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Vol.20 遠州磐田で芋の女王に出逢う旅

モーターサイクル・デ・フレンチ ツーリングで全国食材探しの旅

2006年12月 取材

コミュニケーションプラザは、ヤマハ発動機創立40周年記念事業として企画され、 第43回目の創立記念日にあたる1998年7月1日にオープンした。

ボンジュール、“ヒルマン佐藤”です。
私のお店カジュアルフレンチヒルマンは浜松市にあります。ここから国道1号線で東へ、天竜川を渡って走ると20分ほどで、ヤマハスタジアムの近くにあるヤマハ発動機の本社に到着。以前から行ってみたいと思ってた、『ヤマハコミュニケーションプラザ』は「過去・現在・未来」と「コミュニケーション」をキーワードに、ヤマハ発動機(株)とその製品を紹介する施設だ。
入り口を入って目に飛び込んでくるのは、金色のトヨタ2000GT。トヨタとヤマハの共同開発なのは、皆さん周知の通り。1階は現在のモーターサイクルやスクーターの二輪車たち、その他にもATVやスノーモビル、ゴルフカー、産業用ロボットや浄水器、ボートやマリンジェット、人と自然に優しい電動車イスや電動自転車などを展示。2階は歴史展示コーナー。ヤマハ発動機の創業の経緯や創業者の熱い思い、初期のレース活動の記録や懐かしい名車たち、昔の憧れのレースマシーンや滅多にお目にかかることの出来ない車両などを目の前にして、感動しまくりの私。デザインにこだわったヤマハの製品の現在や過去を垣間見て、改めてヤマハのファンになってしまった!

こんな楽しいスクーターを世に出してくれた、ヤマハ開発者の方々に感謝!

1階に戻ると、『VOX』プロジェクトリーダーの徳永良一さんと、エルムデザインに所属しているデザイナーの仲村拓哉さんが待っていてくれた!
挨拶を交わし、VOX開発のお話を。「楽しい、スクーターを作りましたね~」と私が切り出すと、「納得いく物に仕上がりました。しかし本当に苦労をしたのですよ」と、笑顔で答えてくれた徳永さん。今までの原付を作る感覚ではなく、面白い乗り物を生み出したかったということで、若者が初めて触れる2輪、原付こそ本気でつくり込まなければと、徹底的にこだわり抜いたそうだ。
「ゼロハリバートンのコスメケースに車輪が付いたようなデザインは、アイディアとして以前から持っていたのですよ」とは、仲村さん。最初のスケッチから大きな修正はなく、思った通りの造形に仕上がったとのこと。フロント周りにハンドルとライトが一緒に動く形は、今までのスクーターにはない斬新なデザイン。また、フロントフォークピッチも全ヤマハ車の中で最も広いなど、デザインを重視して開発されたのが分かる。

ラグビーの試合会場でイベント展示された『VOX』! ばっちり決まってるよね!。

デザインだけではなく、エンジンもヤマハ原付初のインジェクション化がされていたり、 排気音にもこだわりが…。(すごいね!)
収納スペースも「ウクレレのハードケースが入るように」「もう数センチ長ければテニスラケットが入る」などという理由から、作り直すなどを繰り返したそう。このように、あちこちに開発者の遊び心とこだわりが溢れてるのだ!優れたデザインに優れた技術、楽しい事への熱い思い、タブーを捨てた自由な発想に、ヤマハイズムを感じたぞ!
そして2006年5月にリリースされた、『VOX』。雑誌などにも頻繁に取り上げられ、ペインティングやステッカーで個性を出している若者たちも増えてきた。街で見かけるとつい振り返ってしまうほどだが、その時の私はなぜか笑顔になってしまう。
安っぽくない質感と、どこか優しさを感じるフォルム。VOXが走り去る姿には、街の風景を変える力があるね。

涼しい顔して立ってるけど、サウナにいるような暑さ!

コミュニケーションプラザを後にして、小腹がすいたので、おしゃれなVOXで、おしゃれなカフェに立ち寄りました。フランスの香りが漂う『niko カフェ&スイーツ』。センスがいい可愛らしい店内のショーケースにはおいしそうなケーキが沢山♪
そうそう、『niko』のクッキーは、コミュニケーションプラザで扱っているよ。スクーターの形のクッキーは、お土産に良いよね。
美味しいキッシュとコーヒーで軽いランチを済ませ、本題の『海老芋』に会いに行きましょう!

