ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
MONTHLY COLUMN 冒険と挑戦
キャビンの棚 キャプテン・クックの足跡を辿る紀行文
「青い地図」
船厨 こだわりの一本釣りが美味さを増幅する
「サバのリュウキュウ」
海の博物誌 サカナの世界における男女関係!?
YAMAHA NEWS 「ヤマハマリンジェット2010年モデル(全6モデル)」を発表/「大漁ネット」更新
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MONTHLY COLUMN
 ヤマハでは年の瀬にマリンジャーナリストや一般紙誌の記者、マリン関連団体などを対象にアンケート調査を行い、その年の10大ニュースをまとめ、発表している。2009年は1位に「前人未踏のアースマラソン、間寛平さん出港」、2位に「八丈島沖、船底から4日ぶりの生還」、そして3位には「Tadami海の駅クルーズ、59駅訪問、約3000km走破して完結」が10大ニュースのトップ3に取り上げられた。
 2位のニュースは、絶望視されていた中で奇跡の生還を果たした乗組員のニュースで、回答者のコメント欄を読むと「海の男の精神力と絆を感じた」「海上保安庁の懸命な救助活動に感動した」といったコメントが目立った。また、マリンレジャー関係者にとっては、一昨年のイージス艦のニュースと同じく、人の生命や海の安全などついて深く考える契機となったこともうかがえる。
 さて1位と3位は、それぞれ目的や規模こそ異なるが、ともに「冒険」や「挑戦」がキーワードとなるニュースだ。
 間寛平さんは世界一周を目指し、2008年12月17日に大阪府大阪市をマラソンでスタート。ヨットでの太平洋横断を目指して千葉県の鴨川を出たのは2009年の1月1日のことだった。アメリカ西海岸のロサンジェルスに到着後はマラソンでアメリカ大陸を横断、7月14日には再びヨットに乗り、ニューヨークを出航し、大西洋を横断。8月17日にフランスのル・アーヴルに到着した。現在はユーラシア大陸を横断中だ。
 先日、とある酒席でマリン雑誌の編集者から聞いたのだが、この「アースマラソン」、テレビなどマスメディアでの露出はマラソンシーンよりも圧倒的にセーリングシーンの方が多かったのだという。普段の間寛平さんからはとても想像できないストイックさが多くの人々に好感を持って受け入れられていたのと同時に、海の魅力もまた、感じてもらえたようである。
 イラストレーター・Tadamiさんの海の駅クルーズは、寛平さんのチャレンジとはスケールは異なるが、10大ニュースの3位にランクインした。自らデザインした全長6メートルのボートに乗って、東京の江戸川から香川の多度津までの海の駅59駅を訪問した。通常のロングクルーズとは異なり、海の駅にボートを預けては東京に戻り、再びクルーズを開始するという1年間を過ごした。
 10大ニュースのアンケートの結果では「海の駅を世に知らしめた」と評価するコメントが多かった。Tadamiさんは単なるイラストレーターではない。日本のボートユーザーの1人であり、さらにジャーナリストとして日本のマリン業界に提言する立場にもある。ご本人と会話すると、そのことを充分にわきまえていることがわかる。今回の海の駅クルーズにしても、「海の駅というシステムにはかなりのポテンシャルを有していて、これによってクルージングの魅力も幅が広がる」としつつ、「正直言って駅によっては、その対応等に未だ発展途上中、という感が否めない時もあった」と振り返っている。そしてこうしたことも含めて世にモノ申しながら、ブルーウォーター派にとってより充実した環境が育まれていくことを願っている。
 日本一周など様々なロングクルーズに挑戦される方は意外と多い。極端に言えば、定年後に行うとか、“世捨て人”になるなどすれば、こうしたクルージングは比較的容易なのかもしれない。ところが、ここが評価されて然るべきポイントだと思うのだが、Tadamiさんの場合、この一年間、一度として仕事に穴を空けることなく、社会人として決して世を捨てなかった。すなわち、“クルージングの楽しみ方の一スタイルを開拓した”という意義があると思うのだ。
 さて、新しい年を迎えたわけだが、皆さんはどのような希望や挑戦を胸に抱いているのだろうか。僕としてはロングクルージング、とまではいかなくとも、少しでも海のそばにいられる一年でありたいのだけど。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
 「青い地図」キャプテン・クックを追いかけて(上下巻)
   著者/トニー・ホルヴィッツ 訳者/山本光伸
  発行/バジリコ
  定価/上下巻各1600円(税別)
 「本来探検とは、壮大な志から生ずるものである。しかし、実際には、世俗的な野望を達成するための舞台と化す」(「青い地図」本文)
 大航海時代の終焉にあたる10年間、帆船で地球を8週分、地球から月までとほぼ同じ距離を探検に費やしたキャプテン・クックの場合はどうだったのだろう。
 ピューリッツァ賞を受賞した米国のジャーナリスト、トニー・ホルヴィッツは、キャプテン・クックが航海で訪れた島々、タヒチやニュージーランド、そして最期を遂げたハワイまでを訪ねた。
 これまで多くあった“大航海時代モノ”は多くが学術書、歴史読み物の形態だったこともあるかもしれないが、本書の筆致は軽妙で陽気、加えて非常に読み応えのある紀行文で、さすがピューリッツァ賞受賞者の手によるモノといわざるを得ない。
 冒頭は、筆者が実際に応募して参加した帆船訓練の体験が取り上げられている。いわゆる体育会系の帆船訓練の中から、当時の船乗りたちがどのような航海をしていたのかを体験する様がまず楽しいし、同時に筆者への信頼感を抱くことができ、海好きとしては安心してその先へと読み進めることができる。そして最後には一人の探検者が、いかに現代の人間社会に影響をもたらしたかをおぼろげながら知ることになる。



