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Vol.8 煙りと歴史 自然と人の芸術を感じる旅

モーターサイクル・デ・フレンチ ツーリングで全国食材探しの旅

2005年11月 取材

旅立ちの朝 気持ちがいいものです

ボンジュール。秋も深まり、冬がすぐそこまできていますね。ヒルマン佐藤です。今回の食材探しの旅は、飛騨高山市清見町へ。生ハム、ソーセージ、ベーコンなどのアトリエ『キュルノンチュエ・ヤマオカ』に出掛けてきました。私のお店でも、ベーコンやらスモークサーモンなどを自家製で作っています。本来フランスでは、職業の細分化がされていて“畜肉加工品”全般は、料理人の仕事のカテゴリーにないので、料理人が作る事はまれなのですが。日本では作る方も多いように思います。

フランスで“シャキュトゥリィ”(ハム、ソーセージ、冷たい総菜の専門店の事)の修行をしてきた良い店があると、以前から料理人の友人に聞いていたので、いずれ行こうと決めていたお店。飛騨高山は紅葉が見頃のようだし、何といっても美味い生ハムなどが大好物!きれいな紅葉と生ハム……。考えただけで…嬉しくて泣きそう。あっ!よだれも出てしまった。(品がなくてすいません)

今回の相棒は『ドラッグスター1100』略して『DSC11』。『ワイズギア』のフルカスタムモデルです。迫力ありますね〜。シートに座り、片足をフットボード乗せる。ハンドルを持ったとたんワイルドな気分になれる。そう感じるのは、私だけではないはず!浜松西ICから東名高速、東海環状道路で美濃方面へ。鞍ヶ池PAで私と同じ『DSC11』を発見!オーナーは、友人と公園で休憩していた三浦敦夫さん。三河知立から昭和村に遊びに行く途中だそうだ。『DSC11』に乗って一年ほど、使い込まれた『ワイズギア』のサドルバックもワイルド感が出ていていい感じ。三浦さん、自分のドラッグスターとても気に入っているそうだ。これからも良いバイクライフを!

バイク用ナビゲイターはタッチパネルで便利だ。もちろん日常防水、耐振動性。

美濃加茂ICからR41に降ります。せっかくだから途中で下呂温泉にでも寄って行きましょうか。やっぱりクルーザーはいいですね。
しかも1100ccもあるからすべてに置いて余裕が有ります、バックレストまで付いているので殿様気分疲れ知らずで、昼前には下呂温泉に着きました。
私のお目当ては、川岸に石を組んだだけのワイルドな温泉。脱衣所すらありません。ここは、私がツーリング途中によく立ち寄る場所でもあります。今回の相棒・ワイルドなDSC11との旅にもピッタリ!!さすが、天下の3名泉に数えられる下呂温泉。泉質は最高です!そういえば、数年前に立ち寄ったときは、この河原で野営したっけ。最近は真冬でない限り、面倒なので、一泊くらいならマットとシュラフとビニールシートの簡素な寝床で済ませてしまう。まさに“野営”。
目覚めると、夜露が顔を濡らしているのですが、それもまた気持ちのよいものです。

少し寒いくらいの晩秋のツーリングが好きだ。

さあ、体も気持ちも暖まりました。走り出しましょう。
美濃地方と飛騨地方を分かつ舞台峠を越えると、すぐに高山市に。そこからR158に入りしばらく走ると左手に豚の絵の看板を発見!なだらかな丘を越え、憧れの『キュルノンチュエ』に到着。思っていたより、こじんまりしたかわいい建物。紅葉した裏山をキャンバスに、煙突からゆったりと薫製の煙が立ちのぼっています。よい場所に店を構えたものです。

「こんにちは〜!」お店に入って、びっくり!なんじゃこりゃ〜!(←松田優作ジーパン風でヨロシク)作り物にしか見えないほど、綺麗に色づいた熟成中の生ハムやら、美しい白カビのドライソーセージが、所狭しと天井からぶら下がっているのです。ウッ、美味そーだ!生唾ごっくんごっくんしながら、食いしん坊スイッチが入った私はキョロキョロしっ放し。そこをグッと我慢して、取材、取材!

