ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・高橋唯美
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
MONTHLY COLUMN アジアの水辺に暮らす人々と文化を誇る
キャビンの棚 幻の大魚を追い求めた旅の記録 「オーパ!の遺産」
船厨 意外な相性「カジキのチリビーンズ」
海の博物誌 海の中のオアシス「藻場」
YAMAHA NEWS 「YAMAHA Marine Club Sea-Style」申し込み受付中/「マリーナ百景」更新
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MONTHLY COLUMN
 このところ、アジアの国々を訪れる機会に恵まれ、あらゆる面で目を見開かされている。

 マレーシアとインドネシアとで領有されたボルネオ、またはカリマンタンと呼ばれる島がある。その二ヶ国の存在感が大きいので島の北岸にブルネイ・ダルサラーム国という小さな国が存在していることをついつい忘れがちだ。が、この国の人々の暮らし方が、すばらしい。アジアの中でも特筆すべき豊富な天然資源に恵まれ、財政的にとても豊かなことで知られている。

 首都、バンダルスリブガワンをゆったりと流れる広大なブルネイ川には「カンポンアイール」という魅惑の水上都市が広がっている。水の上に高床式の住居を造り、暮らす人々の数は、国民の1割にあたるおよそ3万人。住居はもとより、生活に必要な様々な施設が水の上にある。当然、人々の暮らしにボートは不可欠だ。

 子供たちは朝、それぞれ自分の住居にもっとも近い船着きからボートに乗る。行き先の学校は、もちろん水の上に建てられている。買い物に出かけるご婦人方も、ボートで出かける。イスラムの人々にとって大切なモスクも、水の上。消防車やパトカー、救急車も、車ではなくボートにとってかわる。それぞれの集落や、“本土”のいたるところには生活に支障のない低価格で利用できるタクシーボートが待機していて、人々はほとんど待つことなく、それらのボートに乗ることができる。

 我々がボートに乗ることは非日常の、特別な体験だが、アンポンカイールの人々にとってボートに乗ることは、我々が玄関先で靴を履くのと同じような感覚なのだ。

 ただし、火災など災害時には、深刻な事態が予想される。近代化を進めたい政府は、この3万人の水上生活者に対して陸への移住を呼びかけていると聞いた。しかし、事はそう簡単に運ばない。

 水の上に暮らすことは長年にわたって代々受け継がれてきた素晴らしきライフスタイルだし、なによりも誇り高き文化そのものである。

 それに我々がモルディブやタヒチで水上コテージを重宝することを冷静になって考えると、その感覚は容易に理解できる。なんといったって、水の上に暮らすことは気持ちがいいのだ。ベニスにだって劣ることのない、美しい東洋の光景だと思う。

田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れたの大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、某プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
 アマゾン流域にピラルクーという魚が棲息している。世界最大の有鱗淡水魚ともいわれ、体長は大きなもので3メートルを超す。さらにこれまでに5メートルを超す個体も発見されたと、まことしやかに伝えられている。これまでに多くの男たちがこの「幻の大魚」に魅せられ、挑んできたが、アマゾンのなせる自然にもてあそばれるがごとく、敗北してきた。故・開高健もこの「幻の大魚」に魅せられた男の一人である。
 本書の著者・柴田哲孝、また写真家・残間正之も、そんな男たちだった。釣りを愛する者として、文豪が書いた「オーパ!」を枕に夜を過ごし、この「幻の大魚」との出会いを夢見続けてきた。
 興味のない人にとってはただの魚釣り。しかし、この魚釣りは、「夢」の一言では片付けられないほど、その人生にとって意義有ることだと共感できる。

「オーパ!の遺産」
著者/柴田哲孝
写真/残間正之
発行/WAVE出版
定価/1600円(税込)



