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お盆休みを目前にして、読者諸兄姉もマリンレジャーの計画に余念のない時期だろう。そんなシーズンを前にした7月の某日、横浜に本部を置く第三管区海上保安部が、恒例となったマスコミ向けの「ライフジャケット着用体験会」を開催した。
今年の実験台(?)はソルティライフ編集部に加わって間もないI君だ。最初は「仕事でプールに入れる」とばかりに少々浮かれていたI君だったが、実際に波風のあるプールに飛び込んでみて、どうだったのだろう。
まずは着衣のままプールに入ってみる。靴も履いたまま。実際、着衣の状態だと浮いているだけでもかなり体力を消耗するらしい。端から見ていてもかなりきつそうで、I君の表情も真剣そのもの。ところが次にライフジャケットを着用してプールに入るとI君の表情も一変する。確かにただのプールでのことだし、すぐそばに保安庁の潜水士“海猿”の方々が控えているので、緊張感を持てと言ってもむりがあろうが、「手足を動かさなくとも浮いていられる」というライフジャケットの有効性にすっかり安心しして、水に浮くという体験を大いに楽しんでいるようだ。
ライフジャケットの有効性はもちろん、この「浮く」という面にある。今年の春、千葉県の木更津沖で横波を受けたミニボートが転覆した。118番通報を受けて保安部が現場に到着したのは約40分後。現場の映像を見せていただいたが、この波で救助を待つ間、もしもライフジャケットがなかったらと思うと、想像するだけでも溺れそうになってしまう。ライフジャケットを着けるだけで死亡事故の確率が激減することにもうなずけよう。
さて、I君には実際に、小型の手漕ぎボートを転覆させた状態で、船体にしがみついて見るという体験もしてもらった。このときは約3メートルの波をプールに起こす。このボートにはしっかりとキールがついており、比較的つかまりやすいタイプのボートだったのだが、それでも波の中でボートにしがみつくという行為は難儀しそうである。実際にライフジャケットを着けていたI君も波にあおられた水を顔面にかぶりまくり、プールから上がったときには疲労困憊の様子であった。
海難事故の統計を見ると、その原因の多くは見張り不十分、または機関故障にあることがわかる。それらは、日常、そして出航前、出航後の機関点検といった基本を忠実に行っていれば、かなり防ぐことができそうだ。見張りについては言わずもがな。先述したミニボートの転覆というケースも、的確な気象判断ができていて無理さえしなれば、容易に防ぐことができる。いずれも船舶免許の取得時に習うことばかりである。
一方、落水事故はどうだろうか。今回の体験会の担当者にお聞きしたところによるとこんなケースがあったそうだ。
「夏にボートでアンカリングして楽しんでいた際、女性がトイレに行きたいと言うことで海に用を足しに入ったそうです。残ったボートは気を利かせて少しその場から離れた。しばらくすると、その女性が見あたらず、ついに探し出すことができなかったんですね。3日後にかなり離れたところで無事救助されましたが…。また、走行中に船首部で寝そべっていた女性が気づいたら船上から消えていたというケースもあります」
ようするに、いずれも船長の「見張り」で防ぐことのできるケースなのである。
本格的なマリンシーズンを控えて、あえて「安全」をテーマに書いてみたが、遊びの中でボートだけが事故を起こすわけでは、もちろんない。山登りやハイキング、キャンプ、ただのドライブでさえ事故というのは起こりうるものだ。
それを防ぐためには入念な準備が必要だし、また安全を確保するための装備(それは山登りにおける重装備だったり、車におけるシートベルトだったりするわけだが)が用意されている。そして何よりも必要なのは車と同様、安全運転とマナーであることはいうまでもない。これらと技術を含めて海の世界では「シーマンシップ」と称する。
とりあえず、ライフジャケットは常時着用しよう。
田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。 |
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以前このコーナーで紹介したビーチボーイズは初期サーフ・ミュージックの代表格に挙げられるが、現在はといえば今回紹介するジャック・ジョンソンになるだろう。
