ソルティライフ ソルティライフ
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いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
イラスト・Tadami

謹んで地震災害のお見舞い申し上げます。

この度、東日本大震災により被災された皆さまにお見舞い申し上げるとともに、
被災地の一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。


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MONTHLY COLUMN 世界遺産の海
キャビンの棚 まさにボートマンのためのクラシック「メンデルスゾーン:序曲集」
船厨 みずみずしさを運んでくれる真夏の酒「モヒート」
海の博物誌 健康食「海のギャング」ウツボ
Salty One Day Boating 景勝地クルーズと豊潤な釣りを楽しむ
YAMAHA NEWS フィッシングボート「SR-X」イメージ映像公開/第23回全国児童「水辺の風景画コンテスト」のご案内/各地の「海遊びプラン」更新/「出動!マリンクラブ釣査隊」高知県・土佐湾のネイリ、オオモンハタほか
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MONTHLY COLUMN
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 世界遺産巡りの旅がちょっとしたブームのようだ。これはなにも日本人にかぎった話ではなく、世界中の裕福な人々にとっても同じようで、世界遺産に赴くと様々な国の団体旅行客にであう。たとえば以前、取材で訪れた世界遺産のひとつクロアチアのドブロブニクなど、これまでほとんど日本で知られることのなかった地名のはずだが、市街地を歩けば日本人の団体客に会うことができる。日本からの直行便(チャーター便)もあるとのことで、そのことからも世界遺産が観光客誘致に絶大な威力を持つことが伺える。
 そもそも世界遺産とは何か。世界遺産活動を推進するユネスコの資料によると、「地球の生成と人類の歴史によって生み出され、過去から引き継がれた貴重なたからもの」と説明されている。そして登録された世界遺産には技術協力や保護・保存・整備などを円滑に行うための支援が行われる。条約が締約され184カ国が加盟し、世界遺産に登録される物件の登録や削除は、加盟国の中から選ばれた21カ国によって構成される世界遺産委員会が行っている。
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 そして世界遺産には、顕著な普遍的価値を有する記念物、建造物群、遺跡、文化的景観などを対象とする「文化遺産」、絶滅のおそれのある動植物の生息・生息地などを含む地域を対象とする「自然遺産」、その両方の価値を兼ね備えた「複合遺産」の三種類がある。
 現在、世界遺産に登録されているのは936件(文化遺産725、自然遺産183、複合遺産28/2011年6月現在)。日本では16件が登録されており、12件が文化遺産、自然遺産は白神山地、屋久島、知床、小笠原諸島の4件だ。
 人類が脈々と築き上げてきた文化や、かけがえのない自然について知り、それらを守っていこうとする気運の高まりは、大いに歓迎すべきことだろう。そして特に世界遺産に登録されなかった、また、これからも決して登録されることはないだろうと思われる自然や文化について考えを巡らせることができるのも、この制度が与えてくれるひとつの価値だ。
 さて、さきごろ登録された小笠原諸島は、自然遺産としては日本で4件目にあたる。小笠原の場合は「陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの」という要件が特に評価されたもの。
 世界遺産に登録された文化遺産や自然遺産はいずれもその名に恥じることのない素晴らしい価値がある。海を遊びのフィールドとしているマリンファンの方々にとっても、海辺の文化遺産は遊びに知的なエッセンスを与えてくれるし、自然遺産は海にいることの喜びや自然への感謝の思いを増幅させてくれるだろう。
 だが、過度の観光地化によるトラブルをはじめ、課題もある。小笠原でもそのことが懸念されており、例えば南島では、指定されたガイドの同伴、一日の上陸者数制限(100名)、最長滞在時間2時間、冬季3か月間は上陸を禁止するなどのルールが決められた。飛行機も飛んでいないので、そうやすやすと行けるところではないが、小笠原に限ったことではなく、訪れるからには、しっかりとその価値を踏まえ、慎みある行動が求められるのは言うまでもない。


