ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・Tadami
今月のタイトル画:折野陽一さん(茨城県)の憧れのマリンライフ 「スモールボートでビッグマーリンを釣りたい!」
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
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MONTHLY COLUMN 古城にていにしえの海人を想う。
キャビンの棚 美しい音楽とジャケットで心をほどく
「UNDERCURRENT」
船厨 海の男にこそ愛されるべきカクテル「ソルティ・ドッグ」
海の博物誌 船舶旗の重み
Salty One Day Boating 沖縄でジェットライディングスクール&ツーリング
YAMAHA NEWS スポーツボート「AR190」がマリンクラブのレンタル艇に!/ボート免許更新お知らせサービス(無料)/操船レッスン「マリン塾」(ボート免許があればどなたでも受講可能)/シースタイルフェスタ in 横浜ベイサイドマリーナ
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MONTHLY COLUMN
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 7月1日、慶良間諸島の座間味を出発して那覇港にゴールするサバニ帆漕レースがあった。観戦後、表彰式まで空いた午後の時間を使って首里城を見学して同レースの背景を考えた。
 首里城の北殿に、わが国の森首相や米クリントン大統領、英ブレア首相ら(いずれも当時)の写真が掲げられている。2000年に、ここの一室で九州沖縄サミットの社交夕食会が開かれたことを観光客に思い出させるための展示だ。サミットを迎えるべく那覇空港は改修され、首脳らの本会場である名護との間の高速道路も整備、そして首里城の復元にも拍車がかかった。
 首里城は100メートル程度の標高の丘の上に真っ赤な偉容を誇る。周りを囲む城壁に取り付いて西方を見やると、市街地ごしに那覇港を望み、その先には東シナ海が広がる。王朝時代、同じように海に目を凝らした城の男は、はるか遠くに狼煙を認めて微笑んだ。
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 狼煙は、那覇から約19海里(36キロ)離れた座間味島の番所山から上がっていた。当時、唐と行き来する船は必ず座間味に寄った。風待ちや潮待ちの場合も多かったが、琉球王が派遣した渡唐船はここで、東シナ海を乗り切るための装備をほどき、王へ帰国の謁見ができる身支度に整えた。狼煙は、一行が今、座間味を立ったことを知らせる合図であった。
 沖縄民謡の定番に、カチャーシー(踊り)にもってこいの「唐船(とうしん)どーい」がある。唐からの船が久しぶりに那覇港に着いたぞという興奮を歌ったものだ。城の男が微笑んだのも同じ気持ちからだった。
 そんな故事を踏まえて、廃れつつあった伝統の小型漁船を再興させるためのレースのルートは座間味島から那覇港までに設定された。そして、世界の注目を集めるサミットに合わせて2000年の辰年に第1回を始めた大会は今回、ついに干支を一周して再び辰年を迎え、つまり13回を数えた。
 5メートル前後で安定した南寄りの風で帆掛(ふうか)きサバニには絶好の日和で行われたレース結果を簡単に報告しておこう。1位は、座間味村有志のチーム「ざまみ丸」でなんと3連覇。約3時間半で漕ぎきった。続いて、那覇・国際通りなどに展開するギフトショップから出場した女子だけのチーム「女海想」が堂々の2着。その男子チーム「海想」が3位だが、このチームは沈予防のアウトリガーも固定式ラダーも付けず、かつてウチナーの海人が使っていただろうままに近い装備の“古式クラス”で出場している。4位の「源丸」も古式だ。そして今年から、古式のトップには沖縄県知事から優勝旗が授与されることになった。
 しかも、サバニレースはここだけではない。今では沖縄の各地で開かれ、その数は年に2ケタに迫る勢いだという。そうなると、“サバニ帆漕協会”なるものでも立ち上げようという横断的な動きも出てきた。
 主に漁船として活躍していたサバニ自身は、「レース艇とは、俺もひょんな形で復活したものサー」と思っているかもしれない。ま、ソルティライフには違いないから、なんくるないサー。


菅 仁良●かん・きみなが
1962年、愛媛県今治市生まれ。大学時代からディンギーを始める。夕刊フジ記者を経て、現在フリージャーナリスト。マリンジャーナリスト会議副座長。



キャビンの棚
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「UNDERCURRENT」
Bill Evans & Jim Hall
レーベル/東芝EMI
参考価格/¥1,800

