ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
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MONTHLY COLUMN ボートフィッシングのスタイル。
キャビンの棚 備えあれば憂い無し「世界のどこでも生き残る 完全サバイバル術 自分を守る家族を守る」
船厨 三陸・初夏の磯の香りを愉しむ 「ウニ丼」
海の博物誌 航海の規模によって使い分けられる海図
Salty Who's Who ブラインドセーラーの感性に魅せられて
YAMAHA NEWS ボート免許更新お知らせサービス/クルージングボート「NYTRO(ナイトロ)」イメージ映像公開/操船レッスン「マリン塾」/東日本大震災の被災地向け復興和船について
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MONTHLY COLUMN
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 一時期、ボートシーバスの楽しみ方として、ライトタックルにこだわっていたことがある。ペラペラのバスロッドにラインシステムは組まずにナイロンの6lbテストクラスにルアーを直結していた。当時の釣り仲間が面白いというから自分もそうしていたわけだけど、確かにバイト後の魚とのやり取りはスリリングだ。
 けれどその反面、かなり慎重でないとラインブレイクは多発する。フックはバーブレスなので、口にぶら下がったルアーは自然に外れるのだろうけれど、それでもナイロンラインやプラスチック、金属類を海に捨てているという罪悪感が残る。何より一個1500円以上もするルアーが、魚にも人にも、誰にも喜ばれない形で海の藻屑となるのは悔しい。
 それだけが理由ではないが、最近では、魚をキャッチするということが目的である以上、ヘビータックルとまではいかないまでも、パワーにある程度余裕のあるタックルを使うべきだと思うようになった。
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 家を出て、ボートに乗って魚を釣り、帰港して家に戻って、たまには釣果を肴に一杯やる。魚釣の一日が、まあ、そんなものだとして、どの場面が一番楽しいかは人それぞれだろう。僕の場合はたいていどんな場面でも幸福を感じるが(マリーナに向けて車を走らせている時でさえ)、ここぞ、と思ったところにボートを止め、狙ったポイント、レンジにルアーを泳がせ、魚がバイトした瞬間が好きだ。そしてその魚を一尾、一尾、拝みたいと願う。その目的を達成するための手法として、ライトタックルはいまひとつしっくりこないと思うようになった。リリースが前提であるならばなおさらで、パワーのあるロッドで素早く目的を達成して早く魚を海に戻した方が自然へのダメージは少ない。もちろん自己満足だけれど。
 東京でシーバスを釣り出してから20年近く。その間、釣りに対する考え方はコロコロと変節している。ウォルトンの「釣魚大全」を読み返し、開高健の「オーパ!」をぱらぱらとめくったり、時には釣り仲間とバーで語り合ったりしていると、いろいろな発見がある。釣りを文学や哲学みたいに受け入れるのも、他のアウトドアレジャーにはなかなか無い魅力のひとつかもしれない。
 さて、節操なく考え方やスタイルが変わっていく中で、海ではボートを操船しながら釣るというスタイルだけは変わっていない。遊漁船もチャーターガイド船も実は利用したことがない。もちろん釣りを楽しむ手段としてそれらを否定する気は毛頭なく、僕の釣りはボーティングの延長線上にあり、さらに乗り合いを避けるのはいい歳して人見知りが激しいのと、プロの船頭と釣りをするのは、少年野球でお父さんに代打をお願いするような感覚に陥ってしまうから。
 そして何より、海の上で、自由な空間と時間が得られるのもマイボートやレンタルボートならでは。ナブラが沸くのを待ちながらのんびりとボートでぷかぷか揺れている時もまた、魚に出会う瞬間と同じく、至福に導いてくれる。
 そろそろ、関東近海にも青物が入ってきた。東京湾奥から離れて日帰りできる範囲内であちこちの海に出かけることになる。各地のホームマリーナでボートをレンタルできるシースタイルの存在はまことにありがたい。


田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
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「世界のどこでも生き残る 完全サバイバル術 自分を守る家族を守る」
発行:日経ナショナル ジオグラフィック社
著者:マイケル・S・スウィーニー
定価:2400円(税別)

 5月、関東地方で竜巻が発生し、甚大な被害をもたらした。小欄がこの書籍を知ったのは、そんな自然の猛威を見せつけられた直後であった。これまで、竜巻など海外のニュース映像ぐらいでしかみたこともなく、もちろん自分がそれに巻き込まれるなど想像をしたこともなかったという人は案外と多いだろう。いや、もしかしたら5月のあの被害をニュースで観た今も、対岸の火事として眺めていたかもしれない。でもあの竜巻は関東地方で実際に起こった。
 ボートに乗っている時、我々は鮫の餌食になろうなどとは考えたこともないだろう。だが、もしも遭難して救命筏に乗っているとき、または運悪くボートから落水し、ライフジャケットに頼って海面を漂っている時、鮫の恐怖は現実味を増す。だが、果たしてどうすればよいのか。ボート免許教室でも教えてくれない。そんなことを知らなくてもマリンレジャーは楽しめるかもしれないが、あらゆる状況を想定し、対応できるように準備をすることは、アウトドアレジャーの基本である。そしてシーマンシップに長けた優秀な船乗りとそうでないものの差はそんなところに現れるものかもしれない。
 本書には野外活動時に起こりうるさまざまな自然現象などから身を守るサバイバル・スキルを身に付ける目的で発行されている。あらゆる発見があって読み物としても楽しめる。なお、もし鮫に襲われたら、エラや目など敏感な部分をなぐるなどするといいそうだ。




