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開発ストーリー:XSR700

XSR700の開発ストーリーをご紹介します。

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プロローグ
「XSR700の登場で、XSRシリーズを構築。スポーツヘリテージカテゴリーの中核を成す」

いよいよ「XSR700」を発売します。これによりXSRは900と700を有する「XSRシリーズ」となり、ヤマハのスポーツヘリテージカテゴリーの中核を成すモデルとなりました。

日本市場で先行販売したXSR900は、ヤマハの新世代スタンダードモデルであるMT-09のプラットフォームを使い、そこにバイクらしい普遍的なスタイルの外装を合わせ、幅広い層のバイクファンからすでに高い評価を頂いております。「XSR700」は、そのXSR900の兄弟モデル。2気筒エンジンにパイプフレームを持つMT-07のプラットフォームに、900同様、ネオレトロな外装を採用しています。

XSR900の開発ストーリーでもお話ししましたが、XSRは昔を懐かしむモデルではありません。過去のヤマハ・スポーツモデルのデザイン要素を色濃く反映しながら、新たな価値や魅力を付け加えることで、オーセンティックな魅力に溢れたバイクを目指しました。だからこそMT-09の、最新のプラットフォームを受け継ぎ、あらたにD-MODE(走行モード切替システム)やトラクションコントロールといった電子デバイスを組み合わせたのです。

しかし「XSR700」は、900とその役割が違います。新たな価値や魅力を持つオーセンティックな魅力に溢れたバイクであることは同じですが、その魅力をより多くのライダーに感じていただくことを目的としました。だからこそ「XSR700」は電子デバイスを使うことなく、エンジンやフレームの基本性能を高め、そのなかでヤマハらしい、操る楽しさに溢れたMT-07のコンセプトを受け継いだのです。

「XSR700」は、ヤマハを知るベテランライダーやスポーツライディングを好むライダーであれば、ワインディングやツーリングで、その魅力を感じていただけるでしょう。また大型バイク初心者であれば、通勤や通学といった日常生活から週末のレジャーライディングと言った、幅広いシチュエーションでバイクをライディングするワクワク感を感じていただけるでしょう。

オーセンティックな、ヤマハの最新モデルシリーズであるXSRの根源を、よりクリアに、よりシンプルに、そしてより多くのライダーに感じてもらう。「XSR700」はそんなバイクを目指しました。

パフォーマンス
「MT-07のプラットフォームを使い最新技術とヤマハの歴史を融合」

エンジンとフレーム、そして足回りといったバイクのプラットフォームはMT-07と共通としました。エンジンのセッティングやそれによって造り上げるエンジンの出力特性、また前後サスペンションのセッティングも同じとしました。

その理由は、次世代のスタンダードモデルを目指して徹底的に造り込んだ軽量でコンパクトな車体と、2気筒エンジンのイメージを覆す軽やかでパワフルなエンジンフィーリングによって造り上げた、ヤマハらしいスポーティな車体は、「XSR700」が目指すパフォーマンスと相違なかったからです。もちろんそれぞれの領域において異なるセッティングをいくつも検証しました。しかし、そこで生まれたフィーリングは、「XSR700」が目指していた世界とは違っていたのです。

より幅広いキャリアのライダーに「XSRシリーズ」の世界を体感していただくために、ボディデザインを変更したことに伴い、ハンドル位置をより高く、そして手前に変更し、シート位置もわずかながら高くしています。それにともない、MT-07に比べれば、サスペンションの動きが柔らかく感じるかもしれません。しかしスポーティな性格は損なわれていません。唯一、トップブリッジとハンドルクランプを連結するラバーマウントの材質を、より硬質なものに変更しました。この変更は、開発当初のメニューにはありませんでしたが、フロントタイヤやフロントフォークの動きをダイレクトに感じることができ、またハンドル操作に対する車体の反応をよりわかりやすくするために、変更を決断しました。

MT-07のために新開発した、水冷4ストローク直列2気筒DOHC4バルブ270度クランクを持つ“CP2”エンジンは、慣性トルクが少なく、燃焼室のみで生み出される燃焼トルクだけを効率良く引き出す設計思想「クロスプレーンコンセプト」を受け継ぐエンジンです。直列2気筒エンジンの場合、270度クランクを採用したときが、シリンダー内の爆発によって生まれる爆発トルクと、ピストンの上下動によって生まれる慣性トルクを合わせた合成トルクの変動がもっとも少なく、それによってシリンダー内の爆発がダイレクトにリアタイヤに伝わり、直接路面を捉えているような感覚を得られるのです。

プラットフォームにおける最大の変更は、シートを支えるリアフレームの形状です。MT-07を含むスポーツバイクのテールカウルは、躍動感を演出するため、シートを跳ね上げ、前のめりなスタイルを造り上げます。しかし「XSR700」が目指すネオレトロなスタイリングでは、リアは跳ね上がらず、ステアリングヘッドからテールカウルまでを地面と水平なラインで構築する“ホリゾンタルライン”が基本となります。そこでメインフレームから伸びるリアフレームを造り替え、またリアフレーム後端を取り外し可能としました。そのことによりネオレトロなスタイリングが実現するとともに、シート周りのアレンジやツーリングバッグなどの装着ができるようになるなど、機能拡張性を高めているのです。