※写真は掲載順にクロアチアのドブロブニク旧市街、ベトナムのハロン湾、フィンランドのスオメリンナ要塞。いずれも世界遺産。

田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
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「メンデルスゾーン:序曲集」
指揮/クラウディア・アバド
演奏/ロンドン交響楽団
レーベル/ユニバーサル ミュージック クラシック
参考価格/¥1,200
 ドビッシーの交響詩「海」は別格として、クラシック音楽で「海」がテーマの作品は数少ない。交響詩「海」には、古くはマルティノン、ミンシュ(ミンシュ盤にはイベールの交響組曲「寄港地」がカップリング)、アンセルメ、そしてアシュケナージ、デュトワ、アバドなど、多くの名盤が続く。ドビッシーには他にも「夜想曲」に〈シレーヌ(人魚)〉、「小組曲」に〈小舟にて〉がある。同じ印象派のフォーレには「舟歌」。ラベルには「海原の小舟」がある。他にまっさきに思い浮ぶのがメンデルスゾーンの序曲〈フィンガルの洞窟〉。この潮気たっぷりの序曲を収めたのが、「序曲集」。
 〈フィンガルの洞窟(ヘブリディーズ諸島)〉はターナーの名画〈スタッファ、フィンガルの洞窟〉を思い起させる色彩豊かな作品。険しい岸壁に押寄せる大波小波、波しぶきにぼやける遥かな水平線。沈み行く太陽、多彩な海の表情がそこにはある。
 〈美しいメルジーネの物語〉は中世の人魚姫伝説からの作品。序奏の海の表現が爽か。
 〈海上の凪と成功した航海〉はゲーテの詩に寄せたものだ。
 凪の表情の柔らかな静けさ。「深い静寂は水を制して、動きもなく休んでいる…」 
 やがて喜びに満ちた航海が始まる。「霧は晴れ、空は明るく輝く。エオルス(風の神)がおずおずと風の袋の紐を解くと風がそよぎだす。急げ!急げ! 波は砕け、二つに割れて、はるかな目的地も近づいてきた…」
 曲は華やかな入港のファンファーレで終る。まさにクルージングの楽しさを彷彿とさせるボートマンのための曲だ。



船厨
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 モヒートといえば、ヘミングウェイが有名であるらしい。ヘミングウェイがキューバにいた頃に通っていたとされる酒場「ラ・ボデギータ・デル・メディオ」には「わがダイキリはフロリディータ、わがモヒートはボデギータ」と記された署名入りプレートが掲げられており、その根拠となっている。「らしい」と書いたのは、実は筆者がモヒートという酒とヘミングウェイの関係について知らなかったこと、そして調べてみたら、ヘミングウェイがモヒートを愛飲していたという逸話に異を唱える人もいることを知ったから。
 「ヘミングウェイの酒」の著者であり、エッセイストのオキ・シローさんもヘミングウェイのモヒート愛飲説に疑問を投げかけるひとりだ。その根拠を要約するとおおよそ次の通りである。
 まず、ヘミングウェイは自分の気に入った酒はすべてといってよいほど作品中に登場させているがモヒートに関する記述は見当たらない。そして、ヘミングウェイは砂糖を使ったカクテルは飲まない(ただしモヒートに砂糖を使わないレシピがあれば別だが)。そしてこれは決定的だが、ハバナ時代のヘミングウェイと友人関係にあったキューバの作家、フェルナンド・G・カンポモアールは「ヘミングウェイはラ・ボデギータに足を踏み入れたことは一度もない。あの言葉は自分が商売繁盛を願って作ってやったものだ」と証言している、などだ。
 ヘミングウェイとモヒートについての蘊蓄を彼女の前で語る恋敵でもいたら、こんな逸話をかぶせてやればいい。性格の悪い奴と思われるかもしれないけれど。
 ただ、もしもヘミングウェイが本当にこの酒を飲んでいなかったとしたら、彼にとってそれは損失だったかもしれない。それほどにこの酒は、真夏の海がよく似合い、そして旨い。
「モヒート」の作り方
■材料:ホワイトラム(BACARDIが由緒正しい)適量、ミントの葉適宜、ライム1/4個、砂糖1tsp~3tsp、ソーダ水、クラッシュアイス
■作り方
1)タンブラーにミントの葉、ライム、砂糖を入れ、ペストル(すりこぎ棒、なければバースプーン等で代用)でつぶす
2)その上にラム、ソーダ水、アイスを加え、軽くステアする。



