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Vol.25 春の東北、ぶらり一人旅

モーターサイクル・デ・フレンチ ツーリングで全国食材探しの旅

2007年5月 取材

いざ出発、一人旅は久しぶりだ。

私にとって春は旅立ちの季節。独立して自分のお店をもってから、毎年春には長い休みを取ってきた。その度、お客様に「『魂の洗濯』に行ってきま~す!」なんて言って、一週間ほどお休みを頂いている。私の旅の基本は一人旅(子どもが幼い頃は、子連れ旅となっていたが)。
さて今回旅立つのは、寒さも残る5月の東北。夏や秋の東北は体験済みだが、春の東北は初めてだ。ブナの原生林や大好きな東北の山々はこの季節、どんな表情を見せてくれるのか?出掛ける前からドキドキわくわく。
今回の相棒は『SEROW250』!これまた大好きなセローちゃん!オフロード車で東北へ行くのも初めて♪「林道も沢山走っちゃお~!!」とテンションも上がりまくりで、林道対策もバッチリ。いざ!
 
1日目
深夜に出発するはずが、週末の忙しさと片付けに追われてしまい、急きょ早朝に変更。が、寝過ごして、起きたら8時!!う~ん……。仕方がない。のんびり行きましょ~う!急ぎ旅でもないしね♪身支度を整え、さぁてと出発!東北を楽しむためにも、今日のうちに高速道路で都心を抜け、仙台まで一気に上がる計画だ。
天気は晴天。エンジンはすこぶる快調。タイヤも新品。忘れ物も、なし!やはり旅立ちの朝は気持ちがいい。しかし、1時間ほど走ると事故渋滞。この調子で都心を抜けると思うと、ゾッとする。渋滞は苦手だし、危険だ。まぁ急ぎ旅でもないし、富士山も綺麗だし、降りちゃえ!てな感じで、高速を富士ICで降りる。臨機応変(?)行き当たりばったり(?)で予定変更できるのも、一人旅の気軽さだよね。
 
今回の『セロー』は『ワイズギア』のフルオプション車。なんと、ナビゲーションまで付いているのだ。早速、仙台までを検索してみた。折角だから、ナビにおまかせで走って見よう♪検索されたルートを確認する。なるほど、普段の私ではまず選ばないルートで、逆に新鮮で楽しい。
この時期には珍しく見事な富士山を眺めながら、快走。気分も晴れ晴れして、気持ちいい。
 
東北道に入りナビを見ると、仙台着は22時近く……。う~ん、そんなに遅い時間だと今夜の寝床を見つけるのも大変だし、まともな食事にもありつけそうにない。またまた予定変更で、宇都宮にある先輩のお店に向かうことにした!
宇都宮西ICを降り那須烏山市へ。ちょうど日が落ちる頃、目的地『クローバーステーキハウス』に到着。大きな駐車場は溢れんばかりに一杯。人里離れた山中にありながら、もの凄い人気を誇るレストランなのだ。突然来てしまったから(実は何度も突然行っている常習犯)、近くの温泉へ行って時間をつぶし、人が引けるのを待つことにした。この空いた時間を有効に使えるかで、旅の楽しさは変わってくる!(と思う)。
オーダーストップ間近で、お店はだいぶ落ち着いている様子だ。浜松の佐藤が来たことを、山口シェフに伝えてもらう。テーブルに案内され、相変わらずいい雰囲気の店だと改めて感動。照明の使い方や楽しい小物、インテリアなどの店造りを見れば、この店がお客様を大切にしている姿勢や料理へのこだわりがうかがえるってものだ。
さらに、来るたびに感心するほど、スタッフの皆さんは優しく上質なサービスをする。当然料理もうまい!絶品の料理やワインを楽しんだ後、スタッフの『まかない』に同席させてもらい、会話を楽しんだ。
店長の佐々木さんからプレゼントを頂いた。見ると、なんと『My箸』。着物地で作られたケースとセットになった素敵な箸。旅の始めに良い物を頂いた。この旅で使おう♪
アルコールも入ったので駐車場に野営することをお願いするが、スタッフ用の休憩室を開放してくれたので、ありがたく泊めさせてもらった。今日の予定は狂ったが、かなり結果オーライの良い日だったな。明日が楽しみだ。
 
