ソルティライフ
イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
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MONTHLY COLUMN ● ヘビーウェザー・ボーティング
キャビンの棚 ● 夢の長期休暇「A LONG VACATION」
船厨 ● 海に鮮烈な赤を傾げる「ワインクーラー」
海の博物誌 ● 海藻を食べる民族
Salty Who's Who ● 470級で世界に挑む6人のセーラーたち
海の道具 ● 海には海の
YAMAHA NEWS ● ラグビートップリーグ開幕!海もいいけどたまにはスポーツ観戦も/「マリン塾」操船、離着岸、ボートフィッシングなど/ビギナー必見!係船マニュアルで予習しよう!/シースタイル予約システム・会員ページが使いやすくなりました!
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MONTHLY COLUMN
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 今年は例年に比べて台風の1号がなかなか発生せず、これもまた異常気象なのかと思っていたら、ここへ来て日本列島に立て続けにやってきて、生活者の不安を募らせた。被害に遭われた方には心よりお見舞いを申し上げます。
 さて、台風が襲来しているのに喜んで海に出て行くセーラーやボーターはおるまいが、それでも不可抗力で航海中に暴風に見舞われることはある。
 ささやかな自分のヨット、ボートライフの歴史を振り返ると、4回ほど長期クルージング中に台風の洗礼を受けた記憶がある。いずれもしっかりとした港に避難することができた。もちろんクルージングする際は、こうした、いわゆる「避難港」を調べ上げておく。
 これまでの4回の台風避難に使用した港は、伊豆の下田港、和歌山の串本港、淡路島の由良港、そして沖縄の運天港。いずれもヨットでの航海中で、下田以外の避難港は初めての利用で、海上保安庁が発行する「小型船用簡易港湾案内」でリストアップしたものだ。
 淡路島では当初、洲本港に停泊していたのだが、当時の船長の判断で近辺でもっとも安全そうな由良港へと移動することとなった。由良港は天然の良港で素晴らしかったが、洲本から由良までの短い距離を帆走するのが困難だった。高いうねりと強風の中でのセーリングは強烈で、記憶の中に色がないのは、本当に無色の風景の中を走っていたからだと思う。
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 沖縄の運天で待ち受けた台風はそれ以上。当初、簡易港湾案内で知った古宇利島の泊地でやり過ごそうと思ったが、夜になると海上保安庁の巡視船がやってきて、もっと安全な場所への移動を勧めてくれた。すでに暴風雨圏内にあった沖縄は暴風と横殴りの雨に襲われ、夜の船の移動は正直言って膝が震えるほどの恐怖であったが、あのとき、もしも保安庁の船がやってこなかったらどうなっていただろうと思うことがある。そしてあんな夜に巡視して海難を防ごうとする保安庁の方々には、いまでも感謝と畏敬の念を抱く。
 これらの恐怖を抱いた体験談はいうまでもなく、武勇伝などではなく失敗談である。いずれも念入りに調べて、最初からもっと安全な停泊場所で待機していれば、怖い思いも最小限に抑えることができたのだ。
 冒頭にも触れたように、日々のマリンライフの中で、わざわざ台風の日に海に出て行ったりすることはあり得ない。管理体制の整ったマリーナであるならワッチの必要さえ無い。でも気象の変化により思わぬヘビーウェザーに遭遇する可能性はゼロとはいえない。
 恐怖をあおる気は毛頭ないけれど、荒天に限らずさまざまなトラブルに備えは必要だ。そしてマリンレジャーにおける、これらのリスクヘッジは、趣味としての楽しみの一つであり、その知識はシーマンシップを高める。

田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れた大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
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「A LONG VACATION」
レーベル:ソニー・ミュージックレコーズ
参考価格:¥1,456(税別)
 日本人の休暇は短いのか、それとも長いのか。夏休みも終わり、さらに9月に入って夏を名残惜しみつつ、ふとそんなことを考える。
 日本には土曜日、日曜日以外のいわゆる祝日が現在16日あって、これは世界でもトップクラスの数らしい。それでも休みが少ないとの印象を抱いてしまうのは長期休暇を取っていないからだというのが一般的な見方だ。ちなみに有給休暇の消化率は世界的に見てもかなり低く、実際に休んでいる日を各国と比べると祝日のランキングほど上位には行かない。
 長期休暇を多くとる国はブラジルを筆頭にスペインやフランスとなる。よく「欧米」とひとくくりにしてしまうが、データ上ではアメリカ人はそれほど長期休暇を取っていないようだ。そういえばちょっと流行った弁護士もののテレビドラマの中のアメリカ人は、早朝から深夜まで働きまくっていて休んでいる暇もなさそうだった。
 1ヶ月以上の長期休暇がとれるなんて夢のような話だが、実際に日本人は有給休暇をまとめてとれるような気合を持っているだろうか。これまでに勤勉な労働力が日本経済を支えてきたのは事実だし、日本以外の経済大国の多くの人々にとっても、やはり長期休暇は一部の夢のような話なのかもしれない。
 長期休暇を夢見る働く皆さんに、先月に続いて「新人類世代」の夏の定番をお送りする。「A LONG VACATION」。1981年にリリースされた大滝詠一による1枚。これを車中で聴きながら通勤してみよう。すでに9月だけれど、間違いなくその時間だけは、すてきな夏休みになる。