船厨
 九州と四国が最も近いところの海峡は「速吸の瀬戸」と呼ばれる。急流の海で育った鰺や鯖は身が締まり、絶品となる。「関鯖」「関鰺」は、このなかでも一本釣りで釣り上げられ、なおかつ品質管理にこだわる大分の佐賀関漁協に水揚げされたもののブランド名だ。だが、この海域で操業する一本釣り漁師は、もちろんすべてが佐賀関から出漁しているわけではない。そしてそれらの漁師は佐賀関の漁師と同じように魚を大切に扱い、それ以上に品質にこだわる人もいる。たとえば、大分市内から出漁しているある漁師は、「水槽に活かした場合、ふつうの鰺は1週間で死ぬが、俺の釣った鰺は1ヶ月は生きていられる」と豪語する。鰺や鯖がかかると、独自の方法で網も手も一切使わずにイケスに移すこだわりようだ。
 その気概のある漁師に一本の美しい鯖をいただいた。前日釣り上げ、翌朝に締めた新鮮な鯖だ。「もちろん刺身でもいいが、夜食べるなら、少し身の締まりが落ちるから“リュウキュウ”にしたらいい」といわれた。さて“リュウキュウ”とはなんぞや。
 「切り身を醤油につけて、ネギとゴマを振ればいい」「うちの場合は生卵を絡める」「酒と生姜も忘れるな」
 大分の郷土料理であって、家庭料理。作り方は様々らしい。
 早速作って熱々のご飯に載せたら、笑みがこぼれるような美味さだ。漁師のこだわり様を知っているだけに、その美味さは感覚として増幅する。
「茶漬けにしても美味い」といわれたことを思い出したときには、器の“リュウキュウ”はすっかりなくなっていた。
サバのリュウキュウ
●材料
鯖(新鮮なもの)、醤油、酒、生姜、白ごま(適宜)

●作り方
1)鯖は3枚に降ろしたあと、ぶつ切りにする
2)適量の醤油、酒、生姜、白ごまであえ30分ほど漬けおく



海の博物誌
 最近は結婚しない女性がますます増えているのに対して、一方男性の方は必要以上に容姿に気をつかう人が多くなっているとか。古今東西、他からは分からない男女関係はどうやら魚の世界にもあてはまりそうだ。
 魚の世界では、もとからオスのほうがきゃしゃで容姿端麗。繁殖期ともなればいっそう体色を濃くし、求愛ダンスをしたり、巣づくりをするオスもいる。
 そうかと思えば深海魚「オキアンコウ」のように、ヒモのような生活をするオスもいる。「オキアンコウ」のオスは体調2cm。孵化するとすぐにメスの体に吸いつき、一生寄生してゆくというから、何とも情けない。オスの口はメスの組織と同化して、メスの血管から養分をとるというのだが、メスの体長が45cmと聞けばそれも納得できる。
 また2億年の歴史をもつ軟骨魚網、ギンザメ科の「ギンザメ」は、生殖器が3つあるという変わりダネ。最近では、額に生殖器を備え、メスにアタックする新種も発見されているとか。



ヤマハニュース

「ヤマハマリンジェット2010年モデル(全6モデル)」を発表

漁船や沿岸漁業の情報「大漁ネット」今月は設計室だよりより
日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。


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【編集航記】
 あけましておめでとうございます。十年一昔とよくいいますが、21世紀を迎えて大騒ぎしていたころが、まだつい最近のことのように感じます。周りの景色や社会は次々と変わっていくけれど、ひとたび沖に出れば、そこには昔と何ら変わりのない海があるだけ。海というのは昔と今と未来がひと繋がりの、時間の概念を越えた存在なのだと思われます。新しい年を迎えましたが、皆さまもぜひ、独特の時間が流れる海を、今年も大いに楽しんでいただければと祈ります。(編集部・ま)

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