ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
MONTHLY COLUMN 冬の海の魚釣り。
キャビンの棚 海に出て釣りがしたくなるハウツー本
「ボートフィッシングバイブル」
海のマイボート・フィッシング[完全マニュアル]
船厨 ヘミングウェイの愛したワイン「タヴェル」
海の博物誌 魚族の音感はアマデウスなみ
Salty One Day Boating 歴史と未来をみた。横浜港周遊
YAMAHA NEWS 「マリーナ百景」更新!/「大漁ネット」更新/「マリンクラブ・シースタイル」イベント情報/「カジキ釣り講座」バショウカジキの壁紙更新!
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MONTHLY COLUMN
 これまでにも何度かこのコーナーで書いてきたけれど、晩秋から冬の海が好きである。もちろん、夏の海もいいけれど、よく晴れた晩秋から冬にかけての海での、ボートの走りが生み出す冷たい風が顔に当たる感覚や、充分に暖かな厚着をして、デッキに寝そべったり、大物に期待しつつキャストを繰り返して汗ばむ感覚は、夏の海とはひと味もふた味も違う魅力に溢れている。
 そんなわけで、僕の場合どちらかというと夏よりも、いまの季節の方がプライベートで海に出る機会がぐんと増える。
 10月以降は釣り三昧の週末を過ごした。季節はシーバスの絶好機。私はマリンクラブ・シースタイルをよく利用するが、どのマリーナでも出航前に必ず「良く釣れてるよ」と声をかけてくれる。
 確かに今年の東京湾は良く釣れている。10月に行われた「東京ベイ・シーバス・ゲーム・フェスティバル」に本コーナーの執筆者のひとり、松本和久さんが取材に行って東京湾のシーバスフィッシングの近況をもたらしてくれた。
 「東京ベイ・シーバス・ゲーム・フェスティバル」は関東圏では最も歴史がある大規模な大会だ。使用するルアーはすべてバーブレス。オールタグ&リリースという規程で、1985年のスタート以来、徹底して資源保護意識を前面に打ち出している。そのフェスティバル、今年は参加29チーム中28チームに釣果があって事前に配布された25本のタグを全て打ち切る「フルタグ」となったチームも15と、相当な釣果を記録する大会となったらしい。最大サイズは78cmと例年に比べると小振りだったが、ここ数年の傾向を見ると、40cm以下のサイズの比率が増えつつある一方で、一人あたりの釣果尾数は増えている。今大会の記録を見る限り、体長組成のバランスも取れており、東京湾におけるシーバスの生育状況はそこそこ良好ということだ。
 今大会優勝したのは「青木さんとゆかいな仲間たち」。チームキャプテンを務める田中康宏さんは13回目のチャレンジで、初めての優勝だった。
 「船橋の方を攻めようと思っていて、見たら鳥がいっぱいわいてきて、もうミノーでもバイブでも何でも来ましたよ(笑)」(田中さん)とのこと。
 東京湾という区切られたフィールドで競い合う頭脳ゲームの側面もシーバスフィッシングの魅力の一つ。見事に当たったときには、ただ当てずっぽうでキャスティングして釣れたときとは別格の歓びがあるのだという。
 とはいえ、トーナメントで優勝するようなアングラーのコメントを聞くと少々耳が痛くなるのも事実。こちらは、最近シーバスメインの五目釣りの傾向が強くなっている。
 シースタイルを利用するようになって加わった楽しみのひとつに、釣りの幅が広がったことがある。メインはあくまでもシーバス狙いで、ポイントもタックルもそんなに変化はないのだが、行動範囲が広がった分、いろいろな魚がヒットするようになった。正統派のアングラーなら外道に見向きもしないのかもしれないが、シーバスを狙っていて、良型のアイナメがヒットしたり、美しいタチウオが釣れたり、鳥山の下からイナダを引っ張り出したりとか、なかなか楽しい。先日はナブラでサバが入れ食いになって大いにはしゃいだりもした。ひとつの仕掛けで臨機応変に対象魚を変えていけるのはルアーフィッシングの利点のひとつかもしれない。
 釣りのスタイルや哲学は十人十色。これからますます寒さが厳しくなっていくが、大いに海を楽しみたい。

