ソルティライフ ソルティライフ
ソルティライフ ソルティライフ
イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
MONTHLY COLUMN もっと海に親しむために
キャビンの棚 マイルス・デイビスはなにげに海に合う「Milestones」
船厨 豪快かつ繊細「アイナメの丸ごと蒸し焼き」
海の博物誌 目印をなめて知る海の深さ
Salty One Day Boating 春の横浜 Fishing & Cruising
YAMAHA NEWS 「マリンクラブ・シースタイル」WEB入会スプリングキャンペーン!/「The FAIR! 2010 YAMAHA」/フィッシングボート「FF-21」新発売/サロンクルーザー「SC-30e II」新発売/「カジキ釣り講座」壁紙更新/「大漁ネット」更新
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MONTHLY COLUMN
 もう20年近く前になるのだが、海辺の活性化に取り組んでいた、ある漁業協同組合の組合長が「地元の小学校では“危険だから”という理由で海の近くの道を通学路から除外してしまった。ここは港町なのに、海辺に子どもたちが寄りつかない」と嘆いていた。
 そんな風潮になって、果たして水辺の事故は減っただろうか。WHO(世界保健機関)が公表した2005年の国別死亡原因リスト(人口10万人あたりの数値)によると、日本の溺死者数は男女平均4.95人で、イギリス0.4人の約12倍、オランダ0.55人の約9倍、アメリカ1.2人の約4倍と、突出している。水辺の事故の増加は、子どもたちに自然体験の機会を減少させる要因のひとつとなってしまうのだが、逆に、自然体験の減少が水辺の事故を増加させる要因のひとつとなっているとも考えられる。
 イギリスやオランダなどでは、官民が一体となって啓発活動や学校での教育など国を挙げて水辺の事故の防止に取り組んでいるという。また、マリンレジャー大国ともいえるニュージーランドでも同様で、以前から「ウォーターワイズ」という理念の元、子どもを海から遠ざけるのではなく、体験を通じて「自分の命を自分で守る」ことを教えてきた。ヨットやカヌーといったマリンレジャーに親しみながら水辺における安全の知識や環境保護意識をも習得するもので、ニュージーランドの教育省とヨット協会らが中心となってプログラムを作り上げた。もう25年以上も前から、オークランド周辺の小中学校に選択科目としてカリキュラムが取り入れられている。
 さて、さる3月24日、東京都内で「ウォーターセーフティ ニッポン」の設立記者発表が行われた。日本財団の笹川陽平会長が発起人代表となり、日本セーリング連盟、B&G財団、日本ライフセービング協会、日本カヌー連盟など7団体の代表が発起人となって誕生したもので、国内において「水の事故ゼロ運動」を推進することになった。また、設立協力者として、ニュージランドで同様の活動を行い、20年間で水の事故を半減させた実績のある「ウォーターセーフティ ニュージーランド」も名を連ね、プログラムの提供をはじめとする援助を受けることとなった。そして記者発表会にはサポーターとして女優の岸ユキさん、タレントで元オリンピック水泳選手の中村真衣さん、同じくマラソンの谷川真理さんなどもかけつけて応援メッセージを送った。 
 ウォーターセーフティ ニッポンが「水の事故」を減少させるために行うことは、もちろん規制ではない。ウォーターセーフティ ニッポンが掲げる行動指針には「自然体験を推進し日本の水の事故をゼロにする」「教育・体験・啓発による事故防止と意識改革の推進」とあり、具体的な行動としては「海遊び、川遊び、ヨット・カヌー、自然観察など、子どもたちへの自然体験の推進」「ライフジャケット着用、浮き身、モノを使った救助方法など水の安全教育の推進」「自然体験、水の安全教育に関わる、器財・教材の提供および指導者の派遣」などをあげている。子どもたちを水辺から遠ざけるのではなく、水に親しむ機会を増大させる試みが中心となっている。
 そもそも、なぜ、子どもたちを水辺へ誘うのだろうか。
 平成10年度に、文部省(現在の文部科学省)は「子どもの体験活動等に関するアンケート調査」を行ったのだが、その結果、自然体験が豊富な子どもほど、道徳観・正義感が身についている傾向が見受けられた。子どもたちの健全な成長にとって「自然体験は重要である」ことがようやく認識され、全国で自然体験を推進する取り組みがはじめられつつあるのだ。
 子どもたちを水辺から遠ざけてはならないとつくづく思う。そして、素晴らしい体験と知識を身に付けて、水の事故を少しでも減らしてゆければと願う。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
 「Milestones」
 マイルス・デイビス
 レーベル/Sony BMG
 定価/1,522円(税込)
     ※輸入盤参考価格
 マイルス・デイビスのトランペットはあまりにもジャズし過ぎていて、どうもソルティ・ライフで取り上げるのに気が引けてしまいます。海辺で、というよりも、煙草の煙の充満した酒場で聞くイメージが強いせいかもしれません。ただ、先日、よく晴れた真っ昼間の海を眺めながらこの「Milestones」を車の中で聞いていたら、妙にしっくりきたのも事実です。それともう一つ、マイルスを海に結びつけたくなる理由があって、それは、アーネスト・ヘミングウェイとの共通点だったりします。この二人の表現者の共通点とはただ、“いかにもアメリカらしいハードボイルド”であることにつきるのですが。
 マイルス・デイビスはいうまでもなくジャズの巨匠です。文筆界の巨匠であるヘミングウェイよりも遅れること27年、1926年に同じイリノイ州で生まれています(これも共通点のひとつです)。
 マイルス・デイビスが車のスピードに対して異常なほどの執着があったというエピソードも、興味深い。いろいろな本を読んでわかるのは、彼は常にスタイルに拘っていた、つまり良い意味でナルシストであり、これもヘミングウェイに共通しているような気がします。
 さて、そんなマイルスが生み出した「名盤」と呼ばれるアルバムは数あるのですが、この「Milestones」もその中の一枚です。音楽の専門コラムではないので詳細はプロの評論家にゆずりますが、おすすめはタイトルナンバーの「Milestones」と「Two Bass Hit」。ともにスピード感と開放感があって、夏の海辺にも合う曲だと思います。もちろん曲調だけでなく演奏もスゴイ。考えてみれば、キャノンボール・アダレイとジョン・コルトレーン、マイルス・デイビスが同じ場所で同時にブラスを吹いているのだ。ジャズにそれほど詳しくない人でも、感動するのでは?
 ちなみに「Milestones」には「里程標」の意味の他、「画期的」という意味があり、間違いなく「miles tones(マイルスの音)」をかけたモノだと思われます。タイトルからしてシャレています。(M.T)