本日の走行650キロ

2日目出発前にステーキハウスクローバーで記念撮影。

2日目
 
朝5時起床、昨日は夜で何も見えなかったが、高台にある『クローバーステーキハウス』からは烏山が一望でき、良いロケーションなのだ。
昨夜は荷物もおろさなかったので短時間で準備完了。 快晴の空の下、2日目の旅のスタート。旅が続く日々って良いな~、ホントにしあわせ! 遅れを取り戻すべく、きょうは仙台まで高速道路を使って旅を進めることに。 那須烏山から東北自動車道までの道すがらは、田んぼに張られた水が太陽の光受けてキラキラ輝き、綺麗。田植えも真っ盛り、梨の花も満開と、春の季節感てんこ盛り。日差しも心地よく、良い季節だ。
給油で立ち寄った国見SAで、綺麗な『RZV500R』を発見!オーナーは地元の相沢さん。10年以上乗り続けている愛車だそうだ。以前『RZ250』に乗っていた私の、憧れのマシーンだったから、シゲシゲ見てしまった。『RZV500R』の走り去る姿はもちろん、2ストのかん高い排気音も、かっこ良かった~。
東北自動車道で仙台に到着。時刻が早すぎて、お目当ての牛タンのお店はまだ開店前。諦めて日本三景のひとつ、松島に向かう。松尾芭蕉も絶賛した景色を堪能。 バイクをおりて、徒歩でのんびり見て回った。かなり観光客が多かったが、少し脇道にそれると誰もいない空間を発見。岩の上に腰掛け、しばし芭蕉の句の世界を楽しんだ。いけない!チョットのんびりし過ぎた。
今回の私の旅の幾つかの、外せないポイントのひとつ『国道45号で三陸を走り抜ける』を実行せねば。断片的に立ち寄ったことはあるが、走りきったことがない。だから、どうしても走ってみたかった。ただそれだけなのだが……。
しかし、行楽渋滞などで思う様ように距離が伸びない。休憩の合間に、雑誌のコピーを取り出す。前日お世話になった『クローバーステーキハウス』の佐々木さんが、気仙沼に行ってみたいお店があると話していた。私も興味をひかれ、情報雑誌のコピーを頂いていたのだ。よし!今夜の食事はそこに決まりだ!!
日暮れ前に気仙沼に到着。取りあえず漁港と市場に行ってみる。誰もいないが、活気のありそうな大きな市場だ。雑誌のコピーをたよりに、お目当ての料理屋『福よし』を探しながら、気仙沼の街を『セロー』でぶらぶらする。知らない街を走り回るのは、歴史や生活が見えてくるから好きだ。
気が向くままクルクル走り回っていると、偶然、『福よし』を発見!『セロー』を店の脇に停め、のれんをくぐる。ひとりの旨を伝えると、カウンターか炉端どちらが良いかと聞かれるが、迷わずカウンターをチョイス。お品書きには“おまかせ3,000円~”と書いてあったが、せっかくだからちょっと奮発!5,000円でお願いする。出てきた料理は、小女子の釜揚げ、毛ガニ、刺身盛り合わせ、イカの味噌焼き、真カキの炭火焼、キチジの炭火焼など、新鮮でボリューム満点。満足度200%!3,000円位でも充分じゃないかな。
早速使った『My箸』も好評で話のネタになったし、料理人であることを伝えたから専門的な話もかなりできた。気仙沼の恵まれた漁場のことや豊富な魚介類のこと、さらに昨今の地球温暖化の問題や乱獲の問題にまで話は及んだ。ここ十数年、気仙沼の魚の数は、確実に減ってきているのだそうだ。
しかし悔やまれるのが、美味い魚には旨い酒だ。宿を取っていないのでお酒は厳禁。次回この店に来るときは、宿を取って旨い酒も堪能したいな。 『福よし』を後にし、もう少し距離を伸ばそうという気分になった。銭湯で汗を流した後、2時間ほど走り、公園の屋根付きのベンチで数時間寝させてもらう。 明日は早起きをして一気に下北半島、大間崎に着かねば!寝袋に潜り込むと一瞬で眠りについた。
 
