ソルティライフ ソルティライフ
ソルティライフ ソルティライフ
イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
イメージ
MONTHLY COLUMN 鯨捕りたちはサムライだった
キャビンの棚 江戸前の釣りをうかがい知る「日本最古の釣り専門書『何羨録』(かせんろく)を読む」
船厨 米を主役にした日本版パエリアを試す「魚介の炊き込みご飯」
海の博物誌 ペットにクラゲはいかが?
Salty Who's Who ライフジャケットは水辺をもっと楽しくする!
YAMAHA NEWS 全国イベントスケジュール /フォトギャラリー「ボートショー2014」/軽量・コンパクトな直列4気筒4ストロークエンジンを採用した「F115B」新発売 /ヤマハボート免許オンライン教室「2級スマ免コース」で免許にチャレンジ! /「シースタイルマリン塾」操船、離着岸、ボートフィッシングなど
4月の壁紙 『Salty Life』読者限定壁紙カレンダー

※お使いのブラウザでHTMLメールを表示できない場合は、こちらのサイトからもご覧いただけます。

MONTHLY COLUMN
イメージ
 日本人の捕鯨の歴史は縄文時代にまで遡るといわれている。奈良時代の文献などにはクジラを「王魚」と表しているものもあり、古くから日本人がクジラに対して畏敬の念を抱いていたことがうかがえる。捕鯨で栄えてきた港町ではクジラに対して感謝したり、追悼する文化が残っているのもそのためだろう。
 小欄でもよく取り上げる白石一郎の作品に「サムライの海」という小説がある。主人公を蘭次郎という。海に憧れていた蘭次郎は勝海舟の海軍伝習所に入所して航海術を学ぶが、演習中に船が難破し、五島・有川の鯨組主に助けられる。そのことをきっかけに、捕鯨の近代化に情熱を注いでいく。
 その舞台となった長崎県の上五島・中通島の有川を訪れたことがある。佐世保港から、高速船に乗ると40分ほどで着く。周囲を小高い山々に囲まれた、典型的な離島の港の風景だ。港に最も近い小さな山の頂上に見える小屋は以前、鯨の山見に使われていた。このほか港の玄関口には「鯨賓館」と呼ばれる捕鯨に関わる資料館や周囲には鯨を供養したとされる神社や祠なども点在する。和歌山の太地などでも同じように感じることだが、その場に身を置いて初めて、この地で鯨を捕ることがどれほど島民にとって大切なことであったかを実感できる。

イメージ
イメージ
イメージ
 さて、小説に話を戻すと、遭難した蘭次郎を助けた有川鯨組の組主は田川幸右衛門。これは実在した江口甚左衛門をモデルにしたのだろう。有川の捕鯨の歴史は1626年、江口甚左衛門正明が、紀州古座の三郎太郎と鯨組を組織したことに遡る。突き捕り法で始まった有川の捕鯨は、1600年代の後半に「網取り法」が開拓され、有川の捕鯨は西海一の規模を誇るようになった。蘭次郎が有川の捕鯨と関わったのは幕末の時代だが、このときもその捕鯨方法は変わっていなかった。
 「舳先に立った男が絶叫しながら力いっぱいに剣をくり出す。その一瞬、鯨は横転しながら大きな立羽を一閃した。立羽の先端が男の体に触れたらしい。男は水しぶきと共に空中高く跳ね上げられていた。」「もう一艘、左側から脇腹近くに迫っていた船があり、反対側の立羽が上へひらくと同時に突進した。重さ二貫目もある男の剣は鯨の立羽の真下を貫き、心肺の部分へ深く突き立った。男は剣を捻って力任せに心肺をえぐる。咆哮をあげる鯨の立羽が頭上からふりおろされる寸前に船は後ろへ退き、あやうく一撃をまぬがれた」(「サムライの海」)
 この後、弱った鯨に複数の勢古船から何本もの銛が打ち込まれ、最期は「刃差し」と呼ばれる男が手形包丁を口にくわえ海に飛び込み、鯨の体にとりつき背中に這登り、包丁を潮吹き穴めがけて突き刺す。そこで初めて鯨は絶命する。鯨は絶命すると沈んでしまうので、その前に鯨に飛びつき、とどめを刺し、素早く縄をかけなければならなっかったのだ。
 小説で読む鯨捕りの一シーンは勇壮そのもの。
 しかし問題は多かった。小説では最初に剣を突き刺した男は絶命した。田川孝右衛門の息子も鯨捕りで命を失っている。こうした危険を少しでも回避できないかと、田川孝右衛門は高島秋帆の息子であった蘭次郎に相談を持ちかけるのだった。
 高島秋帆は実在した砲術家で、事実、銃による鯨の殺傷を提案したこともあった。小説ではこの高島の庶子であるという蘭次郎にその実用化に取り組ませた。
 ところが、鯨捕りのたびに出る怪我人や死人を少しでも減らしたいという願いへの反発は鯨漁師の内からあがった。
 「鯨捕りで命を落とすのは漁師の本望たい。怪我を重ねるうちに一人前の刃刺が仕上がる。鯨は恵比寿神と呼ばれるほど尊い生き物じゃ。勇魚といわれる海の殿様じゃ。それを捕る人間がときには命を落とすのも当たり前。怪我をするのも当然ではなかか。鯨捕りは真剣勝負じゃ」
 安全を無視するかのようなこの発言は捕鯨を「仕事」として捉えた場合、今の日本では到底受け入れられないかもしれないが、反面、鯨捕りの「美意識」としては、多くの日本人は共感できるに違いない。海に生きるこの巨大な哺乳類を誰よりも崇め、敬い、その命を真の意味で人の命と等しくとらえてきたのは、日本の鯨捕りたちだけだったのかもしれない。


