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Vol.52 スッポン料理で元気爆発! 晩秋クルージングの旅

モーターサイクル・デ・フレンチ ツーリングで全国食材探しの旅

2010年11月 取材

本日はディナータイムより営業。 早く出発して早く帰ってこないとね。だから、通勤渋滞の前に出発! ※オプション装着車

早朝5時起床。まだ外は暗い11月も中旬、朝晩はさすがに冷える。本日、当店『ビストロ ヒルマン』はランチタイムをお休みにして、朝の浜名湖周辺ツーリングも兼ねた、スッポンの養殖場『服部中村養鼈(ヨウベツ)場』の見学へ。以前から伺ってみたかったので、本当に楽しみ。

ヒルマンをスタートし、平日の朝の通勤渋滞を避け、浜松西インターチェンジから三ヶ日インターチェンジまで移動。私“ヒルマン佐藤”は、ここ浜名湖の周辺に居を構えている。だからこの辺は既にバイクのお散歩コース。裏路地から林道まで、ほとんど把握している♪だから撮影ポイントもバッチリなのだ。
それにしても、今日はいい天気だ。キリッと締まった朝の空気が心地いい。見慣れた景色も感動するほど美しい。早起きしてよかったと思う瞬間だね。

ここは、奥浜名湖の入口・瀬戸水道。 銀の吊り橋は「旧瀬戸橋(通称・瀬戸のつり橋)、 赤い橋は「新瀬戸橋(通称・瀬戸の赤橋)」。

湖畔でのんびりした後は、一時間ほど気ままにクルージング。朝、秋晴れの青空の下、広域農道を走り抜けるのはこの上なく気持ちが良い。ゆるい感じのワインディングに大きなアップダウンは、『DSC』の特徴でもあるロー&ロングのゆったりとしたポジションにピッタリの道だ。驚く程軽快なハンドリング、中域からのトルク感と鼓動、ビロードのじゅうたんの上を走っているような優雅な乗り心地、すべてにウットリしてしまう♪

ミカンの産地としても名高い三ヶ日地区は、今がミカンの収穫時期まっただ中。山の斜面に広がった畑にはミカンが鈴なり、オレンジ色が青い空と山の緑に映えていた。

国道301号線、梅の木坂の途中、湖西中学校の近くにあります。 ※オプション装着車

さてお次ぎは“ヒルマン佐藤”行きつけのカフェに『DSC4』を乗り付け、熱いコーヒーで一服。突然ですが、みなさん。喫茶店(カフェ)のモーニングサービスって知ってます?朝、コーヒーを頼むと、コーヒーの値段の中にパン・卵・サラダなどが付いて来るっていう、あれです。その歴史は古く、1950年代頃。発祥は愛知県の豊橋市とか一宮市とかと言われているようです。最近では社会的ニーズもあり全国に広まっているけれど、?マークの付くほど過剰なサービスをするお店や、追加料金を設定しているお店もちらほら。
本日伺った「カフェ 木の実」さんは、オーソドックスなコーヒーに厚切りのトースト、サラダ、フルーツ、ゆで卵のワンプレートが付くスタイル。価格は何と350円!!同じ飲食店を経営する身としては大丈夫かな~と思ってしまうのだが、店主の尾崎ゆかりさん曰く、「しっかり利益は出ていますよ!」とのこと。素晴らしい♪利用するお客様の年齢層は幅広く、まさに地域の憩いの場。一日に何度も足を運ぶお客様もいらっしゃるのだとか!そういえば、週末は家族でモーニングサービスを利用している光景もよく見かける。長く続くモーニングサービスに、ステキな食文化を感じるね。窓際のカウンターに席を取れば、走り行くほかのライダーを見ることもできるし、近くに停めた愛車を眺めながらコーヒーをいただける。ツーリングの途中の立ち寄りスポットとして、ぜひ。ちなみに早朝5時開店!モーニングは11時までで、15時くらいに閉店します。

スッポンは分類学上、爬虫類・かめ目・スッポン科・スッポン属に属している。

おっと、ついつい、のんびりしてしまった。約束の時間が近づいている。奥浜名湖から、ぐるっと回って浜名湖が太平洋とつながる「今切」を越えると、そこは浜松市舞阪町。浜名湖と言えば全国的にウナギの産地として有名だが、スッポンの特産地でもあり、養殖は日本一の出荷量を誇っているのだ。
そして、今回お世話になる『服部中村養鼈場』は、日本におけるスッポンとウナギ養殖の元祖。笑顔で出迎えてくれたのは、代表取締役の服部真久さん。早速、事務所兼出荷場で出荷前のスッポンを見せていただいた。
ウナギと同じ魚籠(ビク)のふたを開けると、いた、いた♪キレイな青みがかった茶褐色、とがったクチバシに愛嬌のある可愛い目。2億年もの間その姿を変えることなく生存してきたというから、生き物としての完成度は高い。造形美すら感じるほどだ。観賞用しても人気があるのもうなずける。

