ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
MONTHLY COLUMN スチールヘッドよ、ふたたび。
キャビンの棚 日本人よ、海を見よ「海よ島よ」歴史紀行
船厨 烏賊、好きですよね?「烏賊のトマト煮」
海の博物誌 魚にも味覚はある
新連載
Salty One Day Boating
初夏。湘南の海を楽しむ
小さな小さな名物を求めて江ノ島へ。
YAMAHA NEWS ボート免許教室とマリンクラブを同時に申し込もう!/マリンクラブ「SEA-STYLE」説明会/「Captain’s World TV 」更新!/「カジキ釣り講座」更新!/「マリン体験レポート」更新!/「大漁ネット」 更新!
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MONTHLY COLUMN
 道具の進化や情報の多様化&スピード化にともなって釣りの不確定要素が失われているような気がする。釣りの楽しみのひとつは「ビギナーズラック」に象徴されるような偶然性ではなかろうか。そんな訳で、このところ「不確実な釣り」にはまっている。
 カナダB.C.州バンクーバー島の中央部を流れるゴールドリバー。12月下旬から3月中旬……原始の森が冷たい雨や雪に凍え、川の水が増水し笹濁りとなったそのとき、天文学的確率のウインタースチールヘッド(降海型のニジマス)たちが産卵場所を求めて遡上を開始する。
 通常、スチールヘッドはサマーランとウインターランの二つのグループがあり、中でもウインターランのスチールヘッドはフライフィッシャー(西洋毛鉤釣り師)にとって最も手強い相手として知られている。12月下旬になると海で巨大化したスチールヘッドたちは河口に集結し、血液中のPH濃度を調整しつつ遡上のタイミングを待ち受ける。そして大雨の翌日、川が増水すると夜の闇にまぎれて流れを溯り、日中は流れに沈む大石の陰に身を潜める。鼻面10センチ横をフライ(毛鉤)が流れても振り返らない。目の上10センチをフライが通過しても無視……。

 この冬も丸ごと10日間、川原の杭になった。外気温マイナス4度、水温2度。みぞれ、雨、雪、みぞれ、雨、雪……一日中その繰り返し。身を切るような冷たい流れに腰まで浸かり、ただひたすら気難しいスチールヘッドが潜んでいるはずの大岩の陰にキャストを繰り返す。
 目の色も髪の色も違う何人ものスチールヘッダーがキャストに疲れ果て、「異常気象だ……」「魚が少な過ぎる……」「大雨で増水すれば……」と空を見上げ、そして深い溜め息をつく……。確かにそうだ。20年ほど前なら1日中キャストを続ければ1度や2度、アタリらしきものがあった。だが、今回は10日間ひたすらキャストし続けたにも関わらず、一度も生命反応なし……。
*   *
 本年度(2008年)、アラスカ州を除くアメリカ西海岸でサーモンの「全面禁漁」が決まった(正確にはカリフォルニア州とオレゴン州で、オレゴン州沖合のコーホーサーモン(銀鮭)は小規模な釣りや孵化採卵用の捕獲は認められるそうだ)。1848年に商業的なサーモン漁が始まって以来の処置で、規制の理由は異常気象などによって海水温が変化し、エサの量が減って資源量が激減したため。特にサクラメント川とその支流は深刻で、専門家によると今年の遡上は6万尾に満たないと予想されている。
 当然ながら、漁業関係者やフィッシングガイド、ボート業者、そして旅行業者にとって大打撃。漁業損失だけで300億円と考えられ、シュワルツェネッガー知事も非常事態宣言を出し、ブッシュ大統領に連邦災害援助事業救済を要請したそうだ。また、カリフォルニア州もサーモンとスチールヘッド漁業修復プロジェクトに530万ドル充当することを計画中だそうだ。
 カナダからは今のところ全面禁漁の噂は届いていないが、バンクーバー島のキャンベルリバーでは町興しのために環境庁と釣り団体がスチールヘッドの復活プロジェクトに着手した。レンタカーやレストラン、ホテル、飛行機……など、1億円の経済効果を目論んでいるそうだ。
 その昔、バンクーバー島の多くの河川はスチールヘッドの宝庫として世界中のアングラーに注目されていた。不確実な釣りも楽しいが、釣れる釣りもまた楽しいことは言うまでもない。その効果に期待したい。


