ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
MONTHLY COLUMN 私たちの未来のために知ってほしい、「Didymo」のこと
キャビンの棚 夏の終わりに聴くジャズコーラスの美しさ
「A CAPELLA」THE SINGERS UNLIMITED
船厨 こだわりの塩をふんだんに使って「海老の塩焼き」
海の博物誌 怪奇な海洋小説 エドガー・アラン・ポー
YAMAHA NEWS 「YAMAHA530コンバーチブル」スペシャルサイト公開/「SC-30」スペシャルムービー公開!/フィッシングクルーザー「FR-32」デビュー!/「「マリン体験レポート」公開中!/「マリーナ百景」更新/「大漁ネット」更新
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MONTHLY COLUMN
 Didymo(ディディーモ/ディディモ)、みなさんはご存知だろうか。
 私は昨年、2度に渡り訪れたニュージーランドで知った。
 その年、私は鱒釣りにはまっていた。支笏、洞爺、十和田、田子倉、銀山、中禅寺、奥利根、芦ノ湖、etc...。状況によりルアーかフライを選び、日の出から日没まで釣りを楽しんだ。ほとんど仕事もせず、大好きな水辺で過ごしていた。
 山の端が白くなる頃にはルアーを流しはじめ、日中は船のハルにあたる水の音を聞きながら眠り、日が傾く頃には水生昆虫を観察し、フライを選び、投げた。そんな釣り三昧の日々の最後を締めくくる為に向かった先は「鱒の聖地」として名高いニュージーランドの北島にあるタウポ湖。火山の噴火口にできたカルデラ湖で、中心部の深さは160m、面積606km2と、ニュージーランドで最大の湖。100を超える大小さまざまな水系があり、タウポに集結した水は、豊かな水量を誇るフカ滝から海へと向かう。

photo by Eiji Umemura
 タウポへ注ぎ込むトンガリロ川では、バックキャストのスペースがまったく無い場所も多く、2段階ロールキャストでニンフを打ちこんだりもした。たまにニンフの直撃をくらいながら(笑)
 ここまでくると「釣る」より「打つ」「流す」ことに集中し、その行為そのものが面白くなってくるから笑える。魚影がなくてもいいのだ。
 で、本題。Didymoとはrock snot(石鼻汁)とよばれる淡水性珪藻類の一種。大きく成長するまで肉眼では見ることが出来ない小さな微生物で、たったひとつの種子があれば繁殖を開始する。この珪藻類がニュージーランド南島で大発生し、国家的な問題になっている。
 Didymoは水底に付着すれば、巨大なマット状となって湖底や川底を覆い尽くすほど莫大に増殖する侵略種で、淡水の魚、植物、水生昆虫などの生活環境を奪う恐れがあるため、1993年に危険生物法で不要生物に指定された。本来の棲息地は、北ヨーロッパ、北アメリカのそれほど広くない地域だったが、この数年、釣りやカヤックの需要に応じ、旅行客のギアに付着し、世界にその棲息地を拡大している。

 ニュージーランドでは2004年10月の調査時に南島で繁殖が確認されて以来(北島での発生は確認されていない)、深刻な問題となり、国がその調査・撲滅に乗り出した。世界でも南島のような大発生は類を見ず、今ではDidymoの世界的権威となっているようだ。
 バイオセキュリティー・ニュージーランド(ニュージーランド農林省バイオセキュリティ局)の調査では、Didymoの繁殖により、下記の悪影響が考えられると発表されている。

●美観 (景観を損ね大量のDidymoが一度に枯れると腐敗し、悪臭の原因に)
●生物 (Didymoの侵略により生息圏を追いやられ、生態系を破壊)
●リクレーション (水泳に適さず、滑りやすくなり危険)
●水道 (水の摂取口をふさぐ可能性がある)
●釣り (魚の減少、針や網にDidymoが絡む、ウエーディングが危険)
●ボート (エンジンの冷却水の摂取口につまる)
●飲料水 (浮遊物が増え、酸素量が減り、PHが変わり、味やにおいがするようになる)
(BY BIOSECURITY NEWZEALAND)