本日の走行485キロ

4時間ほど仮眠させてもらいました~、熟睡でした。

3日目
 
朝4時半、快晴。よく寝た!
コーヒーを入れ、カロリーメイトで軽い朝食を済ませる。ちょっとハードな旅では、こんな食事でもするとしないではかなり差が出るもの。長旅を何度もこなすと感じるのだが、良い判断で安全にバイク旅を続けるのに、食事は大切な行為だ。
5時出発!今日は折り返し地点の本州最北端、大間崎に必ず着くぞ~! 昨日の『福よし』の親方は、国道45号で八戸に車で向かったことがあったそうだが、かなりの時間を費やしたそうで、二度と通りたくはないとまで言っていたっけ……。さすがに平日の朝5時。交通量も少ない中、三陸のリアス式海岸を楽しみながら、予想外に快適に走ることができた。
10時前には八戸に到着。さすがに疲れた。コーヒーが飲みたくてファミレスで一時間ほど休憩し、再び出発。下北半島に入ると恐山が見えてきた。大間崎はもうすぐだ! ほどなく大間崎に到着して、取りあえず記念撮影。2日で着くつもりが、3日かかっての到着だ。以前来たときは高速なしで4日かけたから、まぁこんなもんか。
さすがにここはバイク乗りの旅人が多い。早速ヤマハな人を発見!北九州から見えた『'02 TDM900』の高橋さんは10日間の旅で、この後北海道までフェリーで渡るそうだ!かなりのヤマハ党でオフロード好き。『TDM』も前モデルから乗り継いでいて、他数台ヤマハ車をお持ちとか♪トランポにオフ車を積み込んで全国の林道を巡ることもあるそうだ。近くにお寄りの際は、私のお店『ヒルマン』に是非。
昼食を取らずに我慢していたのは、大間で寿司を食べるため。お待ちかね、岬近くの浜寿司さんに入る。大間のマグロは今の時期は冷凍だが、なかなかの美味。気さくな親方もいい感じで満足。
さて、お腹も落ち着いたし、今夜の寝床・薬研キャンプ場に向かうため、15キロほどの林道を抜けて行く計画♪時刻は16時。あまりのんびりもしていられない、さっさと林道を走り切ってしまいましょう。念願の「林道アドベンチャー仕様」の『セロー』で、来た甲斐があるってもんだ!入り口を見つけ、イザ!少し荒れているが、景色もよく、いい感じの林道だ。10キロほど走ったあたりから雪が多くなってきた。おっと、雪中ツーリングかぁ~?!楽しいね~♪まぁ、この程度の雪なら『セロー』は楽勝!
しかし次第に雪深くなってきた。これはヤバイ。数100m先は無理っぽい。歩いて先を見に行くと、真っ白……。無理だ。たぶんもう少しで走破できるはずだが、時間も時間。潔く諦めよう。
来た道を戻り、夕食の買い出しをして別ルートでキャンプ場に向かうが、着いてビックリ、キャンプ場が閉鎖中!えぇ~~?!何でも、橋が傷んでいて危険なため閉鎖中とのこと。日も暮れているし、仕方がないので近くの空き地を今夜の寝床に決定。
テントを設営して、温泉へ。ここ薬研温泉には無料の温泉“カッパの湯”と“名無しの湯”の2つがある。今日は“名無しの湯”にしよう。誰もいない、貸し切りの川沿いの露天風呂は、もう最高!言うことなし!のんびり日暮れどきの湯を堪能していると、入浴者が来た。挨拶をすると、地元の方だった。せっかくなので、気になっていたこと「露天風呂から見える川の対岸の線路が使われているのか」を聞いてみた。すると、以前の営林局の材木運搬用の線路の跡だそうで、今はトレッキングコースとして整備されているそうだ。国(営林局)の山はほとんどヒバの木を切り尽くし、杉に植え替えてしまった。実の出来ない杉が増えると、動物が減り、山は死んでしまった。さらに悪いことに、金になるからと植えた杉も、管理する予算がないという理由で放置され、商品にならないそうだ。ぱっと見、単純に「自然」としか映らない山も、人の都合で無理矢理変えられてしまっているんだよね。しかし、育つまでに時間のかかるヒバを次世代、その先の世代のために植林している人たちもいるそうだから、応援したい。
失うのは一瞬だが、取り戻すのはとてつもない時間がかかるもの。悪くすれば、もう元に戻ることはない……。目先のことにとらわれず、先を見る目を持たなくてはいけないと、強く思った。
テントに戻り、しばらくすると雨が降ってきた。明日は晴れると良いが。
 
