ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
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MONTHLY COLUMN 男前の釣り
キャビンの棚 重みのある海の男の言葉 「マグロ船で学んだ人生哲学」
船厨 今年もブリの美味い季節がやってきた「ブリのオイルフィッシュ」
海の博物誌 天気図はフランス生まれ
YAMAHA NEWS 「マリン事業50年の歩み」更新/2011年ヤマハマリンカレンダー「SEASCAPE」予約受付中!/「大漁ネット」更新
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MONTHLY COLUMN
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 先日、とても楽しい釣りをすることができた。あるソーシャル・ネットワーキング・サービスを通じて知り合った釣り好きどうしでボートシーバスに行こうという、いわゆる「オフ会」である。私を含めた4名の釣り人(足すことの元気なお子様1名)はいずれも初対面。都内のシースタイルのホームマリーナで、いつもより奮発して「FR-23ActiveSedan」を手配した。
 私以外のメンバーはプレジャーボートフィッシングは初めてといってよいが、いずれも渓流やサーフでのルアーフィッシングの愛好家たちで、むしろ釣りに対する情熱や知識、経験は私など足下にも及ばないと思われる。この話も元々は一度渓流に連れて行って欲しいと私の方からお願いしていたものが、なんだかんだとしているうちに渓流が禁漁期間に入ってしまったため、「それではまず、秋のボートシーバスでもやりましょう」と盛り上がって実現したのだ。
 フレッシュウォーターでの釣りは多少の経験はあるけれど、彼らのブログなどを読むにつれ、その奥の深さや必要とされる技術のレベルの高さに舌を巻く。どこが、と聞かれると実は困るのだけれど、そもそも姿勢が異なるような気がするのである。
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 エピソードをひとつあげると、たとえば自然や魚に対する愛情のスケールが違う。シングルフックのバーブレスは当たり前。リリースするなら、いかに魚体にダメージを与えずに行うか、という考え方が自然と身についている。もちろんソルトウォーターの愛好者にもそうした考え方の方は多いが、私の場合はあまりにもキャッチ率が下がってしまったので、ここ1~2年はバーブレスは無視してきた。このたびそんな孤高の渓流釣り師たちとシーバスを楽しむにあたり、軽蔑されてはならぬと、実は前日に夜なべして、すべてのフックをペンチでつぶしてくる有様だった。
 マリーナに集合し初対面の挨拶を交わすと午前10時に出航。午後の4時までたっぷりと遊んだ。まず、レディファーストではないが、「フルキャスト大好き」と行ってはばからない女性サーフアングラーの意思を尊重して平場を狙うも、アタリは無し。その後は東京湾奥のストラクチャーをあちらこちらと回りシーバスを探る。それにしてもみんなキャストがとても上手いことに驚いた。キャストというより上手投げでルアーをぶん投げている身としては、サイドハンドで音も立てずにピンポイントでルアーを着水させる様はあまりにもカッコよく見える。


 さて、シーバスとのやりとりを期待してやってくるゲストを乗せての船頭役は、なんとつらいことか。特にアフトステーションのついていないレンタルのFR-23だと操船しながらの釣りはまず無理で欲求不満となる(実は小さな窓から身を乗り出して試したが抜け出せなくなって焦った)。で、プレッシャーに押しつぶされる(そんなタマじゃないが)。
 しかも、今回はキャッチゼロだった。そこそこヒットはありファイトも楽しめたが全てバラシである。「よし、きたあ!」と威勢のいい声は何度もデッキ上に響くのだが、その後続くのは「あ~!」とか「うぎゃあ!」など悲痛な叫びばかりなのである。その信念を変えるに至ったかどうかは別にして、ヒットした直後にえら洗いを繰り返すシーバスにおいては、やはりシングルフックやバーブレスは釣りを難しくする。もちろん、だからこそ面白いという意見に異論はないが。
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 さて、逃げていったシーバスに未練を残しつつ帰港。気になるのはこれだけバラシ続けたメンバーたちの初ボートフィッシングに対する感想である。
 主に奥秩父で活躍する埼玉県のU氏は「海の上で潮風と太陽光を感じながらの釣りは気持ちよかった」とこの日の釣行を振り返る。「普段は渓流ルアーをメインに釣りをしていますが、ストラクチャーの釣りでは、正確にキャストが決まらないと魚の反応を引き出せないという点がまさに渓流ルアーとの共通点。最大の魅力はショアから叩けないポイントに接近できること。これだけプレッシャーの高いフィールドでも、入れ食いなんて事もあるわけですから」
 栃木県の渓流をメインフィールドにしているS氏はボートシーバスを「男前の釣りだ」と表現した。「海の上を疾駆するボートは、まさに貴族の乗り物という感じ。車ともバイクとも違うトルク感、風景の動きと、水の上をプレーニングしていく感覚が気持ちよかったですね。初めてのボートシーバスには、馬に乗ってポイントからポインへと狩りに行くようなイメージを抱きました。釣りをするとか魚を捕るというのではなくて、魚を狩るというか。男前の釣り、それがボートフィッシングの魅力なんだと思いました」
 ああ、一緒に行って良かった。しかし、この日の解散後、同世代の彼らと彼女の3人は、およそ一回りほど年の離れた年長者の私をのけ者に、仲良くラーメンを食べに行ったことが判明。そのことについてはいまだに根に持っている。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
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「マグロ船で学んだ人生哲学」
著者/齋藤正明
漫画/腹肉ツヤ子
発行/biz講談社
 サブタイトルは「ボクの生き方を変えた漁師たちとの一問一答集」。海の本ではなく、ビジネス書である。それでもマグロ船の生活や様子が垣間見ることができるのはとても興味深い。何よりも、魅力的な海の男たちの口から出てくる言葉がイイ。「ボクの存在意義って何でしょうか?」との問いに「んなもん、ねえ!!」と応える親方。いっけんいい加減に見えて、重みのある言葉の数々はなるほどと、納得させられるものばかりだ。
 当時サラリーマンだった著者の齋藤正明氏は上司の理不尽な命令で40日間の遠洋漁業の航海に放り込まれる。マグロ船用の鮮度保持剤の開発のためだ。ひと癖もふた癖もありそうなマッチョな8人の海の男たちの世界に入り込み、狭い船内で見聞きした経験がその後の氏の人生を大きく変えることになる。
 弱気になりつい口から出てしまう疑問、生き方に対する不安、そんな著者に対して漁師たちは真摯に、ときにいい加減に応えていくが、それが、ひとつひとつ真理だったりする。
 板子一枚なんとやらといった特殊な世界だからこそ、漁師たちは独自のコミュニケーション術やストレス対処法を持っていた、というわけだ。
 後半部、コック長のいう「本やらは枕にするのが一番じゃ」という言葉。ビジネス書でそんなことをいったら元も子もないようだが、成功者の本はすべて後付けだという主張は面白い。が、確かにその通りだ。



