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Vol.1 紀伊長島 美味!岩がきと海の男に出会う旅

モーターサイクル・デ・フレンチ ツーリングで全国食材探しの旅

2005年4月 取材

浜名バイパスの朝、西に向かうラインは景色が素晴らしい。

今回より毎月、私“ヒルマン佐藤"が、バイク好きフランス料理人ならではの「美味しくて楽しい」バイク旅を連載していきます。
今月は、私の店でも愛用している、紀伊長島の岩ガキを作っている東さんを訪ねる旅。
美味しい食材を探すのは私も大好き!楽しみです。
ではでは、ボナペティー!(美味しく召し上がれ!)
 
浜松からR1に乗り、早朝6時の浜名バイパスを経由してR42へ。伊良湖の先端にある伊勢湾フェリーの始発は8時。フェリーに乗れば、鳥羽まで約1時間で到着です。
春とはいえ、海の上を渡る風はまだまだ冷たい!
鳥羽のフェリーを乗り場からパールロードをへて、R260へ。
紀伊長島に続くこの道は、小さな漁港が点在する私のお気に入りの道のひとつです。

XJR1300のタンクは21リッター入るから、ロングランも安心。

今回の相棒は、XJR1300ガンメタの渋いやつ。
私も若い頃、こいつのご先祖XJ400に乗ってた事があったな~。ペケジェーって呼んでました。
それにしても、空冷のエンジンがきれい。走った後にキンキン音が鳴ってるし、いい感じ。ちょい後ろから見たタンクのグラマスな感じが、グッときますね。ヤマハのシットリとした感じと、1300のぶっといトルクと、4発ならではの加速感!いいんじゃないの!
今回のルートにピッタリ合ってる気がします。てことは、日本の道に合ってるてことですね~。すべてにおいてバランスも良く、なんだか乗れば乗るほど楽しくなるバイク、これは奥が深いぞ!

夏にはムール貝が美味い!ポテトフライと食べるのがヨーロッパ風。

お昼過ぎに、今回の目的地・紀伊長島港近くの東さんのお宅に到着。おやっさん、おかーさん、エリカちゃん、愛犬のキキ、その他みなさんに暖かく迎えてもらいました(ここの家にはいつもたくさんの人がいます)。
前回伺ったのが一昨年の秋だから、約一年ぶり。久しぶりの長島の海は何とも穏やかで、春のやわらかな日差しと相まって、バイクで走ってきた軽い緊張感を、スゥーと和ませてくれます。いつ来ても、本当にいい所。
 
紀伊長島は、かつて伊勢神宮より熊野三山に参るための信仰の道として栄えた、伊勢の国と紀伊の国の分かれ目。昔の人々が、ツズラ峠から初めて熊野の海を目にし、感動した場所です。信仰心もさることながら、自然の恵みに感謝し、生かされている喜びを強く感じながら生きていたんですね。
現代の私たちも「生きている」のではなく「生かされている」という感覚を持つだけで、いろんなことに「ありがとう」と思えるものです。

私“ヒルマン佐藤”はカメラも趣味なんです。

朝から何も食べていなかったので、お昼をごちそうになることに。
アオリイカとアカイカの刺身、さんまずし、めはりずし、カツオのはらも、まるぼしを炭で焼いていただきました。
どれも美味いが、このまるぼしが美味い!美味い!
 
おなかが満たされた所で、早速船で岩ガキの吊してあるカキ棚に向かいます。
風もなく、おだやかな海面をすべるように船は進んでいき、10分もかからずに到着しました。

大小さまざまな岩がきたち。

ここ紀伊長島で岩ガキの養殖が始められたのは、ほんの数年前。それまでは、素潜りをしながら天然の小さな岩ガキを集めていたそうです。その後、真珠養殖で使っていたカゴを再利用して養殖が始まったのですが、カゴに海藻や貝類が付着し、 岩ガキの生育が遅くなるため、頻繁に掃除が必要でした。
これがとても大変な仕事で、時間も労力もかかる重労働だったとか。
今は(耳吊り)という方法で帆立の殻を吊るし、浮遊している岩ガキの赤ちゃんを貝殻に付着させる方法に変わっています。この岩ガキの赤ちゃんを作っているのも、東さん。種から作るのは全国でもとても珍しいこと。

きれいに掃除され、サイズ分けされた岩ガキ。

このカキ棚だけで大小25万個の岩ガキが吊るされていて、水深10~17mの海の中で、生まれてから約3~4年で出荷できるぐらいに育ちます。
 
大きく育った岩ガキは、収穫した後、高圧洗浄機やブラシなどを使って一つひとつきれいに掃除。とても根気と時間のかかる作業です。僕にはとてもできない!(笑)
その後、サイズ分けして網に入れ、再び海に吊るす。色々な手間がかかっているからこそ、きれいな形が保たれているのですね。
出荷する直前には、紫外線殺菌された海水を循環させた槽の中に20時間ほど入れ、厳菌処理をします。

うまい!貝柱が甘い。

紀伊長島の海は、熊野の山々から流れ出る豊かな水がプランクトンを豊富にし、岩ガキを美味しくします。海水をなめると塩味がやわらかく、まる~く甘みを感じるほど。
せっかくなので、この場でひとつ頂くことにしました。
殻をあけると、身がぷりぷり!アワビのよう!海水でさっと洗ってパクッといきます。味は、まさに海のミルク。
生臭さはゼロのこの美味しさはまさに・・・大切な人に食べさせてあげたくなる至福の味です。
4月半ばでこの身質!実はまだピークではありません。5月~6月に入るとうまみ成分のグリコーゲンがさらに増し、少し白っぽくなり身が盛り上がってくるので、まだまだ美味しくなりますよ~。

"ヒルマン佐藤"シェフの
これは覚えておくベシ!

◆岩ガキとは 
冬の牡蠣はマガキとは種類が違います。マガキとは逆の季節に産卵を迎えるため、夏に向けてうまみ成分のグリコーゲンが増えていき、独特のうまみ、甘み、歯ごたえがあります。
岩ガキはマガキの100分の1の生産量。少しずつ生産量は増えているものの、まだまだ貴重な味覚です。
 
◆美味しい食べ方
生で食べるのが一番!柑橘類ならたいてい合います。
さらに挽きたての黒胡椒をふりかけると味が引き立ちます。
エシャロット、ビネガーを添えるのもいいですよ。
ムニエルやフライにしても最高!
 
◆相性の良いワイン
辛口でフルーティーさがある白か、ボージョレーのような軽めの赤でもOK。
でもやっぱり日本酒かな。アイラモルトもいいですね。

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