本日の走行516キロ

脇野沢から蟹田へのフェリーからはイルカが見えたのだ!

4日目
 
朝7時、雨音で目が覚める。やはり雨か。 ふて寝を決め込み、二度寝に入るが、テントの隅が軽く浸水しているのに気付く!防水処理やメンテはしているものの、さすがに10年以上使い続けたから、そろそろ限界か……。この旅が終わったら新調しよう。道具は良い物を買っておけば長く使えるから、良いものをまた買いたいが、結構な出費だな。
テントの中でコーヒーを入れ、軽い朝食を済ませて、今後の予定を立てる。竜飛岬は行ったことがないから行きたい。林道は予想以上に雪が多くて、ほとんど通ることが出来ないだろうから、当初の林道三昧の予定は無しだな。帰りも高速道路の渋滞のことを考えると気が重い。
そうだ!仙台からのフェリーで名古屋まで戻ろう!思い立ったたらすぐ電話。なんとか、予約が取れた!それも最後の1名分。ラッキー!
フェリーの予約をしたり、テントの撤収などをしてモタモタしていたら、11時になってしまった。その間に雨もすっかり上がって、逆にのんびりしていてよかった♪
今日はとりあえず、竜飛岬に向かう。下北半島の脇野沢からフェリーに乗り、蟹田までのフェリーの待ち時間で2時間ほどロス。竜飛岬に着いたのは5時過ぎ。あれほど見たかった場所だったが、想像以上の強風!さらりと見て回るにとどめた。
明日は弘前の桜を楽しみたいから、暗くなる前に寝床を探そう。寝床探しに走り出したが、濃いキリが出てきて視界が悪い。しかも、風の通り道では強風のため、徐行しているバイクが止まってしまうほど!!いったいどんな場所を走っているのやら?雨まじりの霧の中を抜けると崖の上から日本海が見えた。峠を抜け、海岸沿いを走っていると、一軒宿を発見。宿泊を希望したが、2名からの宿泊だと断られてしまう。時間は6時過ぎ、びしょぬれのレインウェアーでいきなりだし、仕方がないか……。あきらめて走り出そうとしていると、不憫に思ったのか、宿のおかみさんが出てきて一人でも泊めてくださるとのこと。ありがたい。温泉で冷えて体を暖める。
外はものすごい雨と風になってきた。良かった、もう少しでひどい目に遭う所だった。今日はサボリまくりでたいして距離は走ってない。明日は早めに出発しよう。
 