船厨
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 三陸沖の海は豊饒だ。金華山沖のサンマ漁や気仙沼の牡蠣養殖などが知られるように、沖合は親潮と黒潮がせめぎ合い、リアス式海岸で創られた大小の湾もまた栄養たっぷりだ。
 昨年の震災後もその海は変わらずに目の前にあるのだが、漁船の再建、港の修理がはかどらず、漁師たちは海に出たくてもままならず、やむなく陸の仕事に就いていたりもしている。
 それでも共同利用漁船が徐々に進水し、三陸の漁業も一歩一歩、復興の道を進んでいる。 しっかりとした港を必要とする漁船漁業や、または多額な資材への投資が必要な養殖業はもう少し時間が必要かもしれないが、ウニやアワビなど採貝漁は行われていて、釜石の土産物屋などには地元産のウニが並んでいた。
 早速手に入れて自宅でウニ丼にした。先月号で悪魔の魚「タコ」を取り上げたけれど、ウニはタコ以上に欧米では食されることが少ないようだ。でも日本人にとってこの海産物は磯の風味を味わうのにもっとも愛されている食べ物かもしれない。初夏の旬を味わおう。
「ウニ丼」の作り方
■材料
米、生ウニ 適宜、わさび醤油
■作り方
1)新鮮なウニを熱々の白飯に載せて刻み海苔をまぶす。
2)小皿にわさびを醤油で溶き、ウニにかけ回す。
※ウニは鮮度が決め手。三陸の新鮮なウニは塩水パックが通販でも手に入れることができます。



海の博物誌
 GPSの普及により航行中に海図(チャート)を広げて自船位置を確認するといったことをまったくしなくなってしまった人もいるかもしれない。それでも航海計画を立てたり、釣りの戦略を練ったりする時のためにも、ホームポート周辺の海図やクルージング目的地周辺の海図は備えておきたいモノ。海図を読むという行為は、そもそも大切なシーマンシップに他ならない。
 さて、海図には多くのの種類があるが、ふつう「海図」と呼ばれている航海用海図にも10を越す種類がある。その中で縮尺による分類が次の五つである。


1)総図(General Chart)
縮尺1:400万より小縮尺のもので、大変大きな区域を収録。遠洋航海計画用。

2)航洋図(Sailing Chart)
縮尺1:100万より小縮尺のもの。沖合の水深、主要灯台の位置等を図示した長途航海用。

3)航海図(General Chart of Coast)
縮尺1:30万より小縮尺のもので、船の位置を陸上目標から決定できるように図示。日本近海は1:50万の縮尺の図に包含されている。