 海外からの旅行者により持ち込まれた可能性の高いDidymoだからこそ、空港での取締は非常に厳しい。バズーカ砲のようなロッドケースを抱えた私は、すぐにBIOSECURITYに呼ばれ、持参品を細かくチェックされた。公認方法で徹底した洗浄を行なうためだ。特に釣り人が持ち込むウェーディングシューズとウェーダー、移動の際に履くスニーカーやデッキシューズに至まで、「未知の生物」がついている可能のあるものについては、新品と見まごう程、ピッカピカに洗ってくれる。私はここでDidymoについて教えてもらい、その恐ろしさをはじめて知った。

 「Didymo」はもはや他国の話ではない。日本が鱒釣りの禁漁を迎えれば、海外に多くの釣り人が移動し、そして戻ってくる。
 私たちは手軽に気軽に移動できるようになった分、大きな責任を個々に課せられていると考えた方がいいのではないだろうか。せめて、日本から出る時は外に生物を持ち出さない、日本に帰る時は生物を持ち込まないためにも、「CHECK、CLEAN、DRY」を忘れずに行ないたい。
 日本書紀にも登場する魚「鮎」。彼らは水が綺麗で上質の付着藻類が育つ上流域で育つ。もしその清流に「Didymo」の種子が知らずに持ち込まれたなら…恐ろしい光景を想像してしまう。



菊地眞弓●きくち まゆみ
今は無き伝説のアウトドア雑誌「アウトドア・イクイップメント」編集員を経て、フリーライターに。趣味は旅・食・酒。魚釣りときのこ狩りに費やす時間は人生の宝。東京生まれ。



キャビンの棚
 夏が終わり、最初にセーターの袖に手を通す時の感傷的な快感。酒も透明なスピリッツから、詩人の田村隆一先生の言う“金色の”ウィスキーに変えて、いい風が吹く沖のセイルを眺めながら、シンガーズ・アンリミテッドをぼんやりと聞く。
 ジャズコーラスへの郷愁をよく考えてみたら、どうやらFENを毎日聴いていた幼児体験らしい。たとえば夕方、ミュージック・バイ・キャンドルライトという番組で、よくソフトでメロウなジャズコーラスが流れ、幼い恋心を飾ってくれたものだった。
 自分でジャズを聴くようになって、初めてフォー・フレッシュメンに接したとき、ああ、懐かしいサウンドだなと思った感情は、今も変わらない。このシンガーズ・アンリミテッドもグッド・オールド・デイズと呼ばれるスウィング時代のジャズコーラス・グループの流れをくみ、そのサウンドは僕にとっていつも懐かしい。
 1974年にリリースしたこのアルバム「ア・カペラ」は、ポピュラー曲を多く取り上げ、親しみやすい作品となっている。ビートルズのフール・オン・ザ・ヒル、ミッシェル、ヒア・ゼア・アンド・エブリホエアでは。、レノンとマッカートニーのメロディ・メーカーとしての力量に改めて感心させられる。このほか、青春の光と影、夜のロンドン、エミリー、シンス・ユー・アスクト、もう望めない、トライ・トゥ・リメンバーなど、シンガーズ・アンリミテッドのア・カペラの美しさを堪能させてくれる。(K.H)