本日の走行距離158キロ

岩木山のあまりに優美な姿に河原に降り記念撮影!イェ~イ

5日目
 
5時起床、天気予報は晴れの予報だったが、小雨が時より降る曇り空。私のイメージする日本海らしい景色が目の前に広がる。
海岸沿いの道を『セロー』で走り出し、岩木山が見えてきた頃から晴れ間が見えてきて、日が射してきた。暖かくて気持ちがいい。
午前中に弘前に到着。タイミングはドンピシャ、満開の桜に出迎えられた。世界一とも言われる約5000本の桜は見事としか言葉が見つからないほど圧倒的な美しさ。桜の種類も豊富で飽きることがない。さらっと見るつもりが時間も忘れ、おでんと焼きそばとお茶で、一人花見を決め込む。天気も良く、しあわせな時間だった。
弘前を後にして八甲田方面に。目指すは有名な酸ヶ湯の1000人風呂。標高が上がると道の横は雪の壁!酸ヶ湯の標高は900m。のんびり入りたかったが、結構混んでいてイマイチ楽しめなかったのが残念。次に目指すは奥入瀬渓谷。青森に来たらぜひとも立ち寄って欲しい場所。水源地を十和田湖にもつ奥入瀬渓谷は、豊かな川の流れ、ブナの原生林、独特の美しさがある。ここはバイクを降りて、ぜひ歩いて見て回って欲しい。清々しい気分になるよ。
そして、十和田湖を見て、八幡平に行くべきか行かぬべきか迷うが、いろいろ考えてパス。
国道341号で田沢湖方面へ向かう。途中、憧れの玉川温泉に立ち寄った。天然記念物の北投石ラジウム放射線で有名な岩盤浴はもちろん、万病や癌に効果があると言われる強酸性の湯が毎分9000リットルが噴出す源泉は、一つの源泉では日本一の量を誇る。 源泉100%の強酸性の湯は、入ると日に焼けた顔やささくれた指、すり切れたお尻にピリピリしみまくり、痛いのなんの!5分も入れず源泉50%に入り直すが、こちらも十分強烈だ! この奇跡の温泉の詳しい事は書ききれないから、玉川温泉で検索して調べてみてください♪
温泉に入った後は、これも有名な地熱を利用した岩盤浴をする場所を見学に行く。至る所で皆ゴザを敷き、岩盤浴を行っている。どこか体の調子が悪い方が多いだろうから混んでいる昼間は避けよう、と言うことで国道341号に戻り、良さそうな空き地を今夜の寝床に決定!その場所は、真っ白な雪の上♪手持ちの食べ物で夕食を済ませ、深夜、満天の星の下90分ほど岩盤浴を体験してきた。気持ちよかった。明日の朝早起きをしてもう一度、岩盤浴をしよう。今日は強烈な温泉のはしご、結構効いたのか、とろけるように眠りについた。
 