へい!いらっしゃい!おいしいよ〜!

まず、スタッフが黙々と働く調理場や、薫製室などを見学させてもらい、その後、店主の山岡準治さん(69才)に、お話をうかがいました。
 
山岡さんは、若い頃からスポーツカーと美食の虜で、元バリバリの商社マン。さまざまな輸入車を、かなりの台数、売っていたそうだ。ご自身の車歴も、希少なアルファ・ロメオやポルシェなど、マニア垂涎のものばかり。これ!と決めたら追求する性格だそうで、転職を決意したのは55歳のとき。フランス語の“シャルキュトゥリィ”は、“シャル”は肉、“キュト”は熱を加える料理するという言葉から生まれた合成語、 “サレゾン”は塩漬けの肉の意味、というような言葉に惹かれ、若い頃から料理人への憧れもあったこともあり、180度違う人生を歩むことを選んだのだ。そして、思ったが早いか、単身でフランスへ渡ったのです。
 
ヨーロッパの中でも、薫製品で名高いスイスの国境にそびえるジュラ山脈の麓にある街・モルトオで、3年間修行。ともに働く職人たちは、みんないい人たちだったけれど、技を絶対に教える事はないそうです。厳しい世界の中で、技術を習得していくのは、並大抵の事ではなかったはず。55才で全く違う世界に飛び込み、厳しい修行を積み…。若い私たちにでも、なかなかできることではありません。
 
帰国後、東京の家を売って開業資金にし、1998年、フランシュ•コンテと気候風土が似ている清見町に『キュルノンチュエ』を開業したのだ。山岡さんのお話を聞いていると感じるのが“本物”や“本質”をバランスよく見極める目を持っている方だということ。しかしながら“シャルキュトゥリィ”のお仕事、楽しそうだな〜そういえば、調理場に修行中の稲垣雄三さんと中川萌さん、2人の若いスタッフがいましたね。山岡さん曰く、「次世代の職人として、すべてを伝授する。種をまいているつもりなんです」と…。良い芽が出て大きな木になるはずです。

静かに熟成を深める食の芸術品たち。

ここの生ハムがなぜ美食家から注目されているのか。まずは、素材。使っているのは鹿児島の由緒ある黒豚。そして、その他にも、ゲランドと伯方の塩、湧き水など、徹底的にこだわり抜いたものだけを使っています。
最新鋭の真空調理技術で仕込み、2千年来の伝統技法で手を添え、薫製室で静かな時の中、あめ色に旨味が引き出されます。そしてさらにそこから、8ヶ月以上天井から吊るされて、熟成を深めてゆきます。「時間をかけずにすまそうとしても、時間がそれを許さない」『キュルノンチュエ』のパンフレットにある言葉です。すばらしい言葉ですね。

話は尽きる事がありません。

やさしい燻煙の香りに包まれながらのお話は、とても有意義なものでした。
時計を見ると17時、出掛けなくてはならない山岡さんを見送り、今夜の寝床をどうしようか迷っていると、ご好意でお店の脇にテントを張らせていただけることに。既に薄暗くなりかけていたので助かりました。
そういえば、朝からおにぎり2個しか食べてなかった。お腹がペコペコ。近くの食堂で夕食を食べました(飛騨牛の朴葉みそ焼き定食。値段の割に味はイマイチだったのが残念)。夜になると冷えてきました。テントを張り終え、山岡さんにいただいた赤ブドウ酒をヴァンショー(ホットワイン)にして体を温めます。もちろん片手には、『キュルノンチュエ』の乾燥サラミ。ナイフで薄くそぎながら、そのまま口に運びます。深々とした味わい、熟成感。口の中にヨーロッパ食文化の歴史が染み渡るような感覚。感動です。満天の星空を見上げると『キュルノンチュエ』の煙突から、やさしい煙が夜の空に溶けていました。私も、ワインがまわって眠たくなってきました。
温かなシュラフにもぐり込み……次の瞬間意識がなかった(昨夜は2時間しか寝てなかったからね)。本日の走行380km

