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高校生の頃、大阪に出ていた中学時代の先輩がサーフボードという未知の遊び道具を持って帰省して来た。正直言って、そのサーファー・スタイルへの憧れが半分、ちょっとやってみたいという好奇心が半分という、かなり不純な動機で始めたサーフィンが、マリンスポーツとの関わりのきっかけだった。それからダイビング、ウインドサーフィン、ヨットなどなど、いろんなマリンスポーツを広く浅く楽しんでみたが、いつも感じたのが、それぞれを始めるときの入口の敷居が、陸のスポーツと比べてなんだか高いことだった。
若さにまかせて飛び込んで、慣れてしまえばなんてことはないのだが、ショップに漂う独特の雰囲気だとか、チームやローカル意識の強さだとか、艇種で言えばパワーボートとセイルボート、ヨットで言えばレース派とクルージング派、プロ(漁師)とアマ(プレジャー派)の間の隔たりなどなど、どこか他を寄せ付けないような、そんな感覚を否応無しに感じさせられることもあったし、さらに正直に言ってしまえば、嫌だった。
なぜ、嫌なのか。それは単純で、海というゲレンデでできる遊びなら、何でもやってみたいと思うから。例えば、海での移動手段を選ぶ場合、燃料のいらないヨットはエコでリーズナブルだし、早く目的地に着こうと思えばパワーボートやマリンジェットなど至極便利。ヨットで言えば、のんびり走るクルージングも楽しいし、速さを競うレースはレースで面白いと思う。
取材先の天草のヨットクラブで、パワーボート派がヨットレースの運営のお手伝いをしていたり、地元の漁師の息子さんたちが、時化休みにサーフィンやウインドを楽しんでいるという姿に出くわすと、なんだかそれだけで嬉しくなったりする。
さらに昔のハナシになるのだが、インドネシアのジャワ島を訪れたときのこと。ヨットを移動手段に、スキンダイビングで食料を調達しつつ、サーフポイントを回るというサーフトリップをしている一団と出会った。いつかは自分もこんな楽しみ方をしてみたいと、たった2日の同行ですっかり洗脳されてしまって今に至っていたりする。でも、実際のところは、なかなかそんな理想とはほど遠い海との関わりしかしてませんが。(笑)
ただ、一つだけ心掛けているのが、自分がしたことのあるスポーツをやってみたいという人に出会ったときには、とりあえずトライするようにお薦めするコト。相手の動機が少々不純だろうが、けっして敷居は高くなく、周りもフレンドリーだということを強調しながら、そのもの本来の魅力に触れてもらうようにする仲間を紹介すること。やっぱり、とっかかりが大切なんだと思う気持ちは今も昔も変わらない。
私事で恐縮ですが、この夏にはさらに新たな試みとして、カイトボードに挑戦予定。もちろん新たな仲間に恵まれたからなんですが。
日本の周りは海。ビーチやマリーナ、ハーバーに、漁港などの港と、海への“出口”はいっぱいある。ベテランのボートマンやセイラー、さらにはサーファーやウインドの達人など、海の先輩たち、この夏入口に立った老若男女をよろしくです! 海という魅惑のクロスオーバーフィールドへ、ビギナーさんたちを誘ってあげてください。
江上真●えがみ・しん
月刊誌「ヨッティング」の編集部を経て、97年よりフリーランスとして西日本を中心に漁業や農業など田舎ならではの第一次産業分野を中心に取材活動している九州在住の写真記者。マリンスポーツへの向き合い方の信条は、今も昔も、浅く広くそして楽しく。 |