本日の走行270キロ

昨夜は雨でしたが、今朝は晴天、鳥も嬉しそうだ。

6日目
 
朝5時には起きるつもりが、7時!テントを撤収して再び玉川温泉に向かうが、既に道路にまで車が溢れている。こりゃ無理だな……。
今日はまず、田沢湖に立ち寄った。日本一深い湖の最深部は423m、何度来ても不思議な魅力のある湖だ。有名な伝説の美女・辰子像はいつも金ピカ。誰か磨いているのだろうか?ふと思ってしまった。
続いて角館に立ち寄った。武家屋敷が建ち並ぶみちのくの小京都である角館は、桜の街としても知られるから、もちろん桜が見事。弘前より南に位置するのか、桜は散り始めだったが、これまた一興だ。
角館を後にして、鳥海山方面に向かう。東北屈指の林道、秋田と山形をまたぐ30キロ以上の手代林道と奥山林道がある。たぶん雪でダメだろうと思いつつも諦めきれないので、直接確かめてから諦めようと決め、行ってみる。秋田側の手代林道の入り口を探すが、解りづらい。迷いさまよい、地元のおじいさんに聞くと、ダメとのこと…。やはりダメか。それでも諦めきれず、林道の途中に位置する法体の滝にむかう。
法体の滝も好きな滝で、訪れるのは今回で4~5回目だ。鳥海山の眺めも美しく、何度も立ち止まり眺めてしまう。滝に到着するが、やはり積雪のため通行できなかった。残念だ。売店のおばちゃんに聞くと、今年は少ないほうだよ、毎年この時期はもっと雪が多いんだよ、と教えてくれた。5月の東北、林道はダメなんだぁ。勉強になりました!
あと少しで日も暮れる、今夜の寝床はどうしようか?何も考えてなかった。と言うか、いつも行き当たりばったりだが。20キロほど戻ったところに猿倉温泉があるから、後のことは風呂に入ってから考えよう。ここの泉質は癖もなく、ぬめりがいい感じの湯で、昨日とは違って落ち着いて入ることができる。露天風呂から眺めた夕暮れに染まる鳥海山は、見事だった。
温泉から上がり、夜走りを覚悟する。ツーリングで夜中走るのは、暗くて何も見えないから好きではないが、仕方がない。行き先を秋の宮温泉郷に決定。ナビに入力、ヘルメットの中のスピーカーのスイッチもオン。ナビの情報だと、目的地まで1時間ほど。完全におまかせで目的地に向かう。しかし便利だ。バイクでナビを本格的に使ったのは初めてだが、非常に快適。是非欲しくなってしまった。
目的地付近で地図にも乗っていないキャンプ場を発見!キャンプサイトにはバイク乗りのテントもチラホラ。よし!ここに決定。キャンプの旅で大変なのは、実は設営場所。暗くなってしまうと回りの状況が解らない。ましてや月明かりすらないと、朝起きたらお墓だったとかね。私ははなからキャンプ場を使おうと思っていないのだが、暗くなってしまったときは、キャンプ場を探すことにしている。料金は朝払えば良い。早速、テントを設営して転がり込む。今日はクルクル良く走り回ったな。
 
本日の走行412キロ

じゅんさい沼キャンプ場、6月過ぎから沼では天然の”じゅんさい”が沢山出来るのだ!県の白戸洋章さん。バイク旅は良いですよね~♪これからも走り続けてください!

7日目
 
昨夜は雨だったが、今朝はなんとか曇り。けれど天気は不安定だ。今日は仙台に宿を取ってあるから夜までに着けばいい。距離もたいしてないからのんびりペースで行こう。
キャンプ場から程近い泥湯温泉の立ち寄り湯で極楽気分。日本三大地獄の川原毛地獄にも立ち寄る。国道398号に出て仙台方面に向かう途中、林道を見つけると、発作的に入り込み、何も考えずどんどん走る。結構長い林道だ。荒れているがなかなか楽しいし、眺めもなかなか。最終的には、やっぱり雪に阻まれ引き返すことになったが、十分楽しめた♪
しかしそれだけでは終わらない。もう一本の林道も見つけてあったので、そっちは走破してきた!鎌内林道。5キロほどだが走りやすく、初心者にもおすすめ。新緑の芽吹くブナ林の中を走り抜ける気分は最高だ。後半で林道を走ることができて良かった。『セロー』で林道を楽しめないなんて、どんな旅だよ!ってなるところだった。
林道を楽しみ、仙台入り。 今夜の宿ユースホステル道中庵に到着。バイク旅好きの知り合いから、いい所だと聞いていたから、旅の途中で予約を入れておいたのだ。何と、生まれて初めてユースに泊まるのだ。宿への到着は遅くなると思い、夕食を断っていたので、仙台の街で食事を済ませてぶらぶら歩き回った。怪しい雰囲気のいろは横町のバーで、ちょっと一杯引っ掛ける。こういうのもたまにはいい。
 
