ソルティライフ ソルティライフ
ソルティライフ ソルティライフ
イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
MONTHLY COLUMN ボートやヨットの仲間を増やしたい
キャビンの棚 4年をかけた日本一周の旅「港を回れば日本が見える ヨットきらきら丸航海記」
船厨 春の食卓を派手に飾ってくれる「金目鯛の煮付け」
海の博物誌 満潮と干潮の差が8メートル !
Salty One Day Boating お花見クルージングのオススメ !?
YAMAHA NEWS 「マリンクラブ シースタイルマスター」のご案内/シースタイル「マリン塾」開講/「出動!マリンクラブ釣査隊」更新/「大漁ネット」更新
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MONTHLY COLUMN
 ジャパンインターナショナルボートショーが今年も横浜で開催された。入場者数はおよそ4万人とのことで、昨年に比べて減少しているが、実際に4日間、会場に身を置いていると、不況とやらの時勢に関係なく、むしろ例年より活気づいていたようにも感じられた。
 その理由を考えると、そのひとつに、こどもたちの元気な姿が多く見られたことがある。
 最近、ボートショーには会場の隅っこではあるけれども、キッズマリーナという名の下で子どもたちが楽しめるコーナーが設置されていて、ラジコン・ボートを操縦してみたり、プールに浮かべたOP級ヨットやカヌーに乗ってみたりと、なかなかの盛況ぶりである。特に今年は、横浜開港150周年の記念イベントとして、同市の教育委員会の後援を受けて小学4年生から6年生を対象にした「海楽習」というプログラムが実施された。海洋冒険家の白石康次郎氏とともにボートに乗って海や自然の奥深さとマリンレジャーの楽しさを学ぶプログラムなどは好評で、多くのこどもたちが貴重な体験をしたようだ。
 ヤマハ発動機で昨年から静岡県内を中心に本格的にはじめられた「ジュニアキャプテン ボートの不思議発見」も、今回、この「海楽習」のプログラムのひとつとして実施されている。
 船はなぜ浮くのか、なぜ転覆しないのか、そしてどのようにしたら速く走るのか、誰もがわかりそうで簡単には答えられない「船の科学」を子どもたちの考える力を引き出しながら楽しく伝えていく内容だ。最後には実際に船の模型を創意工夫しながら作って、水槽で走らせるなど、なかなか魅力的なプログラムなのである。
 この講座に使われているテキストの冒頭にこんな一文がある。『大昔の人は、川や海をどのようにわたったのでしょうか。最初は、たおれた木などを水に浮かべてわたっていたのでしょう。』
 木にしがみついてでも海の向こう側に行ってみたいと考えた、我々の祖先の意志を想像するとき、ヒトとは、なんて冒険心や夢を持った生き物なのだろうと嬉しくなってくる。もともと人は海が大好きなのである。そんな自然の欲望、というか興味を、我々大人は子供たちからつみ取ってしまうことがあってはならない。
 このあいだ、ヨーロッパのある小さな国でボートオーナーを取材したとき、どうやってボートに興味を持ったのか聞いてみたら「両親がいつもボートで遊んでいたので」と答えてもらった。平凡な回答のように聞こえるだろうが、日本では同様の答えはなかなか返ってこないのだ。マリンの文化とはこのように育まれていくのだろうな、きっと。
 自分が好きな世界を他人に理解してもらえないというのは、なかなかつらいものだ。だからこそ、この素晴らしい世界を後世に伝えていくために、文化として造り上げていくために、ぜひ、子供たちを海に連れて行ってほしい。ボーターやセーラーには、ゴルファーと違ってそれが意図もたやすくできるのだから。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
 著者・岡氏が定年退職を機に4年をかけてヨットで日本を一周。日本各地の港に立ち寄りながら、そこで営まれる漁村の暮らしや人々との交流を綴ったノンフィクションだ。「旅の生活費」として、かかった金額の明細が載っているのも興味深い。
 読んでいて感じたのは、陸とは違い渋滞のない海の移動はなんと爽やかなのだろうかという羨ましさ。もちろん波や風の状況次第では陸では陥ることのない危険な状態になるのだが。陸では、春になって桜が咲いて、高速道路の料金が安くなって、いつもの春より混雑するのだろうなあと、嬉しい反面少しばかり落ち込んでしまうこともある。
 明治22年に東海道線が開通。次第に国内の輸送が鉄道にシフトすることで、それまで日本海で活躍していた北前船の経営が衰退していく。やがて日本海沿岸の地域は裏日本と呼ばれるようになっていった。これは一つの例だとしても、近代化に伴う輸送手段の変化が都市を巨大化させた一方で、さまざまな地域の過疎化を生み出した要因にもなっているのだろう。そんな地域を訪れた岡氏は、「跡継ぎに考えていた子供が都会から帰ってこない」、「魚が安価で買われていく」と嘆く漁師に出会いながら、その話に耳を傾け続けた。
 時間をたっぷりかけてヨットで日本を一周。小さな島や漁村を訪れることから冒険ともとれるこの岡氏の旅はヨット好きにはたまらないだろう。それに加えて、海で大自然と格闘したあとに、岡氏が各地で口にした数々の地魚がいかに美味しく感じられたか、想像すると羨ましくて仕方がない。
 「港を回れば日本が見える
  ヨットきらきら丸航海記」
 著者/岡 敬三
 発行/東京新聞出版局
 定価/1,429円(税別)