1975年生まれのジャック・ジョンソンはハワイ・オワフ島で生まれ、幼くして父親のサーフボードに乗り始めたという。高校生になると、世界最高峰のサーフィン大会にも出場する実力をつけると、プロ契約も結ぶほど成功を収めた。しかし17歳のとき、サーフィンの最中に大怪我をしてしまう。海に入ることができなかった期間に、以前から趣味としていたギターにのめり込むようになった。
「波を待っている間はゆったりとしたメロディーが頭の中を流れる」と自身が語るように、海をこよなく愛する彼が奏でる曲はまったりとしたアコースティック調。そこに口笛を吹きたくなるようなメロディーを持った詩が調和していることが特徴だ。以前と比較すると曲を構成する楽器や音そのものがいい意味でそぎ落とされ、より穏やかになりつつあるため、お酒を飲みながら聴き入っていると海にいても都会にいても、気持ちよくうとうとしてくる。それまで当たり前だったハードロックとサーフィンという組み合わせとは違うサーフ・カルチャーを築き上げた一人だと言われている。
今回紹介したのは2008年2月にリリースされた通常版に、リミックス版と映像が加えられた2枚組みのセット。
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「SLEEP THROUGH THE STATIC」
ジャック・ジョンソン
定価/2990円(税込)
輸入版
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時代小説に出てくる食事のシーンに興味を持たれる方は少なくないだろう。たとえば池波正太郎の「鬼平犯科帳」や「仕掛人・藤枝梅安」「剣客商売」などは、季節に合った江戸の料理の数々~料亭の料理から庶民の食卓まで~が登場し、食いしん坊の読者を大いに楽しませてくれる。
先日、友人に山本一力が面白いと聞かされて、編集子がたまたま書店で手にした「銀しゃり」もそうだった。タイトルから想像できるとおり、江戸は深川で商いをする寿司職人を主人公とした小説なのだが、登場する料理や飯の食べ方一つ一つがとても興味深い。
おけいの飯炊きの腕に大喜びした新吉は、今朝はとっておきの鰹節を削った。
熱々の飯に、たっぷりの醤油にひたした鰹節をまぶす。鰹節と大豆醤油の両方の旨味が、炊き立て飯のなかで混ざり合うのだ。
ひと一倍、米の吟味にはうるさい鮨職人ゆえに、新吉は飯の美味い食べ方を知り尽くしていた。
「ひとはこの食べ方をよう、猫まんまなどとひでえことを言うが、それはとんだ了見違いだ。米と鰹節と醤油の三つの美味さが揃ったら、余計な添え物はいらねえ」
(山本一力「銀しゃり」/小学館文庫)
この鰹節ごはんのポイントは、米、醤油、鰹節にこだわる、飯は炊き立て、といったところだろうか。新吉は商品である酢飯にはもちろん、自分たちが普段口にする賄い飯にも通常の1.5倍の値がする庄内米を使っていた。鰹節は「とっておき」とある。おそらく醤油にもこだわりがあったろう。
ヨットでのロングクルージング中、船上で美味い朝飯を手早く作るというのはクルーの腕の見せ所のひとつ。この極上「猫まんま」は、その点においてメニューに加えてもいいかもしれない。それどころかおもてなし料理にだってなるのではないか。客人の目の前で極上の鰹節を削って、ごはんにかけてあげるだけで、楽しい食卓になりそうだ。
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鰹節ごはん |
●材料
ごはん、とっておきの鰹節、とっておきの大豆醤油
●作り方
熱々の飯に、たっぷりの醤油にひたした鰹節をまぶす
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デッキパンツはデッキタイツともいい、ヨットなどのデッキ(甲板)ではくパンツのこと。労働着が多い海のファッションの中では例外で、キャビンのついている大型ヨットやボートで遊ぶときに着たものである。
ジャマイカ・レングスという七分丈のものが多く、ひざが曲がりやすいように切り込みが入れてある。たいていは体にぴったりしたもので、たくましい筋肉を誇示するようにできている。したがって上半身は裸でいたほうがさまになる。
デッキシューズは、ヨットなど船の甲板ではくのに都合よく作られた靴。滑らないように刻みをつけたゴム底、レザー製の甲、ひも留め式というのが古典的なデザインだが、現在ではスニーカーの中で軽快なデザインのもの、というほどの意味になっている。