本日の走行220キロ

YHをバイク旅で利用する人も多いそうだ。

8日目
 
6時に起き、朝風呂を浴びる。7時半からの食堂での朝食で、同席の方といろいろな会話をした。スタイルは違えど、皆さん旅好きということもあり、朝の楽しい時間を過ごせた。
11時頃には仙台港に着いていた方がいいと思ったが、少し走ってみたくなるのがツーリングの常。秋保温泉に向かって走り出したが、結局、時間ギリギリになりそうだから途中で引き返し、仙台港に向かう。それでも途中にフリーマーケットを見つけて覗いたりしながら、仙台港に到着。乗船手続きを済ませる。駐車場に戻ると2台のヤマハ車が!京都からいらした『'01 YZF R6』キッタカ伸吾さんと『'97 FZ400』大垣良一さん。東北2泊フェリー2泊の旅の帰りで、同じフェリーに乗るそうだ。キッタカさんは他に『トリッカー』所有、大垣さんも『セロー250』所有と、お二人共にかなりのヤマハな方。私も最近『トリッカー』を購入したから、『セロー&トリッカー』談義に花が咲く。
大きなフェリーは、明日の朝9時30分名古屋港着。ヘルメットとブーツを脱ぎ、しばし船旅を楽しむことしよう。
 
本日の走行75キロ

旅も終わりに近づいてきたが、満足できる旅だった。

9日目最終日
 
昨夜は、雨でかなりフェリーが揺れた。起きていると船酔いするから、ひたすら寝た。深夜起きても気持ちが悪くなるから、また寝る。の繰り返しで寝過ぎて、逆に疲れてしまった……。夕食も食べずじまいでお腹がすいた。朝食をレストランで頂いて甲板に上がると、抜けるような青い空。すでに名古屋港が見えてきていた。予定通りの到着で一安心。
実は今日、『ヒルマン』の営業日なのだ。優秀なスタッフがいるおかげで、ギリギリまで旅を楽しむことができたことに、感謝!ランチタイム後の仕込みが大変だけどね。名古屋港から浜松までは1時間ほどだから、余裕でヒルマンに到着。シャワーを浴びて、さぁ仕事だ!長い休みの後でもお客さんは待ちわびた様に来てくれる。本当にありがたいことだ。
ランチタイムが終わり、『セロー』の重い荷物を降ろしてあげる。ホントご苦労様!今ピカピカに磨き上げてあげるからね~。高圧洗浄機で泥を落とし、すみのすみまで綺麗にしてあげるよ~。
 
本日の走行120キロ

ミニスクリーンはぜひとも着けたいパーツだ、 尚ライト周りは担当者の好みで黒に変えてあります。


『セロー250』で長旅をするのはこれで2度目。前回は北海道を2000キロの旅、今回はトータルで3000キロ近く走ったが、やはり『セロー』は私好みのバイクだ。
旧『セロー』との大きな違いは、高速巡航が楽なこと。ストレスのないエンジンは快適で疲れにくい。ミニスクリーンやハンドルガードもあるとないとでは大違いだ。大きなバイクでは今回のような旅も全く違う表情になっていただろう。取り回し、足付き性の良さで道の奥へ奥へと誘ってくれ、マウンテントレールとしての楽しさを体感させてくれる。『ワイズギア』のオプショナルパーツのおかげで、一層アドベンチャーワールドを楽しむこともできた。『トリッカー』を所有している私だが、ロングツーリングに頻繁に行けるなら間違いなく『セロー』を選んでいただろう。
う~ん、しかし難しい問題だ!まァ、両方所有できれば悩まなくていいんだけどね……。
 
終わりに。
長旅を終えると、必ず自分の中の変化に気付く。出逢った人や話、食べたもの、自然の息吹、その匂いや色、人々の生活や歴史。どれも私の中を通り抜けて、私の中に何かを残して行くのだ。久々の一人旅。
改めて気付いたのが、私は一人旅が好きだってことと、東北の春は素晴らしく、変化に富み飽きることがないと思ったこと。料理人としての食に対しての新たな発見も数多くあった。可愛い子には旅をさせろと言うが、旅は人を更に成長させてくれるよね。これが私の旅スタイル、食材探しツーリングのベースなのです。
という言葉で締めて、番外編を終わります!

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