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Vol.9 天城の名水で育つ人々と日本一のわさびを訪ねる旅

モーターサイクル・デ・フレンチ ツーリングで全国食材探しの旅

2006年1月 取材

雨上がりの夜明けに走り出すなんて最高。

私のお店『ヒルマン』は、カジュアルなフランス料理のお店。
さすがに12月は忙しいのですが、1月はとても静か(暇)になるのです。
が、「明日は『食材探しツーリング』に出かけるゾ!」という週末に限って大忙し!おかげさまで1時間半しか眠れず、今年も相変わらずのスタートになったのでした。
 
今回の相棒は『グランドマジェスティー400』。風格のある大柄なボディーに、ちょっと大人の雰囲気が漂う。上質なイメージだね。
 
さあ、出発という時間には雨も上がり、空が明るくなるにつれ、雲の間から青空が鮮やかに見えてきた。雨上がりの夜明けなんて凄く気持ちがいいぞ!おまけに今日は暖かい♪最高のツーリング日和だ!!
浜松I.Cから東名高速で清水I.Cまで1時間ほど走り、朝一番の『駿河湾フェリー』を使います。清水港~土肥港まで65分。かなりショートカットできるから楽チン!
伊豆へ行くのにフェリーを使うのは初めてだけど、伊豆が近く感じて、イメージも変わりましたね。こんなに便利なものを今まで使っていなかったなんて!

一瞬見えた、雄大な富士山。この後また雲の中に…。

昨夜はだいぶ海が荒れたらしく、その名残か、今日もまだ少しうねりがあって、結構揺れる。酔わないうちに寝てしまうことにしました。結果、これが貴重な睡眠時間になったのですが…。こういうところもフェリーのいいところかもしれないね。
 
土肥港に近づくにつれ、旅情をそそる風景に変わっていきます。テンションも上がってきたぞー。フェリーを下りて、ここからが旅の本番。
土肥港から戸田港まで走り、風光明媚な『御浜岬』でしばし休憩。店から分けてもらったコーヒーを点てましょう。
『ヒルマン』のコーヒーは、コーヒー豆屋『トレジャ』を営む大関くんのスペシャルブレンド。これがまた美味いのです。
海を眺めながらのヒルマンブレンド。たまりません。

“グランド”の名に恥じない、風格のあるデザイン。

ビックスクーターは、荷物が気軽に収納でき、ホントに便利。
今回の『Gマジェ(グランドマジェスティー)』は、リアボックスもついているから完璧だな。いちいち荷物を縛る必要もないからスマートだし、荷物が途中で脱落する心配もないね。
こういうバイクは、タンデムツーリングがいいよなー…。いい感じの場所で、彼女の作ったランチボックスを広げて、彼の入れた美味いコーヒーでまったり…。なんかいいよなー。そういうの。なーんて妄想してたらニヤニヤしていた。ははは...。
 
『Gマジェ』には、目的地まで快適にツーリングをこなす、ワンランク上の純粋な楽しみがあるね。
私が選ぶとしたら、やっぱり走りに余裕がある400ccかなー。高速道路でも余裕の加速で、快適なクルージングを楽しめたし、巻き込みの少ないフロントスクリーンとサイドバイザー、グリップカウルのおかげで、寒さ知らず。ありがたや、ありがたや。
ビッグスクーターブームは、ヨーロッパ市場で火がついたそう。フランスはもちろん、ヨーロッパ全土で、街乗りに、旅にと、マジェスティシリーズが沢山走っていると思うと、嬉しくなりますね。詳しいお話はヤマハHP内の『ビッグスクーターブログ』是非ご覧あれ。楽しく、ためになるお話が盛りだくさん。乗ってる人も、これからの人も必見だゼ!

