ソルティライフ ソルティライフ
ソルティライフ ソルティライフ
イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
MONTHLY COLUMN いつまでもきれいな海といっしょにいたいから
キャビンの棚 江戸の下町と海を舞台に潮っ気たっぷりの男が大活躍「投げ銛千吉廻船帖」
船厨 新年に威勢のいい縁起モノ「伊勢エビの蒸し焼き」
海の博物誌 カツオのよだれ
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MONTHLY COLUMN
 真っ白なパウダーサンドを駆け巡る、白い小さな蟹。大きな茶色いヤシの実の亀裂から覗く、小さな緑の若芽。空の青さに負けない、サファイヤブルーのスターフィッシュ。
 そして、白く輝く巻貝を奪い合うヤドカリたち…。
 ここは天国に一番近い島、ニューカレドニアの「ウベア島」。花が咲き乱れ、果実がたわわに実る、「天国の景色」を満喫できる夢の島。
 「天国に一番近い島」と聞いて連想するのは、1966年に出版された森村桂の旅行記、もしくは1984年に上映された原田知世主演の映画ではないだろうか。私が「ウベア」へはじめて訪れたのは、映画放映後の1986年。今年も6月に1週間ほど滞在した。
 86年当時は宿泊施設もなく、ヌメア島(ニューカレドニアの中心都市)からの日帰りだった。その次に訪問した時は、食事のできるヤシ葺き小屋があった。その数年後にはコテージがメインのホテルができた。「ホテル・パラディ ド ウベア」(http://www.hotelparadis.com/)だ。ホテルはウベア島からムリ橋を渡り、その先にあるムリ島に建設された。ひたすら壮大な自然が美しい島。ホテル敷地内にはバナナやパパイヤなど、トロピカルフルーツが豊富に実り、自由に採って食べられる。
 ホテルで船を予約し、朝から釣りを楽しむ。ムリ橋の下には、マンタや海亀、GTが泳いでいる。船からよ~く見える魚は釣れないが、並走するだけでワクワクしてしまう。

 ハタを釣り上げ昼食の準備。大きな葉で包み、パウダーサンドを掘り起こし、焼けた石で蒸し焼きにする。先住民カナックの女性たち秘伝のレシピ。郷に入っては郷に従え、だ。
 それにしても気になるのは草むらに見え隠れするゴミの山。観光客が捨てるのではない。島にはなかった生活品を手に入れた島の住人が捨てたものだ。
 私たちは「手つかずの自然」を楽しみに島へ渡る。その島で自然を愛でながら不自由なく過ごす為に、様々な生活品を持ち込む。それを島に残す。便利だからという理由で「お店」を誘致すれば、そこで売られるものは瞬く間に自然には還らない「ごみ」として島を汚してゆく。私たちが「天国に一番近い島」を「天国のままにしておきたい」と願う一方、私たちが残す足跡は必ず自然破壊や汚染に繋がる。

 いつまでもきれいな海といっしょにいたいから、私は必ずゴミ袋を用意し、島へ渡る。自分の出すゴミと一緒に村人が出すゴミも回収するためだ。完全な利己主義かもしれない。でも、「人のゴミ=自分のゴミ」と考えざるをえない。「きれいにすること」を人任せにしてはいられないのである。



菊地眞弓●きくち まゆみ
今は無き伝説のアウトドア雑誌「アウトドア・イクイップメント」編集員を経て、フリーライターに。趣味は旅・食・酒。魚釣りときのこ狩りに費やす時間は人生の宝。東京生まれ。



キャビンの棚
 直木賞作家の故・白石一郎は、日本における海洋歴史小説、海洋冒険小説といわれるジャンルを切り開いた作家の一人だった。
 「投げ銛千吉廻船帖」は、元・北前船の船頭で、今は雇われ船頭の主人公・千吉が様々な事件に遭遇し、得意の投げ銛を武器に、次々と事件を解決していくという連作長編だ。舞台は江戸の下町と海。
 一作目の「家船」の冒頭。

──江戸湾は魚が群れ遊ぶ豊饒の海だ。初秋の今頃はハゼとボラがおもしろいほどにとれる。やや沖合には釣り客を乗せた屋形船や猪牙舟、浅瀬には高い下駄を履き左手に杖、右手に釣竿を握った立ち釣りの男たちがいる。波打ち際の砂浜には子供たちが五、六人ずつ集まって、腰のあたりまで水につかりながら素手で小魚をつかまえている。