田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
 数あるボート遊びのなかでもボートフィッシングはその人口比率からして、人気ナンバーワンだといえる。それなのに、これまで「ボートフィッシング」を体系立てて解説してくれる良書がなかなか見あたらなかった。「地域によって釣法が異なる」「ターゲットとスタイルが膨大」など理由にはいろいろとあると思うけれど、実際、ボートフィッシングをやっていても「いまさら聞けない」ことも結構あったりして、こんな本があったら助かるなあと思っていたボートフィッシングファンは多かったのではないか。
 本書はモーターボートを釣りの道具という視点でとらえたボートフィッシングのマニュアル。釣るための艤装やボートコントロール・テクニックが詳しく解説されている。「とかくローカル色の強いボートフィッシングの世界でスタンダードとなるべく普遍的で質の高い情報を提供」とは出版社の宣伝文句だが、実際にそのあたりがとても役立ちそう。また、ボートフィッシングのスタイル別にその道のベテランのノウハウが盛り込まれていて、面白い。ハウ・ツーばかりか、その楽しさまでもが伝わってくる。読むと海に出たくなる本だ。
 「ボートフィッシングバイブル」
  海のマイボート・フィッシング
 [完全マニュアル]
 著者/斎藤海仁
 発行/舵社
 定価/¥1,680(税込)



船厨
 いろいろと資料をあさったり、レストランのワインリストやショップの陳列棚を観察した結果、日本人のワイン消費の内訳は、赤と白でそれぞれ40%、ロゼはおよそ20%と推測する。いつだか海外取材経験の長いあるジャーナリストは「日本人はなぜだかあまりロゼを飲まない」と評していたが、この数字が示すとおり(くどいようですが推測です)、魚には白、肉には赤とのイメージが定着しているからだろうか、「○○にはロゼ」とのフレーズはあまり耳にしたことがない。
 もともと、爽やかな「夏の味」のイメージがするワインなので、この時期に取り上げるのもいかがなモノかと思わないわけではないが、クリスマスが近づいて、ほんわか美しいピンク色の酒を華やかに食卓に持ってくるのも悪くはないし、海の男ならば、栓を器用に抜きながら「ロゼはやっぱりタヴェルだね。実はヘミングウィも……」なんて宣うのも悪くはない。
 先月号で紹介した「ヘミングウェイの酒」(河出書房新社/オキ・シロー著)によれば、ヘミングウェイはもちろんワインも好んだが、よくロゼ・ワイン「タヴェル」を著作に登場させていた。死後25年を経て刊行された「エデンの園」ではタヴェルのロゼをラッパ飲みするシーンが描かれ、こんな粗野な飲み方にお墨付きを与えてくれている。“パパ”にかかれば、ロゼもぐっと男らしい酒になるから嬉しい。
 ちなみにロゼは中華料理やトマトソース味の料理に合うとされている。筆者は脂ののった魚料理にロゼを愉しむことが多い。
「タヴェル」
タヴェルはパリの南東に位置する人口1500人ほどの小さな村で、フランスで最も良質なロゼワインの産地と賞されている。かつてのフランス王フィリップ・ル・ベルは「タヴェルのほかにうまいワインはない」と語ったとか(「ヘミングウェイの酒」より)。ロゼワインは、赤ワインの原料となる黒ブドウを原料としている。白ワインの原料となる白ブドウを黒ブドウに混ぜて作る製造法もある。



海の博物誌
 フィッシングの醍醐味は、魚とのかけひき。いろいろと工夫してだまし、ロッドとラインでコントロールする。狩猟の一種には違いないが、ハンティングなどよりずっと洗練されたスタイルといえるかもしれない。また、たいていの魚は獣と違って、仕留められても無言のまま。上品なのである。
 ただし、魚の中にも声を出すのがいて、釣り上げたイサキが鳴くとか、ハゼがうなり声で敵を追っぱらうといった例がよく知られている。イシモチやカサゴなどは、敵が近づくと、浮袋を振動させて「ググー」という警戒音を出す。それを聞いた他の魚は急いで岩陰などにかくれる。
 魚の耳は外耳も中耳もなく、頭の中にある中耳だけ。外部からはまったく見えないし、大変原始的な構造なので、長い間魚は音を聞き分けられないとみられていた。ところがさまざまな実験によって、人間以上の性能を持っていることがわかっている。
 たとえば、すべての魚には絶対音感(どの音も比較することなく判別できる音感)があるし、人間には聞き取れない16サイクルの音まで聞き分ける。イサキやイシモチの音にもきっと意味があるだろうし、魚族だけで会話をしている可能性もあるという。