残間正之●ざんままさゆき
北海道生まれ。フォトジャーナリスト。辺境の民族取材のかたわら世界60ヶ国以上で釣り糸を垂れる。フライ&ルアーフィッシング歴30年、カヌー歴25年。ボートやアウトドア雑誌に海外のレポートを発表するほか、FMラジオの釣り情報なども担当。主な著書に「だからロッドを抱えて旅に出る」「世界釣魚放浪記」「フライフィッシング・ハイ!」などがある。



キャビンの棚
 ソルティライフでもかなり取りあげさせていただいた、海洋歴史小説の旗手、白石一郎の歴史紀行。
 四方を海に囲まれながら海の向こうへと目を向けることを避け続けてきた日本人に対して作品のなかで異を唱えてきた白石一郎が、自らの足で海や島をめぐり、海から見た日本の歴史を見つめる。
 ほとんどミクロネシアではないかと思われる日本古来の領土・小笠原。村上氏が覇権をふるった瀬戸内海の島々。300年間の鎖国時代のなかで唯一海外に窓を開いていた長崎。様々な島や海を訪れ、歴史を振り返る。目から鱗のような話もあれば、日本人と海との関係について深く考えさせられることも。
 小説だけでは読み切れない、白石一郎の海への想いがストレートに伝わる一冊だ。
 「海よ島よ」歴史紀行
 著者/白石一郎
 発行/講談社文庫
 定価/460円(税込み)



船厨
 日本人の烏賊好きはよく知られていて、その消費量は世界のおよそ半分を占めているという。ちなみに日本人のエビの一人あたりの消費量も世界で一番。タコは世界の消費量の6割を日本人で占めているという。まだまだありそう。結局、日本人は魚介が好きなんですね。
「何か美味いものでも食べに行こう」といったとき、だいたい行き先が魚やさんになってしまうのは、きっとソルティのスタッフだけではないはず。
 烏賊の食べ方は色々。刺身はもちろん、炭火で焼いたり、干したのを炙ったり、煮付けにもいける。既にこのコーナーでも烏賊めしをはじめ、いくつかご紹介している。もちろん烏賊好きは日本人に限ったことではなく、これまでにも海外の海辺の食堂で幾度となく美味い烏賊料理に遭遇してきた。
 今回はシンプルなトマト煮をつくった。ローリエの香りが決め手だが、このレシピにピクルスを適当に切って一緒に煮込んでも美味い。みなさんも烏賊好き世界ナンバーワンに恥じない、料理をお試しあれ。
烏賊のトマト煮
●材料
スルメイカ2杯、白ワイン100cc、にんにく2片、玉ねぎ1個、トマト水煮缶1缶、塩コショウ適宜、オリーブオイル適宜、ローリエ1枚
●作り方
1)イカは足と胴を切り離し肝を取りよく水洗いし、胴は1センチの輪切り足は2本づつに切る
2)にんにくはみじん切り、玉ねぎはたて薄切りにする
3)フライパンに白ワインを入れ中火にかけ煮立ったらイカを加え、表面が白くなったら取り出しておく
4)3)のフライパンにオリーブオイルを入れ弱火でにんにくを炒める
5)香りが出たら玉ねぎを加えしんなりするまで炒め刻んだトマトの水煮をいれローリエを加えて煮る
6)2)を5)に戻し一煮立ちさせ塩コショウで味を整える