F.Iで環境性能、燃費が向上。余裕の14リッタータンクで300kmの巡航が可能。

『御浜岬』から少し走ると『達磨山高原レストハウス』があります。ここは富士山と駿河湾が見える絶景ポイントなのだが、曇りで見えませ~ん。残念…。
しかし、近くを見ればヤマハ車が!ヤマハ車を見るとウキウキしますねー。話しかけずにはいられません。ヤマハ車のオーナーは、久しぶりのツーリングで伊豆を楽しんでいる、塚本さんと田中さん。神奈川県からみえたそうだ。塚本さんは、ピカピカの『'06 V-MAX』、田中さんは『'91 FJ-1200』を大事に乗られている。ご協力ありがとうございました~!
 
ほどなく、目的地の中伊豆に到着。なんだか走り足りなくて、伊豆スカイラインを冷川I.Cから箱根方面に向かい、ワインディング(←これがツーリングの醍醐味!)を楽しみました。
 
時間を忘れて走っていたら、3時を過ぎていた。ヤバイ!本題のわさびを取材に行かねば!!
結局、地蔵堂地区に付いたのは4時くらい。途中、小さな花や緑がポツポツと見られ、真冬のツーリングで小さな"春"見つけたって感じになりました。

三枝さんの軽トラの後を追う。

やっと今回の旅の目的地『三枝園(さいぐさえん)』に到着。『三枝園』は、江戸時代から続く、歴史あるわさび専業農家。
九代目になる三枝文彦さんは、わさびを作って30年の大ベテラン。文雄さんと奥様の澄子さんに快く迎え入れられ、早速わさび田へと案内してもらうことに。軽トラックの後ろを『Gマジェ』で追いかけます。
見えてきました"わさび田"が!初めて見るそれは、想像以上に大規模!
さらに奥に進み、バイクを止め、ここからは徒歩。三枝さんが天城山に所有する5カ所のわさび田のひとつ、湧水源口にある田まで、棚田の中の斜面を登って行きます。
沢独特のしっとりした空気と、人間の手と気の入った棚田の歴史は、厳格な雰囲気が漂い、神秘的な場所に感じました。
天城山から湧き出るこの沢の水は素晴らしいそうで、わさびに何より大切な水中酸素を多く含み、水温も1年中12~13度を保っているのだとか。水質と水量がわさびの品質を決めるため、その昔は湧水源で税金が違っていたと聞きびっくり!わさびにとって、それほど水が重要なものだということですね。

三枝夫妻と記念撮影。取材協力ありがとうございました!

中伊豆町でのわさび作りの歴史は、徳川8代目将軍・吉宗公に、わさびを献上したことから始まります。
天城山の軽石層から湧き出る名水を利用しようと、大小の石を一つ一つ積み重ねて造られた棚田。そこには、新鮮な水をわさびに送るため、一つの沢を通った水は川へ戻し、ろ過した水だけを下の沢へ流すという工夫が施されています。わさび農家は、わさびを育てるだけでなく、土木技術も大切な仕事。
この技術を受け継ぎ、現在、164戸もの中伊豆町わさび組合員が、天城の名水を分け合い、上質のわさびを育てています。こうしてやっていけるのも、先人たちの知恵とたゆまぬ努力のおかげだと、文雄さんは言います。
 
説明を受けていると、澄子さんがワサビの花を摘んで来てくれました。花を見ると分かりますが、わさびはアブラナ科の植物。
勧められて茎をかじってみると、これがおいしいー!爽やかな辛みと苦みの中に甘みが潜み、湧き水の美味さがダイレクトにあふれている感じ。ホント美味しい♪
『三枝園』では今、17年かけて自主開発した新種のわさび『かおり』(品種登録申請中)を栽培中。市場でとても評価が高く、すべてにおいてとても優れた品種だそうで、これからに期待がかかります。
取材に伺った時間が遅かったので、あまりのんびりできませんでしたが、不思議の国に来たような空間。季節が変われば、また違った不思議な空間に出逢えるんだろうなー。また遊びに来たいなー。