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おだやかな海辺の小島に住む、ある家族の、ささやかで美しい日常を描いた「海べのあさ」。アメリカを代表する絵本作家、ロバート・マックロスキーについては「すばらしいとき」で以前にもご紹介した(SALTY LIFE Vol.7)。今回の「海べのあさ」は同じくマックロスキーの代表作の一つで、「すばらしいとき」と同じく、メイン州のペノブスコット湾が舞台となっている。
マックロスキーの娘の健やかな成長への願いが、美しい自然の中の、素朴なソルティライフとともに描写されている。
たとえば、妻の得意料理、クラムチャウダーの材料を調達するために家のそばの海岸で貝を掘る。日常生活雑貨を購入するために船外機の着いた小舟で町に出かける。そして調子の悪くなったエンジンを機械屋さんの町工場でみてもらう……など。
「すばらしいとき」と共通しているのは、メイン州の自然に対する作者の優しさと、家族への深い愛。
ボートやヨットを通して海に出るとき、我々はすばらしい体験を得ることになるわけだが、それをもっとも愛する人と共有したいと願うのは、男として決して恥ずべきことではないと、彼の絵本を読み通してつくづく思わされる。 |
「海べのあさ」
文と絵/ロバート・マックロスキー
訳/石井桃子
発行/岩波書店
定価:1,700円 (税別)
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イサキ、またはイサギ、イセギ、イッサキともいわれる。漢字では「鶏魚」と書くが、これは背びれが鶏の鶏冠に似ていることからついた。本州中部より北には生息していないので地域限定となるが、イサキは陸っぱりではなかか釣ることができない魚の一つ。逆に言えば「ボートフィッシングならでは」のターゲットといえる。
以前は街のスーパーなどではなかなかお目にかかれず、海辺の民宿や定食屋さんで口にするのが常だった。だからだろうか、都会育ちの筆者にとってイサキは「海」の味がする魚の代表格だった。
そしてこの魚、なんと言っても美味い。特に夏場のそれは、タイやスズキに匹敵する「旬」である。また今回調理して改めて感じたが、裁きやすい。スズキを裁くときは、すでに息絶えているのに魚から抵抗されているように感じてしまうが、イサキはとても素直に裁かれてくれるという感じだ。
イサキには塩焼きがよく合うとは思うけれど、最近は、好きな魚の料理をオリーブオイルに頼ることが多い。これにジャガイモやナス、パプリカなどの野菜を付け合わせ、ワインといただく。魚料理の食卓が、いつもとちょっと変わって、それが楽しい。
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イサキのオイルグラタン |
●材料(およそ4人分)
イサキ3尾、マッシュルーム2パック、ニンニク3片、オリーブオイル大さじ4、赤唐辛子輪切り適宜、塩・コショウ適宜、バジルペースト小さじ1
●作り方
1)イサキは頭とはらわたを取り、ぶつぎりにし、塩コショウしてグリル(中火)で両面を色良く焼く
2)マッシュルームは石付きを取り、半分に切る
3)グラタン皿に薄くオリーブオイルをひき、1)のイサキとマッシュルームを並べ、薄切りにしたニンニクと赤唐辛子輪切りを散らしてのせ、塩コショウする
4)オリーブオイルにバジルペーストを加えてよく混ぜ、3)に回しかける
5)220度のオーブンで10分ほど焼く |
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菜種梅雨、卯の花腐し、走り梅雨、入梅、梅雨の中休み、出梅、戻り梅雨、空梅雨、梅雨寒。いずれも日本列島の雨季に用いられる言葉だが、その意味となるとちょっとあやふやなものもありそうだ。