船厨
 アイナメは「鮎魚女」と書く。語源の由来はアユのようになめらかなので「アユナメ(鮎滑)」、アユに似ているので「アユナミ(鮎並)」といった説があるが、どうもこの姿・形がアユに似ているとは考えにくく、どちらかとえば地方での呼び名「アブラコ」とか「アブラメ」の方がしっくりする容姿をしている。
 ただ、味は抜群で「鮎魚女」と書くにふさわしく上品で、さらに「アブラコ」という名が示すとおり、脂がノリにノっている。
 ある春の日、シーバスを狙っていたら、45センチとなかなかお目にかかることのできないサイズのアイナメを手に入れた(本号のSalty One Day Boatingを参照)。以前、この外道と呼ぶにはあまりにうますぎる魚を手に入れたときは、刺身で食し大満足だった。今回は何にしようかと大いに悩んだ末、素材の旨味を損なわず、しかも豪快に見える「蒸し焼き」を思いついた。ここで活躍したのが米国・ロッジ社の鋳鉄鍋「スポーツマンズクッカー」である。楕円形をしたこの大きな調理器具は45センチのアイナメがすっぽりと収まるサイズ。蓋を底にして焼けば、焼き上がりを蓋に載せたまま食卓に出せるので重宝する。
 できあがりは堅すぎず、柔らかすぎず、ミディアムレアで。熱々のアイナメにみんなで箸を出してほぐし、それぞれわさび醤油やポン酢、塩など、好みの調味料を使って食する。
 蓋を開けたときはあまりにもウツクシクはないその姿に「やはりこれは“鮎魚女”ではなく“アブラコ”だ」と気圧された感もあったが、お味の方は期待に違わず最高でした。
アイナメの丸ごと蒸し焼き
●材料
アイナメ

●作り方
1)アイナメの鱗とはらわたを取り、よく水洗いし、皮の上から少し切れ目を入れておく
2)鉄鍋と蓋はあらかじめよく温めておく(プレヒート)
3)鍋の底に焦げ付かないように網やアルミホイルを敷き、アイナメを入れ、蓋をして15分ほど強めの中火で蒸し焼きにする
4)ポン酢や醤油、塩など好みの調味料でいただきます



海の博物誌
 大型船は水深に気をつかう。最近は音響測深儀(船底から出した音波の反響で深さを知る)によって簡単に測れるが、帆船の時代には手用測船を使っての面倒な作業だった。
 手用測船はハンド・レッドの訳語で、ハンドは手、レッドが鉛。約3キロの細長い鉛にレッド・ラインという綱がついており、鉛を海に沈めて、出ていった綱の長さを読む。
 レッド・ラインには規定の長さごとに目印がつけてあり、係りの者はそれを読み取って深さを報告する。現在まで続いているスタイルでは、英米式は2尋めに2つの革片、3尋めに3つの革片、5尋めに白リンネル片という具合。日本式は5メートルめに白色旗布、10メートルめに革片、15メートルめに赤色旗布という風になっている。
 昔は海図も少なく、水深の記載もなかったから、不慣れな沿岸を航海するときは頻繁に測深しなくてはならず、夜間に測ることもあった。その場合、これらの印を触ったりなめたりして判断していた。なお、手用測船は今も船舶の備品(法廷備品ではないが)である。



Salty One Day Boating
 今年の3月の関東地方は春一番が吹いたあと、なかなか暖かくならず、とても寒かった。桜も咲きそうで咲かない。とはいえ、春の訪れを海で、ボートで満喫したくなって横浜へ。ショートクルージングと釣りを兼ねたシースタイルでの1日を過ごした。