 編集部のキャビンの棚にはジャンルのこだわりはないけれど、わりとジャズが多い。それもビル・エバンスが多い。それは潮気や海が似合うから、というのではなく、「海」に匹敵する美しさを持つ音楽はビル・エバンスをおいて他にはないという、いささか偏った趣味による。
 どちらかといえば荒々しい洋上での一日を終え、キャビンでくつろぐ夜は、心をほどくことのできる美しいものに触れたい気持ちが特に強まりはしないだろうか。強風が吹けば吹くほど、空が暗ければ暗いほど、その傾向が強くなる。
 アルバム「I will say goodbye」におさめられた「Seascape」などは海を奏でた音楽としては最高傑作の一曲で、そんな日にはぴったりだ。
 そして、もう一枚、ビル・エヴァンスのピアノとジム・ホールのギターが奏でるジャズの名盤「UNDERCURRENT」も、そんな一日を締めくくるのにこれ以上はないといえる音楽が詰まっている。
 インタープレイという手法、言葉を確立した上で注目される「UNDERCURRENT」だが、そのジャケットの美しさも注目され、話題となった。曰く「ジャズレコードの中でもっとも美しいジャケットデザイン」だと。
 湖の水面下に漂う女性を撮影したのはトニ・フリッセル(TONI FRISSELL 1907-88)。報道カメラマン出身だが、戦後になってファッション誌などで活躍した女性写真家だ。ジャケットを飾って眺めながら聴きたくなる、アルバムのひとつである。




船厨
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 「ソルティ・ドッグ」という言葉は本来、船乗りそのものを指すイギリスのスラングだ。潮まみれになって働き回る姿を駆け回る犬にもじってその名が付いた。もともとはその船乗りたちが愛飲していたのだろう。イギリスではジンベースでライムジュースを入れたものだったらしいが、そのカクテルがそのまま「ソルティ・ドッグ」と名付けられ、時を経て、またアメリカで流行して後、いつの間にか中身はウォッカをグレープフルーツジュースで割り、グラスの縁に塩を着けたスノースタイルのカクテルに変わった。
 人によっては「酒の味がしない」などと敬遠されるが、そもそもカクテルは酒の味を消しつつ酔えることに存在価値がある。たまには船を出さずに、デッキでソルティ・ドッグでも飲みながらのんびり過ごす一日があってもいい。本来の「ソルティ・ドッグ」と飲み比べてみるのも一興だ。
「ソルティ・ドッグ」の作り方
■材料
ウォッカ 45ml、グレープフルーツジュース 適量、食塩 適宜
■作り方
1)グラスの縁をグレープフルーツで拭うようにして湿らせ、塩を付ける
2)ウォッカとグレープフルーツジュースを入れ、ステアして好みで氷を入れて出来上がり
※グレープフルーツジュースは市販のジュースより自分で絞ったモノの方が断然うまいです。



海の博物誌
 ひと昔ほど前、アメリカでは、国旗を焼いたり破ったりした人を罰するべきかどうかの議論で、国中が沸いた。賛成にしろ反対にしろ、国旗は非常に重要視されているのである。
 船舶においても、国旗である船舶旗を大切に扱い、船の中でいちばん良いと見なされている場所に掲げられる。ガフ(マスト上部に斜めに張り出した桁)がある船はガフ、ガフのない船ではセイルやマスト上がその特上席。停泊中は船尾の旗竿に掲げるのが通例。また、外国の港に入る時や、他の船とすれ違う時は、船舶旗を3分の1ほど下ろして挨拶するのが習わしだ。
 200年ほど前、イギリスから独立して間もないアメリカの艦隊が、オランダ領の港に入り、船舶旗を少し下ろして敬礼したところ、オランダ側はすぐに答礼をした。つまり、アメリカを独立国として認めたのである。これを知ったイギリスは答礼の撤回を求めたが、オランダは拒否。怒ったイギリスはその港を封鎖してしまったという。
 船舶旗の使い方次第で国際問題にまで発展することもあるのだ。



Salty One Day Boating
 様々なクラブ艇が用意され、各地の海で利用できる会員制マリンクラブ「シースタイル」 は、特殊小型船舶操縦士免許証を所持していればボートばかりでなくマリンジェットも利用することができる。足下を水面が猛スピードで過ぎ去っていく独特の感覚。まるで海と風と一体になったように感じることのできるこの乗り物は、夏の海を楽しむにはもってこいだ。マリンジェットが配備されているホームマリーナは全国に18個所。今回は沖縄まで足を運び、中城湾に面したエックスパワーでジェットツーリングを楽しんだ。

ライディングスクールでマリンジェットの基本を学ぶ

 那覇市内のホテルからエックスパワーのある中城村までは高速道路を利用して45分ほど。高速を降り、しばらく走った国道から脇道に入ると、目の前にビーチを抱く、エックスパワーの店舗がある。倉庫の2階にあるショップにあがり、今回、一緒にライディングスクールを受講することになっている棚原小貴さんとともに席に着いた。
 インストラクターはエックスパワーのスタッフ・宇久真さん。「ライディングスクールは手際よく簡潔に」が信条だ。その言葉通り、座学がはじまるとテキストをベースにとてもわかりやすく、マリンジェットライディングの基本について教えてくれる。宇久さんが特に力説するのはマナーの部分。これはボートでも同じことだが、特に港やマリーナ、停泊中のボート等の近くを通る時は、充分に減速し、引き波で迷惑をかけないようにしたい。
 座学が終わると屋外で実艇を前にマリンジェットの機能と操作の説明。そしていよいよ海へ。操船練習ばかりでなく、海上でのジェットへの乗り方、横転したマリンジェットの起こし方、アンカーの打ち方など、ただ走るだけではない、不安を取り除く、実践的なレクチャーが受けられる。
 これまでにマリンジェットにも何度か乗ったことのある小貴さんも知らなかったことが多かったという。ほんの少し残っていた不安が解消され、ジェットスポーツへのハードルが一気に下がった印象だ。

