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Vol.13 森の恵みと情熱、家族の絆を見た旅 その2

モーターサイクル・デ・フレンチ ツーリングで全国食材探しの旅

2006年5月 取材

直売所は山間の静かな場所に有ります。

さてさて、本題。
「シイタケブラザーズ?」と、思った方は、前のvol.12をご覧あれ!
『シイタケブラザーズ』のある川辺町の人口は1万人ほど。町域の約7割を山林が占め、町の中央を飛騨川が南北に流れる山と水の町です。ホタルの里としても有名で、夏にはゲンジボタルが乱舞する自然豊かな所。
そして秋には、イチョウの色づきが見事な春日神社があり、その目の前にあるのが『シイタケブラザーズ』の本拠地。年間を通じて『シイタケ狩り』もできて、直売所も併設しています。温暖な気候を利用し、“植菌”、“仮伏せ”、“本伏せ”の行程を行い、より早くシイタケ菌を蔓延させます。そして、生シイタケの周年栽培、天日干しシイタケ、その他の加工品の製造などが行われています。
この川辺農場の他、40キロ離れた場所には黒川農場があります。ここは菌の繁殖に向いている川辺町より標高が高く、寒暖の差が激しいので、シイタケの発生に良い環境。毎日3000本近くの“ほだ木”を川辺農場から黒川農場へ運び、新たに木の栄養を貯めて、次の発生に備えさせるために休養させる“ほだ木”を積んで帰ってきます。こんな事をしている生産者は他にはいません。大変な作業です。

機械化が進んでも、自然の下、木の栄養だけで育つシイタケは昔のままです。

早速、『シイタケブラザーズ』の三男・横田泰弘さんに案内していただきました。
まずは、原木の“穴開け”、“植菌”の様子を!私は趣味でシイタケ栽培の植菌をしますが、ドリルでの穴あけはとても手間がかかる作業です。『シイタケブラザーズ』では、機械化による原木への“穴開け”、“植菌”、“封蝋(ふた)”の自動化で、年間5万本を超える栽培が可能になったそうだ。この作業を行う機械の仕組みや動きを見ていると、機械好きの私は無性に楽しくなってしまった。便利な機械だ。
次に、“仮伏せ”。冬越しする前の樹木は、年間でもっとも栄養を蓄えているそうで、この時期のコナラやクヌギを使用。植菌後1~2ヶ月間はビニールで覆い、保温・保湿します。
こうすることで、シイタケの菌が原木を食べ始めやすくなるのです。

このとき教えていただいたのが、シイタケ菌を食べたり、邪魔をしたりする菌があり、通常、これらの菌は殺菌剤などを使って予防するという話。しかし『シイタケブラザーズ』では一切使いません。そのため、こまめに目を配ってあげる必要があるのですが、常に観察していても“ほだ木”を駄目にしてしまう事もあるそうだ。安全な食品づくりも、楽ではありません。

すべて手作業で積み上げる。こりゃ大変だ…。

“仮伏せ”が終わると、“本伏せ”、“天地返し”と続き、250日~300日ほどでシイタケ菌がまんべんなく原木を食べ、シイタケが発生できる準備が整います。この状態になった木を“ほだ木”といいます。
そして“発生”。菌を起こすためにワイヤーで吊るした“ほだ木”を、コンクリートの壁にドカーンとぶつけて打刺激を与え、直後に冷水の中に沈めます。ぶつけ方もその時々で、強くしたり、やさ~しくしたり、加減があります。この、力加減が、発生の仕方に大きな影響を与えるからです。
6~12時間後に水から上げて、やや涼しい場所に2~3日置くと、樹皮を破ってシイタケの芽が出てきます。その後、発生ハウスや山に移動し、その後1週間ほどで収穫できるほどの大きさに成長します。
収穫は1日3回、朝・夕・夜中というから、大忙しです。
薬剤に頼らない分、横田さんたちは常に素手で“ほだ木”に触れます。日々変わるシイタケの表情を手で感じ取り、保湿量や匂い、音などを五感で感じながら、シイタケの声を聞く力を養っているのだそうだ。自分の手をセンサーにして“ほだ木”と対話しているのですね。