その機能拡張性の高さも、開発時のコンセプトのひとつ。車両の開発と平行して、オプションパーツの開発も進めました。開発者も皆、仕事場を離れれば皆さんと同じ熱狂的なバイクファンですから、バイク乗り目線で、どのようなパーツがあれば「XSR700」の魅力が高まるのかを議論し尽くしました。ユーザーの元に渡った車両の姿を想像しながら、車体やオプションパーツを考え、その図面を引くことも、ヤマハの技術者の腕の見せ所なのです。

デザイン
「オーセンティックであること。その新たな解釈がXSR700を生んだ」

デザインにおける大きなハードルは、“オーセンティック”の解釈でした。XSR900の開発ストーリーでもお話ししたとおり、XSRシリーズの開発では、ノスタルジックなバイクではなく、オーセンティックなバイクを目指しました。

では“オーセンティック”とは、いかなるものか。それは必要なパーツが、あるべき姿でデザインされていること、なのです。そこにレトロやモダンといった時代感は介入していません。たとえばMT-07のような、メインフレームが左右に分かれているフレームにセンタートンネルのティアドロップタンクを無理矢理装着しても、それはオーセンティックとは言わないのです。左右に分かれているフレームなら、それをしっかり見せ、その間に美しいタンクを装着すればそれがオーセンティック。車体のレイアウトに、嘘偽り無く必要なパーツがデザインしていることがオーセンティックであることなのです。したがって電子制御技術が満載された最新のスーパースポーツモデルやアドベンチャーモデルでも、その方程式が活かされていればオーセンティックなバイクになります。クラシカルなディテールを持つことが、オーセンティックではないのです。

その結論に至ったとき、最新のコンポーネントを持つXSRシリーズであっても、オーセンティックなモデルとして構築することができる。そう自信を持つことができました。

スタイリングのポイントは、やはりタンクです。生産効率やコストを考えれば、幅広いキャリアと嗜好を持つライダーにアプローチするというミッションを持つ「XSR700」に、アルミ製ガソリンタンクカバーの装着が実現できるか半信半疑でした。しかし、アルミという素材は、本物の素材をそのまま生かせるし、なにより圧倒的に格好いい。そういう価値観は「XSR700」にふさわしいという結論に至りました。

またその形はシンプルですが、ヤマハのスポーツマインドを象徴するシェイプを反映させています。ヤマハは創業時からモータースポーツに取り組み、その名前が世界に知れ渡る1970年代から現在のYZR-M1に至るまで、極限の状態でライダーがしっかりとマシンをコントロールできるよう、タンクのニーグリップ部分を大きくえぐったタンクデザインを採用しています。「XSR700」のタンクにもそういったレーシングフレーバーを加えることで、ヤマハらしさとともに、根源的なバイクの躍動感を表現しているのです。

そしてそのアルミ製のタンクカバーは、「XSR700」にふさわしい風合いを追求し、いくつもサンプルを製作し検討しましたが、結果的にはXSR900と同じ仕上げとしました。

エピローグ
「最新技術と伝統によって紡いだヤマハの新スタンダードモデル、XSR700」

「XSR700」の開発は、兄弟モデルであるXSR900とほぼ同じタイミングでスタートし、その進行具合も同じでした。どちらかが、そのコンセプトを曲げて歩み寄るような妥協は一切ありませんでしたが、開発を進めるそれぞれのチームがXSRシリーズのコンセプトを深く理解し、ときには意見交換をすることで、ひと目で分かる“兄弟感”を発しながら、異なる役割とそれを遂行するためのディテールを持つ、それぞれが独立した個性を秘めたバイクに仕上げることができました。

いまバイクを取り巻く環境は急速に変化しています。バイクユーザーの嗜好は広がり続け、テクノロジーの進化はスピードを速め、また多角化しています。それらを融合し新しい価値のバイクを造り続けることは二輪車メーカーの必然なのです。しかしだからこそ、バイクらしい、ヤマハらしいバイクを造り続けていくこともヤマハの使命だと感じています。これまでは、いくつかのロングセラーモデルがそれを担ってきました。そして、そういったモデルを販売し続けることで、その重要性も強く感じました。だからこそより長い間、バイクらしい、ヤマハらしいモデルをラインナップし続けていくために「XSR700」を造り上げ、XSRシリーズを構築したのです。

「XSR700」に乗れば、我々が大切に培ってきたヤマハの歴史と、技術革新によって切り開こうとしているヤマハの未来を感じていただくことができます。言葉にすると少し堅苦しく感じてしまいますが、難しく考える必要はありません。格好良くて、ライディングするのが楽しくて、乗り込むほどに愛着が湧き、いつでもワクワクする。「XSR700」はそんなバイクに仕上がりました。「XSR700」に乗って、ぜひ“ヤマハ”を感じてください。

プロジェクトリーダー
山本佳明

入社以来、大型スクーターの車体設計に従事。マジェスティ、マグザム、TMAXなどの開発に携わる。その後、MT09、MT-09 TracerやXSR900でもプロジェクトリーダーとして参画した。MT-07では、ヨーロッパの排気ガス規制/ユーロ4対応やバリエーションモデルの開発に携わり、今回、国内仕様の「XSR700」のプロジェクトリーダーに就任した。

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