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Vol.2 デッカい自然とスッゴイ人々に出会う旅

モーターサイクル・デ・フレンチ ツーリングで全国食材探しの旅

2005年5月 取材

ボンジュ~ル!
皆様お元気でしょうか?ヒルマン佐藤です。
私の”食材を探す旅”。第2回目にして”スペシャル版”。ありがと~う!
セロー20周年&新型セロー250発売記念!北海道キャンプツーリング「デッカい自然とスッゴイ人々に出会う旅」と題して(長すぎ!)、発売間もない『新型セロー250』で、まだ寒さの残る北の大地2000キロ/6日間を走って参りました。あまりに長い旅だったので、2回に分けてご紹介いたします。
今回はどんな、食材、人に出会えるのか楽しみ楽しみ~
ではでは、ボナペティー(美味しく召し上がれ!)
 
私こと”ヒルマン佐藤”は全国津々浦々を走って参りましたが、実は、バイクで北海道を旅するのは初めて!
料理人という職業柄なかなか長いお休みは取りづらく「どうせ行くなら無理矢理短いスケジュールで行くよりも、いつの日か一月くらいかけてのんびり回りたい」。そんな夢があったのです。
私にとって北海道は、あえて行かない、大切にしている場所。と言うより、昔から仲間のバイク乗りから羨ましい話をたくさん聞いて”すねて”いたんですけどね。
修業時代、研修旅行で北海道に行ったときは、バスの中で景色を見ないようにできるだけ目を閉じていたくらい。それほど、北海道は私にとって思い入れのある地なんです。

新千歳空港に到着!静岡と比べるとかなり寒い~

5月1日
朝4時半起床。開港したばかりのピカピカの名古屋セントレア空港へ、車で到着。
そう!今回の旅はヒコーキにて、ひとっ飛びで北海道!しかも、ANAでは自分のバイクを飛行機に乗せて運ぶサービスがあるようだ。自走やフェリーで行くより時間も短縮できるし、より多く北海道を満喫できるゾ。自分のライフスタイルに合わせて選ぶとよいかもね。
ヒコーキですよ!ヒコーキ!乗ったら1時間半くらいで着いちゃうんですから。貧乏キャンプツーリング専門の私にとっては革新的!こんな旅もあるんですね~。北海道が近く思えましたよ。
 
昼前に無事新千歳空港に到着。天気は小雨。気温は6度ほどで、静岡とは15度も気温差が。
さっそくセローを預けてある、YSP札幌西で旅支度開始。
背負ってきたリアキャリアやミニスクリーン、ナックルガード他(商品が品薄のため、YSP浜松の試乗車から、ご好意でお借りしました。鈴木さんありがとうございました。)を装着してもらっている間に、送っておいた荷物をまとめます。
とても感じの良い社長の亀井慶一さんから、北海道でのツーリングに関してのアドバイスを受けて、旅気分も盛り上がりまくり。
YSP札幌西ではレンタルバイクも充実していていろんなタイプのヤマハ車を用意しているそう。要チェック!
旅仕様になったセローに跨がり、キーをオン。オドメーターをリセットして、軽く回るセルモーターで軽やかにエンジンが目覚める。
軽い緊張と期待、キャンプ道具を載せて走り出す、この自由な感覚が、も~、たまりません。やっぱり私の旅はこうでなくちゃ!

札樽自動車道で初高速。 路肩にはまだ雪がギッシリ

札幌西ICから札樽自動車道で終点の小樽まで、セローは排気量アップに伴って高速走行にも余裕があります。高速域からでもパワーが出るので、ミニスクリーンが思いのほか、しっかり仕事をしてくれる。付けてよかった~。雨も上がり、まずは小手調べとばかりに、小樽をくるくる走り回る。こんなとき取り回しがいいセローはホントに楽ちん。低重心マスの集中化のおかげだろう、歩くような速度で走っていても、抜群の安定感だ。
小樽は本物の歴史の重みを感じる街、テーマパークとは、ちと、違います、こんな場所は幸せそうな顔をした人たちが沢山歩いています、次回はバイクを降りて、ゆっくり歩いてみたいな、軽~く観光気分を味わって、さて、目指すは日本アスパラガス発祥の地・岩内!