宿農して5年目の新貝直久さん。 釣り、バスケ、スノーボードなど多趣味だ。

同じ磐田市の『ファーム新貝』。27歳の若き生産者・新貝直久さんに会う。
この農園は、白ネギと『海老芋』を作っている専業農家で、直久さんは5年前に宿農した新しい時代の生産者。全国の農家では深刻な後継者不足の中、頼もしい限りだ!ご両親も現役でバリバリ働いておられた。
早速、海老芋畑に案内してもらうために、トラックの後をVOXで追いかけ、数分で到着。空がひときわ大きく感じられる畑には、収穫を待つ『海老芋』の葉が、遠州の空っ風に吹かれ、元気に揺れている。直久さんに具合の良さそうなやつを、一株掘ってもらった。手慣れた手つきで茎を切り、株の周りにクワを入れる。最後に株の真下にザクッといくと、おお!見事な『海老芋』!やっぱり収穫は楽しい~。

海老芋には脳細胞を活性化して、老化やボケを防ぎ、 免疫力を高める作用があるといわれている。

『海老芋』は安永年間(1772~81年)、御所の野菜を栽培していた平野権太夫が、長崎から持ち帰った唐芋の種を植えたところ、海老の形に似た質のよい芋が穫れ『海老芋』と呼ばれたのが始まりといわれ、京野菜のひとつ。京都市の南部で栽培が続けられていたが、大変な手間と労力がかかることを理由に、生産は激減。京都を代表するおばんざい『いもぼう』(棒鱈と海老芋の炊き合わせ)は有名だが、生産が減ったため、高級料亭中心に供給されるのみになってしまったそうだ。また、形の美しさ柔らかで緻密な食感から、「里芋の最高級品」と言われ、「芋の女王」と表現される事も。

 
ここ磐田市の歴史では、昭和2年頃から『海老芋』が生産され始め、今では全国の生産高の八割を占め、日本一の産地となっている。さらに、磐田の『海老芋』は品質の評価も高く、主に京都などの高級料亭などに出荷されている。天竜川東岸は、『海老芋』の生産に適した土地で天竜川の恵みをうけたミネラル豊富な地下水をたっぷり散水したり、パイプで一株一株に水が行き渡るよう管理されたりしている。 特に『新貝ファーム』の『海老芋』は、毎年品評会で賞を受賞する、こだわりの銘品なのだ。

ヤマハのお膝元、磐田市で見事に育った『海老芋』。 うれしいし誇らしいね。

そうそう、『海老芋』は健康にもとても良いのだ。海老芋が属するサトイモ科の作物の主成分は、糖質とたんぱく質、腸内吸収率が高く、穀類のでんぷんとは違う性質を持っているって知ってた?カロリーも低く、脂肪の燃焼に必要なビタミンB2が多いので、ダイエットに効果が期待できるかも?!そして、塩分の排泄効果を促すカリウムが、ジャガイモより豊富で、高血圧に気を使う方への栄養補給に最適な食材だ。また、独特のヌメリは、ムチンという解毒作用のある酵素で、肝臓や腎臓を丈夫にし、老化防止にもつながるのだという。
 
う~んたまりませんねぇ~。冬が来ると食べたくなる野菜のひとつ『海老芋』。体にもめちゃ良いしホント美味しい嬉しい限りだね♪私のお店ヒルマンでも『海老芋』の孫芋を蒸してバターで焼き色を付け、つけ合わせに使う事もあるが、煮くずれない特性を生かすならポトフに向いているかも♪
 
ついでに、同じく新貝ファームの白ネギ畑も見せてもらった。綺麗に土寄せされた畑には、もう少しで収穫時期に入る白ネギが風になびいている。今年の白ネギはできが良いのだと、白ネギを眺めながら言う直久さんは、とても嬉しそう。

帰りは天竜川沿いの道を走る。 抜ける様な青い空に気分も晴れ晴れだ!

今の世の中、何でも簡単に手に入れることが出来る。お腹が空けば、いつでもコンビニで食べ物が買える。最近はスーパーまで24時間営業だ。便利になるのは良いが、ありがたみが消えて行くのはどうだろう?野菜などがどう作られているか、ほとんど知らないのは不幸なことだよね。
生活やその他が便利になればなるほど、その状況に疑問を感じる人たちが生まれて来るもの。これから農業に目を向ける若者も増えて行くだろう、いや増えてほしいものだ。農業を通して生かし生かされていることを、リアルに感じているだろう直久さんは幸せな人だと、感じた旅だった。

"ヒルマン佐藤"シェフの
これは覚えておくベシ!

世界中のどこへ行っても、温かい煮込み料理がある。ロシアのボルシチにモロッコのクスクス、そしてフランスのポトフだ。肉類と野菜をコトコト煮込んだ代表的なフランス料理、シンプルな美味さが体も心も温めてくれます。ちなみにポトフとは、『火にかけた鍋』という意味。
写真は生ソーセージと新貝ファームの海老芋を使ったポトフ。 美味しいポトフを作るコツはあくをすくう事と絶対に沸騰させない事!食べる時は具とスープを別に盛りつけマスタードや粗塩を添えて食べます。海老芋ちゃん、もう最高に美味しかった!素材としてとても高貴な感じがします、まさに芋の女王!ヒルマン佐藤は女王様にひれ伏したのでした。

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