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開発ストーリー:SR400

SR400の開発ストーリーをご紹介します。

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新しい技術との融合

新しいSRにとって最大の変化は、フューエルインジェクション(FI)と排気触媒の採用です。厳しい環境性能が求められるなか、空冷単気筒4ストロークエンジンという、シンプルで普遍的なメカニズムを持つSRで走り続けるには、SRも進化しなければなりませんでした。しかしデビューから30年以上もの年月を経ても、多くのファンに支え続けられているSRの太い幹は変えてはならない。「SRであり続けること」。それが開発時のテーマでした。

その太い幹とは、SRらしいスタイリングと、SRらしい乗り味です。

FIを採用するためには、キャブレター仕様車にはない、様々なパーツを装着する必要があります。そのパーツをいかに収めるか。非常に苦労しました。その際たるものが燃料ポンプです。燃料タンクから自然落下するガソリンを、エンジンの負圧によって空気と混ぜ、混合気としてシリンダーに送り込むキャブレターと違い、FIは走行状況やライダーの意志を判断し、そのときに必要な混合気をプログラムで作り出し噴射します。この噴射のために、ポンプが必要なのです。FIの燃料ポンプは、その多くがガソリンタンク内に収められていますが、SRのティアドロップ型タンクにはそのスペースがありません。タンク中央に、オイルタンクを兼ねたメインフレームが通っていて、タンク底部が想像以上に狭いからです。そこでガソリンタンクから離れた場所に燃料ポンプを設置しました。さらにその燃料ポンプを内蔵するため、小型のサブタンクも新作することにしました。その置き場所はサイドカバー内側しかないと考えていたのですが、そこにはバッテリーやレギュレーター、エアクリーナーボックスがあり、それらのパーツとどう共存するかが大きな問題となりました。セルを持たないSRのバッテリーは小型で、さらにコンパクト化するのは難しいし、レギュレーターは、FI化に伴う使用電力の増加で大型化せざるを得ません。さらにエアクリーナーは大幅な形状変化が難しいのです。そこでバッテリーはシート下に移動しました。それに伴いシートベースとシートを新作しています。しかし、シート外形や後端の樹脂カバーはこれまでと同じとしました。大型化したレギュレーターはエンジン下に配置しました。エンジン下でフレームダウンチューブが2本に別れているので、その間に収めています。レギュレーターは電気を通すことで発熱するので、外気に当て冷却しなければなりません。エンジン下なら冷却効率も高く目立ちませんので大きくなったレギュレーターを収める場所はそこしかありませんでした。エアクリーナーボックスは、新しく作り変えました。エンジン性能に影響が出るのでスペースを確保するために容量を小さくしたり、別の場所に移動させたりすることはできないですから。まさにmm単位で形状や容量を検証しています。その結果、エアクリーナーエレメントの形状も変更しました。しかし、それでも以前のサイドカバー内側スペースのままでは、新たなパーツを収めることができず、そこで左右各10mmほど張り出したサイドカバーを新作せざるを得ませんでした。ライダーが跨って違和感を感じないことはもちろんですが、SRらしいシルエットを崩さないよう、その形状を徹底的に吟味しています。