『羅漢窯』の冬の夜膳は待屋で、冷酒と熱々の蒟蒻おでんから始まった。

わさび田を後にし、間もなく日も暮れようかという時間に、今晩お世話になる、『羅漢窯』に到着。
ここ『羅漢窯』は、築100年以上の古民家を再生し、器とお料理が楽しめる空間として生まれ変わったところ。こちらには、4~5年前に友人の紹介で食事に来たことがあり、私のお気に入りの場所でもあります。
なんと、偶然ですが、『三枝園』から200mしか離れていないのです!(近くてビックリ)
 
ここの主は、陶芸家の加藤千尋(ちひろ)さんと、お料理を作る奥様の敦子(あつこ)さんご夫婦。
千尋さんはかつて、陶芸を教えるため8年間メキシコで暮らし、旅行中の敦子さんと出逢い結婚。そのまま現地で新婚生活をスタートさせたそう。電撃的!帰国後、ここ中伊豆の廃屋を借りて再生し、『羅漢窯』と名付けたそうだ。
お料理のセンスがある敦子さんは、その腕を生かし、千尋さんが焼いた器に華麗にして大胆に、そして自然に盛りつけをし、季節感あふれる一皿に仕上げていきます。
自家菜園やその日に手に入った食材で作られる料理は、まさに、自然から頂いたシナリオのないメニュー。
さらに素晴らしいのは、季節によって演出が変わるところ。これが噂になり、メディアにも多く取り上げられているそうだ。
今回は、自家製蒟蒻おでん&冷酒を、味噌樽を再利用したという待屋で。前菜を、メキシコ風テーブルのある土間で。その後、囲炉裏のあるお座敷へ。という演出の中、料理を堪能しました。
ゆっくりと食事をする時間、季節の食材、器と盛りつけ、加藤さんご家族の人柄、中伊豆の自然…。これこそが本当の贅沢なんだろうと思う。
 
そうそう。もちろん、わさびは野菜・刺身・和牛など、料理の名傍役として常に大活躍でした。
食事を堪能した後は、ご家族を含め、料理やいろいろな話で盛り上がって、本当に楽しかったー。
今夜の寝床は、『羅漢窯』提携の温泉宿。お布団でぬくぬくしながら眠りにつくことに。お食事とセットのプランで懐もぬくぬくです。
 
余談ですが、敦子さんは、私のお店『ヒルマン』の女性スタッフ・松本さんによく似ていたなぁー。並べて比べてみたいほど、ホント、似ている...。

朝のコーヒーをいただく。以前来た時は奥で眠っていたジュークBOXに、明かりが入っていた。

6時起床。昨夜からの雨がまだ降っている。薪ストーブに火をおこし、コーヒーをいただきながら、ぼーっとしてしまう。優しい温もりをくれる火はいいものです。見ていて飽きない。
しかし、今日は月曜日。お店のランチタイムに間に合うように帰らねばっ!
日が昇るにつれて、青空が見えて来た。ラッキー!!
宿を後にする前に、旅でのお約束、朝の散歩に出掛けます。

道路から見下ろす棚田の先に『羅漢窯』はあります。

歩くスピードで周りの景色を見ていると、ここの暮らしがよーく見えてきて、本当に良い所だと実感しました。
忙しい日々を送る方も、ちょっと息抜きに、時間をかけて食事する贅沢を味わいに行きませんか?毎日の食事では見えない、感じない味を楽しめますよ。
もちろん、季節の風や匂いを感じるバイクならさらによし!
 
さてと、仕事だー!帰ろう!

安全に、快適に帰りましょう。

朝イチの駿河湾フェリーに乗り、東名高速をノンストップで浜松まで。
さすが、『Gマジェ』。安心してクルージングできました。今回のような旅のスタイルには、ビッグスクーターが向いてるね。リアボックスには、いただいてきた鹿肉とわさびもバッチリ入るし、すべてにおいて余裕があるから、旅のスタイルがさらに広がる。 "
生活の中にスムーズに調和する"ビッグスクーターって感じ。魅力的だ。
 
おかげさまで、無事ランチタイムに間に合いました。結構余裕で着きましたよ。
それにしても…アー、楽しかった。新年一発目の旅も、満足、満足。

"ヒルマン佐藤"シェフの
これは覚えておくベシ!