 いにしえの面影のただ一欠片ほどもない今の東京湾の姿からこのシーンを想像することはとても楽しい。白石一郎は小説のなかの、こんな描写を通して我々に訴えていたような気がする。「東京湾に豊饒の海を取り戻せ」と。
 白石小説の魅力は、ワクワクさせるストーリー展開は言うに及ばず、氏の海や船に対する深い思いが随所に現れているところではないだろうか。小説の登場人物の台詞を借り、ときに情景描写にも海への愛と海思想がちりばめられているような気がする。そして、当時の海と、海を舞台に生き生きと活躍した男たちの姿を描くことによって、今の日本人に海洋民族としての誇りを取り戻させたいと願っていたのだろう。
 著者/白石一郎
 発行/文春文庫
 定価/438円(税別)



船厨
 キャビンの厨房から皆さまへ──。あけましておめでとうございます。2008年の新年号の最初の食材は何かと“めでたい”雰囲気ぷんぷんの「伊勢エビ」お贈りします。
 勇敢な武将を彷彿とさせるその立派な風貌、熱を入れた後の鮮やかな朱色、これだけでも縁起が良さそうです。実際に「威勢がいい」との語呂合わせで武将に好まれ、また一般でも古くから正月飾りに用いられてきました。
 もちろん食材としての味も格別。国産・天然物の刺身はぷりぷり。また蒸しても焼いても良し。ミソも旨いし、また残った殻はスープのだしや味噌汁にも使えるし、少々値が張るけれど、隅々まで味わうことができるとても素晴らしい食材だから、たまには贅沢するのもいいかもしれません。
 この号が皆さまのお手元に届くのは5日。本来、正月気分もそろそろ脱しなくてはならない時分ですが、お試しになってはいかがでしょうか。
伊勢エビの魅し焼き
●召し上がり方
1)活き伊勢エビを髭と足を折らないように丁寧にダッチオーヴンに収める。
2)下火で20分ほど蒸し焼きにする。
3)できあがったら縦に包丁を入れ、二分割すると食べやすくなる。



海の博物誌
 ラインを通して駆け引きを楽しみ、やっと姿を見せるサカナ。スポーツフィッシングの中の充足したクライマックス。このときはまた、サカナの素顔に接するチャンスでもある。
 たとえばカツオ。魚屋のカツオには縦縞がある。たたきや切り身になってしまうとわからないが、尾頭付きのを見ると、青黒い太い線が頭から尾にかけて数本走っている。この線は、完全な紡錘形の形とともに、カツオのシンボルともいえ、イラストや絵に描かれたカツオには必ずこの線が入っている。
 ところがこの縞、生きている間はほとんど見えない。あるいは、見えてもごく薄いので、デッキで跳ねているようなときには気づかないこともある。死んでから初めてはっきりしてくる線なのだ。
 その代わり、生きているカツオには別の縞がある。短い横縞で、たいてい2~3本。空腹のときに餌をみせると現れるので、食欲を示す線だといわれている。「旨そう!」と感じたときに出るのだから、この縞、カツオのよだれのようなものなのか。



ヤマハニュース

「カジキ釣り講座」 ラインの結び方、オフショアスイベル ノットを追加!
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「東京湾リバークルージング」動画で公開!神田川、日本橋等々
マリンクラブのお勧め海遊びプランを動画で紹介しています。

漁船や沿岸漁業の情報「大漁ネット」
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【編集航記】
 毎回メールマガジンのタイトル画を描いていただいているイラストレーター・Tadamiさんのイラストが、昨年、ISAF(世界セーリング連盟)のポスターに採用され、さらにクリスマスカードにも使用されました。なんとなくマリンレジャーの世界では後進のイメージがある日本ですが、日本でマリンの世界を描き続けてきたイラストレーターが世界で認められているという事実は、本人にはもちろんのこと、業界に携わる者にとってとてもうれしいことだし、少しばかり誇らしい気分になれる出来事です。今年はオリンピックイヤー。セーリング競技の日本のナショナルチームの大活躍を祈ります。(編集部・ま)

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