有名な『海猫屋』は1976創業、ヒルマンは1995年創業

今回の旅で一番の楽しみであるホワイトアスパラ。
私とホワイトアスパラの出会いは、15年位前の修業時代。そのお店では、春がくると北海道のホワイトアスパラがメニューに載りました。空輸で送られてくるのですが、時間が経つと味が落ちるので、調理場全員総動員で下処理をして茹でるという、大急ぎの仕事。
でも残念なことに、その後、契約していた生産者が作るのをやめてしまったということで、仕入れをやめてしまったんですよね。
ホワイトアスパラは独特の苦み、歯触りが絶妙で、これを食べないと春が始まらないと思えるような存在感の有る食材。収穫したその場で食べたらどんなに美味しいだろう(うっ!よだれが!)。
そんな想像や思い出で、頭の中をいっぱいにしながら、ワクワクしてしまう私なのでした。

赤煉瓦に黒いセロー。イケてるね

18時、『北緯43度』に到着。『ホワイトアスパラ生産者の会』事務局のあるお土産屋さんの店名。
お世話になる芳賀博さんから「今年は5月としては近年にない寒さで、まだ、アスパラが収穫された話は聞いてないよ~」との情報を聞かされ、ちょっと冷や汗。なんとか頼みこんで、明朝、農家さんに伺えるように手配していただきました。
 
夕闇がせまり、明日も早いので、早速今夜の寝床を探します。
岩内の町を見下ろす高台にオートキャンプ場マリンビューを発見。岩内の夜景もキレイだし温泉もバイクで3分、いいところです。
本日の走行距離145キロ

朝起きて散歩するのは気持ちがいい。好きな時間のひとつ。 私の寝袋はマイナス20度ぐらいまで対応、暖かいんだな

5月2日
朝8時、昨晩の雨も上がって快晴!北緯43度で待ち合わせ、芳賀さんと同じ岩内郡の共和町の渋谷昇さん(ホワイトアスパラ栽培歴39年)のお宅に、早速、自宅裏の畑に案内してもらいました。
自宅裏と言っても、そこはさすが北海道。アスパラが日に当たらぬように砂地の土を盛り上げてある広大な畑に圧倒されました。例年にない寒さのおかげで、今年はまだ一本もアスパラを見ていないそうだ。去年のこの時期には少しは収穫していたと言うのだが…。
せっかくだからと、畑を見て回ってくれたのですが、やはり、ありませんでした。ガーン!予想はしていたけど、全くないとは、残念。

多年草のアスパラの根。10年以上収穫できるんです

しかたがないので、渋谷さんのお宅でお茶を頂きながら、ホワイトアスパラのお話を聞いたり、NHKなどテレビの取材を受けた番組のビデオ鑑賞となりました(渋谷さんはアスパラ界の有名人ですね)。
話を聞けば聞くほど、ビデオを見れば見るほど、単純に食べたい気持ちが沸き立ってきます。ホント、残念…。
あまりにがっかりしている私を見かねて、少し掘ってみようかと、息子さんがポツリと言うが早いか「是非!」と満面の笑みで返事をしていた私なのでした。
そして再び畑に。あった!!小指ほどのホワイトアスパラが!これに出会いたかったんだよ~とばかりに、採りたてをいただきま~す。これがスッゴク甘いんです。
そして口の中に入れた瞬間に広がる香りは、まさに“大地の旨味”。ごちそうさま!しかし、少しでも食べられてよかった。私のわがままを叶えてくださったみなさん、ありがとうございました!