北日本を除く日本列島各地をジメジメさせる梅雨だが、農作物を初め生態系には貴重な水分補給である。
菜種梅雨はご存知の通り、ナタネ(アブラナ)の花の咲くころ3月下旬から4月上旬に降り続く雨のこと。卯の花腐し(卯の花くたし)は5月ころの、文字通り卯の花を腐らせるような長雨を言うそうだ。
梅雨時の天気図は、日本列島に前線が停滞し、次々と低気圧が通過していく。雨をもたらす前線には温暖前線、寒冷前線、閉塞前線、停滞前線があって、いずれも、前線の北側、あるいは南側では天気も風向もまるっきり違う。さえぎる物の無い海上となるとなおのことで、低気圧もさることながら前線に吹き込む風の変化や海の状況には十分な注意と早めの対処が肝心。
マリンレジャーファンにとって梅雨明けは待ち遠しいところだ。
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仕事で札幌に来た。最近は便利になったもので、ちょっとした仕事なら日帰りですませてしまうのだが、北海道の海は今がベストシーズン。そこで、一日休みをとって、小樽の海まで足を伸ばすことにした。北海道は食の宝庫。釣りもいいが、未知のエリアでクルージングを楽しむのいい。コバルトブルーに輝くキャンバスに白いウェイキで円を描きたい。小樽のマリーナに事前に連絡して、「AS-21」を予約した。
「そういえば、6月、7月は積丹ウニが旬を向かえている…」
●頼もしいパートナー
小樽駅前のホテルから小樽港マリーナへは車で5分ほど。受付を済ませ、さっそく出港の準備を始めた。始めての海域ということもあってドライバーの同行をお願いすると、ハーバー担当のノムラさんが一緒に海に出てくれることになった。
「昼食はぜひ積丹ウニが食べたい!」とリクエストすると、鰊御殿や日和山灯台が有名な祝津マリーナの食堂を予約してくれた。
センターハウス前の石畳を給油桟橋へ向かい歩いている時、両脇を固めるように群生する変わった花を見つけた。本土では見たことがない。
長さ30cm~50cmぐらいはあるストローのようにすらっとした花茎の上に、直径5cmほどもある黄色い頭花が乗っている。根元には地面を這うようにギザギザの大きな葉がついていた。目測で200以上はある。
●海鳥たちのコロニー
海上バースには中型船が多数停泊している。そのワキをデッドスローでゆっくりとすり抜け、出港。針路を西へとり、立岩を目指す。海上からしか味わえない絶景「窓岩クルーズ」が始まった。スロットルを一気に上げ、昼食予定の祝津マリーナの横を通過。高島岬を半円を描くようにしてかわし、最初の奇岩「トド岩」をチェック。続くロッククライミングの聖地「赤岩」横を快走。実に清々しく、良く晴れて気持ちがいい。「AS-21」も機嫌がいい。
ノムラさんに操船を代わってもらい、船尾を見た。穏やかながらも重量感ある日本海を、「AS-21」が白いしぶきをあげて切り開いていく。周りに船は一艘もいない。赤岩海岸、山中海岸、オモタイ海岸沖を貸し切りクルーズしているような幸福感に、思わず微笑む。
小樽港から約30分、「窓岩クルーズ」最大の見せ場に到着。岩山の裾にぽっかりと開いた穴がまるで「窓」のように見えることから「窓岩」と呼ばれるになった岩穴の奥に、立岩がスイッチした瞬間にシャッターを切る。
「う~ん、いまいち…」といいながらも気分は上々。
そして窓岩から立岩に回り込んだ瞬間、絶句した。
「コロニー…」
切り立った断崖が波打ち際まで迫る海岸沿いにウミウのコロニーがあった。1000羽? 2000羽??