Salty One Day Boating
 先日、横浜市営地下鉄に乗った。駅改札からホームまで、あちらこちらに「横濱開港150周年」というキャッチが飛び交い、目をひいた。ホームには偶然、ラッピング電車が停車中だった。1号車外装には開港当時の帆船が描かれ、横浜港に出入りする外国船(黒船?!)、明治時代の街並みと続き、最終車両となる6号車には、横浜ウォーターフロント「みなとみらい21」が描かれていた。「すご~い!!」ホームで思わず声にしてしまうほど、芸術的なアートが施された車両だった。

●横浜ベイサイドマリーナをベースに晩秋の快適クルーズ

 横浜港が来年、開港150周年を迎える。そんな「横濱開港」の歴史をクルージングで体験しようと、11月の終わりに横浜ベイサイドからシースタイルを利用して海に出た。
 約1,500隻のボート、ヨットが係留できる国内最大級のマリーナ内をデッドスローで抜け、根岸湾を横切る。耳元を冷たい風が横切るが、光澄み渡る波中をクルージングするのは格別。国際埠頭と南本牧ふ頭との間の南本牧運河に入ると前方に南本牧大橋が見える。
 「実はこの橋、カラオケ好きにはちょっと有名な橋らしいですよ」
 取材のために同行してくれたベイサイドマリーナのスタッフ、カリノさんが先日レクチャーした生徒さんから仕入れた情報らしい。
 鶴見翼橋を小規模にしたような美しい斜張橋で、運河と相まって、なるほど歌のBGVには最高のシチュエーションかもしれない。
 南本牧大橋を潜り、横浜ベイブリッジを目指す。この橋は中区本牧ふ頭と鶴見区大黒ふ頭を横断する、上下2層構造の斜張橋。その中央に針路をとり、横浜港へと入った。

●世界への玄関口「横浜港」

 北緯35度19~29分、東経139度37~45分。
 東京湾の北西側に位置する横浜港は、風向、風力、潮流、水深等最適な条件に恵まれた港として1859年の開港以来、国内外からの船で賑わう国際貿易港として発展し、2009年6月2日、開港150周年を迎える。
 物流港湾としての貿易額は1位名古屋、2位東京、3位横浜で、神戸と続いている。さらにコンテナ船用の港湾施設の充実などでコンテナ貨物量は東京に次いで、2位。なんと、客船寄港実績では4年連続して日本一となっている。(2005.11 横浜市港湾局企画調整課発表データより)
 そんな横浜港も約150年前には民間漁船が数船寄せるだけの寒村だったそうだ。前方に聳える「みなとみらい21」地区からは、想像もつかない。
 歴史的建造物と近代建造物が混在する、新港地区から山下公園一帯の「ベイサイドエリア」は、横濱開港150周年イベントの中心的地区。
 「このあたりの夜景はロマンティックで、カクテルクルーズに人気のエリアです」
 陽が沈み始める頃には、街と港が融合する。時代を超えた幻想的な横濱夜景を想像しつつゆったりとボートを走らせる。もちろん、横浜にはこれまでに何度も足を運んでいる。ただ、こうしてボートに乗って海から眺める横浜は、いつにもまして「港町」であることを実感させる。