◆わさびとは
わさびは日本原産の植物で、学名は『ワサビア・ジャポニカ・マツムラ (Wasabia japonika Matsumura)』。アブラナ科に属する常緑、多年生、宿根性の植物。
古来より日本の食卓に欠かすことのできないわさび。蕎麦、刺身、肉料理など、さまざまな素材の味を引き出し、料理全体の味をひきしめる、なくてはならない名脇役の素材。偉大なるわさびに感謝。
わさびの辛みは、単に香辛料としての役割を果たすだけではありません。その辛みこそが、さまざまな効能を持っていると言われ、良く知られているのは抗菌作用・食欲増進作用など。最近では、血栓予防作用やガン細胞の増殖を抑えるなどの作用が期待できると報告され、脚光を浴びています。わさびは美味しくて、体にもいいのです。
 
◆美味しく食べるための知識
第1のポイントは、深~い緑色をしていること。わさびは水に長く洗われると緑色が深くなります。すなわち深い緑色をしたわさびは、長い栽培期間で育てられ成熟したわさびであると言えます。
第2のポイントは、目が詰まっていること。わさびの肌の目が(葉柄が落ちた痕)同じ間隔になっていること。
さらに、肌の厚みが薄いものであればなお良いです。このようなわさびは、硬くて辛味が強く、なにより粘りが出ます。そして、日持ちがとてもよいのです。
 
『わさびのおろし方』
まず、わさびの茎を一本一本外側からむしり取るか、包丁でエンピツを削るように切ります。
そして、おろし金に垂直に当て、『の』の字を書くように「まあ~るく」力をいれないで練るようにおろします。くれぐれも「ゴリゴリ」とおろさないように!わさびの辛味成分は、おろしたてではすぐに出てきません。わさびに含まれる辛味成分は、細胞が破壊され、酵素ミロシナーゼができることによって、初めて発生します。おろして2~3分で辛くなりますが、辛味成分は空気中に飛んでいってしまう(揮発性といいます)ために、10分程度で辛くなくなってしまいます。『わさびの命は10分』。
 
辛味が出ないうちに食べると、口に「苦味」を感じることがあります。これをサバリンと言うそうですが、すったわさびをまとめておいて、少し時間をおくと辛味が出てきます。そうすると「苦味」がうそのように消えてしまいます。
わさびの表面についている「イボイボ」は、花軸が落ちた跡。これを「苦味の原因だからきれいに取ってしまったほうがいい」という人がいますが、オススメしません。わさびの表面には芯の部分よりも辛味成分が多く含まれていて、皮の部分を取り除くなど、とてももったいないですよ。ちょっと古くなったわさびも、たわしできれいにする程度にして、黒く変色した部分を取り除くのは最小限にしてください。
上質のわさびには、苦み成分のサバリンがなく、辛味が強くて粘り(専門用語で『ノリ』がでるという)があるために、わさびの辛味が長い時間持続します。しかも、いいわさびは鮮度が長持ちしてわさびの品質が落ちないのです。
 
★お料理の写真は、中伊豆の猟師さんからいただいた鹿ヒレ肉のステーキ レーズンのソース わさび風味です。ミディアムレアに仕上げた鹿肉と、甘いソースにわさびのソースが最高のマリアージュを見せてくれました。
 
◆相性良いワイン
ワサビだけをつまみにするなら、ハーブの香りのする爽やかな白ワインが好相性。ソービニオンブラン種の『プイィ・フュメ』などはバッチリ!
ワサビと合わせる素材で多種多様に楽しんでください。

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