「今は繁殖期ですから」ノムラさんの声のトーンがあまりに普通でびっくり。繁殖期の鳥達は敏感だ。彼らとの距離を見誤れば、ヒッチコックの世界になるやも…。
●積丹ブルー
立山で引き返した。その先にはまだ見たことのない「積丹ブルー」が広がる。この時期はソイ・ヒラメ、タラ・ヤナギといった魚が獲れる。特に余市・積丹方面は好調とのこと。後ろ髪を引かれるが「次回のお楽しみ!」と自分に言い聞かす。
帰路、祝津マリーナにボートを舫い、食堂で二色丼をいただいた。積丹直送の絶品ウニと醤油漬けイクラに泣けてくる。ウニを頬張りながらノムラさんに小樽港で見た花について尋ねると「たんぽぽ」だという。またまた絶句。海風に揺らめきながらも空に向かって凛と伸びる姿は、短い夏の太陽をなるべく近くで感じる為に進化した姿なのだろうか…。通常タンポポは茎が短く葉が水平に広がっている。他の植物の陰になりやすく、厳しい環境下で生えていることが多い本土のタンポポとはあまりに違っていた。
目に映るもの、口にするもの、すべてが美しく、美味しく、感動をもたらしてくれる。地元の海もいいけれど、旅先でのボーティングもやみつきになりそうだ。
取材協力
祝津マリーナ食堂
●〒047-0047 北海道小樽市祝津3丁目197番地
●TEL: (0134)32-0425
●営業期間:3月下旬~11月上旬(期間中無休)
●ホームページ: http://www.shukutsumarina.co.jp/
小樽港マリーナ
●〒047-0008 北海道小樽市築港5番7号 (株)マリンウェーブ小樽
●TEL:(0134)22-1311/FAX:(0134)22-1337
●ホームページ: http://www.mw-otaru.jp/
■小樽港マリーナは会員制のマリンクラブ「Sea-Style」のホームマリーナのひとつ。「Sea-Style」は全国約130ケ所のホームマリーナで気軽にボートをレンタルし、楽しむことができます。
●Sea-Styleホームページ
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/
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レポート:菊地眞弓(きくちまゆみ)
今は無き伝説のアウトドア雑誌「アウトドア・イクイップメント」編集員を経て、フリーライターに。趣味は旅・食・酒。魚釣りときのこ狩りに費やす時間は人生の宝。東京生まれ。
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初夏。快晴。日本海の爽やかさは格別!クルージングの魅力を実感する |
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ノスタルジックな雰囲気の小樽運河。大正12年に完成した小樽運河は、海岸の沖合を埋立てて造られたもの |
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「小樽港マリーナ」は、海上300隻、陸上100隻を収容できる『北海道海の駅』にも指定された通年型マリーナ |
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クルージングの最終目的地は窓岩 |
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市街地からわずか数キロ離れた場所に、変化に富んだ景観を生み出す「奇岩」が待っている |
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海鳥の声と波の音しか聞こえない、荒々しい断崖沿い |
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小樽をはじめとする日本海沿岸は、江戸時代後期から鰊漁で栄えた地域。「祝津」はとりわけ多くの水揚げを誇った。背後に建つのは鰊御殿 |
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時間があれば積丹で、今が旬の「赤バフンウニ」を海水で洗って食べたい… |
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次世代コンバーチブルモデル「EXULT」スペシャルサイト
最高品質を追求した新たなプレミアムボートのブランド「EXULT」をご覧ください。
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「Captain’s World TV 」南回帰線の都市ブラジル・リオデジャネイロ州!
マリンレジャーやマリン文化をテーマに最新の映像でレポートするネットTV。
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「カジキ釣り講座」 宮城・金華山沖のカジキ釣りについて!
オフショアフィッシングの醍醐味。ボートでのカジキ釣りをご紹介します。
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「マリン体験レポート」ライトタックルトーナメント、若狭・三方五湖マリンジェットツーリングなど。
ボート、マリンジェットの遊び体験やボート免許取得体験などをご紹介します。
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漁船や沿岸漁業の情報「大漁ネット」今月は青森県平舘 定置網漁
日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。
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【編集航記】
北京五輪のセーリング競技の会場となる青島で、大量の藻(アオサ)が異常繁殖して、その除去作業に市民総出で取りかかっているというニュースが流れました。確かにレース海面に藻がなく、良い環境の中で競技できることに越したことはないのですが、もともとセーリングは自然のなかで楽しみ戦うスポーツ。であるならば、海草の発生も自然現象の一つであるからして、それを受け入れた中で競技をすればいいのに、などと思ってしまうのは素人の浅はかさでしょうか。あるスポーツ紙によると、男子49er代表の牧野選手は立命館大出身で「琵琶湖には藻が多かったので慣れている。これでメダルのチャンスが増えた」と語った。頼もしいセーラーだなあ。(編集部・ま) |
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