※写真は「サムライの海」の舞台となった捕鯨の町長崎県の有川

田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
イメージ
「日本最古の釣り専門書『何羨録』を読む」
発行:つり人ノベルズ
著者:小田淳
定価:絶版中
 元禄時代の旗本・津軽采女が記した日本最古の釣り専門書といわれる「何羨録(かせんろく)」。本書はその河川録を現代語訳と解説の二本立てで読み解いていく。内容は当時の釣り道具や釣り方、釣り場について。著者は釣りをテーマにした小説を数多く執筆している小田淳氏。
 津軽采女といえばソルティライフ125号(11月号 )でご紹介した夢枕獏の小説「大江戸釣客伝」の主人公。その中で采女は「釣りこそ人生のすべて」と言わんばかりの愛すべき「釣りバカ」ぶりを発揮している。そんな采女が、本当はどんな釣り人であったのか、その実像まではわからなかったが、少なくとも本書からは、采女の釣りに関する博識ぶり、また、広く知られた釣りに関する技術的な一般論を軽く一蹴してしまうところなど、明らかに自分の釣りスタイルを確立していたことは、充分にうかがえて好ましい。
 それにしても、日本最古の釣り専門書でありながら、原文で発行されていないのはなぜだろうか。現代語訳すら、現在読めるのは本書だけと言ってもよいのだが、それも絶版中である。もちろんウォルトンの「釣魚大全」のような文学性がそれほどあるとは思えないし、バイブルと呼べるほどのものではないかもしれないが、日本の釣りの原点を知るには貴重な書であることには違いない。再版を待ちたい。