みゆきママは明るく美人です。


この道40年、創業者である父・横田俊光さん曰く「木を100万本触る頃には、シイタケの声が聞こえてくる」のだとか。シイタケの声を聞く力を養えば、風通しや日当たりなどで日々変わるシイタケの状態を感じ取ることができ、大事に至る前に手を打つことができます。
1日に約2000本もの“ほだ木”を触り、これまでに触り続けた数はすでに100万本を超えています。兄弟の手は、マメだらけでした。しかし、兄弟揃って「まだまだです」と言う。そんな言葉にも現れるように、常に謙虚で、森のめぐみに感謝し、家族やお客様を通しながら、正直にシイタケ栽培を楽しんでいるように感じた。重労働に加え、成長の早い時期は、収穫のタイミングを逃さないように注意をはらう。このエネルギーを保つことは、並大抵ではないでしょう。と、感心する事ばかり…。

この兄弟のパワーを支えているのが、家族だ!父・横田俊光さんは、養鶏業を学ぶためアメリカで2年間研修。その後、七面鳥牧場を開くことを夢見るが、ヒナの仕入先が倒産してしまうという不運に見舞われ断念する。自分で切り開いた山を前に途方に暮れるが、昭和47年、原木によるシイタケ栽培を決意し、『ふじしいたけ園』をスタートさせた。母・喜子さんは、俊光さんと出会って「この人となら何をやってもいい。どこに住むかではなく、何をするか、が問題なのだ」と悟ったそうだ。(う~ん、深い!)

栽培の規模を拡大すると同時に、1年半おきに6人の子供(男四、女二)に恵まれる大家族になった。そして現在、お孫さんは15人!夫婦2人でシイタケ栽培から加工までをこなし、農薬や添加物を一切使わない、本物の味を貫き通してきた。それを見て育った子供たちが、生きるために必要な、“生き甲斐”や“楽しさ”を感じ取り、兄弟が次々に就農したことは、とても嬉しいそうだ。父・俊光さんは、新しいアイディアや元気あふれる息子たちの姿に、「40年前の自分を思い出すんです」と目を細める。そんな兄弟の姿を見ているうちに、いっそ若い者に全部任せてやろうと決心し、平成16年夏に経営者をバトンタッチ。長男・尚人氏を代表取締役に、兄弟3人で有限会社『シイタケブラザーズ』を設立したのだそうです。良い話じゃないですか~。

シイタケも美味しいけど、それ以上に『シイタケブラザーズ』と横田家の大ファンになってしまった。そうそう、長男・尚人さんの奥さん・美由紀さんも、パワーあふれる笑顔が素敵な方だ。尚人さんが北海道大学農学部在学中に出逢い、北海道から岐阜に嫁いで早10年。5人の子供を育てながら、会社の経理、加工品の開発、直売所での接客など、さまざまな仕事をこなす。手をマメだらけにして働く夫たちが丹誠込めて育て上げたシイタケを、より多くの人たちに食べてもらいたい!シイタケ嫌いの子供たちが多い中、本物の味を知ってもらえれば嫌いになるはずがない!と信じている。そんな思いから、各種イベントなども意欲的に行っているそうだ。

美味しさと、元気を頂きました。ありがとうございました!!

男は外に外にと出て行き、強そうにバリバリ働く習性があります。しかし本当は、その仕事にすがって生きているものです。
決して楽な仕事ではない『シイタケブラザーズ』の兄弟も父も、素晴らしい母やパートナーがいるからこそ、安心して頑張ることができる。そして同じ価値観を共有しているからこそ、強い絆で結ばれているのだと感じました。『シイタケブラザーズ』には、本物のシイタケの味を伝えるだけでなく、自然やシイタケから得たエネルギー感じさせてくれる。さらに、良い考えに導いてくれたり、元気を与えたり、ここのシイタケには沢山のオマケが付いている。目に見えないけどね。良い考えは伝染して行くものだから、ここに来たらきっとアナタにも伝染するはず。もちろん僕も例に漏れず、です。
お土産を買っていると、『シイタケブラザーズ』のTシャツ発見!ファンとしては購入せねばいけないでしょう♪

シート下の収納スペースはヘルメット+他が余裕で入る。33リッターの大容量で旅に便利。

直売所を後にして、軽く周辺を散策ツーリング。近くにゴルフ場が多いから、道幅も広く、山間の道は走りやすい。スーパースポーツ並みの約50度超のバンク角を持つ『TMAX』は、コーナーでの立ち上がりが病みつきになるほど気持ちがいい!
決めたラインをビシッとこなして行く。柔らかな日差しの中、天にも昇る気分です。こりゃ、シアワセだな~。近くの公園でオタマジャクシを発見。もの凄い数でウニュウニュしてました。素手で捕まえたら、近くにいた子供が逃げて行った!!(なんで?)