マリンジェットとスポーツボートでショートツーリング

 エックスパワーの目の前に広がる中城湾は穏やかな表情をたたえていた。湾を囲むようにして伊計島、津賢島、久高島など、ツーリングに絶好な離島が点在する。エックスパワーのジェットライダーたちのおすすめは「浮風島」。白砂のビーチが抜群に美しいのだという。
 この日の沖縄は梅雨明け前で、雨交じりのあいにくの空模様だったが、前日まで吹いていた強風は収まったので、午後からは、そのままマリンジェットをレンタルして、ツーリングを楽しむことになった。 目的地は津賢島。
 小貴さんはレンタル艇の「MJ-VXDX」にまたがり、颯爽とスタート。風を切り、波を切り、海に溶け込んでいくような走行感に、小貴さんの顔からは自然と笑みがこぼれる。曇り空の隙間から日も差し、身体にかかるスプレーも心地よさそうだ。
 その間、レポーターが乗ったのは間もなく導入が本格化するスポーツボートの「AR190」だった。マリンジェットとおなじジェット推進システムを搭載したこのスポーツボートはスポーツマインドにあふれている。ただ、一般的なボートに比べると操船には少々コツがいる。舵角が小さく、特に低速時は舵が利きにくくなるため、ステアリングと同時にアクセルの操作も同時に行うといった具合。レンタル導入後はマリンジェットと同様、ライディングスクールの受講が必要となるので、操船についてはそこで不安を解消できそうだ。
 津賢島まではあっという間に到着。トマイ浜ビーチ(津賢島ビーチ)はちょっとした観光施設も整っていて、食材がセットになったバーベキューなども楽しめる。海は、晴れていれば抜群の透明度で、シュノーケリングも楽しめそうだ。ビーチの近くでのんびりしているとエックスパワーから出ていたもう1隻のスポーツボートがウェイクボードを楽しんでいた。トーイングプレーにも最適なエリアらしい。
 梅雨があけたら再び訪れたい。スポーツボートとジェットを楽しむシーンを目の前にして、晴れた日の美しい海とビーチの風景、そして一緒に来たい仲間たちの笑顔を思い浮かべた。


※エックスパワーでは潮汐の関係で、利用可能時間が日々異なります。 また、スクールとレンタルを同日に行えない場合があります。

取材協力
エックスパワー
●〒901-2401 沖縄県中頭郡中城村字久場1927-1
●TEL:098-942-3467
●定休日:水曜日
●営業時間:9:00~19:00
●ホームページ:http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/marina/mj/0019.html


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マリンジェットの利用にライディングスクールは必須。まずは座学から。テンポ良く進んでいく
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艇体の各部の機能や取り扱い、点検項目などをレクチャー
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これで安心して実技に移れる。バッチリです
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転覆したマリンジェットの起こし方なども教えてくれる。簡単です。不安も解消
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津賢島を目指して快走。最高の気分
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この夏からレンタルできるスポーツボート「AR190」。小貴さんのお母様と一緒に小気味よい走りを堪能
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津賢島のビーチにて休息。マリンプレイには格好のビーチ。
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エックスパワーの真喜志社長。ジェットをこよなく愛するナイスミドル。実は釣りも好きです



ヤマハニュース

スポーツボート「AR190」がマリンクラブのレンタル艇に!
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/lineup/ar190/

ボート免許更新お知らせサービス(無料)
免許の更新時期をメールでお知らせ。免許をお持ちの方ならどなたでも
https://www2.yamaha-motor.jp/marine/license/announce/index.asp

操船レッスン「マリン塾」(ボート免許があればどなたでも受講可能)
ボートで遊ぶための技術を基礎からしっかり学べるボートレッスンです。
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/marinejyuku/

シースタイルフェスタ in 横浜ベイサイドマリーナ
5月26日・27日に開催された恒例イベントのレポートです。
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/event/report/2012/0526/


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【編集航記】
 ソルティライフ編集スタッフも末席に身を置く「マリンジャーナリスト会議」では、毎年、海の日に合わせた体験乗船会の開催を「720キャンペーン」として全国各地のボート&ヨットのオーナーの方々に呼びかけ、その開催情報をホームページやマリン誌に掲載しています。今年も海と海の仲間を愛する多くの協力艇が自主的に体験乗船会を開催し、ボートやヨットに乗ってみたいという方々をお待ちしています。このキャンペーンに限らず、各地のマリーナやマリン関連団体がマリンレジャーの魅力をひとりでも多くの人々に体験して欲しいと各地でイベントを開催しています。まずは体験。その術は想像している以上にあるものです。
(編集部・ま)
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