進化と深化を追い求める

排気触媒を装着するにあたり、エキゾーストパイプとサイレンサーを新作しました。触媒はサイレンサーの前側に配置したので、サイレンサーはその分だけ長く、そして排気管容量を確保するために太くなっています。専用にデザインしたヒートガードと絶妙にテーパードするデザインのおかげで、その変化を感じない仕上がりにしています。そのサイレンサーに合わせて、エキゾーストパイプの取り回しも変更しています。SR特有の、3回曲げの美しい曲線はそのままに、mm単位で曲線の角度を変更しました。その仕上がりは、旧エキゾーストパイプと見比べても違いが分からないほどです。さらに新作のエキゾーストパイプの表面にはナノ膜コート処理を施して、変色や錆、汚れの付着を改善しています。FIには欠かせないO2センサーの設置にも苦労しました。O2センサーの多くは、ステップ付近など、目立たない場所に設置するのですが、SRにはそれらの場所にスペースがありません。そこでO2センサーはエキゾーストパイプ上に設置しました。しかしSRのエキゾーストパイプは外側のクロムメッキ管と内側のステンレス管の2重管構造となっていて、ここにO2センサーを取り付けるためのボスを新設するのは、製造工程上、非常に難しかったのです。なんとかその工程をクリアし、さらに、O2センサーの存在をできるだけ目立たせないようにフレームのダウンチューブ部のラインにシンクロさせるなどの工夫をしました。これらのステップをクリアした後も、乗り越えなければならない課題はたくさんありました。そのなかでもっとも苦労したのはマフラーステーでした。SRのエンジンは、振動をキャンセルするためのバランサーを内蔵していません。くわえてエンジンがフレームにリジッドマウントされています。その振動は、強烈な破壊力を持っています。そんな力が加わっても各部に問題が生じないのは、先輩技術者たちの様々な知恵と技術が込められていたからです。しかし今回、マフラーの変更でその絶妙な強度バランスを崩してしまったのです。そこでマフラー仕様変更とともに、マフラーステー形状も改良して強度を確保しました。新たに採用したFI用のポンプやサブタンクも防振ラバーを介してマウントしています。

そのほかFI化によってセンサー類が増え、配線類も増えています。その量は、キャブレター仕様車に比べボリュームが2倍ほどになりました。それを細い配線スペースの車体に収めるのも苦労しました。そこまでデジタル化が進んだにもかかわらず、ライダーが常に目にするメーター類はアナログのままとしました。FI化によってリザーブコックを廃止し、燃料残量警告灯を追加したことでメーターパネルデザインを一新しましたが、スピード計もエンジン回転計も機械式のままです。今現在、250cc以上で機械式メーターを使っているバイクはほとんどなく、SRは希少な存在と言えるでしょう。

キックスターターに込めた想い

FIを装着しましたが、エンジン始動はこれまでと同じ、キックスターターのみとしました。理由は、これまでもマイナーチェンジの開発ストーリーで語られているとおり、キックペダルでエンジンを掛けるオートバイがSRだからです。最初は心配でした。そこで、あり合わせのパーツでFI化した車両でキックを試してみました。するとあっさりエンジンが掛かったのです。開発陣は皆ひと安心したのですが、そこからが大変でした。キャブレター時代からキックでの始動性は指摘され続けてきました。だからこそ常に改良を施し、キックスターター式エンジンとして、SRは非常に始動性の良いオートバイでした。それを全く違うシステムのFIを搭載したと同時に、これまでと同等以上の始動性を確保しなければならなかったからです。一つの条件でエンジンを掛けるだけなら、それほど難しくはありません。しかし気温が高い場所や低い場所、エンジンが冷えているときや暖まっているとき、そして力のある人とない人、キックに慣れている人と慣れていない人など、様々な条件下で目標をクリアするのはとても難しいことなのです。キックスターターは、キックペダルを踏み降ろすとクランクが3~4回転しますが、エンジンを着火させるチャンスは1~2回しかありません。そこに必要な混合気を絶妙のタイミングで噴射し、さらに絶妙のタイミングで点火しなければならないのです。ボタンを押している間中、一定のスピードでクランクが回転し、点火し続けるセル式とは全く違います。また全ての制御がデジタル入力されるため曖昧さがなく、エンジン始動のための条件が明確になりすぎてしまいます。そこでたくさんの人にキックを踏んでもらい、多種多様なクランク回転のデータを収集し、エンジン始動条件を設定しました。その結果、キャブレター仕様車と同等の始動性を実現することができたのです。

前モデルまでの取扱説明書を見ると「冷感時にはチョークノブをいっぱいに引きスロットルを完全に閉める」や「外気温が10℃以上の時は、チョークノブをいっぱいに引き、一段戻す」、それに「エンジンが暖まっているときは、スロットルを少し開けた状態でエンジンを始動させる」など、キックペダルを踏む前のコツが明記されていましたが、新しいSRはそのコツを必要としません。スロットルやチョークノブを操作することなく、エンジン始動を可能にしています。