養殖池には静かな空気が流れていた。

次に、車で5分程の養殖池に移動。日当り抜群、静かで緑に囲まれた場所。もちろん浜名湖は目と鼻の先。
服部さんに説明を受けながら養殖池を見て回る。残念ながら今の季節は冬眠に入りかけていて、スッポンが甲羅干しする姿を見ることはできなかった。11月頃から冬眠に入り、4月ころ冬眠から醒め、5月~9月の間にえさを食べて成長する。活動期は約5ヶ月ほどしかなく、半年は冬眠しているそうだ。1年の半分も活動停止しているわけだから、当然、生育には時間がかかる。出荷サイズになるまでは、3~4年もかかるという。結構長いね。
最近では、加温して冬眠させないなどの低リスク・高効率の養殖法もあるが、服部さんは冬眠する露地養殖にこだわる。それは、肉質や脂質が全く違うから。これは、地鶏とブロイラーの違いと同じこと。スッポンはウナギと違い、早くから人工孵化の技術が確立されているが、服部中村養鼈場では、自社で養殖したスッポンから良質なものを選別して親に育て上げ、産卵させるのだという。しかも、普通ならば生後6年位から産卵するところを、優良な親を育てるため10年以上飼育する。さらに、創業当時からの飼育方法を踏襲して、薬剤の使用も一切なし。

「“良質な脂肪とすっきりした風味”という 濃厚さと淡泊さを併せ持ったスッポン本来の味を お客様にお届けしたい」

その気持ちを大切に、明治12年の創業以来、一貫して 露地養殖を守り続けているのだ。

作業を見学させてもらった。池の底の砂状況は確認中。

そんな説明を受けていると、作業のための軽トラック4台が連なって敷地内に入ってきた!トラックから降りてくる人は皆、胸までの長靴(胴長)を履いた出で立ち。いったい何?と思っていた私に、服部さんは「棚卸しをかねた、スッポンの枚数の管理と移動をしているんです」と教えてくれた。それと同時に、きめの細かいキレイな川砂に潜って暮らす彼らの生活環境を守るため、スッポンと池が排出するヘドロを吸い出す作業を行うのだそうだ。

その作業をしている一人、中村龍志さんが『DSC4』に興味津々だ!
バイク乗りの中村龍志さんは、クルーザータイプに乗り換えを思案中だったとか。せっかくだからと跨いでもらって、皆で記念撮影!しっかり『DSC4』の魅力をお伝えしておきました♪

この季節、浜名湖では牡蠣を移動する風景が見られる。 味を良くするため、奥浜名湖に運ぶのだ。

『服部中村養鼈場』を後にして、お次ぎはスッポンを食べに行くぞ~っ♪♪地元の名店、弁天島にある『魚河岸料理 太助』に昼食を予約済みだ。予約の時間まで少し余裕があるので、久々に浜名湖一番の絶景ポイントでもある弁天島海浜公園に行ってみた。浜名湖と中州に立つ赤い鳥居、そして浜名大橋。まさに「THE浜名湖」と言える風景。私的には見慣れた風景だが、改めて眺めてみると、やっぱり美しいね。浜名湖へ来たからには、この景色を見なくては「浜名湖へ行った」とは言えないスポット、と言っておこう。

浜名大橋の真下は浜名湖と太平洋がつながる「今切」と呼ばれる水路がある。ここは、明応7年(1498年)の大地震で砂洲が切れてできた。こうして汽水湖となった浜名湖は、日本でも有数の海洋生物の宝庫であり、多くの魚たちにとって、「ゆりかご」のような存在。すばらしい湖なのだ。今日の相棒『DragStar Classic400』を眺めながらもの思いに耽る。

シーソー式ペダルと大きなフットボード。雰囲気抜群。

私の営む『カジュアルフレンチレストラン ヒルマン』は今年でオープン15年目を迎える。『DragStar』が東京モーターシューでデビューしたのも1995年(発売は1996年)、同じ15年目だ。そしてフランス料理の日本での歴史は約100年ほど。

先人達の並々ならぬ熱意や情熱は、今の私たちの仕事に確実に活きている。異国の食文化が日本で根付いたように……。モーターサイクルがヨーロッパで生まれて約130年。世界に広がり、さまざまな形で進化した。そしてアメリカンと親しまれたクルーザーもまた日本のライダーに根付いた。ヤマハが他社に先駆け、国内に提唱した78年の『XS650 Special』から始まり『Virago』そして『DragStar』 。「イージーライディング」をテーマに、パワーだけを追い求めるのではないモーターサイクルの楽しみ方と共に進化して来たクルーザー。『DSシリーズ』は成熟の域に達しているように感じるね。
旅をしたくなるバイクってホント、ステキだ。

弁天島『魚河岸料理 太助』の玄関脇に設置されている スッポンの石像。よく出来てるなぁ~

さて、スッポンを食しに行きましょうか!!
「こんにちは~」『魚河岸料理 太助』ののれんをくぐると、大きな生け簀。美味しそうな海の幸が私を待っていた!う~んお腹の空き具合はガス欠寸前。スッポンは予約済みだが、別注料理で浜名湖の海の幸も取り混ぜながら楽しまなきゃもったいない。