なお、クルーソックスも船員、あるいは船乗りが使うソックスという意味で、本来は口ゴムをつけないアゼ(リブ編み・ゴム編みのようなもの)無地の短靴下だった。
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旅先でシースタイルを利用することは何度かあったが、沖縄での利用は初めてだった。近くには珊瑚に囲まれた美しい島が点在し、クルージングも充分に楽しいことはかつての取材で知ってはいたが、今回は迷わず釣りを楽しむことにした。なまじ海のことをかじっていると、リーフの多い沖縄の海は走りにくいのではという先入観が芽生えるが、しっかりとレクチャーを受ければそんな不安も解消する。事前にマリーナから情報を聞いて買いそろえたルアーと弁当をバッグに入れ、沖縄本島の東岸にある沖縄マリーナを目指した。
●スコールもまた楽し
青い空、真っ白な入道雲、照りつける灼熱の太陽。これぞ沖縄。沖縄マリーナをあとにウェイキを引いていくときの気分は最高だった。ところが出航後、西の空から真っ黒な雲が流れ始め、次第に空を占有していく。ぽつりぽつりと来たら、あっという間にスコールが到来した。雨は降らないに越したことはないが、これも沖縄の魅力だと割り切れるところが、自分の長所だと思う。どうせまもなく雨もやみ、再び青空が戻ってくるだろう。「仕事で垢まみれになっている身体を熱帯のシャワーで洗い流そうじゃあないか」などとクサイことを考えているうちに、雨はすぐにあがった。濡れて肌にまとわりついた米国・P社のシャツは、値が張るだけあってすぐに乾いてさらさらになった。
釣りの相棒は沖縄に住む釣り師、徳さん、そしてマリーナにクルーの同乗派遣を希望したら、この日はハーバーマスターの崎浜さん(今後は浜ちゃんと呼ぶ)が自ら乗り込んできた。3名の賑やかな釣り馬鹿たち。
狙いは「アカジン(スジアラ)」。沖縄の超高級魚なのだが、真っ赤な魚体が美しく、釣魚として申し分ない。沖縄マリーナのクラブハウスには見事な大物アカジンを手にした徳さんの写真が引き延ばして掲示してあった。俄然、気合いが入るというものだ。他の「ミーバイ」(ハタ類の総称)でもいい。
●リーフ際でナブラを発見
沖縄マリーナにおけるシースタイルの航行エリアは中城湾に限られている。しかし、沖縄マリーナでは5回以上の利用経験者と特別講習を受講したメンバーに限り、航行エリアを拡大してくれる。そうなると湾内の南端に浮かぶ久高島の南岸へも行けるし、東端に広がるリーフ付近もポイントとなる。当然、対象魚も広がりを見せる。カンパチなどの回遊魚から30kgクラスのガーラ(ロウニンアジ=GT)。これらは通常の航行エリア内でも釣れるのだが、確率はグンと高くなる。そんな話を聞いているうちに、とにかく釣れれば何でもいいという気分になってくる。
少しボートを走らせ久高の南へ。持参したタイラバを落とし込むが、潮が速すぎてジグが着底しないので場所を移動。久高の北に戻ってみたらリーフの際でアジサシの群れが狂喜乱舞しているではないか。ナブラだ。徳さんはすかさず、大型ポッパーを取り出しキャストを始めた。まさか今回「ガーラ」を狙うなんて考えてもいなかったので、自分のタックルボックスにはメタルジグとタイラバしか入っていない。キャスティングロッドももちろんない。「まあ、写真だけでも撮れればいいか」とあきらめて見物するが、いっこうに釣れず。そのうちにナブラもばらけはじめて、もとのミーバイ狙いに戻る。
●沖縄のファーストフィッシュは
よくあることなのだが、またその逆もあるのだが、自分だけがまったく釣れない。キロサイズのアカジンとはいかなかったが、浜ちゃんと徳さんにはボチボチくる。ところが私のルアーにはまったくこない。
数年前のモルディブ。2日間の釣行で自分だけがまったく釣れなかった。そのときは雰囲気が異様だった。船長もクルーもヘボな釣り師に気兼ねしてか、無口になってしまい重苦しい雰囲気が船上を支配した。そして最後の最後になって、素晴らしいサイズのGTが私のルアーに来たとき、船上はまるでお祭り騒ぎのように沸き立った。そんなことを思い出しながらひたすらタイラバを沈めては巻き上げる動作を繰り返していた。
そして、ついにきた。あたりが。もちろんリールを巻きながら感づいてはいたが、サイズは30センチに満たないかわいい魚。それでも、迂闊にも嬉しさがこみ上げてきたことを白状しよう。魚の名前は聞いたが、あまりにも難しくて(聞いたことのない沖縄流の名前だった)忘れてしまった。