船厨
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 11月の第三木曜日はボージョレーヌーボーの解禁日。大騒ぎするほど美味いのかという議論もまた毎年恒例だが、一部のワイン好きはやはりこの日を祭りと位置づける。そのせいか、ワインには秋のイメージがある。
 ワインは人類が産んだ最も古い酒の一つだけに、さまざまな逸話があり、また宗教との結びつきも深い。たとえばキリスト教の聖餐の儀式では赤い葡萄酒を「キリストの血」として信徒が飲み干す。かくして、ワインは情熱的で神秘的な飲み物でもあるのだ。
 秋の海辺でワインを。少し手を加えてオレンジジュースやグレープフルーツジュースをレシピに加えたワインクーラーでもいかがだろう。
 その時間、いつもは賑やかな海が、またはデッキの上が、どことなく落ち着いた風景に変わる。


「ワインクーラー」の作り方
■材料
赤ワイン、またはロゼワイン90ml、オレンジジュース30ml、グレナデンシロップ15ml、ホワイトキュラソー10ml、クラッシュアイス、オレンジ
■レシピ
クラッシュアイスを入れたワイングラスにオレンジジュースとワインを入れ軽くステアする。オレンジなどを飾り付けてできあがり。
※最初にオレンジジュース、ホワイトキュラソーを入れたあと
にワインを静かに注ぐと二層仕立てのワインクーラーになります。




海の博物誌
 仏教が伝来し、その影響を色濃く受けた日本では、飛鳥時代のころから動物の肉をほとんど食べてこなかった。その代わり、四方を海に囲まれていたことから豊富な海産物を享受することができ、独特の食文化を育んできたといえる。
 刺身はその代表の一つ。いまでこそ、世界的な和食ブームで、魚を生で食することも珍しくなくなったかもしれないが、それでも生の魚に対して顔をしかめる外国人は多い。
 もう一つ魚と並んで特徴的なのは、日本人は海藻を食べる数少ない民族であること。その代表格が海苔だろう。海苔は東アジア、日本以外では韓国と中国にのみ存在する海産加工物である。
 寿司店のメニューの一つ、カリフォルニアロールの起源は、アメリカで寿司店を開業した日本人が、海苔で覆われた真っ黒な物体をアメリカ人が気味悪がるのを見て、酢飯を表に、海苔を内側に巻き込んで出だしたところ好評だった、ということらしい。
 もちろん日本食がクールな文化として世界に広まっているいま、刺身と並んで海苔も広く受け入れられている。