船厨
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 ブリ、ヒラマサ、カンパチ。これらのアジ科の魚は姿形が似ていることもあって、何かと混同されることが多い。加えてそれぞれのサカナは地方によっても名前が異なるからますます混乱する。特に冬の代表的な味覚のブリにいたっては出世魚であるからして、大きさ・成長度合いによって多数の名前があり、ますますもって何が何だかわからなくなる。
 ブリの成長によって名付けられた呼び名は関東と関西ではおおむね次のようになる。
関東:ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ
関西:ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ
 お気づきのように元々関東ではハマチというサカナはイナダのことを指すが、西日本の養殖魚が出回っているからだかろうか、ハマチという言葉が一般化していて、別のサカナだと思ってしまう。
 九州北部では20センチ未満のブリの幼魚、つまり関東で言うところのワカシをヤズという。ところが先日広島で釣りをしていて気づいたのだが、あのあたりではヤズは関東のイナダにあたるようだ。さらにハマチは60センチ、70センチクラスのワラサやメジロのことを指していた。
 どのサカナにだって成長過程がありそれに準じた体格を持つ。それなのにスズキやボラやハマチなど出世魚と呼ばれるサカナたちはなぜ大きさによってそれぞれに名をつけられたのかまったく謎である。
 そんな面倒なことを考えながら寒ブリの切り身を調理した。たっぷりの油で煮魚のように焼き上げたオイルフィッシュ。シンプルな醤油のソースをかけまわし、ひとたび口に放り込めば、香ばしく、ふくよかな味に心まで満たされ、面倒な思考も途切れた。
「ブリのオイルフィッシュ」(4人前)
●材料
ブリの切り身4切れ、醤油大さじ2、塩・胡椒適宜

●作り方
1)ブリの切り身に塩・胡椒をして1時間ほど置く
2)スキレットに油を多めに入れ弱火であたためる
3)油の音がし始めたらブリを入れ両面をこんがりと焼きあげ取り出す
4)スキレットに残った油に醤油を加えさっと煮立てソースをつくる
5)皿に盛ったブリに4をかけ回してできあがり



海の博物誌
 気象衛星が登場して、天気予報を画像で見るのが普通になった。新聞にも雲の写真が載っているし、テレビの天気予報はますますビジュアル化している。インターネットはもちろん携帯電話でだってみることができる。やがて天気図は引退、ということになるかもしれない。
 さて、その天気図、生まれは1956年、フランス。パリ天文台長ルベリエが作ったものが最初といわれている。
 1854年、かのナイチンゲールが活躍したクリミア戦争で、突然の大暴風雨によって艦隊を全滅させられたナポレオンが、嵐を前もって知っていれば損害を減らすことができたと考え、ルベリエに天気予報を命じたのである。しかし、その発行までには、さらに日時を要し、1863年からとなった。
 イギリスでは1860年から天気図を描き始め、1872年からの発行。日本で初めて天気図が作られたのは明治16(1883)年。各地に測候所を作り、観測に励んだが、なにしろ東京気象台開設からわずか8年後のこと、データが少なくて予報はなかなか当たらなかったとか。



ヤマハニュース

「マリン事業50年の歩み」普及活動・ヨットレースの歩みを更新
ボート、ヨット、ジェット、船外機などヤマハマリン事業の歴史を紹介します。
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/history/

2011年ヤマハマリンカレンダー「SEASCAPE」予約受付中!
http://www.ysgear.co.jp/e-shop/special/vol52/0002.html

漁船や沿岸漁業の情報「大漁ネット」~今月は設計室便り
日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/lineup/pro-fish/tairyo/


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バックナンバー
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【編集航記】
 先月、淡路島で取材のため、底引き漁船に乗せていただきました。出港は4時30分、帰港は14時。およそ10時間も漁船にひたすら乗っていたのですが、それが楽しい。もちろん快晴・べた凪という海象も手伝ってくれましたが、美しい星空、夜明けの群青色の空と美しい朝焼け、昼になればカモメがひたすら漁船の共をする。海って本当にイイよなあ、と思うわけです。もちろん釣りで9時間も海に出られたらもっと楽しいのですが。

(編集部・ま)

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