●次回はもっと入念な準備を
釣果はさえないモノだったが、それでも沖縄の海で久しぶりに自由に遊べたことには大満足だった。ここでこれからシースタイルで遠征する予定の方へのアドバイスを含めて反省点を少々。
まず初めての場所での釣りで、10時から4時までの6時間はあっという間に過ぎてしまう。普段、東京湾でシーバスを楽しむにはそれほど感じなかった時間の感覚だ。クルー派遣を頼まず自力で釣行するのなら、なおさらだろう。従って、事前に入念な情報収集を行い計画をたてる必要がある。
また、今回の沖縄で感じたことだが、あらゆる状況に対応できるタックルを持参すべきだった。リーフ際でナブラを見たときは投げたくて投げたくてウズウズしたものだ。特にあちこちポイントを回っていうちに時間がなくなるので、狙いを定めるのもいいが、五目釣りを楽しむ気持ちでさまざまなトライをした方がよかったかなあと思えた。
とにかく、この夏の、皆さんの極上のボートライフを祈っています。
取材協力
沖縄マリーナ
●〒134-0084 沖縄市泡瀬1-41-12 ●TEL: 098-938-3397/FAX: 098-934-1162 ●ホームページ: http://www.okinawamarina.co.jp/
■沖縄マリーナは会員制のマリンクラブ「Sea-Style」のホームマリーナのひとつ。「Sea-Style」は全国約140ケ所のホームマリーナで気軽にボートをレンタルし、楽しむことができます。

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レポート:田尻鉄男(たじり てつお)
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久高島に沸き上がる入道雲
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5回以上利用、講習受講者に限り利用エリアが広がるシステム。対象魚もぐっとひろがる
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出航前にラインシステムを組む。狙うは大物アカジン
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この日のファーストフィッシュは徳さん
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ナブラを見つけてルアーを遠投するが空振りに終わる
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レポーターが沖縄用に持参したルアー。80gのタイラバを中心にメタルジグを少々
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この日の大物賞は浜ちゃん
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釣果はイマイチ。一番向こうの真っ赤な魚がアカジン(小物です)
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マリーナに隣接するレストラン「サムズ・バイ・ザ・シー」。アフターボーティングの食事に最適
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【編集航記】
最近読んだ本で新鮮だったのはジョン・グリシャムの「軌跡のタッチ・ダウン~報酬はピッツァとワインで」。グリシャムといえば法廷モノとの固定観念があっただけに、この作品は新鮮でした。NFLの三番手クォーターバックがイタリアのアメフトチームへ移籍、カルチャーショックを受けながら異国の地で活躍というストーリーなのですが、とくに興味を引いたのは登場するパルマの料理とワインの数々。海には関係ありませんが「船厨」コーナーの愛読者にとってはきっと嬉しい一冊になるはず。たとえばパンにオリーブオイルを塗り、生ハムとパルミジャーノ・レジャーノを乗せて食するシーンなどは、今回ご紹介している鰹節ご飯に通じるモノがあります。おすすめです。(編集部・ま) |
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