海の博物誌
 夏バテ予防の代表的な食材に「鰻」がある。夏の、土用の丑に食した方も多いだろう。
 さて、鰻のように細長い魚は身体にいいのか、もうひとつ健康食として密かに知られているのがウツボ。見かけがあまりにも狂暴でグロテスク、別名“海のギャング”とよばれるウツボは、外道として知られ、処理に困ることもしばしばある。
 大きい口に鋭い歯、無表情な目、鎌首をもたげて磯からゆらゆらしているのはなんとも不気味。成長すると体長は1メートル以上、なかには2メートルに及ぶものもいる。
 ウツボの生物分類はウナギ目ウツボ科。ウロコや胸鰭、腹鰭がないのが特徴だ。肉食で小魚やタコが大好物。見た目はグロテスクだが、意外と美味しいことでも知られている。
 塩干にしたものを(三枚におろしたウツボを塩水につけ乾燥させる)、細かく刻んでから軽く炙ったり、甘辛く煮て佃煮にすれば酒のつまみにもぴったりの一品になる。
 昔から漁師の栄養食、鳥目の特効薬や産後の妙薬とされてきたという実績もある。小骨が非常に多く、これがカルシウム。ゼラチンの固まりのような皮、これがコラーゲン。カルシウムは骨や歯を作るばかりでなく血液をアルカリ性にしたり、心筋の収縮作用を増す働きがある。欠乏すると神経過敏になるので、最近イライラ感の強い人にはお奨めだ。とはいっても調理された状態で販売されていることは希なので、口に入るまでにはかなりの作業が伴う事を覚悟したい。



Salty One Day Boating
 美しい海と景勝地が続く海岸線。海水浴をメニューに入れたショートクルージングやフィッシングなど、静岡県の西伊豆は、最高の一日を演出してくれる。伊豆半島南西部の松崎からボートを出し、夏の海を満喫した。


●海と温泉、史跡の町・松崎

 出港時間に余裕を持って、少し早めに松崎の町に入った。氷と飲み物、お弁当を買い、その後、車を駐車場に入れ、史跡の多い松崎の街並みを散策する。町の中心を流れる那賀川に沿って遺る歴史を感じさせる街並みに代表されるように、松崎には史跡が多い。ときわ大橋のそばにたたずむ明治時代の商家・中瀬邸をはじめ、時計塔、伊豆の長八美術館など、独特のナマコ壁を使った建築物が並び、独特の風情を醸し出しているのだ。出港前の早朝だけに人の気も少なく、のんびりと散策できるのでおすすめだ。
 伊豆半島は温泉が豊富なことでも知られている。松崎でもご多聞に漏れず、松崎温泉、大沢温泉、三浦地区にある岩地温泉・石部温泉・雲見温泉など豊富だ。海岸沿いには磯料理の専門店も多く、温泉と合わせて充実したアフターボーティングを過ごせそうである。
 さて、町巡りのあとはお目当てのホームマリーナへ。今回のマリーナは「伊豆松崎マリーナ」だ。静かな那賀川河口の港内に面したマリーナは、とてものどか。YF-21CCはすでに下架されて、準備万端・ビデオによる簡単なレクチャーを終えると、さっそくタックルや弁当を積み込み、舫を解いた。

