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倒れてしまったバイクの引き起こし方 ~悲劇は突然に~

2022年11月18日
みなさんこんにちは。ヤマハ発動機販売の高島です。バイクライフ満喫されていますか?
今回はライダーであれば誰もが経験したくない、だけどおそらく、ほとんどの人が避けて通れない、倒れてしまったバイクの引き起こしについてです。
皆さん必ず一度は、教習所でバイクの引き起こしを体験されていると思います。しかしながら、バイクを購入してから「自分のバイクで練習しておこう」なんて人は、まずいませんよね?なにしろ自分でバイクを倒して愛車を傷つけたくないですからね。
だから多くのライダーにとって、バイクを引き起こさなければならない時とは、悲劇と同時に突然やってくるものです。かく言う私も時々悲劇を(泣)・・・そして今日まで乗り越えてきました。


バイクを倒してしまったヤマハ ライディングアカデミーの城インストラクター。がっくりしています。

バイクを倒してしまったヤマハ ライディングアカデミーの城インストラクター。がっくりしています。
残念にもバイクが倒れてしまったら、
まず自身の安全確保。安全が確保できた後に、もしエンジンがかかっていたら、慌てずにエンジンストップスイッチで停止。余裕があればメインキーをオフにしてください。
次に、気持ちを落ち着けるために深呼吸をしましょう(ー。ー)フゥ。怪我はないか?バイクを引き起こしている間に、事故に遭遇してしまわないか?落ち着いて周りを見渡し、状況を判断してから、バイクの引き起こしにかかりましょう。

まず転倒したのがツーリング中で、後席やキャリアに荷物を積んでいた場合です。面倒ですが一度バイクから全て降ろしましょう。荷物を固定したままバイクを引き起こそうとしても、おそらく途中で荷物が崩れてしまいます。そして何よりバイクを起こす時は軽い方が良いですよね。
では引き起こし方について説明していきます。

倒れているバイク

【右に倒してしまった場合】
まず起こす動作の前にスタンドを出しましょう!
「何ぃ~?(`Д´)【 ス.タ.ン.ド. 】を使って起こすだとぉーーっ!!」

引き起こす作業

「えっ? (°ω°) お客様、何の事をおっしゃっているんですか?」
ここでは起こした時に、反対側に倒れてしまわない様にするため、まず【サイドスタンド】をしっかり出してから、引き起こす作業に入ります。

バイクのサイドスタンドを出す

サイドスタンドが止まる位置までしっかり出します
せっかく起こしても反対側に倒してしまっては往復ビンタです。それに、バイクを右側から起こした後では、左側にあるサイドスタンドを出すのは非常に大変なんです。
右手でフロントブレーキを握りつつグリップを、左手はグラブバーかそのあたりのフレームを持ちます。

右手でフロントブレーキを握りつつグリップを、左手はグラブバーかそのあたりのフレームを持ちます。

マフラーでの火傷にも注意しましょう。

しっかり持つところを確保

まずしっかり持つところを確保して

引き起こしの動作に入ります

引き起こしの動作に入ります。この時、バイクが上がらない人は、腕の力だけで上の方に持ち上げようとしていませんか?
腕だけではしんどいです。そしてバイクを上に上げるのではありません。タイヤをしっかり地面についた状態にしてから、そこを支点にして弧を描くように下半身の力でバイクを起こすのです。

下半身の力でバイクを起こすのです

下半身の力ですよ!使うのは。
力を入れる方向は前方斜め上です。

力を入れる方向は前方斜め上です。

もちろん掛け声は「オラオラオラァ!」です。( '∇')ウフフ

無事にバイクを起こせました。

「イチ・ニー・サン ダァーーーッ!!」
無事にバイクを起こせました。

左に倒れたバイク

【左に倒してしまった場合】
この場合、バイクを起こそうとする時にフロントブレーキを握れないため、フロントタイヤが動いてうまく力を伝えることができません。そこで予めゴムバンドなどでブレーキレバーを固定できるアイテムを用意しておくと便利です。