おみやげやさん。『北緯43度』はタラ丸市場の近く

岩内でのホワイトアスパラの歴史は大正時代にまで遡ります。昭和40年代までは130戸以上の農家が栽培していて、その全てが缶詰用。品質も評価され50%以上がヨーロッパに輸出され、高級品として農家を潤していたそうです。
その後、中国・台湾からの安い缶詰におされ、ほとんどの農家が、栽培がホワイトより楽なグリーンアスパラに転向してしまったのでした。そして5年前には、最後の缶詰工場も閉鎖。今では、わずか5件ほどの生産者が残るのみとなってしまいました。
しかし近年、国内でも生鮮野菜としての人気が高まり、需要に対して供給が追いつかない状態が続いています。『岩内生産者の会』は、ホワイトアスパラを特産品として復活させることを目指し、新規で始める農家に栽培指導などをしています。
 
渋谷さんにホワイトアスパラが収穫でき次第、お店に送ってもらえるようにお願いし、岩内を後にしました。
本来の仕事(シェフですから、一応)も、忘れてませんよ~。

北海道にはカラフルでユニークな建物が多い

札幌まで戻り、道央自動車道を通って3時間ほど走ると、滝川市にあるレストラン『ラ・ペコラ』に到着。
こちらにはミルク ラムを食べに立寄りました。ミルク ラム?聞き慣れない名前ですよね。生後一年未満の子羊がラム、ミルク ラムは離乳前の子羊のことを指します。
様々なタイプがあるのですが、今回食べたのは生後3ヶ月ほどのミルク ラム。春先の数週間しか出荷されない貴重な食材です。
フランスではポーイヤック地方の(アニョウ ドレ)ミルク ラムが有名ですが、北海道産を食べてみたかったんですよね。

ん~おいしそうだ

肉質は白っぽく、とても柔らか。ラムと比べると食感、香り、味ともに別もので、特に肉の刺身は想像以上に癖がなく、とても美味しかった。シェフの河野忠一さんは羊をこよなく愛する方。
店名も“一匹の羊”という意味というから相当なものだろう。仕入れ先の白糠町茶路めん羊牧場さんを紹介してもらい、急きょ、旅の途中で寄ることに。こちらのお話は、第二部にて。お楽しみに!
 
道央自動車道に戻り、深川JCTから深川留萌自動車道を経て、日本海へ!景色も徐々に広大さを増し、北海道に来てる気がしてきた。

こんな道に足を踏み入れることができるのも5月の魅力

地図を見ていて、ふと思い出したことがある。
オフロードレースに夢中だった頃、練習中に鎖骨を骨折して入院していたときのこと。お見舞いに来てくださった食通の50代のお客様から、入院中ヒマだろうからと、本を数冊いただき、その中に『塩狩り峠』という本がありました。内容は、鉄道員である主人公の幼年期から青年期をつづったもので、淡々とした流れで話が進んでいきます。
その中に、「他者に物事を伝えようと思うなら、人として心に誠を持ち続けなさい」と、少年に父親が諭す場面が出てきます。彼は、その言葉を胸に持ち続けて人生を歩んでいくわけですが、その姿勢が快く、一晩で読み終えてしまいました。
結末は、たまたま乗り合わせた列車の連結部が外れてしまい、ブレーキをかけたのですが間に合わず、迷わず自分自身の身を投げ出して、乗客の命を救う…。涙をこらえている意味がないと思うほど、涙が溢れて止まりませんでした。
4月の終わり頃、大きな列車事故が起こり、多くの方が亡くなりました。しかし、現代社会で沢山の数をこなすマジックの中にいても、個々の心の中に誠があれば、土壇場で誠のある良い判断ができたのではないかと思うのです。
亡くなった方々のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。

潮の香り、なんて気持ちがいいんだ!

R232で海沿いの道を苫前までひた走り、日も暮れてきたので今夜の寝床を探します。
運よく苫前温泉の横の高台に、夕陽ヶ丘キャンプ場を発見!今夜はこちらにお世話に。テント一張り500円。温泉まで歩いて行けるので、楽チンです。
本日の走行距離350キロ

遠くに見える風車で苫前町の7割の電力がまかなえるんだって

5月3日
本日も快晴!だけど、昨晩からの強風で、朝からテントがつぶれそう!飛ばされないように撤収し、今日は待望の天塩~稚内区間を走る『日本海オロロンライン』です。
電柱やガードレールのない原野をひたすら一直線。風が強いので、車体を少し斜めにしないとまっすぐ走りませんが。