●マリーナのレストランで遅めのランチ

 午後になるとやや風が強まってきた。ベイブリッジを越えると、三角波がわたしたちを出迎えたが、運河内をのんびりクルーズしていた後だけに、ハードなクルーズにも新たな楽しみを見いだすことができる。
 ベイサイドに入港後はまず給油。ガソリンをごくごく呑むYF-21CCを見ていたら、とてもお腹が空いて来た。今回のクルージング・コースにはマリーナや係留施設が整ったレストランがいくつかあってデイクルーズにはうってつけの環境が整っているが、この日はベイサイドマリーナに隣接する「三井アウトレットパーク」で少し遅めのランチを摂った。
 シーポートレストラン「ブルスケッタ ピックス・カフェ」に入る。リーズナブルな価格で、釜焼きピッツァ、パスタはもちろん、前菜やメインディッシュなど本格的なイタリアンが楽しめる気さくなお店だった。
 テラス席に座り、メニューを広げる。
 「まずは有機野菜のサラダを食べて…。続いて色々なキノコのピッツァに、熟トマトとモッツァレラチーズのスパゲッティ。仕上げは魚介のパエリアといきましょう!」
 「……。」
 ちょっとハードなクルージングで鍛えたお腹は、押し寄せるお料理の波まで、おいしくペロリとクリアした。


取材協力

横浜ベイサイドマリーナ
●〒236-0007 横浜市金沢区白帆1番地
●TEL:045-776-7590
●ホームページ:http://www.ybmarina.com




ブルスケッタ ピックス・カフェ
●〒236-0006 神奈川県横浜市金沢区白帆2-2
 三井アウトレットパーク 横浜ベイサイド シーポートレストランツ1F
●TEL: 045-770-5220
●ホームページ:http://www.stillfoods.com



横浜ベイサイドマリーナは会員制のマリンクラブ「Sea-Style」のホームマリーナのひとつ。「Sea-Style」は全国約130ケ所のホームマリーナで気軽にボートをレンタルし、楽しむことができます。


レポート:菊地眞弓(きくちまゆみ)
今は無き伝説のアウトドア雑誌「アウトドア・イクイップメント」編集員を経て、フリーライターに。趣味は旅・食・酒。魚釣りときのこ狩りに費やす時間は人生の宝。東京生まれ。
「横浜ベイブリッジ」。世界最長とも言われる860mの橋は圧巻
「ぷかり桟橋」はプレジャーボートの係留も可能。レストランで食事もできる
「みなとみらい21」地区。1983年2月3日に都市計画が決定するまでは、造船所跡の閑散とした空き地だった
近代的なクルーズコースの中にもところどころに季節を感じられた
「赤レンガ倉庫」と、日本一の高さ(296m)を誇る「横浜ランドマークタワー」。約80歳差の建物は、ともに「みなとみらい21」地区のシンボル
横浜港内で最も歴史ある「大さん橋ふ頭」に寄港中の大型客船「飛鳥」
山下公園のひだまりでランチタイムを過ごすカモメたち
ホテルニューグランド(左奥)と氷川丸(右)。ともに「チャーリー・チャップリン」が利用したといわれる
横浜ベイサイドマリーナに隣接する「三井アウトレットパーク」。19世紀のアメリカの港町を再現したような空間には、レストランやアウトレットショップなど、80店舗


ヤマハニュース

「マリーナ百景」日本海と瀬戸内海、異なる海が楽しめる宇部マリーナ。
全国に点在するさまざまなマリーナを紹介します。

漁船や沿岸漁業の情報「大漁ネット」今月は沖縄県久米島 モズク養殖
日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

「マリンクラブ・シースタイル」イベント情報
マリーナで開催されるイベントのご案内とイベントレポートをご覧いただけます。

「カジキ釣り講座」バショウカジキの壁紙更新!
オフショアフィッシングの醍醐味。ボートでのカジキ釣りをご紹介します。


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【編集航記】
 夏場は、仕事の方が忙しくてプライベートで海に出ることがほとんど無いのですが、秋に久しぶりに東京港に出て驚くことしきり。橋の工事が予想以上に進んでいたり、お気に入りのシーバス・ポイントだった沖堤がいつの間にやら無くなっていたり。とはいえ、時がたてば、それが当たり前の風景になっていくのでしょうね。そんな海の中でも元気な魚に出会えることが、嬉しい。ヘミングウェイがあるエッセイの中で語っていた「海はいつまでも変わらない」とのフレーズを思い出しました。(編集部・ま)

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