船厨
イメージ
 スペインのバレンシア地方は米どころとしても知られている。スペイン料理のひとつ「パエリア」はそんなバレンシア地方を発祥とする米料理だ。種類は地域や家庭によってさまざまで、魚介をふんだんに使ったものもある。
 この料理、作るだけでもイベント性があって(事実スペインではパエリアにちなんだお祭りが行われるほど)楽しいし、見た目にも派手なので、調理器具さえ使えればボートやマリーナでのメニュにはもってこいだと思われる。
 その反面、難点というほどではないが、気なるところがある。それは米好きの日本人にとって、やはりパエリアは「おかず」や「つまみ」であって、主食にはなり得ないことだ。
 というわけで、今回は魚介を使って、ご飯が主役の「パエリア風炊き込みご飯」を作ってみた。パエリアの固めの炊きあがりとは異なって、ご飯はふっくら。海老や烏賊の風味が素晴らしい。そして、丼物感覚でむしゃむしゃと食べることができるのも素晴らしい。
 食いしん坊にお奨めである。
「魚介の炊き込みご飯」のつくり方
■材料(5~6人分)
米4カップ 、ブラックタイガー12尾、イカ 1杯、アサリ1パック、カラーピーマン (赤、オレンジ各1/2)、玉ねぎ 1コ 、ニンニク2片、オリーブオイル大さじ4、白ワイン50cc、ローリエ 1枚、パセリ 少々、塩、コショウ、醤油
■作り方
1)アサリはよく洗い塩抜きをする。イカの胴は輪切り、足は食べやすい長さに切る。
2)米はといで30分ほどザルに入れておく。
3)プレヒートした鉄鍋にオリーブオイルを入れみじん切りのニンニクと玉ねぎを炒める。イカ、ブラックタイガー、カラーピーマンを加えさらに炒め、全体に火がとおったら米を入れ軽く炒める。
4)白ワインを入れ、水700ccを加える。塩小さじ1、コショウ少々、ローリエ、醤油大さじ1弱加え、アサリを上に乗せる。
5)蓋をして沸騰するまで強火にかける。沸騰したら中火にして5分、弱火で10分炊く。
6)火から降ろし15分ほど蒸らし、好みでパセリを散らす。



海の博物誌
 先日、大学時代にクラゲの研究をしていた、という青年に出会った。大学における研究というのは、多くが人類に対してなんらかの好影響を与えることが前提となるもので、そのことについて訪ねると、「クラゲには癒し効果があるのだ」という返答であった。
 近年では海外からもクラゲが輸入され、観賞用として販売されている。水族館でも照明に工夫を凝らしたりしてクラゲを幻想的に見せてくれるところが多い。確かに癒される。
 さて、見るだけならば、何とも可愛らしいクラゲだが、ご存知のように毒を持つものも多い。
 クラゲとは寒天質の浮遊性動物全般を指すが、大きく分けると刺胞動物門と有櫛動物門に分けられる。毒を持つのは刺胞動物門のクラゲ。触手に刺胞をもっており、非常に危険なクラゲもいる。ルアーのフックや釣り針にときおりクラゲの触手が絡まることがあるが、安易に素手で取り去ろうとすると刺される。痛みはもちろん、ひどい時には意識障害まで引き起こすこともあるので注意が必要だ。もしも毒をもつクラゲの触手に触れてしまったら、その部分に食酢をかけるとよい。皮膚への毒の侵入を防ぐことができる。



Salty Who's Who
小学校教諭/「子どもたちにライジャケを!」代表
森重裕二さん
イメージ
 3月9日、ボートショーの会場内のステージに、森重裕二さんの音頭で「5、4、Ready, Set, Wear It!"」の合い言葉が響き渡った。同時に森重さんは身に付けていた膨張式ライフジャケットの紐を引っ張り、膨らませる。拍手がわき起こった。
 マリンジャーナリスト会議が主催する「MJCマリン賞2014/安全・環境部門」を受賞した、「子どもたちにライジャケを!」の活動を推進している森重さんは「めちゃうれしいです」と何度も口にした。賞をもらったことよりも、こうした機会を通して「ライフジャケットの存在」をひとりでも多くの人々に知ってもらうことができたことが喜びを大きくした。
 森重裕二さんは滋賀県の公立小学校の教諭だ。教員になる前はロデオカヤックという競技に没頭し、まわりから“カヤックバカ”と呼ばれるほど、川で遊んでいた。もちろんカヤックに乗る時はライフジャケットを着用するのは当たり前のことだった。
 「ところが小学校に勤務してから、川でライフジャケットを着けるということがアタリマエじゃないことに気づいたんです。子どもたちを川に連れて行く行事でハッとする出来事もあり、もっと大きな声で伝えていく必要があると思って2009年からこの活動を始めました」
 仲間に支えられながら個人で続けている活動はとてもシンプルだ。ライフジャケット活用を意識づけるホームページを立ち上げ、賛同者を募り、その人たちの名前を掲載していく。フェイスブックを立ち上げ「いいね!」の数を増やしていく。声だかに「ライフジャケットを着けろ!」というものでもない。子どもたちの水辺での安全に可能性が大きい「ライフジャケット」を大人が、選択肢として持っているかどうか、そこを訴えたいのだという。
 「知らなかったから事故が起こった、とか、知らなかったら命を失ったということがないようにしたいのです。判断は子どもたちの近くにいる大人にかかっているんだと思っています。水辺の安全に関しては関心のある人は意識が高くて、関心のない人は知らない。事故はその間で起こってしまっていると思います。だからこそ、ちょっとずつメッセージを伝えていくってことを、ただひたすらやっています」
 ホームページやフェイスブックでの情報発信の他に行っているのはカンパによるライフジャケットの購入と配布(ライジャケサンタ)、各種イベントやフリーマーケットなどでブースを出してアピールする活動が中心。これまでに配布したライフジャケットは600着以上、ホームページとツイッターではそれぞれ1200名、またフェイスブックでは2000名を超える賛同者が集まっている。さらに2011年からはアメリカで30年にわたって同様の活動を続けている「Wear It!」と連携し、「Wear It Japan!」としての活動をスタートさせてもいる。
 マリン賞受賞後のパーティで森重さんは、海洋冒険家の白石康次郎さんと出会い、会話もした。そのなかで出てきた「ライジャケは身を守るという側面もあるけれど、ライジャケを着ることで、子どもたちにとって川や海はもっと楽しくなる」という考え方に二人は意気投合している。そしてそのことを知っているのは、大人なのだ。だからこそ、知らせなければならないと森重さんは再び意を強くする。
 「活動は、これからもできる範囲で変わらず続けていきます。思いはただ1つ、“子どもたちの命を守る”ことです。ライフジャケットがアタリマエになってしまって、この活動の意味がなくなってしまうことを目指しています」