日本昭和村は、美濃加茂ICのすぐ横。

道の駅『日本昭和村』に立寄りたかったが、閉館30分前だったので断念。昭和生まれの私には興味深い場所だっただけに残念だけど、そんなに遠くないから、またの機会に。
でもせっかく来たことだし、併設している『昭和銭湯里山の湯』で汗を流して行きますか!
番台や富士山の壁画、古い旅館の雰囲気がいい感じ。無料の足湯もあるから、立寄りスポットのひとつに加えたいね。

今までのスクーターとは別物のサスペンション。フロントフォークは41φのインナーチューブ!

帰りのハイウェー。どの回転域からでもパンチの効いた鋭い加速をする『TMAX』は、明らかに「他のモデルとは違うぞ!」と伝えてくる。
国内では2001年にリリースされた『TMAX』。この頃、初代『マジェステイー』に乗っていた私には、かなりセンセーショナルなデビューでした。イエローのボディーと精悍なデザインと、500ccでOHCの並列2気筒のエンジンに、心奪われた人も多いはず。今回乗ったブラックの『TMAX』は、個人的には一番『TMAX』に似合う色だと感じる。迫力が増すよね。追い越し加速も申し分ないし、車線変更時もフレーム剛性の高さを体感できる。前後各120mmと余裕のストロークを持つサスペンションで、小径ホイールスクーターを遙かに超える走りが楽しめた。アウトバーンをはじめとするヨーロッパの高速道路事情に合わせた、21世紀の新しいバイクとして、ヨーロッパのライダーから高い評価を受けているのもうなずける。
「いつかコイツでアウトバーンを走ってみたいものだ…」。などという思いにふけって走っていたら、浜松西インターまで2キロの標識。いきなり日常に引き戻された。明日の仕込みは何だっけ?楽しすぎたから思い出せない…。

"ヒルマン佐藤"シェフの
これは覚えておくベシ!

■ シイタケとは
日本で生産・消費ともに最も多いキノコは、シイタケです。旨味・香りともにすばらしく、乾燥シイタケにするとグアニル酸が増え、生よりも乾燥の方が旨味は強くなります。
乾燥シイタケは、水で戻したり、加熱することで、更に旨味が増しますよ。さらに、薬用効果や栄養価も高く、ビタミンD2が豊富。カルシウムの吸収を助け、便秘、腸ガン、糖尿病、肥満などに効果があると言われています。消費は“菌床”シイタケがそのほとんどを占めているのですが、味・食感ともにそれぞれ個性がありますから、使い分けると良いでしょう。
しかし、『シイタケブラザーズ』のシイタケは別格です!脇役ではなく、メインになりうる存在感があります。
 
■ 美味しい食べ方
『シイタケブラザーズ』のシイタケは、とりあえずシンプルに食べてください。軸の固い部分だけ切り、ペーパータオルなどでゴミなどを払います。このとき、水で洗ってはだめですよ!せっかくの旨みが逃げてしまいますから。フライパンにバターをひとかけ入れ、傘を下にして一分ほど焼き、水分が出るか出ないかのタイミングで裏返します。ほんの少し焼いたら醤油を少したらして、さらに焼きますが、くれぐれも焼き過ぎに注意!焼き上がった後に、好みで塩を軽く振って出来上がり。ビックリ仰天の味です。軸が美味いので、食べなきゃ駄目ですよ!!シイタケはフォアグラとの相性もいいので、シーズンが来たら『シイタケブラザーズ』のシイタケで合わせたメニューを、お店で出してみましょうか。

写真は、温かなキノコのマリネです。香り豊かに炒め、シェリー酒ビネガーやマスタードなどでマリネしました。焼いただけのものとは違って、酸味とシイタケの甘みが引き出され、バランスが良く、これもまた美味。焼きたての自家製ソーセージなどを添えると、立派なメインデッシュになります。
 
■ 相性のよいワイン
シンプルに焼いたシイタケには、日本酒が一番。ワインはピンと来ないのですが…。
でも心配ご無用。レモンを搾って、黒こしょうを胡椒挽きでガリガリして焼けば、『ソービニオンブラン』などのワインと相性がいいと思います。

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