これからも走り続けるために

今回の開発では、マイナーチェンジモデルの開発としては異例なほど、多くの開発スタッフがSRを試乗し議論しました。“SRとはどんなオートバイであったか”を改めて解剖し、長所と短所を話し合ったのです。FI化した新しいSRは、そこでの議論を元に、自分たちが考えるSRを作ろう。そう決意しました。どんなフィーリングも作り出せるFIだからこそできるSRを作ろうと考えたのです。決して、キャブレター仕様のSRを、そのまま再現した訳ではありません。そこで大事にしたのが、SRが持つ“トコトコ感”です。よく“ドコドコ感”と表現されますが、400cc単気筒エンジンにはそこまでの鼓動感はありません。スロットルを開けるとトットットットッと、地面を軽快に蹴りながら加速していくフィーリングが400ccのSRであり、それがじつに気持ちいいからです。しかしFIを装着した初期の段階では、全域で滑らかすぎたのです。これもまた単気筒エンジンが持っているキャラクターのひとつですが、それはSRではありませんでした。そこでエア・インダクション・システム(AI)で排気浄化を促進しながら、シングルらしさを際立たせる為に低速域でのフィーリングを徹底的に作り込みました。その結果、自分たちが目指した「トコトコ感」をしっかりと表現することができたのです。それと同時に、開発の初期段階で生み出した滑らかさを高回転域に活かしました。これには直径34mmにまで拡大したFIのスロットルボディによって、より多くの空気を取り込むことが可能になったことも大きく影響しています。しかし、異なる2つのエンジンキャラクターを融合させることができたのは、FIによるところが大きいといえます。FIによってここまでSRらしいフィーリングを作り込めたことで、エンジン内部には一切手を加えませんでした。でも実は、エンジン設計担当者は密かに新型カムを用意していました。厳しい排気ガス規制に対応すれば、たとえFIを装着しても、走行フィーリングに影響を及ぼすだろうと考えていたのです。しかし、それは採用しませんでした。これまでのカムの方がバランスが良い。そう判断したからです。そのエンジン特性の変化とともに、クラッチ操作を軽減したことで、車体全体のフィーリングを軽くすることができました。SRのクラッチは、その前身であるXT500のまま受け継いできました。XT500は大排気量オフロードモデルだったこともあり、クラッチ容量に余裕を持った設計をしていました。しかしそのクラッチは、いまのSRの使い方を考えるとオーバースペックなのです。それを適正値にすることで、より扱いやすいクラッチになる。そう考えて、クラッチ周りに手を加えました。具体的にはクラッチスプリングの荷重を下げ、クラッチレバーの荷重が約30%低減しました。

以前、SRオーナーズクラブの方々と私たち開発者がお話をする機会がありました。そこで、初期型を当時手に入れた方々のお子さんが、オートバイに乗る年頃になっていると聞きました。そんなときオヤジと同じSRを、いまも新車で手入れることができる、と。いまこんな選択ができるのは、クルマを含めても、SRでしかないのです。そして、ここからさらに20年経てば、3世代でそれぞれの時代のSRに乗ることもできる。そのためにSRは、SRであり続けながら、同時に進化し続けなければならないと考えました。あくまでも仮定の話ですが……排気ガス規制をクリアするだけなら、キャブレターでできたかもしれません。でもSRは、これからもずっと作り続けるモデルです。そう考えると、未来のためにこのタイミングでFI化しなければならないと考えました。新SRは、未来に向けて進化しながらも、SRとしての深化もできた。開発に携わった全てのスタッフが、そう感じています。
※写真の車両はすべて2010年モデルです。

SR誕生秘話

これまでに数多くの人間がSRの開発に携わってきた。そして、常に深化と継承を表裏一体にしながら、時代に合わせたSRを作り続けてきたのである。ここではその数多くの開発者たちを代表し、初代SRのエンジン開発リーダーと、2003年モデルの開発プロジェクトリーダーに、「何を見据えてSRを世に送り出したのか」を聞いた。

「SRの普遍性というのは、ユーザーの皆さんの声によって作られたと思いますね」

初代SRエンジン開発リーダー
大城 信昭

初代SRのほか、SRのベースとなったXT500のエンジンプロジェクトチーフを担当。現在もSR400(01モデル)を所有し、奥さんと一緒にタンデムツーリングにも出掛けている。