今日も沢山走れると思うと気持ちが踊る。

翌日は早起きして近くの小鳥峠まで紅葉巡り。1,000mの頂上付近まで続くワインディングは『DSC11』には心地よい道。勾配がしっかりあるポイントでも、トルクフルに余裕でこなします。しっとりとしたハンドリングに、あくまでもジェントルなトルク感。大人の余裕を感じずにはいられない。70年代後半に『XS650special』から進化していったヤマハのクルーザーは、そのスタイリングの良さとクルージングの成熟感すら感じる。小鳥峠の頂上付近には4haの湿原植物群があり、散策路もあって素敵な所。思いっきり紅葉も楽しめました〜。

高山のだんごは醤油味で美味しい。1本70円

次は,小鳥峠を戻り、高山の伝承空間エリアを観光。人の多い所はあまり好きではないのですが、旅の途中、高山方面を通るときには必ず寄って、行きつけの古布の店に掘り出し物を探しに行きます。楽しいですよ〜。もちろん、屋台の団子も必ず食べるのがお約束。高山の観光客のおばちゃんには『DSC11』が大人気!「立派なバイクだね〜」と、褒められっぱなし。人だかりが出来るほどで、ちょっと恥ずかしかったな。

センスの良い看板ですね。

さて観光気分も味わって『キュルノンチュエ』に戻り、お土産を買わなければ!
ドアを開けると、またまた良い香りに包まれます。アロマテラピーですねこれは。さて、お土産は、生ハム、リエット、ベーコン、それから白カビの乾燥ソーセージも……。「えっ?!白カビは全部予約?!」よく見ると、熟成中の品に名札が付いている。おそれいりました!さすが、人気商品。予約が必要です。実は内緒で、一本だけ分けていただきました。ありがとうございます。皆さんに見送られながら、『キュルノンチュエ』を後にします。さようなら〜!!

ヘルメット(ドリフト)はSG規格の約1.5倍もの衝撃吸収力が要求されるJIS2000規格をクリア。

帰りは東海北陸自動車道、清見ICから一気に浜松まで帰りました。
ハイウェイでの『DSC11』はクルーザーの本領発揮!!フロントスクリーンは視界の邪魔にならず、ライダーの疲労を軽減してくれます。日も暮れて、新しいデザインのメーターパネルが綺麗。品位を感じますね。ハイウェイでのクルージングは、しなやかで違和感のないサスペンション、ローアンドロングの安定したポジションと、高回転域でもパワーが出ていて、大変満足しました、とても楽しかった。そして何と言っても、今回は “着るエアコン”という優れもののインナー『ハイグレーター』を上下に着ていたので、とても快適!フィット感も良く気持ちがいい。インナーウェアが優れていると、これほどにまで旅が快適になるのだというのを実感しました。

移動時間3時間。高山も近くなりました。正直ビックリです。このクルーザー『DSC11』なら日帰りでも余裕で楽しめそうだ。

"ヒルマン佐藤"シェフの
これは覚えておくベシ!

◆食肉加工品とは
歴史は古く紀元前から加工の歴史がり、食肉の食事が中心のヨーロッパでは紀元前のギリシャで既に薫製品や塩漬けの肉が食べられていたようです。土地がやせていて、厳しい冬をしのぐため加工、保存技術が発達し豚などは使わないのは“鳴き声とひずめだけ”と言われるほど血の一滴無駄にしないのです、生きてゆくための知恵の結晶なんですね。

◆美味しい食べ方
加工肉の種類により様々ですが、キュルノンチュエの商品にはすべて食べ方のパンフがつきますから参照してください。フランス、ディジョン地方のマスタードやシュークルート(キャベツの漬け物)などあるといっそう楽しめますよ。

◆相性の良いワイン
『キュルノンチュエ』のソーセージなどには、山岡さんが修行したフランス・ジュラ地方の黄ワインで楽しみたいですね。ジュラ地方のサヴァニャン種の白ワインは、黄色いワイン『ヴァン・ジョーヌ』で知られていて、6年3ヶ月樽熟成・酸化させる『シャトーシャロン』が有名。個性的な男性のイメージで、シェリーやウイスキーのような香りがあり、個人的には好きですが、普通のワインではないので好みの分かれる所。生産量も少なく、日本ではあまりお目にかかることはありません。

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