●春のシーバスに大満足

 横浜からボートを出したこの日の前日、実は夜の東京港をクルーズするパーティ船に乗船した。隅田川を遡り、駒形あたりの夜桜を見物する予定のクルージングだったが、桜の開花が遅れ気味の今年は、コースを変更して、東京港内の夜景を楽しみながらのパーティとなった。そんなこともあって、以前から春のお花見を楽しみにしていたものの、当日は期待もそれほどしていなかった。
 ただ、その反面、この日の釣果は最高だった。
 八景島のシーパラダイスマリーナでYF-23に乗り込むと、横浜港沖のポイントへ一直線。この日はジギングでシーバスを狙った。魚探をチェックすると、ベイトらしき魚影が濃い。はやる気持ちを抑えつつ、シーバスにはやや重めかなとも思われるメタルジグをバーチカルに落とし込む。着底させた後に特にアクションも付けずに巻き上げる、という、比較的な単純な釣り。これが釣れないと、かなり飽きるのだが、この日は次々とシーバスがかかる。フォーリング中にアタリをとるならそれなりの技術も必要だが、これなら初心者でもOKだ。
 まさに入れ食い。40センチ台のセイゴクラスが圧倒的に多いのだが、そのなかに60センチクラスが混ざるという状況がひたすら続く。釣れすぎると面白くないというベテランにときたま出会う。いままで懐疑的だったものの、何となくわかる気もしてくる。それでもこれだけアタリがあり、そのたびに「次こそ大物か?」とそのサイズに期待をふくらませることができるのは、楽しくて仕方がない。やはり俗物なんだな、ワシらは。シーバス釣りは2回目という若手クルーは「いやあ、釣りも釣れれば楽しいんだね」と満足げ。そういえば前回は極寒のなか、一本も釣らせてあげることができなったのだと、思い出した。

●二分咲きの桜に春の訪れを思う

 昼も過ぎて、ある程度のサイズの中から魚体が美しいシーバスを2本ほどキープして、納竿。その後、みなとみらい地区へ向けてボートを走らせる。
 まもなく4月になろうというのに真冬のような寒さが続いていたが、海の上は思った以上に寒さを感じさせない。これもシーバスのおかげだろうか。
 この日はどこもかしこも観光地は混雑していたようで、ここ横浜も多くの人が遊びに来ているようだ。沖からベイブリッジをくぐり抜け、みなとみらい地区へ近づくと、多くの観光船が行き来している。
 いつも思うのだが、船に乗っていると、なぜ人は見知らぬ人に向かって手を振ったりするのだろう。行き交う船に乗る観光客たちはみんなこちらに向かって手を振ってくれる。そんなときはこちらからも恥ずかしがらずに手を振って応えることにしている。
 桜は予想通り、開花というにはほど遠い二分咲き。それでも観光船に乗る人たちの笑顔をみていると「開放感」とでもいおうか、春の訪れに歓びを見いだすことができるのだ。
 さて、釣りについて追記。帰港の途中、最後にもうひと振り、ということで立ち寄ったポイントで、若手クルーがアイナメをゲット。ちょうど、昨年のこの時期にそこで釣ったことを思い出し、バイブレーションを底に沈めてスローリトリーブさせて食わせたモノ。予想以上に大物で(45センチ)、釣り上げたときは一体何の魚かと思いましたよ。さっそく本号の船厨で使わせていただきました。


レポート:田尻鉄男

取材協力
シーパラダイスマリーナ
●〒236-0006 神奈川県横浜市金沢区八景島
●TEL: 045-781-1012
 ※マリーナ事務所は「ホテル シーパラダイス イン」の中にあります。
●ホームページ: https://marine.yamaha-motor.jp/Sea-Style/Common/Marina_Common.asp?marina_cd=80389373

40センチクラスのセイゴに混ざって60センチクラスが3回に1回の割であがってきた。若手クルーも満足げ
沖からベイブリッジをくぐり、みなとみらいを目指す
いかにも“横浜”といった中華ブネ。この日は桜目当ての観光船が多かったのだが
横浜の桜もまだ早すぎた。それでも春の訪れを感じるには充分
山下公園の桜も同様。それでもよく晴れたこの日は多くの人が春を楽しんでいた
最後の悪あがきでゲットしたアイナメ。とてつもない美味さ
東京湾は海中生物の宝庫。釣りもさまざまに楽しめる


ヤマハニュース

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【編集航記】
 マリンジャーナリスト会議が、マリンレジャーの発展や普及に寄与した活動等に対して表彰するマリン賞の中に、セーリングカヌーを使って日本の名湖52湖を愛犬とともに湖上清掃を行いながら帆走した方がいました。カートップでキャンプをしながら仕事の合間に休暇をとって活動を続けてこられたそうです。オンとオフのメリハリのあるすばらしい冒険だと感心させられました。大それたことでなくてもいい、何かやってみたいなあ、と思う今日この頃です。(編集部・ま)

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