炊く
2)鰹の刺身はキッチンペーパーに包み1時間程おき水気を取る
3)2を薄切りにして調味料1に20分程漬け込む
4)甘夏の皮はよく洗い水気を拭き取り白い部分を包丁で薄くそぎ取りみじん切りにする
5)万能ねぎは小口切りにする
6)4と5の半量づつを3に加える。さらに卵を溶いて加え混ぜ合わせて10分程おく
7)ご飯が炊き上がったら熱いうちに6の具をタレごと加え全体によく混ぜ、ふたをして5分蒸らす
8)器に盛り付けたら残りの甘夏の皮と万能ねぎといりごまをお好みでちらす



海の博物誌
 ウサギが餅つきをしているとか、かぐや姫は月の住人だったなど、レンジャー7号が写真を撮るまでは、月はロマンチックなものだった。だから、昔は科学者、たとえば近代科学の基礎を作ったニュートンも、いろいろと想像して楽しんだことだろう。
 ニュートンは、地球の潮汐は月と太陽との引力が原因であることを解明した。もし、月に海があるならば、月面でも潮汐は起きるか。彼の答えは「Yes」。地球の引力が月の重力を変え、潮汐を起こすはずである。
 ただし、月はいつでも地球に同じ面を見せている。つまり、自転周期と公転周期が一致しているので、潮汐に変化が起こらない。海があったとしても、満潮のところはずっと満潮であり、干潮の所は永遠に干潮のままなのである。



ヤマハニュース

ネットTV「Captain’s World TV 」の新シリーズ
マリンレジャーやマリン文化をテーマに最新の映像でレポートするネットTVに新シリーズ登場。インドのハウスボート、セイシェルのマリンライフの映像をお楽しみいただけます。

「YAMAHA Marine Club Sea-Style」申し込み受付中
レンタルボートクラブが新しく生まれ変わって4月から稼働中。オンラインによる入会申し込みも可能です。

「YAMAHA31SF」が新発売
外洋で頼もしいインボード2基掛け仕様、ウォークアラウンドデッキタイプのオフショアクルーザーです。

「マリーナ百景」更新
千葉県木更津のセントラル木更津マリーナを訪問。

「横浜国際マリンエンターテイメントショー '06」
5月19日から21日にかけて開催される「フローティングボートショー」及び「体験型マリンレジャーフィールド」のイベントが開催されます。ヤマハも出展します。


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【編集航記】
4月の18日から20日までの3日間、新西宮ヨットハーバーで「関西国際フローティングボートショー」が開催されました。これまでインテックス大阪で行われていたボートショーに代わって開催されたものですが、フローティングがよいか屋内がよいか、ボートショーを楽しみにしているマリンファンとしては意見の分かれるところでしょう。今回思わされたフローティングのメリットは大型艇が比較的楽に展示できる点ではないかということ。ヤマハブースでは、セミカスタム「YAMAHA 530 CONVERTIBLE」がひときわ存在感を放っていました。それにしても素晴らしいボート(手前みそ)です。近々、マリン専門誌でも取り上げられるでしょうから、見逃した方はお楽しみに。(編集部・ま)

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