Salty Who's Who
YAMAHA SAILING TEAM

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写真左から関友里恵、宇田川真乃、高山大智、神木聖、疋田大晟、木村直矢(撮影:松本和久)
 リオ・オリンピックの競技種目にも採用されていた二人乗りのヨット「470級」で世界を目差すヤマハのセーリングチームに、このほど新たに3名のセーラーが加わり計6名の陣容が整った。
 男子は2組。
 神木聖/疋田大晟の二人はともにヤマハ発動機の社員として4月からチームに加入。神木は2015年の学生チャンピオン。インカレ個人と団体(個人MVP)の二冠を達成した。軽風域で抜群のセンスを発揮するヘルムスマンで、自ら「世界のトップクラス」を自負する。強風での練習を重ねあらゆるコンディションでトップの成績を残すことが目下の課題だという。
 その神木を支えるクルーが疋田大晟。チームの最年長であり、大学では神木の一期先輩だった。
 「最高のボートスピードを発揮する艇体開発と同時のチャレンジはヤマハにしかできない。技術チームとしっかりタッグを組んで好成績を収めていきたい」と抱負を語る。
 彼らの最大のライバルは同じチームの高山
大智/木村直矢のペアだ。高山はこのコーナーでも一度紹介したとおり、強風にめっぽう強い。そして新たに高山のクルーとしてチームに加わった木村は、6月に開催された470級のジュニアワールドの優勝チームのクルー(高山は3位)。木村も高山と同じく“強風好き”。二人はともに日本大学に在学中だ。「ヨット部との活動も同時に行うので両立は大変だが、どちらでも良い成績を残していきたい」(木村)と抱負を語っている。
 女子チームではヘルムスマンとして宇田川真乃が加入。2015年、2016年全国高校総合体育大会ヨット競技420級で2連覇を達成した高校3年生。小学生の頃からヨットを始めた宇田川だが「高校ではヨット部で毎日遅くまで練習し、ヨットのことだけを考えてきた。だから自信もあるし、成績を残してこれた。これからも支えてくれる人たちに感謝しながら上を目指したい」と頼もしい。
 クルーとして宇田川とペアを組むのは香川県出身の関友里恵。瀬戸内海で揉まれてきただけに潮の速い海域でのコース取りには絶対の自信を持つ。2014年、2015年全日本学生ヨット選手権大会470級女子では2連覇を達成。2014年にはジュニアワールドにも出場し世界を体験した。
 さまざまな経歴を持って集まってきた若いセーラーたちだが、共通しているのは熱い「チャレンジスピリット」、そして何よりも「海とヨットが大好きである」こと。まずはナショナルチーム入りを目差して、日々練習あるのみだ。



海の道具 マリンギア四方山話
 9月とはいえ、暑い季節はまだしばらく続きそうだ。ボートといえば、潮風に吹かれながらのクルージング、ということになるのだけれど、イメージとは裏腹に、暑さ対策に苦慮することが多いのが現実だろう。
 ゲストはまだ楽かも知れない。デッキに出て、日差しさえ避けられれば、風は吹きっぱなしなのだから。でも、キャプテンはそうはいかない。操船はキャビンの中で行わなければならないし、比較的窓も小さく、通気性もあまり良いとはいえない。そこに雨でも降ってくれば、ゲストもキャビンに入ってくるしで蒸し暑いことこの上ない。
 となれば、頼りになるのは文明の利器、エアコンの登場だ。
 ただ、陸上と違って海でエアコンを回すとなると、家庭用エアコンをポコンとつけるわけにはいかない。なぜか?
 まずは誰でも頭に浮かぶ錆の問題。家庭用でも沿岸仕様の室外機は防錆対策が施されているが、さすがに海水を被ることまでは想定されていない。
 それともう一つ大きい理由が、揺れの問題。
 基本的に、家庭用ではどんな動きも想定していないが、船の揺れには前後左右に加えて上下の動きまである。ボートで使用するエアコンはそれらの動きに対応できる水抜き加工が必要となるのだ。
 使用電力も大きいため、電源確保のために発電機や大型のオルタネータも用意しなければならない。 そんなわけで、マリン用のエアコンはどうしても割高になってしまう。
 快適な空間を生み出すためには、費用もスペースも結構掛かるわけで、不便もアバンチュールの醍醐味とやせ我慢しますかね。
 せめてクーラーボックスには潤沢な氷と飲み物を用意して、洋上で熱中症、なんて羽目に陥らないようにご注意を。



ヤマハニュース
ラグビートップリーグ開幕!海もいいけどたまにはスポーツ観戦も
ヤマハ発動機ジュビロの応援よろしくお願いします。
http://rugby.yamaha-motor.co.jp/

「マリン塾」操船、離着岸、ボートフィッシングなど
ボートで遊ぶための技術を基礎からしっかり学べるレッスンのご案内
http://sea-style.yamaha-motor.co.jp/marinejyuku/

ビギナー必見!係船マニュアルで予習しよう!
係船中の事故を未然に防ぐ、係船のノウハウをご紹介します。
https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/life/mooring/

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【編集航記】
今回は470級で世界の頂点を目差すヤマハのセーリングチームのメンバーを取り上げました。競技志向が強いと思われるディンギーヨットですが、実際にはとても身近で海の魅力を体全体で感じられる楽しいレジャーです。選手たちはそんなセーリングの魅力にはまってヨットを続けてきました。昔は手こぎの貸しボートと同じように気軽に乗れる場所もあったとか。風の力だけを借りて海を走るヨットの魅力も多くの人に知って欲しいと願うこの頃です。
(編集部・ま)

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