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バイク初心者必見!速くなるよりも上手くなるための、柏流ライテク論 第7回「秋冬ツーリングの3つの約束」

2012年10月29日
こんにちは、柏秀樹です。 肌寒い日が少しずつ増えてきました。飲み物もアイスよりもホットが嬉しくなるこれからの季節、普段の生活でもそうなのですから、ツーリングにも寒さに対応したテクニックが必要となります。

私が提案する秋冬のツーリングテクニックは「3つの約束」で構成されるシンプルなもの。
1)『乗り方』 2)『服装』 3)『整備』の3つです。


■『乗り方』
ライダーとバイクの暖機。この2つがしっかりとシンクロしていることが走り出しのポイントとなります。

冷えきったエンジンは内部のオイルが硬くスムーズに回らないので、最小限のエンジン回転点で暖機します。高回転まで回しても一気にエンジンが暖かくなることはないのでご注意を。

暖機が終了してもすぐに速度を高めるのは賢くない。なぜならエンジンが温まっても前後のサスペンションとタイヤは温まっておらず、跳ねやすい状態のまま。いきなりスリップダウンしてしまう可能性もあります。アイスバーンを走るイメージでスタートするぐらいでちょうど良いでしょう。

スタートしたら、特に最初の路地やカーブなどはできるだけ慎重に曲がる。直線路では前後左右の安全性を確保した上で、穏やかに加減速を繰り返す。そして徐々に加速と減速を強めていく。加速と減速を多く繰り返すことで前後サスペンション内部のオイル温度が上がって動きがしなやかになり、路面の衝撃をきちんと吸収するようになります。

また、直線での加減速を繰り返すことにより、タイヤの内部空気が暖まりゴムの分子が活性化。より確実に路面を捉えるようになります。つまり、サスペンションとタイヤが良い仕事をする状況を早めに作ってあげることが特に秋冬の走行では重要なんです。

特に、強大なパワーを持つビッグバイクは、この走り始めの「儀式」がとりわけ重要と心得ておきたいですね。

そして直線路での加速を繰り返す時にやって欲しいのがライダーの運転中の運動。あまり知られていませんが暖機と同時に安全を感じ取る能力アップに欠かせない方法ですから是非ともトライしてください。

それは加速時に背中を丸めることなく、腰から上体すべてを前傾化。頭にして30センチ以上前方に動かして、ブレーキングで頭を通常の位置に戻すこと。ポイントは頭が前後の動く量を30センチ以上にすることです。これが簡単そうで意外と難しい。

腰から上体すべてを前傾化する
↑腰から上体すべてを前傾化する。

頭が動いても目線がブレない、呼吸ができる、加速時にハンドルにしがみつかない、できたら加速時にハンドルグリップからわずかに手のひらが浮いている状態。ブレーキ時も手のひらがわずかに浮いたままでブレーキレバーが握れるための下半身ホールドなどのチェックを連動させる。頭の前後移動はリラックスの度合いを推し量る目安になるんです。

バイクとライダーの暖機が終わったら、あとは普段のツーリングと同じ。とはいえ、これからの季節は寒さで身体に力が入りがちです。以前のエントリーでご紹介した疲労の少ないフォームと、多くの人が勘違いしている悪いフォームを良い例とあわせてカテゴリ別にご紹介します。この機会に再確認してください。

まずはロードスポーツから。
ロードスポーツのフォーム
↑(写真左)よく街でみかけますね。アグレッシブに乗っているように見えますが、これは悪いフォーム。(写真右)横から見て脊椎がS字に見えるよう意識する。これがもっとも自然で美しく、各部位の負担が少ない不フォームです。

オフロードはどうでしょう。
オフロードのフォーム
↑(写真左)教習所で教わったとおりに乗っているようですが、残念ながらこれも悪いフォーム。(写真右)理想は常に体のすべてに余計な力が入らず、ブレのない直進走行ができること 。ハンドルを抑えるほどバイクはふらつくと思ってください。

クルーザーも正しいフォームは同じです。
クルーザーのフォーム
↑(写真左)このように猫背になってしまうと内臓が圧迫されます。結果、呼吸が浅くなり、腰の部分に荷重が集中してしまいます。(写真右)正しいフォームの基本は胸を張ること。背筋を伸ばすのとは違います。尾てい骨が付いている骨:仙骨を起こすイメージです。

最後にスクーターです。
スクーターのフォーム
↑(写真左)背中を丸めると首の骨の曲がりを強くしてしまい血流が低下します。さらに、肩の位置が下がるために腕のリーチが不足してしまう……背中を丸める合理的な根拠はどこにありません。(写真右)脊椎をS字にしたフォームで実現する低疲労こそ高い集中力維持の基本。力が入っている状態を集中力と思いがちですが、それはただの緊張。本来の能力が引きだせなくなるうえ、効果的な学習もできなくなってしまいます。


■『服装』
秋冬でもっとも大切なのは身体を冷やさないこと。特に手足膝の前端部分はできるだけ冷やさないように、きっちりしたウエアリングが欠かせません。

特に体温のマイナス2度前後の時が、もっともウイルスがノドから入りやすくなるので、ノド回りを中心に冷やさないこと。首回りについては専用のモノがない場合は応急処置としてバンダナなどを使って首への風の進入を防ぐといいでしょう。

また、忘れがちなのが水分の補給。乾燥した状態で「トイレが近くなるから」といって水分を減らすのはもってのほか。逆に利尿効果の高いコーヒーを飲んで積極的に休憩を取るぐらいでちょうど良いでしょう。

休憩後の走り出しも要注意。身体の回復とスピード感覚がかならずしもシンクロするとは限らないのがバイク。まずは、走り出しの前にタイヤなど各部のチェックをして、手先などの末梢神経に刺激を与えて、身体を温めてから走り出す。しかも、最初トロトロ走って、5分後にペースを上げていくぐらいの用心さが必要です。


■『整備』
春夏秋冬のいずれでも基本は同じ。特に気をつけておきたいのは命に直接関わるタイヤとブレーキ。ツーリング前に「今回のツーリングから帰ったら交換しよう」などというパターンがイチバン危ない。秋冬はタイヤのハンデが大きくなる季節。摩耗したタイヤではなおのことリスクが高くなります。

特に溝があっても製造年月日が古いものはツーリング前に交換したい。タイヤの製造年月日はタイヤ側面に4桁で書かれています。3411という数値なら2011年の34週目に製造されたもの。2905という数値なら2005年29週目。目安としては3年以上経過したものは溝の有無に関わらずすみやかに交換したい。命に関わるものだから絶対にケチラナイこと!


ツーリングに行かないという人も秋冬のライディングにはこの「3つの約束」をトライしてみてください。速く走るよりも賢く走ると、楽しさがより深く、そして安全性を高めつつ、バイクの醍醐味がより深く感じ取れるようになるはずです。

秋冬の透き通った空気を存分に楽しむ。厳しい環境だからこそバイクの真の楽しさが身体と心で感じ取れるはず。「柏流ライテク論」を実践して。これからの季節のツーリングを安全に快適に、そして上手に楽しんでください。

どこかで、出合ったら笑顔でピース!


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2012年10月29日
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