「A CAPELLA」
THE SINGERS UNLIMITED
定価:1995円(税込)
発売:ユニバーサルミュージック



船厨
 生命の維持になくてはならない塩。古代社会では貴重品として神聖な宗教儀式に用いられたり通貨としての機能を果たしたりもしてきた。そのため、世界のあちこちで国家の財源として専売制にされたり、特別に課税されたりした。日本も例に漏れず、明治時代以降、専売されていたが、最近になってようやく専売法が廃止されると、様々な製法で造られた旨い塩が手に入るようになった。誠に喜ばしいことである。
 塩は料理の味を大きく変えてくれる。筆者のお気に入りは、アメリカの某州産の岩塩で肉料理には欠かせない調味料となっている。シーフードには一般的に海塩が合うと言われるが、異論はない。
 天然の海塩を豪快に使って海老を焼いた。車海老でも使えば文句なしの豪華な一品なのだが、比較的安価な頭付きのブラックタイガーをどっさり手に入れて焼いても、充分に旨い。繰り返すが、塩が良ければ、素材はますます引き立つ。
海老の塩焼きの作り方
●材料
ブラックタイガー(頭付きM~L)12尾、塩200g・ミントの葉ひとつかみ、ドライハーブ(オレガノ、イタリアンパセリなど好みの物)適宜
●作り方
1)ブラックタイガーは頭と殻を付けたままよく洗い、ヒゲ、背わたを取り除く
2)スキレット(厚手の蓋付きの浅い鍋でも可)に塩を入れて弱火で塩を温める
3)2に水気を拭き取ったブラックタイガーを入れて木べらで混ぜながら塩と一緒に煎るようにじっくりと弱火で焼く
4)ブラックタイガーが赤く色づいてきたら好みのドライハーブを入れ蓋をして5~6分蒸し焼きにする
5)4にミントの葉め入れ蓋をしてさらに3~4分蒸し焼きにする



海の博物誌
 「黒猫」「モルグ街の殺人」、詩集「大鴉」などで知られるポー。その唯一の長編小説「アーサー・ゴードン・ビムの物語」はいかにもポーらしい怪奇な海洋小説である。
 密航少年がたどる、海賊との戦い、漂流、幽霊船との出会い、食人、南極の蛮人といったまがまがしいストーリーは、大筋において「ロビンソン・クルーソー」と類似し、「白鯨」に影響を与えたといわれている。
 ポーは1809年にボストンで生まれた。両親は貧しい役者で、父親は家出、母親はポーが2歳の時に死ぬ。金持ちの養子になってイギリスで2年間教育を受けるが、浪費と飲酒が原因で大学を放校になり、養父とは仲たがいして家を出る。
 21歳の時ウエスト・ポイントの陸軍士官学校に進み、優秀な成績を修めるが、命令違反と怠慢でまたしても放校。やがて「瓶の中の手紙」で受賞、ローカル紙の副主筆となり、14歳のいとこと結婚。活発な文筆活動に入るが、38歳の時に妻が死ぬといよいよ破滅的な生活になり、2年後にボルチモアで亡くなった。



ヤマハニュース

プレミアムボート「YAMAHA530コンバーチブル」スペシャルサイト公開
ハイクオリティなインテリア。機能美を備えたエクステリアをご覧ください。

サロンクルーザー「SC-30」スペシャルムービー公開!
ヨーロピアンタイプのスタイリングと寛ぎのキャビンスペース。

フィッシングクルーザー「FR-32」デビュー!
釣りを極めてきたアングラーたちの熱く、深い想いに応えるフィッシングボート。

「マリン体験レポート」公開中!
ボート、マリンジェットの遊びや免許体験など様々なレポートをお届けします。

「マリーナ百景」 今回は広島県広島市のデルタマリン江波マリーナ
瀬戸内海の魅力が堪能できる24時間出港可能な陸上保管マリーナ。

漁船や沿岸漁業の情報「大漁ネット」 今回は、愛媛県宇和島の真珠毋貝養殖
日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。


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【編集航記】
夏の夜、東京湾をレストランボートでクルージングしてきました。目的地は、羽田空港の沖。シーバスのポイントにもなっているエリアなので、昼間はよくボートで足を伸ばす場所なのだけれど、夜は全く異なる風景が広がります。圧巻は、飛行機の着陸ショー。夜空に浮かび上がる真下から見る機体はまさに幻想的。旨い酒と料理と仲間と、楽しい夏の一夜を過ごしました。皆さんの夏はいかがでしたか。(編集部・ま)

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