海の博物誌
 スポーツフィッシングでは釣り上げた魚をリリースすることがあるので思わぬ命拾いをする魚がいる。が、こうして釣り上げられた魚が二度と釣り上げられないかというと、そうではない。磯釣りなどをしていると針を何本も引っかけた魚が釣りあげられることがあるし、タグを打って放流したシーバスが再捕獲されることもある。そのため「魚は痛みを感じない」という釣り師は多い。
 またルアーに食いつくからだろうか「味覚がない」という人もいる。しかし、この点についてはどうだろう。
 魚は味見をする。ピクピクッとくるあたりがそれだ。ただし、魚の味見は人間のように舌ではなく唇でつついてする。魚の唇には味覚神経が直結しているからである。
 甘い、辛い、苦い、酸っぱいといった区別はもちろん、感度は人間の数倍という報告もある。魚を食べるときは、しっかり味合わないと申し訳がたたない。



Salty One Day Boating
 雪解けの進む山頂。相模湾を裾野に従える富士の雄姿は、この時期めったに観られない湘南エリアの景勝。そんな由々しき富士が湘南エリアに光臨したある朝、日本一大きな富士山をも凌ぐ、ある小さな小さな名物を求めて、江ノ島の浮かぶ海を目指した。

●湘南「江ノ島」再発見

 そもそも「湘南」とは、『明治時代初期に大磯、鎌倉、葉山地区が東京近郊の海浜保養別荘地と目され、多くの文人や政財界の要人(特権階級の富裕層)によって別荘が建てられたこと、そしてこの高級別荘地が全国的に「湘南」として認知されていったことにある。』と、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』に記述されている。
 ところで、「湘南」といえば「江ノ島」を思い浮かべる方が多いのでは。関東の方にとってはあまりにも身近な存在で忘れがちだが、実は江ノ島には多くの食処、見所が存在する。島の北側にある江島神社、児玉神社参道には、島の磯辺で水揚げされたサザエやイカ、タコ等の滋味をせんべい等の手軽な食品に加工して販売する店がならび、そぞろアイテムにオススメだ。その他、伝統工芸品が陳列される土産物屋、旅館等、レトロな建物が連なる。
 そして前出の特権階級の富裕層が憧れた「西洋文化に基づくガーデン」が存在したことでも有名だ。「江ノ島展望灯台」のすぐわきにある「サムエル・コッキング苑」がそれ。
 平成15年に建て替えられた「江の島展望灯台」からは、江ノ島漁港、湘南港、腰越漁港が見渡せる。クルージング前に周辺海域を一望するには絶好の場所だ。

●湘南の伝統漁法で生しらすを。「とびっちょ」

 この日はまず、海を横目に江ノ島の玄関口、江ノ島弁天橋の先にあるしらす料理専門店「とびっちょ」を訪れた。目的は生しらす。潮の流れが穏やかな相模湾のしらすは脂のりが良く、滋養たっぷり。
 しらす漁法には大きくわけると二通りある。一艘の船で網を引く「一艘引き」と、二艘で引く「二艘引き」。一度に多くの漁獲が見込める「二艘引き」が主流。しかし、湘南エリアでは手間がかかるものの、一匹一匹の質、鮮度を重視した「一艘引き」漁法がほとんどだ。
 10時半には江ノ島漁港、腰越漁港にしらすが水揚げされ、11時には、塩分も鮮度も保たれたまま「とびっちょ」にしらすが到着する。とはいえ、「とびっちょ」では朝獲れの生しらすのみ使用するため、漁の状況ではお目当ての料理が食べられないこともある。本日は絶好の「生しらす」と出逢えた。