スッポンは古くから、精力増進・滋養強壮食として珍重されてきた。事実、スッポンには良質のたんぱく質のほか、ビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれていて、健康と美容に効果的と言われている。私も一度だけ天然物のスッポンを捌いて調理したことがある。そのときはフランスの郷土料理、豚の頭の肉のテリーヌの様に煮こごり風に、テリーヌとスープに仕上げた。
和風のスッポン料理を食すのは今回が初めてなので、とても楽しみ♪

スッポンの肝は、わずかしか取れない珍味。 刺身も、栄養価もさることながらその味は格別。

まず一品目はスッポンの肝。臭みは全くなく、クリーミー!コクと旨味、そしてほんのり甘い。これは格別の味です!
2品目のお造りは鮮度抜群!真鯛のプリプリ感がタマラナイんだな。
お次の3品目は、スッポンの唐揚げ。これまた、美味い!香ばしくて淡白、上品な味。なぜ不思議なほどに美味いのか……!
4品目、これも浜名湖の名産・幻の蟹『どうまん蟹』。久々に食べたが、香りの高さ、味の重厚さはさすが「どうまん!」。
5品目、うぉ~、出た!デカイ!浜名湖産天然ウナギ。めちゃウマ!私“ヒルマン佐藤”は大のウナギ好きで、月に一度はウナギ屋さんに行く。天然のウナギもいろいろ食べてきたので、美味しいのも、イマイチなのも、体験済み。が、今回のウナギは感動的に美味い!身も厚く、皮も厚いのだが絶妙な食感。脂も充分すぎる程乗っているのにくどくない。
あまりの美味しさに料理長の山本秀二さんを質問攻め!料理長曰く、この時期、600~800g位のサイズが極上のウナギなのだとか。一般的な養殖ウナギが200g位というから、かなりの大きさだ。そして皮が硬くならないのは、職人の技・蒸し加減ということだった。

のけぞる美味さのウナギに出逢い、本題のスッポンから脱線してしまった。スミマセン。

1kg以上のオスが最上だとか。骨や肉質が上質だからこそ良いスープが取れる。

さて、6品目はスッポンのスープ。土鍋でぐらぐら沸き立つ状態で厨房から運ばれてきた。迫力満点!
まずはスープをいただく。とてもきれいな味、美しいと表現した方が良いかな。個性的なコクがあるのにスッキリしている。う~ん、このスープ、なかなか表現が難しい……。何というか、美しさの中にパワーを感じるのだ。美味しいと表現する以上のものがある気がするね。この感じを理解したくて、また料理長に伺ってみた。『服部中村養鼈場』のスッポンは3~4年ものであるため、品質は素晴らしく、短時間でダシが出る。安価で年数の少ないスッポンは、時間をかけないとダシが出ず、そのため独特の臭みが出てしまうのだという。パワーを感じたのは、スッポンの身に蓄積され、凝縮され、旨味だけが出たダシそのもの。まさに気を食べた感があった。スッポンの身もプルプルで美味しかったぁ~。
さて7品目。シメはスッポンの雑炊。これまた、すばらしい!後を引く味。すでにお腹いっぱいなのに、食べてしまえるんだな~、これが。完食です!
あー美味しかった。家からも店からも近いし、この冬もう一度食べに来よう♪「ごちそうさまでした!」

子供の頃、この辺でよく遊んだっけ。 ※オプション装着車

店に帰る前に、寄りたい所があった。それは、弁天島・乙女園にあるウナギ観音(魚藍観音大菩薩像)だ。今日は浜名湖の幸、命をたくさん頂いたからお礼に。食べることは生きること。プライドを持った生産者に技術と志の高い料理人。そしてその価値を感じて美味しく食べる人たち。今日は素晴らしい人たちにたくさん会えたし、朝焼け&夕焼けも見ることができたな。

そんなことを思って佇んでいると、静かな浜名湖の水面が、私の心を誘惑する……。いけない、いけない、さぁ仕事だ!ディナータイムは18:00よりスタートする。そろそろ帰ろう。

“ヒルマン佐藤”シェフの、これは覚えておくベシ!

スッポンのリゾット。
スッポンのスープでリゾットを作ります。生クリームを少々、 グラナ・パダーノをたっぷりと。生マッシュルームを散らして、出来上がり。 十二分にスッポンの個性の生きた一皿になりました。

スッポンとは?

スッポンは分類学上、爬虫類・かめ目・スッポン科・スッポン属に属しています。食べたことがないという人も少なくない食材ですが、最近ではコラーゲンを多く含む食品として美容に役立つと注目されてから、食べてみたいと思う方も増えてきたように感じます。実際、スッポンには即効性があるようで、私自身も翌日手の感触が変わったように感じました。スッポンの効能は血液浄化、体質改善、健康維持、美肌、美容と言われ、中国では「浄血の薬」として知られているそうです。また、カルシウムは牛乳の10倍、不和脂肪酸、豊富なビタミン群、そして低カロリーで高タンパク。スッポンは、高度に完成された栄養食品と言えるかもしれません。日本はもとより、世界中で食されるスッポン。ぜひ食べてみてください。

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