ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・高橋唯美
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
感動の海 海と音楽の想い出
キャビンの棚 男の人生はかくも甘美で苦い「ヘミングウェイの言葉」
船厨 海ではぐくまれたうま味成分を堪能「イカスミ入りパスタのペスカトーレ」
海の博物誌 トドのつまり
YAMAHA NEWS 「YAMAHA Marine Club Sea-Style」スタート!/全国各地でマリーンイベント開催中!/低金利キャンペーン実施中/ニューモデル情報更新/「マリーナ百景」更新
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感動の海
 ある年のアメリカズカップで、レース海面に出て行く12メーター級が、それぞれ自国のヒット曲をかけながら出港していくシーンが印象に残っている。アメリカ艇が「ロッキー3」のテーマ曲でもあった「アイ・オブ・ザ・タイガー」をかけながら、オーストラリア艇はメン・アット・ワークの「ダウン・アンダー」をかけていた。
 記憶が曖昧で申し訳ないのだが、どちらの曲も1982年のヒット曲なので、あの歴史的な83年大会か、それとも劇的な87年大会のどちらか、それとも両方だったのかもしれない。いずれにしろアメリカズカップの歴史に残るドラマが繰り広げられたのに、私ときたら、「セイリングに音楽は不可欠だ」とピントはずれな感想をぼんやりと抱き、今日に至っている。
 80年代は63年生まれの私がもっとも時間を有していたときであり、もっともセイリング、特にクルージングに時間を費やすことのできた時代だった。そして海の上で、音楽は不可欠だった。
 心に残る音楽は数あるが、フレディ・マーキュリー(クイーン)の「アイ・ワズ・ボーン・トゥ・ラブ・ユー」はナイトセイリングの時に仲間が薦めてくれたお気に入りの一つだった。当時、飛行機で空を飛ぶ化粧品会社のコマーシャルソングにも使われていたと記憶する。引き波の音と、時たまシバーするセイルの音しか聞こえない、星がべらぼうに美しい夜の海で、追っ手の順風をセイルに受け、サーフィングしながらこれを聞いていたら「このままヨットが星空に向かって飛んでいってしまいそうだ」とその仲間は言った。なるほどと同意し、わくわくした。ボートでは得ることのできない感覚だった。
 人並みに歳を重ね、海の広さ、深さが感覚的に身に染みてくると、それに伴い、聴く音楽の幅も広がってきた。それとも逆にいろいろな音楽を聴くことで海の色が変わって見えるようになったのかもしれない。
 異国の海辺を旅するようになって、その浦々の音盤をいただいたり、買ったりすることも楽しみの一つになっている。
 最近、はまっているのが、ポルトガルの音楽。日本でも人気の「マドレデウス」やファドの女王「アマリア・ロドリゲス」など、彼女らの歌を聴くと、ポルトガルの人びとにとって海や航海がいかに生活に結びついていたかが偲ばれる。
 フレディ・マーキュリーには船ごと空へ飛びたつ気にさせられたが、ファドでは、波止場で船出を見送る女の気持ちを思ったりして、切なくなる。
 ただ歳をとっただけだろうか。

田尻 鉄男●たじり てつお
外洋帆走部に所属しクルージングに明け暮れたの大学生活、1年間の業界紙記者生活を経て、88年、某プロダクションに入社。以来、日本のボーティングシーン、また沿岸漁業の現場を取材してきた。1963年、東京生まれ。



キャビンの棚
 報道記者として紛争や戦争に関心を抱き、あえて危険を冒しながら戦火の中をくぐり抜けることを繰り返してきたヘミングウェイは、作家として名声を得てからは、海へ出て大魚と闘い、また、サファリで猛獣に挑み、さらに晩年はスペインで闘牛にのめり込んだ。
 日本のヘミングウェイ研究の第一人者、今村楯男氏によれば、これらの体験にはヘミングウェイの、かつて抱いた恐怖心を克服し、より強固な精神力を持ちたいという願いが込められていたように思える、という。
 本書は、ヘミングウェイの77片の言葉を、今村氏がその著書の中から選びだし、解説を加えたものだ。
 ジャズのアルバムで「全集」を聞くのが邪道といわれるのと同じで、この書をもってヘミングウェイを知ろうとするのは、いささか乱暴かもしれない。だが、その言葉のかけらから、ヘミングウェイの著作への関心がもたされることは間違いなく、それは著者である今村氏の願いでもある。
 男の人生はかくも甘美で苦い─。これは本書の帯に書かれた文句だが、「人生」「異国・祖国」「自然」「楽しみ」「執筆」の5章を通して、ヘミングウェイの人生観がうっすらとだが見えてくる。
 「どうして鳥ってやつはあんなに華奢でひよわに作られているんだろう」
 これは「自然」の章に収められた、「老人と海」からの言葉だ。その物語の中で、老人は小さな鳥に同情を寄せている。それはヘミングウェイの心象の投影でもあったろう。海に出るとき、私たちは何を見て、何を感じているだろうか。空を舞う鳥を見て、何を思うだろう。
 自然の感じ方、酒の飲み方、言葉遣い。そんな小さな、ひとつひとつのこと柄を、この書で学ぶこともできる。そして著者のねらい通り、ヘミングウェイをもう一度、読みたくなる。
「ヘミングウェイの言葉」