船厨
 名称と科学的な分類とが異なる魚はけっこう多い。たとえば我々にとって夢の釣魚のひとつである「カジキ」は「カジキマグロ」などと呼ばれることがあるけれど、これは間違いであって、カジキはカジキ。魚類スズキ目カジキ亜目の総称で、メカジキ科とマカジキ科に分類されるのが正しい。
 今回美味しくいただいた金目鯛もそうで、色やその姿から鯛の名が付いているけれども、正しくはキンメダイ目キンメダイ科の魚で鯛の分類には属さない。
 さて、その金目鯛、世界中の海に泳いでいるのだけれど、日本では静岡県が水揚げ日本一を誇っている。特に関東地方で人気が高いらしく、それ以外の地域ではあまり食されていないというから不思議な話だ。ふだんは水深300メートル以上の深海にいる魚のだが、釣魚としても人気で、しかも美味なのだから、もっと日本中で食べてもらってもいいのに。
 刺身にブイヤベース、そして煮付け。特に大型魚を丸ごと煮付けたものは、迫力満点。
 旬は冬の魚だけれど、何かと祝い事の多い春、金目鯛で食卓を飾りたい。
金目鯛の煮付け
●材料
金目鯛 1尾、砂糖 大さじ2、酒 大さじ2、みりん 大さじ2、しょうゆ 大さじ4、水 1カップ強

●作り方
1)きんめだいは、はらわたを取る。切り身で煮付けるときは頭も
2)浅い鍋に水と調味料を合わせて入れ火にかけ、煮立ったらきんめだいを入れる
3)再び煮立ったら弱火にして、ふたをしないで7~9分ほど煮る
4)時々煮汁をすくってかけ照りがでるように煮あげる



海の博物誌
 春の潮干狩りシーズンの到来だ。潮干狩りの名所は、たいてい干満の差の激しいところ。そして季節は、少し寒いくらいの春と秋がベスト。というのは、春・秋のほうが夏・冬より、干満差が大きいからである。
 日本で最も干満の差が大きいのは、有明海と瀬戸内海。佐賀県の福富では平均4.9m、大牟田でも4.5m、瀬戸内海の尾道、広島では平均2.9m、松山2.8m、徳山2.5mなどとなっている。いずれも半島や島で囲まれた海で、しかもその奥に位置している。
 世界での、最大はなんと8.3m。イギリスとアイルランドに挟まれたアイリッシュ海の、さらに奥まったところにあるリバプールである。2位は韓国のインチョン7.9m、以下ロンドン6.4m、韓国のクンサン5.7mと続いている。係留したボートの管理も大変そうだ。



