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Vol.60 天狗の里で山の力と煎茶の旨みを知った

モーターサイクル・デ・フレンチ ツーリングで全国食材探しの旅

お茶は大好き

ツーリングの朝、5時にセットした目覚ましのアラームの前に、雨音で目が覚めた。
昨夜からの雨が未だ降り続いているのか……。
ふて寝を決め込みたい程、昨夜は思いがけず夜更かしだった(週末でお店が忙しかったので♪)。

あっ!そうだ、今日は大好きな“お茶”に出逢いに行く日だ!そう思うと一気に目が覚めた!お茶は大好き、心が躍る。
お茶が大好きで、紅茶、中国茶、ハーブティーそして日本茶とさまざまなお茶を毎日の生活で楽しんでいる私。最近は若者のリーフ茶離れが深刻で、家庭に急須がないことが当たり前になっているのだとか……。これはとても悲しいこと。

忙しい毎日の中でも、お茶を楽しむ心の余裕はいつも持っている。その時間は、今まで出会った美味しいお茶たちが私に授けてくれたものなのだと、感謝している。豊かな香りと共にホッと一息つけば、一瞬で気分を変えてくれ、飲めば薬効もあると言われるお茶たちの魅力。ぜひお茶のある生活を体験してもらいたいし、できれば、茶葉から煎れた美味しいお茶を飲んでもらいたいと思う。

シャワーを浴び、身支度を整え、いざ出発!ラッキーなことに、走り出す頃には雨はやんできた。
さすが晴れ男!←自画自賛(笑)。

今回伺うのは山深いお茶の里、静岡県西部の春野町。標高450メートルの中、山間地で有機茶を自園自製直販している『八蔵園(やぞうえん)』さん。2時間弱の道中、『マジェスティ』の中低速域のパフォーマンスを重視したエンジン特性を、ヘルメットの中でニヤけちゃうほど感じながら、軽快かつスムーズな走りに気分は上々♪遠く小さな雲の切れ間から青空が見えた。
天気は回復するなと直感。さらに気分は上向きに!

八蔵園さん 1

鈴木猛史さん。お茶が好き!この土地が好き!それが茶百姓になった理由だ。

山間のワインディングを幾重もこなし、無事『八蔵園』さんに到着。
出迎えて下さったのは鈴木猛史さん。ここ春野町砂川(いさがわ)で生まれ育った、お茶農家の5代目だ。
このあたりは江戸時代、年貢としてお茶を納めていたという。お茶一筋、歴史ある地域なのだ。

『八蔵園』さんでは、20年以上前から有機茶の栽培に取り組んでいて、並々ならぬ苦労の末、『マルセン砂川共同製茶組合』を設立。全茶園が化学肥料、化学農薬を一切使用しない有機JAS認証を受け、組合員全員で有機茶を生産することで“春野の有機茶”としてのブランド化に成功した。

鈴木さんは生まれ育ったこの地域で、お茶農家に誇りを持つ父(嘉津雄さん)の背中を見て育った。幼年期、父からに言われた「大きな夢をもて!」という言葉がベースになり、環境問題他に興味のあった鈴木さんは、筑波大学農学部へと進学。不耕起栽培や海外の熱帯雨林を視察などを学び、有機栽培についての知識の蓄積をしていった。同時に“社会に貢献する”気持ちも育っていく。当時研究職の道もひらかれていたが、現場を知らない研究者にはなりたくないと思った、同時に実家を継げばそれは社会に貢献することに結びつくのかと、疑問も湧いた、試行錯誤の中、大学を卒業し家業の茶農家に入った。1993年のことだった。

当時、お茶の消費が伸び悩む中、他の産地と差別化をするためにも、有機栽培の需要はあるはずだと思い立つ。春野町は標高が高いことから、平地より害虫も少なく、有機栽培に適した土地柄でもあることを感じていた。これが、有機栽培に転換する決断の支えになった。

1年目にして父から一番良い茶園を任され、意気揚々と有機栽培に切り替えたものの、次の年から収穫量が3割に落ちてしまった。そして2~3年は害虫や病気に悩まされ、つらい状況が続く。今まで得た知識と実際の現場でのギャップに喘ぎ、有機栽培を「理解していたと思いこんでいた」ことに気付く。ここから、鈴木さんの奮闘が始まる!1年の仕事の流れはつかんだ。あとは見直し、もう一度本を開き、勉強するだけ。その甲斐あって、今度は深く読み込め、理解が深まった。さらに他の地域の茶農家を見て聞いて回って実践の知識を得ていった。まさに実践現場に勝るものなし!

そしてあるとき、キーとなる大きなポイントをつかんだ。それは、刈り落としのタイミングだった。早すぎると害虫や病気にやられ、遅いと葉が伸びてこない。刈り落とした下に葉があることでそこから次の葉が生えるように仕立てをすることが重要。木を若く保つためには、前歴も重要で、土作りからこだわった。やがて3年の歳月が流れ、有機栽培も徐々に軌道に乗り始めていく。次第に、煎茶の味と品質の良さが評判になり、ついに、隣町の製茶メーカーから商品化のオファーが来る。

しかしその条件は、地域すべての茶畑を有機栽培に切り替えるというものだった。いくら自園で有機栽培をしても、周囲で農薬を使われては意味がないことは分かっている。だが、父親の代からはじめた協同組合に、そんな話がすんなり通るはずもない。鈴木さんは、地道に周囲へと働きかけることから始めた。他人に有機栽培を進めるのを反対していた父も時間をかけて説得、一度承諾をした父は組合員に積極的に指導し強い味方となった。高齢化が進む中、山間地の生産者にとって夏場の防除の作業は大変な重労働。しかし農薬の回数を減らすことで、逆に省力化につながることを説いて回った。砂川地区は高地で栽培しているため虫が少ないことなども追い風になり、有機栽培は徐々に地域に受け入れられ、仲間を増やしていった。

八蔵園さん 2

鈴木さん、今回は早い時間から取材協力ありがとうございました!また遊びにきます!

