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Vol.30 津軽で虹色のジャガイモに出逢う旅 その2

モーターサイクル・デ・フレンチ ツーリングで全国食材探しの旅

2000年1月 取材

カッチョイイ~!どんな仕事ぶりをするのか見てみたいね!

ツーリングの朝にひどい雨音で起こされるのって、悲しい……。時間は5時、かなりの降り方だ。まだ出発までには時間があるから、雨が上がってくれることを祈りながら雨音が聞こえないよう、もう一度布団に潜り込んだ。
携帯電話のアラームで再び6時に起床!すぐさま、温泉に向かう。まだ誰も入っていないようで、湯船に湯ノ花の膜が綺麗に張っていた。ヨッシャ~!一番乗りだ♪これは贅沢、贅沢。
今日は岩木山の山頂が見えれば、8合目まで『XJR1300』で登ろうと決めていたが……残念ながら、山頂は望めなかった。朝食を済ませ、身支度を調える。雨はやんでいるが路面は濡れているので、レインウェアーのズボンだけ着込み、宿を後にして『XJR1300』で走り出した。宿の周りは、すでに岩木山に向かう登山客でにぎわっている。私も機会があれば登ってみたい山だ。温泉も最高に良いお湯だしね。
そんなに遠くないはずだが、開けたところで道を間違うとかなり迷う。ようやく、『黄金崎農場』に到着。おかげで土地勘がついた。迷うのもまた良し。
飛行機の格納庫のような大きな建物に、これまたでっかいトラクター。ジャガイモが入っているかごは、象が入りそうなぐらいの大きさ!(チョット大げさ。見た時のイメージはそんな感じ)アメリカ並みの大規模農場とは聞いていたが、これは凄い!見学が楽しみだ。
出迎えてくださったのは現場総括責任者の佐々木君夫さん。見たこともない量のジャガイモが入ったカゴの脇を抜け、2階事務所に案内される。
テーブルには茹でたジャガイモが待っていた!試食しながら、色々お話を伺う。話題の『インカの目覚め』以外は初めて食べるジャガイモばかり。味、香り、見た目、それぞれ個性があり非常に楽しい。食べていると、こう調理したらどうだろうか、あぁしたいな、なんて頭に浮かんでくる。それほど魅力的なジャガイモたちだ。そんなことを考えていると、佐々木さんがそれぞれのジャガイモに向く調理法や性質を解説してくれた。やはり、生産者はよく知っている。非常に楽しく、勉強になった。

デカイのが掘れた!収穫は楽しい!!

さてお次は、畑を直接見に行きましょう!佐々木さんのRVに乗り、広大な農場の中をジャガイモたちが育つ畑まで向かう。『黄金崎農場』では、ジャガイモ以外にも大根、小麦、大豆他などの野菜を生産していて、それぞれの野菜について説明してくれた。佐々木さん曰く、ジャガイモの白い花が咲く頃の景色はそれは見事だそうだ。
「私らは『野菜作りの職人』。これからも野菜を作り続けたい。野菜が大好きなんだ」と、畑を見ながら目を細める佐々木さんが印象的だった。
野菜の話が盛り上がったところで、ジャガイモの畑に到着。葉は刈り取られ、収穫を待つばかりの状態。畑の先には岩木山が見える。相変わらず山頂は見えないが、お天気ならさぞや眺めが良いだろう。

佐々木君夫さん。デキる男のオーラを感じさせる人だ。

ここ『黄金崎農場』は、1976年に数人の若者が農業での安定を求めて大規模農業を夢に立ち上げた。佐々木さんは創業者の一人である。
当初は30ヘクタールの農地から始め、スイカ、メロン、加工トマトなどの野菜を生産したが、白神山地、日本海に接する地理的条件から、しばしば濃霧が発生し作物に悪影響を及ぼした。さらに野菜の市場価格の低迷が加わり、赤字経営が続いたと言う。「農家にもサラリーマンのような安定した月給が欲しい」とスタートしたものの、大苦戦。冷害、病害虫に販売不振……。資金難と困難が続いたが、若い皆の力を合わせ、試行錯誤と失敗を繰り返しながら、さまざまな問題を克服してきたのだ。
現在は世界遺産・白神山の山麓と岩木山の山麓に2カ所の農場があり、500ヘクタール以上の農地を耕作するまでになり、国内最大級の規模を誇る。
これだけの広さだから、作業はすべて大型機械一貫体系。ポテトプランターを使って植え付け、ブームスプレーヤによる薬剤散布、ロータリカルチによる土寄せ、ポテトハーベスタによる収穫など、欧米並みのシステムだ。なにしろ大規模農場、作業効率が良くなければならないのは当たり前だが、簡単ではない現場の苦労は絶えないだろう。

凄い迫力!農発好きの“ヒルマン佐藤”にとって、良い思い出になった♪

佐々木さんは、ジャガイモ栽培を始めたばかりで、栽培技術が未熟だった頃、全国から来るクレーム処理に日本中を回ったと言う。しかしそこから、ジャガイモに情熱を持つ人、見たこともない品種、優れた栽培技術など、さまざまな出会いが生まれ、ジャガイモにのめり込んでいったそうだ。
野菜作りの職人として、また経営者としての佐々木さんの考え方や実行力は、凄い。きっと若い頃からの情熱は、形こそ変われど、いささかも衰えていないことだろう。私も料理人であり経営者ですから、その考えに共感すると共に、とても勉強になった。