私が欲しかったのはもう少し、小さいタイプ

天塩を過ぎると巨大な風力発電の風車がこつ然と現れます。数えると28基、なにしろ巨大だ。
5年位前に、この風力発電の風車を個人で買えないかと真剣に考えた事がある。北欧などでは、結構個人で持つ人も多く、国や電力会社からも優遇措置を受けているという。安い買い物ではないが、電気も売れるし、私の住む地域は“遠州のからっ風”といって風が強いことで有名だから、いけんるんじゃないかな~と考えた。
しかし、日本の風力地図というのがあって調べてみたら、年間を通じてみると、それほど風は強くならない事が発覚。あまりメリットが無く、お金も無く、諦めたんだった。

ホント北海道って気分。北の海の道

サロベツ原野は、360度何もない手つかずの自然が残る大パノラマ、スケールのデカサに圧倒されます。
のんびり走ると土手に小さな春の花々が沢山咲いているの(突然、少女言葉。花が大好きな私は、花を見るとそういう気持ちになってしまうんです、笑)。
よ~く見ると、ふきのとうや、カタクリなど、この季節ならではの風景がひっそりと咲いているのが、この季節の魅力。

セローで来てよかった

稚内に到着。オオ!これが知床北防波堤ドームか~!カッコいー!
昼ご飯でウニ・イクラ丼を食べたけど、まだシーズンではないので、期待していたほどの味ではなかった。2000円も出したのに。トホホ…。

もう少しで宗谷岬だ…

気を取り直し、念願の日本最北端・宗谷岬へ。なんだかウキウキしちゃうね。やっぱりバイク乗りたるもの、突端に行かねば!
観光客が沢山います、天気もいいからポカポカ暖かい、海を見ながらしばし休憩、この海の向こうはサハリンか。いつの日か行けたらいいな。
にぎやかな、宗谷岬を後にし、宗谷丘陵へ。2万年前の氷河期の地形がそのまま今に残る不思議な場所。なかなかお目にかかれない広大な風景、おすすめです。

こんな道を走りたかった

今日はまだまだ距離を伸ばしますよ~!R238でオホーツク国道でサロマ湖まで行く予定。ひたすら走り続けます。
今日の走行距離はすでに300キロ。あれ?セローに乗って今日で3日経つんだよな?今気づいたけど、お尻があまり痛くない。このシート、凄くよくなってる!改めて観察すると、厚みがあり、絶妙な張り具合。長く走る私にとって、この仕様はありがたい!さすが新型!僕の琴線に触れちゃったみたいだ。なんだか欲しくなってきたゾ。
 
そうこう走っているうちに日も暮れて、時計を見れば19時。
本日の寝床、五箇山キャンプ場に到着。展望台からサロマ湖が見えるらしいから、明日の朝が楽しみ。近くの『かみゆうべつ温泉チユーリップの湯』の隣にはチューリップ公園があり、100万本の花がもうすぐ満開らしい。なお、チューリップの湯には、チューリップは浮かんでいませんでした、期待しないように。
明日も早いので、もう寝ます。おやすみなさい。→次号へ続く

"ヒルマン佐藤"シェフの
これは覚えておくベシ!

◆ホワイトアスパラとは 
多年草の植物。土壌下の大きな根茎から伸びた若い根茎のこと。アスパラには白、紫、緑の3種類がありますが、育て方が違うだけで同じ品種です。
そしてホワイトは土で覆って軟白させながら育て、土から頭が出そうな時を見極めて収穫される。日を当てるグリーンアスパラに比べ、非常に手間がかかるため、価格も割高になるのです。
アスパラは体に良い成分が多く、血液をサラサラにしたり、疲労回復、美肌、高血圧、他多数の効能があると言われる、まさに食べる薬。その歴史は古く、エジプト時代から栽培されていたようで、当時は薬効目的に重用されていたとか。かの世界三大美女・クレオパトラも食べていたかもしれませんね。
 
◆美味しい食べ方
生をバターで炒めたり、フライにしたりしても凄くおいしい。
塩ゆでにして、溶かしバターやマヨネーズ、卵と相性が良いので、ゆで卵と合わせると最高です。個人的にはクリームスープが好きです。
 
◆相性の良いワイン
辛口のシャンパン、辛口の白、サンセール、ミネラル分を多く感じるワインが良いね。

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