●午後からのんびりと気侭なクルージング&フィッシング

 昼食の後は、会員制のマリンクラブ「Sea-Style」(シースタイル)でボートをレンタルし、江ノ島入り口(片瀬海岸)から逗子マリーナへ向けてクルージング。渋滞している道をクルマで向かうより、ボートで海からアクセスする方が早い。七里ケ浜の沖を抜け、稲村ケ崎、大崎沖を走る。初夏の海風が心地よい。逗子、葉山エリアはマリーナも多く、事前に連絡すれば係留も可能。ランチやショッピング、温泉やスパも海からアプローチできる。
 さらにマリンスポーツを楽しみたいなら、ウエイクボードの一式レンタルで手軽に体験。初心者から、技を磨きたい上級者まで、江ノ島は幅広い層に人気のゲレンデといえる。
 江ノ島周辺は釣りのポイントにも事欠かない。沖磯は全てがポイントに見えてくるから不思議だ。特に烏帽子岩周辺には様々な魚種が住み着いているから、大いに楽しみたい。
 この時期はエギングタックル、ロックフィッシュタックルを持ち込もう。アオリイカ、カサゴの両方の釣果が見込める。我々はキス竿を掴み、ボートを停船して流れに任せてゆ~らユラ。釣りもクルージングも初心者から上級者まで存分に堪能できるエリアが「湘南」だ。


取材協力

しらす料理専門店 とびっちょ
●〒251-0036 神奈川県藤沢市江の島1-6-7 ●定休日: 不定休 ●営業時間:11:00~20:00(ラストオーダー)●E-MAIL: info@tobiccho.com ●ホームページ: http://www.tobiccho.com ●TEL: 0466-23-0041

湘南ライセンス 江ノ島会場
●〒251-0035 神奈川県藤沢市片瀬海岸1-12-17 ●定休日: 無休 ●営業時間: 8:30~17:30 ●E-MAIL: slc-inc@nifty.com ●ホームページ: http://www.slc-inc.co.jp ●TEL: 0466-27-5005

■湘南ライセンスは会員制のマリンクラブ「Sea-Style」のホームマリーナのひとつ。「Sea-Style」は全国約130ケ所のホームマリーナで気軽にボートをレンタルし、楽しむことができます。
●Sea-Styleホームページ
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/


レポート:菊地眞弓(きくちまゆみ)
今は無き伝説のアウトドア雑誌「アウトドア・イクイップメント」編集員を経て、フリーライターに。趣味は旅・食・酒。魚釣りときのこ狩りに費やす時間は人生の宝。東京生まれ。
初夏の爽快・江ノ島クルージング
海抜119.6メートル。「江の島展望灯台」から湘南港を望む
しらす料理専門店のとびっちょ。鮮度も味も抜群
しらすがプラチナ色に輝く「とびっちょ丼」。相模湾沖の魚をふんだんに載せた自慢のどんぶり
しらす豆腐にしらすパン。しらすかき揚げ。しらすはイワシの稚魚でカルシウムや鉄分を多く含む
江ノ島から繋がるウェイキ。初心者でも操船しやすく快適な海域
ハリポタの「組み分け帽子」のような「烏帽子岩」
海からしか見る事のできない絶景ポイントで釣りを楽しむ。「あっ、富士山撮影するの忘れた…」すでにガスっている




ヤマハニュース

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全国各地のお勧め海遊びエリアをレンタルボートで楽しむ方法をお教えします。

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マリンレジャーやマリン文化をテーマに最新の映像でレポートするネットTV。

「カジキ釣り講座」 紀伊半島のカジキ釣りについて!
オフショアフィッシングの醍醐味。ボートでのカジキ釣りをご紹介します。

「マリン体験レポート」 天草マリンジェットツーリング更新
ボート、マリンジェットの遊び体験やボート免許取得体験などをご紹介します。

漁船や沿岸漁業の情報「大漁ネット」 更新!
日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。


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【編集航記】
 久しぶりの江ノ島。梅雨にに入る直前の日曜日、天気にも恵まれ楽しい一日を過ごしました。午前中の早い時間に橋を渡って行ったのですが、少し間違えばすごい渋滞に遭遇するところでした。でも改めて思ったのは、みんな海が大好きなんだなあ、ということ。少し嬉しくなりました。(編集部・ま)

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