船厨
 カジキ釣りのシーズンがやってきた。日本近海では太平洋を中心にマカジキ、メカジキ、クロカワカジキ、シロカワカジキ、バショウイカジキ、フウライカジキなどが釣れ、スポーツアングラーを多いに楽しませてくれる。トーナメントなどでもっともよくあがるのは、クロカワカジキ。しかし、味のほうはというと、今ひとつ人気がない。
 カジキの中でもっとも美味とされるのはマカジキで、これは料亭などで使われる最高級品。逆に一般家庭の食卓で人気なのがメカジキだ。安価な割に味もしっかりしていて、白身としてすしのネタになったり、焼きものになったりする。
 カジキを「カジキマグロ」という人がいるが、これは間違いだ。カジキはあくまでもカジキなんである。従って味も違う。マグロと違って頭としっぽが筋っぽい。またマグロは群泳するが、カジキはたいてい群れをなさず孤独に泳いでいる。
 さて、そんなカジキの切り身を、牛肉の代わりにチリビーンズのネタに使ってみた。これが意外にいけるのだ。これを食べていたらメキシコのカボサンルーカスの豊穣な海を思い出してしまった。
カジキのチリビーンズ
●材料(4人分)
メカジキ350g 、たまねぎ1コ、パプリカ1/2コ、ニンニク2片、トマト水煮缶(カットトマト)1缶、キドニービーンズ1缶、チリパウダー大さじ1、オールスパイス小さじ1/2、チリペッパー適宜、塩小さじ1/2、砂糖小さじ1/2、コショウ少々、白ワイン50cc、水200cc、コンソメ1コ、オリーブオイル適宜、小麦粉適宜

●作り方
1)カジキは2cm角切りにし塩コショウ、白ワイン(分量外)を少々ふっておく。たまねぎ、ニンニクはみじん切り、パプリカは粗みじん切りにする
2)プレヒートした鍋にオリーブオイルを入れ、1)のかじきに薄く小麦粉をまぶして炒め、取り出す
3)オリーブオイルを足してたまねぎ、ニンニク、パプリカを炒め、しんなりしてきたら、チリパウダー、オールスパイス、チリペッパーを加えさらに炒める
4)カットトマト、白ワインを加えひと煮立ちしたら汁を切ったキドニービーンズ入れ、水とコンソメを加えふたをして10分程弱火で煮る
5)2)のかじきを加え、砂糖、塩コショウで味を整え、さらに10分程ふたをして弱火で煮る
6)好みでさらにチリペッパーをふり入れたり、パルメザンチーズを加えると良い



海の博物誌
 多くの海草が集まるところを藻場と呼び数々の魚達の憩いのとなっていることをご存知だろうか。コケムシやタツノオトシゴ、ウミウシなどの棲家として、またアオリイカやニシンの産卵の場として藻場は海の生物の貴重なオアシスとなっている。水深20Mまでの比較的浅めの場所で、一大リゾートを構成しているのはコンブやワカメ、テングサといった馴染みのあるものから、アカモク、アマモ、などの背の高い藻場まで、形態はさまざま。
 この藻場にとっての一番の敵は「磯焼け」というもので暖流の影響で海水の温度が上昇したり、川からの泥水が流れ込むと藻場が消滅し、そこで生活する生物の姿は消えてしまう。多くの場合は水温の低下や水の浄化作用によって復元されるが、大きな問題になっているのが海の砂漠化という現象で、北海道南部の日本海側を中心に藻場はおろか海草さえもまったく育たない状態が続いた。この原因は、落葉広葉樹が作り出すフルボ酸鉄が針葉樹の人工林に変わり、藻場の繁殖に必要な鉄分が川や地下水を通じても供給されず、やがてリン酸塩やフルボ酸鉄を必要としない石灰藻だけが繁殖する結果になったと考えられている。
 現在では各地でその土地にあった植林活動が行われ、植樹以前に比べ漁獲量は250倍までに回復したといわれている。海は海、陸は陸という考えにならず生態系全体を見渡せる広い視野が必要な時代になってきたといえよう。



ヤマハニュース

「YAMAHA Marine Club Sea-Style」申し込み受付中
レンタルボートクラブが新しく生まれ変わって4月から稼働中。オンラインによる入会申し込みも可能です。

漁船や沿岸漁業の情報「大漁ネット」更新
「小型漁船質問箱」を更新。船の舵効きと軽さについて。

カジキ釣り講座 壁紙を更新
ルアーでカジキを釣るための基本的な知識をお伝えするコーナー。壁紙 を更新しています。



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【編集航記】
久しぶりに訪れた沖縄は梅雨のまっただ中。きょう予定していた取材もキャンセルとなりました。某島のリゾートホテルの部屋の窓からは、横殴りの雨。それでもその向こうには、美しい珊瑚の海が見えます。そろそろMACを片付けて、テラスで雨見酒に泡盛のロックと行きますか。まさしく、恵みの雨。(編集部・ま)

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