●ホームページ:http://www.geocities.jp/shigabibilies/life.htm
●Facebookページ:https://www.facebook.com/lifejacketsanta



ヤマハニュース

全国イベントスケジュール
試乗会や展示会などマリンイベント情報をご案内いたします。
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/event/schedule/

フォトギャラリー「ボートショー2014」
横浜で開催されたジャパンインターナショナルボートショーの模様
http://global.yamaha-motor.com/jp/showroom/event/2014_international-boat-show/

軽量・コンパクトな直列4気筒4ストロークエンジンを採用した「F115B」新発売
http://global.yamaha-motor.com/jp/news/2014/0306/f115b.html

ヤマハボート免許オンライン教室「2級スマ免コース」で免許にチャレンジ!
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/license/online-license/

「シースタイルマリン塾」操船、離着岸、ボートフィッシングなど
ボートで遊ぶための技術を基礎からしっかり学べるレッスンのご案内です。
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/marinejyuku/


今月の壁紙
『SALTY LIFE』読者限定
4月の壁紙カレンダーはこちらからダウンロードできます。
イメージ


バックナンバー
『SALTY LIFE』のバックナンバーはこちらからご覧になれます。


【編集航記】
読者の皆さまに特別なお知らせです。4月1日に西武池袋本店8階のスポーツフロアに「マリンショップ」がオープン!そのオープンを記念してソルティライフでもお馴染みのTadamiさんの「イラスト展示即売会」が7日まで開催されています。お知らせがぎりぎりになってしまいましたが、お時間のある方はぜひ遊びに行ってみてください。
(編集部・ま)
ソルティライフ公式Facebookページ 「Yamaha Motor Nautical Mile」

■ 『SALTY LIFE 』について
メールマガジン配信サービスにご登録いただいているお客様に定期的に配信するマリン情報マガジンです。
■ お問い合わせに関するご案内
『SALTY LIFE』は送信専用のアドレスより配信しております。
「配信の停止」についてはhttps://www2.yamaha-motor.co.jp/Mail/Saltylife/をご参照ください。
お問い合わせに関しては、marine_webmaster@yamaha-motor.co.jpまでご返信ください。
※お使いのブラウザでHTMLメールを表示できない場合は、こちらのサイトからもご覧いただけます。
ページトップへ
『SALTY LIFE』
〒438-8501 静岡県磐田市新貝2500
発行:ヤマハ発動機株式会社


Copyright(C) 2014 Yamaha Motor CO.,LTD. All rights reserved.
掲載文章および写真の無断転載を禁じます。