SRは、皆さんもご存じの通り、'76年に発売されたXT500という、4ストロークオフロードモデルがベースとなっています。そして、XT500はアメリカ市場の声から生まれたモデルです。 アメリカ人というのは4ストロークエンジンが好きなんです。年輩になると特にそうみたいですね。トルクの粘りとか、腹に響く音とか。BSAビクターやドカティ450スクランブラーなどが非常に人気がありました。我々としてもそれに負けないモデルを造ろうと、そこからスタートしたんです。

世の中4ストローク化

また、'70年にマスキー法というアメリカの新しい排気ガス規制が制定されたり、'78年には日本版マスキー法が実施されるということで、我々も4ストロークエンジンの開発を急いだワケです。世の中4ストローク化だと。オフロードモデルとしては、DT-1を発売して125や350、それに500などもリリースし市場を拡大しましたが、2ストロ-クの単気筒500ccは耐久性がきついんです。ですから、それに変わるビッグオフロードモデルの開発ということもありました。それ以前にXS650やTX750/500と4ストロークエンジンを開発していましたから、XTエンジンは“第三世代”と我々は勝手に呼んでました。
なぜ、シングルエンジンだったかというと、オフロードモデルですから軽くてコンパクトじゃないといけない。それに、アメリカでユーザーインタビューを行ったときに、ビッグシングルに対する憧れが大きかったんです。
排気量はいくつでもよかった。一番最初に造ったプロトタイプは、排気量は450ccだったですから。最初はビッグシングルの排気量なんて見当もつかないので、450ぐらいでやろうかということでボアストローク84mm×84mmで始めました。そのころ4ストロークの技術を確立していませんでしたから、ボアストローク比も試行錯誤でした。まずはスクウェアーで造ってみるか、と。でも、試作エンジンでオフロードを走ってみるとパワーが足りない。じゃあ500にするかということでボアを3mm広げて500ccとなったわけです。

目標にしたのはあくまでもスタンダードなモデル

SRは、フレームもエンジンも、基本的にはXTをそのまま使いました。エンジンに関しては、ストリート仕様ということで最高出力の発生回転数を少し上げて、それにあわせて耐久性をアップさせました。その他は、クランクケース類にバフをかけて外観を良くしたり、静粛性を上げたりしただけです。フレームは振動対策などで、使っているパイプを太くしています。シングルの振動って結構破壊力があって、アチコチ壊れるんですよ。エンジン回転数を上げるともっと厳しくなるもんですから。
全体的なスタイルについては、いろいろな案がありましたね。あの頃はエンジンを開発しているすぐ隣でデザインをやっていましたから、全部見てましたよ。でも、目標にしたのはあくまでもスタンダードなモデル。BSAなどのシングルモデルと同じように、これも2~30年長生きするようなとモデルにしたい、ということもあって、オーソドックスなスタイルを採用しました。ディスクブレーキやキャストホイールなど、メカニズムとしては当時の新技術を採用しましたが、タンクとかシートのラインはあの時代でもノスタルジックだったと思います。セルスターターについては全く頭になかったですね。当時のセルモーターはとにかく重くて大きかったので。

重量とかコンパクトさを徹底的に追及して造ったエンジン

400ccモデルは、当初海外モデルの別バージョンというところでしたね。あくまでも500ccがメイン。でも日本のほかに、当時フランスでも400ccという免許制度があって、そこにユーザーが流入している。しかも、その層はライダーとしての経験値も少ない。そうなるとネックになってくるのが、エンジンの始動性です。そこで排気量を下げることで、始動性も容易になるから400も造りたい、という声が出てきたようです。
ですけど、今にして思えばイージーに開発しました。結果的にはストロークを減らしただけです。アレは組み立てクランクなので、クランクピンの位置を軸側に寄せて、ピストンは共通、その分だけコンロッドを長くする。それぐらいの変更しかなかったです。正直、その他の方法は試しませんでした。コストをかけないでスケールダウンするというのも目標でしたので。だからクランクケースもシリンダーも、シリンダーヘッドも全く同じですよ。でも、それがよかったのかも知れませんね。そもそも軽量化やコンパクト化を徹底的に追求して造ったエンジンだったので、排気量が100cc小さくなってもバランスを大きく崩すことがなかったですね。