Salty One Day Boating
 春の日差しに蕗が薹を出す頃には水辺が恋しくなる。とは、かっこよすぎますかね? ただ春の暖かさを感じると、なにかしら理由をつけてボートに乗ることを考えている自分がいるのは間違いないようです。 翌週末に友人達との花見を運河で企画した私は、その下見を兼ねてクルージングを計画。江戸川放水路にある「ニューポート江戸川」へシースタイルの予約を入れると「お花見シーズンは平日でも予約で一杯になるから、決まっていればすぐに入れてね」とのアドバイスが。
 ホームページで予約を見ると、7隻あるクラブ艇がどの日もびっしり埋まっている。うーん。恐るべしお花見パワー。それでもなんとかAS-21を予約することに成功。温かい日のクルージングに思いを馳せて……。

●桜の開花予想

 「お花見スポットの事前調査に伺いました♪」
 ランチボックスをしっかり抱き込み、受付カウンターから声を掛ける。
 「う~ん、まだどこもつぼみか咲き始めで、一分か二分ぐらいしか開花してないんじゃないかな…」
 3月中旬の暖かさで、4月1日には満開と予想していたのだが、寒の戻りが激しく、いまだつぼみが殆どとのこと。陸地に比べて水辺は気温が低いから、尚の事。しょぼん。
 日本気象協会によると、『今年の桜の開花は、東日本では平年より〈かなり〉早い所が多く、北日本は平年並みか平年より早いでしょう。』との予報だったのだが、膨らみかけたつぼみをよそに、三寒四温のはずが、六寒となっている…。期待していた春爛漫とはいかなかったけど、いつものAS-21が桟橋を離れると、寒中なんてどこへやら。冬支度で乗っている分だけ暖かい。結局のところボートに乗ってしまえば、熱いの寒いのは二の次で、ボーティングを楽しんでいるんですよね。そんな私の意気込みを感じたのか、ガイドのスズキさんもテンションアップ。さっそくお花見スポットをめざして出航した。

●花見スポット

 浦安橋を1700回転のスローで通過し、その先は旧江戸川を舞浜大橋まで一気に5000回転まで上げて走った。ニット帽を被る首筋を風が一気に抜ける。
 「気持ちいい~」
 やっぱり寒かろうと暑かろうと、船の上は格別だ。東京ディズニーランドを左手に見て、大きく右へ旋回した。葛西なぎさ橋の横の広場には、菜の花畑の黄色い絨毯が広がっている。
 「隅田川の桜スポットといえば、一番有名なのはどこですか?」
 「やっぱり隅田公園かな。遊覧船の発着場もありますし。」
 荒川を横断し、新砂水門を抜けながら、ルートを再度確認。今日は、浅草隅田公園を皮切りに、小名木川の萬年橋に立ち寄り、佃島に架かる中央大橋から佃大橋までの桜スポットを経て、浜離宮庭園をクルーズ予定。一分か二分咲きといえども、これだけめぐればどこかに五分咲き桜もあるはず。
 「ランチは桜の花の下で♪」
 すでにペコペコのお腹に言い聞かせながら、スロットを上げた。

●隅田川

 漣橋を潜り、豊洲橋を追いやり、隅田川へ入った。一級河川のこの川は、地域や移り変わる時代によって呼び名を替えてきた。江戸時代ころには吾妻橋近辺までの下流は「大川」、浅草近辺は「浅草川」、上流は「宮古川」と呼ばれていたらしい。明治43年の水害を機に荒川放水路が作られ、後の昭和40年に放水路側を荒川、岩淵の水門から下流東京湾までの約23Kmを正式に隅田川という名称にしたそうだ。
 人や物資の輸送路としては勿論、生活用水、農業用水、魚貝や海藻類など、食料の供給源として、今も昔も地域と密着している。そして現代、川沿いには多くの倉庫が立ち並び、運送業や旅客業が発展。春には花見、夏には花火と、遊覧船、屋形船、釣り舟などで賑わいを見せている。