ゴムバンドなどでブレーキレバーを固定

左手をハンドル、右手を車体のグラブバーやフレームなどを持ち、前後のタイヤが路面にしっかり接地している状態を保ちながら、タイヤを支点にして弧を描くように引き起こします。

タイヤを支点にして弧を描くように引き起こします

「オラァ」

下半身の力で起こす

下半身の力で起こすのは同じです。

バイクを起こしたら、しっかりサイドスタンドを出しましょう

バイクを起こしたら、しっかりサイドスタンドを出しましょう。サイドスタンドを出すまで気を緩めない様にしてくださいね。
またハンドルだけを持って、起こす方法もありますよ。

ハンドルだけを持って、起こす方法もあります

両手で左のグリップをしっかり握ります。両手を使うことで一カ所に力を入れやすく、この方法の方が起こしやすいと感じる人もいます。写真の様にハンドルが右に切れていて、車体後方に持つところがない場合は、この方法が効いてきます。

起こし始めは、腕を伸ばしたまま、下半身の力でバイクを起こしていきます

起こし始めは、腕を伸ばしたまま、下半身の力でバイクを起こしていきます。

もう少しです。ここまでは下半身の力で

もう少しです。ここまでは下半身の力で。

腕の力も使って最後まで

腕の力も使って最後まで両手で左のグリップだけを持ちバイクを起こすか、反対側に倒すのが怖い場合は、写真の様に左右のハンドルグリップを持って起こします。

反対側に倒すのが怖い場合は、左右のハンドルグリップを持って起こします。

そして峠道や林道など、傾斜のある場所で倒した時です。

傾斜地で谷側に倒してしまった場合

【傾斜地で谷側に倒してしまった場合】

傾斜地で谷側に倒してしまった場合 下から見た写真

下から見るとこの様な感じです。水平より下にまでバイクが倒れてしまっています。このぐらいひっくり返っている状態からでは、いくら力がある人でも引き起こすのは困難です。
頑張って起こそうとしても「無駄無駄無駄無駄~( `―´)ノ」とバイクから聞こえてきそうです。そのためこの場合は、バイクの進行方向を谷側に向けてから起こします。

ハンドルを両手で持って、頑張ってバイクを少しでも地面から浮かせます

先程までと違いフロントブレーキはかけません。ハンドルを両手で持って、頑張ってバイクを少しでも地面から浮かせます。

リアタイヤを軸にして向きを変えていきます

リアタイヤを軸にして向きを変えていきます。

ここまで向きが変わったら、後は車体を起こすだけです

ここまで向きが変わったら、後は車体を起こすだけです。
ただし林道などで轍が深い場合は、この様にキレイに車両を回すことができず、ガリガリとその場で泣きながら回すことになるかもしれません。(>_<)

ギヤが入っていない場合は、完全に起こす前にフロントブレーキをかけてバイクが動き出さない様に特に注意しましょう

ギヤが入っていない場合は、完全に起こす前にフロントブレーキをかけてバイクが動き出さない様に特に注意しましょう。引き起こしができたら、向きを変えやすい場所まで一度坂を下って、再挑戦してください。

最後に
起こしてからはエンジンをすぐにかけるのではなく、まず車両のチェックから行いましょう。
ガソリンは漏れていないか?レバー・ペダル類は大丈夫か?ウィンカーは?
エンジンストップスイッチを戻し、センサーが転倒を感知していますので、メインスイッチも必ずオフにしてからオンにします。そしてクラッチレバーを握り、セルスターターを1秒ほど押しましょう。(ギヤが入っている場合は気を付けて)

愛車を倒さないことが一番ですが、引き起こしに自信があれば、ツーリングも不安なく行けます。その時が起こった時のために、頭の片隅にでも入れておいてください。
それでは皆様、安全運転で楽しいバイクライフを過ごしてください。

乗らずに学べるバイクレッスン -
ヤマハバイクブログ

2022年11月18日

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