SRの普遍性はユーザーの皆さんの声によって造られた

SRの普遍性というのは、ユーザーの皆さんの声によって造られたと思いますね。変えると怒られるんです。'83年に、いろんな理由からオイルラインを外回しにしてクロームメッキをかけました。それはとても喜ばれましたけど……“いまのままで良い”というお客さんの声が、やっぱり多かった。ドイツでも、27馬力以下だと保険が安いということもあって、結構売れましたね。トータルで3万6000台ぐらい売れて、SRクラブもあるぐらい。そうなると、変えない方が良いかな、と。

「私たちは、変えないということに執着しているのではなく、実は積極的に変えているんです」

SR2003年モデル開発プロジェクトリーダー
久保 裕

SRがSRであり続けるというのが、我々のポリシーです。ですから、外見上はほとんど変わっていませんが、エンジンを含めいろいろと手を加えています。もちろん規制対応ということがあります。その時に、各部をより良くするんですが乗り味は変えない、という部分に注力してます。エンジンで言うと、一番は鼓動感です。 規制の関係で排気音はどうしても小さくなります。でもユーザーにしてみれば、音も含めたところで鼓動感となるわけです。ですから、排気音が静かになっただけでも、鼓動感は薄れたように感じてしまいます。そこを、どうやって鼓動感を出して行くか、というのがテーマになります。

バランスの変化は計算上である程度予想できても、最終的には人間の感覚ですから

今回はヘッドライトの位置も変更しましたが、それだけでも車体に変化を加えるとバランスが変わってしまいます。その変化は、乗ると分かってしまう。でも、ディメンジョンなど車体のバランスを再検討し、数字に表れない変更を行いながら、乗ったときの変化をできるだけ感じさせないようにします。バランスの変化は計算上である程度予測できても、最終的には人間の感覚ですから、その計算が合わないことも多々あるんです。ヤマハは感応技術のところで勝負しようということでいろいろとやっていますが、その部分でライダーに根ざそうとセッティングを詰め、ライダーに合わせていこうと考えています。

また、'03モデルではインターフェイスの充実というところに焦点を絞って開発しました。それと、これだけ人気のあるモデルですから、盗難というのが大きな問題になっています。これにはいろいろな要因があるんですが、メーカーとしてできることは何か、ということに主眼を置いています。そこで、今回はイモビライザーを装着しました。人気のあるSRとその価値をお客さんのところに止めておきたい、と考えたわけです。今あるSRという車両を、いろんな意味を含めてどうやって維持していくか、ということを考えたんです。

ユーザーに造っていただいたSRの価値を長く、そのまま存続させたい

騒音や排気ガスといった、現在の環境問題にも対応していくのは当然なんですが、その為に大きく変えてしまうと、お客さんを裏切ることになってしまいます。今までユーザーの方々に造っていただいたSRの価値を長く、そのまま存続させたい。その為に、今回もイモビライザーを装着することによってヘッドライト位置を動かすなどの変更のほかにも、いろいろと変更していますが、あくまでもオリジナルを保つというのが最大のポイントになりました。ヘッドライトの位置変更も、小型の新しいタイプに変更するという案もあったんですが、見た目の印象が同じでも、皆さん同じモノがそのまま残っているという部分が重要だと考え位置変更に止めました。普遍的な美しさのキープをチョイスしたんです。

変えないことに執着しているわけではなく、実は積極的にいろいろと変えている

イモビライザーに関しても、それを装着することで変わってしまう、ということが議論になりました。イモビライザーの機能的な性格上、どうしても存在感が出てしまいます。その為にメーター周りからヘッドライト周りを変えなければいけない。でも、変えたときにも同じ印象を与えるようにしなければならないんです。これはコスト面でも同じです。しかし、そんなリスクを犯してでも、盗難は重要な問題です。お客さんからも盗難対策を、という声がありましたから。 いくら盗難対策とはいえ“何で”というお客様は確実にいると思います。それは、最初にお話しした“鼓動感”に関しても同じことです。でも、私たちは変えないことに執着しているわけではなく、実は積極的にいろいろと変えているんです。 ですから、前モデルと、または初代のモデルと比べて全く同じかというと、違うと思います。でも、実はそこが重要ではなくて、SRが持っている特徴がいくつかあると思うんですが、そこが継承されているかという部分の方が重要だと考えています。

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