4)海岸図(Coast Chart)
縮尺1:5万より小縮尺のものをいう。沿岸の細部が示してあり、非常に利用範囲が広い。

5)航泊図(Harbour Plan)
縮尺1:5万より大縮尺のもの。漁港や瀬戸のような小さな区域を詳細に示してある。

 目的にあった海図を手に入れて、ぜひ夢を広げていきたい。



Salty One Day Boating
前田康子さん
日本視覚障害者ヨットの全日本選手権で優勝した
女性チーム“makamaka”のサイテッドスキッパー
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 5月26日、27日、初夏の陽気となった神奈川県・小網代沖。来年日本で開催される視覚障害者ヨット世界選手権の出場チーム選考を兼ねた「第11回全日本ブラインドセーリング選手権大会」が行なわれた。参加9隻が凌ぎを削る展開で、女性4人でチームを組んだ“makamaka”は、全7レース中、3レースを1位という成績で見事優勝を果たし、世界選手権出場の最有力となった。(世界選手権出場チームは日本視覚障害者ヨット協会の協議を持って最終決定される)
 使用艇はJ24クラス。セーラーの技量だけで競われる大会を目指し、主催者が用意した同型9隻は、経年数等による艇体の性能差を極力排除するよう、可能な限り同条件になるよう調整されている。全長約8mのセーリングクルーザーには、ブラインドセーラー2名、サイテッド(晴眼者)2名の計4名が乗船する。ブラインドの一人が舵取り、もう一人がメインセール(大きな帆)を操作する。サイテッドの一人が艇長役で作業を手伝ったりすることは一切できず、口頭で情報を伝え、指示を出す。もう一人のサイテッドはジブ(前の小さな帆)の調整とデッキ作業を担当する。
 チーム“makamaka”では、ヘルムスパースンは川添由紀さん(写真前列左)、ブラインドクルーは青木こずえさん(前列右)、サイテッドクルーに亀山翠さん(後列右)、そしてサイテッドスキッパーが前田康子さんという布陣だ。
 前田さんは、横浜国立大学工学部電気情報卒業、勤務した会社でコンピュータの業務を経験した後、インターネット関係のコンサルティング会社を立ち上げ、現在に至る。「本当は服飾デザイナーや美術系の仕事につきたかったのですが、生活に困らない職につけるよう、そうした学校に行きなさいと育てられた」という前田さん。ご両親の進言もあって国立大の工学部に進学した。長野県松本の実家を離れての一人暮らしがスタートする。
 「毎週末は合宿で、食費は1日500円。これは安い!自炊生活の身には、そんなこともありがたくって友人に誘われるままヨット部に入部しました」
 国体出場も視野に入れて二人乗りの小型ヨット、スナイプ級での練習に明け暮れた。辛いときもあったが、これ以上部員が減ったら部の存続も危うくなりそうなのでどうにか思いとどまり、結局、全日本大会、国体にも出場するほどに実力をつけてきた。
 90年代、世の中はバブル景気で、ヨット界にもその風が届いた。「社会人になってからは、冬はスキー、春と秋はテニスという遊びを軸にした生活をしていたのですが、ヨットではレディスクラスなんていうのも設けられて、女性がヨットをやることも珍しくなくなってきたころでした。その後マッチレースなどで活躍し、当時女子セーラーのリーダー的存在でもあった野上敬子さんの橙青チームにトリマーとして乗るようになり、クルーザーレースの楽しさを味わいました。2003年にはオランダで開催された世界選手権にも出場しています」
 前田さんは2008年から舵取りとしてJ24レースチーム“ピンクキッス”に参画。そしてブラインドセーリングに出会う。「今回のチーム結成と全日本参加は、ヨットでもブラインドセーリングでも大先輩である竹内誠さんによる来年の世界選手権を視野に入れたプロデュースです。4人で初めて練習したのは今年の2月。全日本まで一緒にセーリングできたのは5日くらいです」亀山さんとともにJ24を中心にクルーザーレース界で活躍している二人が参画するチームということで、優勝候補に上げられる等、期待とプレッシャーを超えての全日本大会での勝利だ。
 「自分の役割は舵取りの由紀ちゃんに指示を出すことですが、その指示の理由を、由紀ちゃんの動作の前かあとに必ず説明するようにしています。由紀ちゃんにとっては、何故そうするのか、そういう指示を受けるのかを納得できるわけです。一人ひとりが機械的に動くのではなく、気持ちも通じ合って、有機的に機能することが大切。それで、セーリングもレースも楽しくできるのだと思います」舵を右に切るのか、左に切るのか。大きくか小さくか、速さ加減は。自分でやっていれば、考えることもなく自然に体が反応して、全体をコントロールするわけだが、ブラインドセーリングでは勝手が違う。
 「由紀ちゃんも、こずえちゃんも感性が鋭いんです。聴覚や身体で得られる情報で、全体の状況を把握しています。艇体が水を切る音、観覧船からの声援等からヨットの状態が分かっている。だからこちらの指示が遅かったり、声をかけるタイミングを逸していると、すぐに問われたり、指示を求められます。海や風の状況はいつも違いますが、レースをするという点では、同じことをしていたりするわけです。自分の役割とやるべき作業を2人ともしっかり学習しているので、この動作のあとは何をしなければいけないのか、どう準備しておかなければいけないかということを先回りして、心構えもできている。これはすごい。ヨットのセンスがあるんだなぁと思います。私や亀山さんの貢献度よりも由紀ちゃんやこずえさんの活躍こそが勝因です」
 新しいヨット仲間との出会いを得た4人、そして全日本優勝という最高のスタートを切ったチーム“makamaka”は、吹き始めた追い風をしっかりと捉まえて、今後もブラインドセーリングを楽しみ快走を続けるに違いない。



ヤマハニュース

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クルージングボート「NYTRO(ナイトロ)」イメージ映像公開
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操船レッスン「マリン塾」(ボート免許があればどなたでも受講可能)
ボートで遊ぶための技術を基礎からしっかり学べるボートレッスンです。
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/marinejyuku/

東日本大震災の被災地向け復興和船について
被災地に供給している復興和船の情報です。
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/lineup/pro-fish/tairyo/topics/



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【編集航記】
 海がますます楽しくなる季節です。とはいえもっとも海難が多くなるのも夏。特に近年は水上オートバイの事故が増え、国土交通省のプレジャーボート室や海上保安庁でも注意を呼びかけています。乗り物の種類にかかわらず、出港前の点検、ライフジャケットの着用と航行中の見張りはしっかりと。そして何よりも無理はしないこと。この夏も安全に楽しく海でお過ごしください。
(編集部・ま)
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