2004年、ついに八蔵園さんが加入している「マルセン砂川共同製茶組合」の組合員全員で有機茶を生産することになり、地域のブランド茶『いさがわ』が誕生する。共同組合に有機栽培を了承してもらうまでに、数年を要した。

製茶メーカーが一つの集落の名を使うのは異例だということもあり、『いさがわ』は、あっという間に話題になった。今では有名デパートや高級スーパー茶専門店で取り扱われるまでになっている。

「こうして地域をまとめ上げ、形にできたのも、先代から積み上げてきた信頼関係と家族の絆があってこそ」と鈴木さんは言う。「有機農業は生き方であり、第一線で働くことが大事」だと。それは「日本を何とかしなければ!」そのために「地域の核になる存在になれば」と常々考えている鈴木さんの心が基本にある。そしてたどり着くのは「この土地の要(かなめ)は茶栽培である」ということ。まだまだやるべきことはある、もっといろいろな方向性を模索し日々精進して行きたいと語る。

鈴木さんとは、話していて楽しいし、勉強になることばかりだった!お茶好きの私にとって、とても有意義な時間になった。そしてさらにお茶の世界に興味が湧いて来た!試飲させていただいたお茶も美味しくて、すっかり『八蔵園』さんのファンになってしまった!
必ずまた、遊びにきますね!

ワインディング

プレミアムスポーツ『マジェスティ』。走ることの喜びをありがとう!

次に向かったのは、鈴木さんおすすめの『春埜山大光寺(はるのさんだいこうじ)』。
静岡県の天然記念物に指定されている樹齢1300年の大杉が見事なのだそうだ。

山間のワインディングを『マジェスティ』で駆け抜ける。
雨上がり特有のさわやかな空気が吹き抜ける。流れる雲、太陽に照らされ光り輝く山の緑、最高に綺麗だ!
さらに山の奥へ、奥へと『マジェスティ』を走らせる。かなり山深いところまで来たようだ。
腕時計の高度計は800メートルを超えていた。

春埜山 大光寺

『春埜山』(標高883メートル)は、古くから遠江における霊山として知られ、山住山と並んで山伏信仰の拠点となっていたとか。

ウグイスの声が静寂にこだまする中、『春埜山大光寺』に到着。
誰もいない。違う世界に紛れ込んだ様な不思議な雰囲気。とりあえずお目当ての大杉を目指して数分歩くと、杉が見えてきた。

す、凄い!屋久島の縄文杉に匹敵するほどの迫力と存在感だ。樹齢1300年とあるが、それ以上ではないのか?
感動を超える何かを感じながら、しばし見惚れてしまった。この『春埜山大光寺』、現在は曹洞宗の寺院だが、もともとは僧行基(行基菩薩)が養老2年(718年)に開創したと伝えられる密教寺院だということだ。

『春埜山』(標高883メートル)は、古くから遠江における霊山として知られ、『山住山』(静岡県浜松市水窪町)と並んで山伏信仰の拠点となっていたという。真殿には守護神の太白坊大権現を祀り、本堂は梵天、帝釈、閻魔の三像を安置。印象的な「山犬=狼」の狛犬は、野性味あふれる風格で荘厳な雰囲気をつくり、ただの山寺ではない事を感じさせてくれる。一見の価値あり!

天狗

想像以上に大きくてビックリ!日本一なのだ。

さて、なごり惜しいほどステキな場所ではあるが、そろそろUターンして帰ろう。今回は珍しく、同じ道を戻るルートだ。行きと同じく、相変わらず空が綺麗で道を進むのが楽しくてしょうがない♪

山を下りたところでお腹が空いたので『塩の道の駅 春野いきいき天狗村』に立ち寄ることに。おや?!駐車場にヤマハなライダーが二組♪記念撮影をお願いした。天気が微妙なのにツーリングを楽しむ姿勢がステキだね~♪この『天狗村』は、地域の特産物や野菜、林産加工品など、お土産にも魅力的な場所。併設の食堂で昼食を頂くこともできるとあって、ライダーやマイカー家族に人気だ。食事もさることながら、流石にお茶処。出てきたお茶も美味しかった♪

そして今回の旅の締めくくり。“日本一の天狗面”を見物に。走ること約10分、春野文化センターの駐車場に、そいつはいた!でかっ!高さ8メートル、横6メートルの巨大な面。天狗の鼻の下で雨宿りが出来るくらい大きいのだ!(チョット大げさかも?)。 そんなこと言っていたら、ぱらぱら雨が……。

そんな感じで、本日のツーリングは終了。濡れないうちに帰りましょう♪ あー楽しかった♪では皆さん、ごきげんよう。

インプレッション

走りが、機能が、佇まいが、美しく上質なビッグスクーター。

このバイクの魅力はスポーツバイクのような走りをオートマチックで実現する機能、YCC-AT(ヤマハ・チップ・コントロールド・オートマチック・トランスミッション)。

スムーズかつ低燃費で走れる「DRIVEモード」、パワーバンドを活かしたリニアな走りが楽しめる「ASSIST Iモード」、「ASSIST IIモード」の3つの走行モードがあり、シフトアップやシフトダウンが違和感なく楽しめる。凄く楽しい~。

今回のルート

取材協力:八蔵園(やぞうえん)

静岡県浜松市天竜区春野町砂川57 TEL&FAX 053-986-0533

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