●花見と一緒に、絵画展

 吾妻橋の袂にある浅草水上バス乗り場に着ける観光船の辺りから、歩行者専用の桜橋周辺までの約1kmに渡り、300本余りの桜(ソメイヨシノ、シダレザクラ、サトザクラ、エドザクラなど)が、隅田川に「サクラのトンネル」をつくる。おすすめはメジロやヒヨドリが桜の花を啄ばむ、散りはじめの頃。
 鏡面桜に加え、落桜の絨毯とともにデッドスローで下るのは一興。一度経験したら忘れられない光景になる。大切な人、愉快な仲間と一緒にクルーズできれば、尚嬉し。
 「残念! 仰せの通り、つぼみか咲き始めなり…。」
 この数日は気温も低く、咲くに咲けない桜達はもう我慢の限界にみえた。このメルマガが配信される頃には一気に開花しそうな気配である。
 ぐーぐー鳴るお腹を宥めながら、桜橋下でUターンした。吾妻橋を潜ると、駒形橋を境に墨田区側護岸の散歩道テラスに「隅田川テラスギャラリー」が開催していた。

●橋の共演

 花見諦めモードで隅田川を下っているときにふと感じた。「スゴい。晴れた日にはどのように目に映るんだろう…」
 赤、黄、緑、青。
 今日は花見には向かない日であったが、次々に現れる様々な形、原色の橋達の美しさに感動した。
 陸地から眺める景色とは異なる視点で、「河を魅る」事ができる。やっぱりクルージングはやめられない。


取材協力

ニューポート江戸川
●〒134-0084 東京都 江戸川区 東葛西3-17-16
●TEL: 03-3675-4701/FAX: 03-3675-4703
●ホームページ: http://www.newportmarine.co.jp/
■ニューポート江戸川は会員制のマリンクラブ「Sea-Style」のホームマリーナのひとつ。「Sea-Style」は全国約130ケ所のホームマリーナで気軽にボートをレンタルし、楽しむことができます。また、ニューポート江戸川ではマリンクラブ「Sea-Style」の他に、会員制「ニューポートマリンクラブ」を主催。40ftにもなる大型艇もオーナー感覚でクルーズできます。お花見河川巡りなど、オリジナルクラブイベントも豊富。マリンレジャーをおもいっきり満喫できます





レポート:菊地眞弓(きくちまゆみ)
今は無き伝説のアウトドア雑誌「アウトドア・イクイップメント」編集員を経て、フリーライターに。趣味は旅・食・酒。魚釣りときのこ狩りに費やす時間は人生の宝。東京生まれ。
小名木川の萬年橋付近に立ち並ぶ桜のほとんどがつぼみの中、1本だけ咲いていた
晴れていればそのコントラストに目を見張るばかり
隅田公園横の桜を眺めながらスロー航行。来週末が楽しみ♪
浅草水上バス乗り場にて遊覧船を待つ人の列。空が寒々しい…
一枚あたりの大きさは、高さ約2.2メートル、幅約4メートル。両国らしい錦絵の伝統的な絵画を中心に展示している
三連のアーチ式で緑色の厩橋(うまやばし)。その奥が蔵前橋。蔵前橋付近には江戸時代に幕府の米倉や酒蔵が100軒も建ち並んでいたという。大富豪が周辺に住んでいたといわれる伝説の黄色い橋!
花見客で賑わう観光船や遊覧船に、あちらこちらで遭遇。その度に大きく手を振った(笑)
怪しい天候の下、最終クルージングスポット「浜離宮庭園」でランチ。桜の花色に合わせたのに…コーヒーポットが空しい


ヤマハニュース

新サービス「マリンクラブ シースタイルマスター」のご案内
YAMAHAサロンクルーザー「SC-30」をクラブ艇として導入しました。

シースタイル「マリン塾」開講!
ボートで遊ぶための技術を基礎からしっかり学べるボートレッスン講座。

「出動!マリンクラブ釣査隊」更新
日本各地でのフィッシングレポートをご紹介します。

漁船や沿岸漁業の情報「大漁ネット」今月は設計室だよりより
日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。


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【編集航記】
 「ボルボオーシャンレース」の第6レグが4月27日にスタートします。アメリカズカップをF1レースにたとえるなら、この世界一周レースはときに「海のパリダカ」とも称される、世界最高峰のフルクルーによる外洋レース。不況、不況と耳にたこができるこのご時世に、こんな酔狂なレースを続けるレーサーに尊敬の念を抱かずにはいられません。挑戦者たちの今後の展開にぜひ注目したいものです。(編集部・ま)

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