著/今村楯男
発行/新潮新書
定価/680円(税別)



船厨
 これは小さな子供でも知っていることだが、イカやタコは、外敵に襲われると目くらましに墨を吐く。だから、明け方、漁港に帰ってくるイカ釣り漁船は、壮絶なほど真っ黒にイカスミで汚れている。
 このイカスミには旨味成分が含まれていて、イタリア料理では当たり前のように使われている。よくある言いぐさだけれども、この真っ黒な液体を口にした人は、イタリア人だか、スペイン人だかは知らぬが、ほんとうに「よくやった!」とほめてあげたい。
 地中海沿岸だけでなく日本でもイカスミは食材に使われてきた。沖縄ではその名もそのまま「イカスミ汁」という料理がある。イカ、豚肉が入っている、カツオのだしとイカの墨で作られた汁物だ。久米島の居酒屋を訪れた際にはイカスミ雑炊を馳走になり、その芳醇な味わいに、驚かされた。
 富山には「イカの黒作り」という塩辛があって、これにも古くからイカスミが使われてきた。
 さて、先月の船厨で取り上げた自家製トマトソースがあったのでペスカトーレを作ってみた。パスタには「スパゲッティ・コン・ネーロ・ディ・セッピア」を使用。ようするにイカスミを練り込んで作ったパスタ。独特のコシがあって、すばらしい風味がある。なんといっても視覚的にも客をもてなすにインパクトがある。おすすめだ。
「イカスミ入りパスタのペスカトーレ」の作り方
●材料(4人分)
エビ、タコ、イカ、ハマグリなど適宜
イカスミ入りスパゲティ(500g)
トマトソース、またはホールトマト(400g)
オリーブオイル、ニンニク2片、赤唐辛子少々、白ワイン少々、塩少々

●作り方
1)エビ、タコ、イカ、ハマグリなどの魚介を下準備し、軽くつぶしたニンニク2~3片、赤唐辛子をオリーブオイルで中火で炒める
2)軽く色づいたらニンニクを取り出し魚介を入れ、白ワイン少々、ホールトマトを400グラム加えてふたをする
3)貝のふたが開いたら味見をしながら塩を加える
4)アルデンテにゆでたイカスミ入りスパゲティを加えよくあえて皿にもる



海の博物誌
 ブリやスズキのように成長につれて名前が変わるサカナを出世魚と言ったりするが、ボラもその仲間だ。
 稚魚のころはハク、18cmくらいまでをオボコ、イナッコ、スバシリ、30cmくらいをイナ、そして30cm以上になって初めてボラを名乗れるのである。さらに、特に大型のものは、トドと呼ばれている。
 『毎週釣りに出かけて……トドのつまり……今のところ釣果ゼロさ』という「結局」とか「つまるところ」の意味に使う『トド』は、成長しきったボラがトドと呼ばれたことに由来しているという。
 トドと呼ばれるほどに大きくなるとその先がないこと、つまり、行き詰まった状況を現す時に用いられるようになったといわれる。



ヤマハニュース

「YAMAHA Marine Club Sea-Style」スタート!
レンタルボートクラブが新しく生まれ変わって4月から稼働。オンラインによる入会申し込みも可能です。

各地でイベント開催中! ぜひヤマハコーナーにお越しください。
・関西国際フローティングボートショー(4/14~16)
・第21回広島ボートショー(4/8~9)
・九州マリンフェスタIN福岡(4/8~9)

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ニューモデル情報が更新
YAMAHA38CONVERITBLEをはじめ24SiestaFV、AG-21BRなど、ニューモデルの情報が満載。マリン製品のトップページからどうぞ。

「マリーナ百景」更新
上質なホスピタリティで海の優雅さを味わうマリーナ「ベルポート芦屋」をご紹介しています。


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【編集航記】
先日、UAE のドバイで行われたボートショーを取材してきました。新たな国際リゾートとして注目される中、出展者数は500を超え、豪華なクルーザーが所狭しと海上係留されていました。日本でもまもなく「関西国際フローティングボートショー」が開催されます。国内初の本格的なフローティングショーとしてスタートを切ったこのイベントも2回目。前回同様、マリンファンをわくわくさせてくれるのでしょうか。今から楽しみです。(編集部・ま)

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