朝から不安定な天気は変わらず、曇り空に雪対策の縦の信号の赤が鮮やかに見えた。 変化する空の雲も、また楽し。

さて、楽しかった『黄金崎農場』を後にして、再び『XJR1300』で走り出す。さっきから幾度となく岩木山を見るが、一向に山頂にかかった雲は晴れそうにない……。うぅ~ん、もう岩木山は諦めた!なら、もう一度日本海を見に行こう!どうせだから有名な千畳敷をめざして!快適な東北の道は『XJR』にピッタリ。
稲刈りも始まっている中で佇む、ユーモラスなかかしが微笑ましい。
Tシャツに革ジャンで丁度良い季節、ちょっと寒いくらいが私は気持ちいい。

大戸瀬(おおどせ)崎に広がる岩畳。海岸美の続く深浦でも有数の景勝地。

小一時間で千畳敷に到着。200年前の地震で隆起したらしいが、これは絶景だ!その昔の殿様がここで宴会する際、千枚の畳をひいたことからこの名前がついたんだって。贅沢な話だよね。
海岸まで『XJR』を下ろして散策。潮だまりなどもあって、磯遊びには最高。
再びバイクの所に戻り、しばし景色を眺める。旅の途中で眺める自分のバイクは、最高にかっこよく見えるよね~。フルモデルチェンジしてインジェクションを採用、扱いやすさが確実に増した『XJR1300』。美しいエンジンにバイクらしい形、以前よりポジションも私好みになったし、マフラーの排気音も心地良い。取っ付きやすいがとても奥が深いバイク、長くつきあえる気がするモデルだ、なんて思っていると、バイクの音。

千葉県の白戸洋章さん。バイク旅は良いですよね~♪これからも走り続けてください!

おっ!『ドラッグスター』の旅人発見!白戸洋章さん26歳。千葉県千葉市から数日の旅だそうだ。『ドラッグスター』歴は4年で、毎年ロングツーリングを楽しんでいるツワモノ。DSはロングランに最適で 、とても気に入っているそう。大事に乗られていて、さぞやバイクも幸せだろうな。
白戸さんを見送り、私もそろそろ帰らねば。バイクをお借りした『YSP弘前』には、1時間弱で到着。『YSP弘前』は、2004年に移転し、弘前市の玄関、高田一丁目に新規オープンした綺麗なショップ。心を込めたおもてなしをモットーに、サービスを心がけているそうだ。整備面などで気軽に質問ができ、アドバイスを受けられるような雰囲気がうれしい。実際、スタッフの人柄の良さがにじみ出ていて、店全体の雰囲気が感心するほど優しいのだ。こういう雰囲気は作ろうとして作ることのできないもの。ちなみに私のお店ヒルマンは「自由を感じる」なんて言われたことがありますが……(レストランとして良いのか悪いのかよくわかりませんけどね)
『YSP弘前』では、ツーリングクラブ“SRCH”の毎月恒例のツーリングや、年間を通してたくさんのイベントを企画しておりますので、ぜひお気軽にお立ち寄りください」とのこと。お店のHP“青森方面おすすめツーリングスポット”も必見だよ!

"ヒルマン佐藤"シェフの
これは覚えておくベシ!

ジャガイモと言えば男爵にメークイン。ほとんどの消費はこの品種に集中しています。国内でも沢山の種類を栽培していて、誰もが大好きなジャガイモ。料理にあったジャガイモを知り、使い分けることができたら素晴らしいことですよね!
『黄金崎農場』では、皆さんにもっと色々なジャガイモを理解してもらおうと、『テイスティングポテト』と言う商品名で詰め合わせのジャガイモを販売しています。まさに、ジャガイモをテイスティングしてもらおうという企画で商品化し、好評を得ているそうです。お気に入りのジャガイモを見つけて、お料理に活かしてみてはどうでしょう。きっとお料理の幅が広がりますよ。
また、2度以下でデンプンが変化して糖に変わり甘みが増すので、こんなちょっとした知識も、お料理が上手になるポイントになりますよ。
ジャガイモは元々、ヘルシーでカラダによい食べ物。カロリーは白米の約半分で、身体に大切なビタミンが豊富に含まれ、しかも含有率が高いのです。ビタミンC(100g当たり10~20mg)はレモン果汁に匹敵するほどもあり、デンプンに包まれているため壊れにくいのも特徴です。また、ビタミンA(カロテン)も含まれていますし、中でもB1、B2やB3、ナイアシン(ニコチン酸)、B6(ピリドキシン)の含有率は野菜の中でもトップクラス。さらに体から塩分を出し、野菜不足からの突然死を防ぐと言われるカリウムも多く含んでいます。そして何と言っても、ジャガイモはアルカリ性食品。まさに健康食と言えます。
皆さん『ジャガイモ』をもっと食べましょう!
お料理は『デストロイヤー』で作ったフランス・ドフィーネ地方の料理、ジャガイモのグラタン“ドゥフィノア”です。

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