●堂ヶ島巡りと夏のお祭りフィッシング

 この日の目的はキャスティングによるドラド・フィッシング、つまりシイラである。シイラはハワイで“マヒマヒ”、英語では“ドルフィンフィッシュ”、さらにスペイン語で“ドラド”の名で知られる。カジキ狙いの外道というイメージもあるが、表層でルアーにアタックし、強烈な引きを楽しめる。キャスティングには最高のゲームフィッシュのひとつといえるだろう。また季節の潮にのって回遊し、日本近海では夏の風物詩ともいえる魚だ。
 しかし、シースタイルでこの釣りを楽しもうとなると、少しばかり制約が伴う。航行範囲内で釣れるエリアがどうしても限られてくるのだ。シースタイルのホームページでホームマリーナの地図を眺めながら、どこなら可能性があるかを考え、選んだのが今回の松崎沖なのであった(もちろん他のエリアでも楽しめそうなところはあるのでぜひご検討を)。
 波風穏やかで気持ちのいい真夏日。出港後、西方3マイル沖に位置する浮標を目指す。その間にもボートを走らせると流木やゴミがたまっている潮目を発見できる。群れを視認することはできないが、シイラのつきそうな流木を見つけると、その日のファーストキャスト。着水後、リトリーブをはじめようとした瞬間にシイラが飛び出してきた。身体もまだ慣れぬ内の最初のヒットは正直きつい。ライトタックルで慎重に、またへとへとになりながら寄せ、何とかキャッチしたシイラは90センチ弱。メーターには届かなかったが「きょうはもう釣りはいい」と思ってしまうほど、充実した疲労をアングラーにもたらせた。
 その後、最後までシイラが群れで海中を舞うようなシーンは見られなかったが、こつこつとポイントを打って3本のシイラと戯れることができた。
 松崎でのシースタイルの魅力は釣りだけにとどまらない。帰り際に、観光船が行き交う景勝地・堂ヶ島に立ち寄ったりもした。自分でポイントを探し出し、誰に気兼ねすることもなく時間をかけてファイトを楽しみ、気が向けばクルージングを満喫。こんなことができるのも、シースタイルだからこそ。乗り合い船の釣りでは決して得ることのできない充実した夏の一日を過ごすことができる。


取材協力
伊豆松崎マリーナ
●410-3618 静岡県賀茂郡松崎町道部371-1
●TEL: 0558-42-0396
●ホームページ: https://marine.yamaha-motor.jp/Sea-Style/Common/Marina_Common.asp?marina_cd=80311020
※レンタル利用期間は4~11月


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レポート:田尻鉄男(たじり てつお)
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那賀川の河口にかかるときわ大橋と時計台
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明治時代の商家・中瀬邸。日中は内部の見学もできる
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西伊豆の山々を背景に快走
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とにかく潮目をめがけてフルキャスト。気持ちいい
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この日のファーストキャッチが最大サイズ。雄のシイラ
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水中で美しい体躯を翻すシイラ。これは雌
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松崎の北に位置する堂ヶ島。洞窟巡りの観光船が往来する
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天気が良ければ勇壮な夏の富士も拝める
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マリーの対岸には漁協の直売所。新鮮な魚介を土産に


ヤマハニュース

フィッシングボート「SR-X」イメージ映像公開
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/lineup/boat/fishingboat/sr-x/

第23回全国児童「水辺の風景画コンテスト」のご案内
お子さまたちの水辺とのふれあい体験を作品にして応募してみては?
http://www.ymfs.jp/project/culture/contest/2011/

各地の「海遊びプラン」更新
マリンクラブが企画するエリアの特徴を活かしたオススメプランの紹介です。
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/plan/

「出動!マリンクラブ釣査隊」高知県・土佐湾のネイリ、オオモンハタほか
日本各地でのフィッシングレポートをご紹介します。
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/report/


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【編集航記】
 ソルティライフではみなさまに日々、潮気のあるライフスタイルを過ごしていただきたいと願って編集い取り組んでいますが、このメールマガジンがきたる10月、いよいよ配信100号を迎えます。100号では、特別企画も計画中です。どうぞご期待ください。
(編集部・ま)

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