ソルティライフ ソルティライフ
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イラスト・Tadami
いつでも潮気のある生活を過ごしたい。
MONTHLY COLUMN マーメイド ウォーク
キャビンの棚 水の都・江戸を舞台にした時代小説のシリーズ第一作
「暗闘」俊傑江戸始末〈一〉
船厨 食べるために釣った魚で料理する醍醐味「鰺飯」
海の博物誌 天敵は寒気!! 海上を爆進する台風のお話し
YAMAHA NEWS マリン「ジグソーパズル」にチャレンジ!/マリンクラブ「Sea-Style」ネット入会キャンペーン実施中!/「マリーナ百景」更新/「カジキ釣講座」更新/「大漁ネット」更新
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MONTHLY COLUMN
 子供の頃、水辺でよく遊んだ。タニシが二階建て、三階建てと連なる護岸や、シジミがひっそり息をしている用水路、そしてザリガニの王様「まっかちん」のいる溜池。小さな生き物を観察するのが好きだったし、刻々と変化する水の煌めきを眺めているのも好きだった。朝、昼、夜、いつでも好きな時に好きなだけ水辺で気ままに過ごした。30年前の東京には、そんな気軽な水辺があちこちにあったように思う。
 いつの日か近所の水辺に興味をなくし、異国の「水の都」に憧れるようになった。バンコク、ヴェニス、アムステルダム…。機能的で美しく整備された街に惹かれ、仕事の合間に休暇をとっては気ままな旅を愉しんだ。そして今、私は運河を、ゆったりゆったり、東京湾へ向けてクルーズしている。
 水辺を散策することから、水上を気ままに行き来する自由さに喜びを感じるようになった。慣れ親しんだ東京の街や人々が、船上からは異なる趣に見えるから不思議だ。
 子供の頃は、カモの休息地や中州のヤナギ、干潟、湧き水など、自然の営みを陸上から観察していたが、こうして運河の流れに任せ、水上目線で人の営みを傍観するのも興味深い。陸上にいると見えない私たちの生活がよく見えてくる。

 埋め立て地に群がる大型トラック。航路を往来する巨大船。黒森沖を旋回し入港する飛行機……。陸・海・空、さまざまな場所から大きな乗り物たちが、東京湾めざしてやってくる。いったい何を積んでいるのだろう、そして何を持ち帰るのだろう……。
 三代目夢の島と呼ばれる、中央防波堤内側埋立地の脇を通り過ぎながら、音もなく回る風車を眺め、ふと考えた。この場所もいつか緑の島として生まれ変わる時がくるのか、と。「緑の島!?」、なんだかしっくりこないのは私だけだろうか。


 水鳥になれば水上に浮かぶゴミは疎ましいし、魚になれば臭い水中で呼吸をしたいとは思わない。東京湾がマリンを楽しむ人達で賑わうようになり、人と水の距離が縮まれば、東京湾の環境を人ごとと考えない人はもっと増えるのではないかと、淡い期待を抱く。
 天王洲地区にある桟橋付きのレストランに着いた。船を係留し、デッキシューズからハイヒールに履き替える。先ほどの気分とは打って変わって心が弾む。
 いつの日か東京湾が、日本そして世界を代表する美しい「水の都」になることを祈りながらレストランへと続くステップを上がった。

菊地眞弓●きくち まゆみ
今は無き伝説のアウトドア雑誌「アウトドア・イクイップメント」編集員を経て、フリーライターに。趣味は旅・食・酒。魚釣りときのこ狩りに費やす時間は人生の宝。東京生まれ。



キャビンの棚
 江戸は数え切れないほどの川と入り堀が入り組んだ、ベニスに匹敵する水の都だった。小説『暗闘』からもそのことが充分に伺える。
「たとえば両国橋の川上にある柳橋から、西に向かう神田川を見ればわかるとお吟は言った。寛永年間から大名たちが、譜役で神田川を西に掘り進め、お茶の水から水道橋まで掘った。さらに飯田橋で南に曲げて外堀とし、江戸城を囲む形で市ヶ谷まで外堀を貫通させ、ついに赤坂の溜池まで通じさせた。
 江戸城の西に外堀を造るために、溜池から新橋まで掘り進み、埋め立てた八丁堀に溜池の水を流して、江戸城を大きく囲む長大な外堀を完成させた。」(引用※ルビ簡略)
 そして、「この長大な外堀も、江戸市中を流れる川や入り堀、たとえば上総の行徳から塩を運ぶために掘った小名木川などから見れば、あくまでもその一部でしかない。」(同)
 この広域に張り巡らされた長大な運河を手漕ぎのフネがゆったりと往来していたことを想像することは難くなく、また楽しくもある。
 著者・二宮隆雄氏は『海を奪る』、『覇王の海』など海を舞台とした多くの時代小説を発表してきただけあって、本書にも水路・海のシーンが多く盛り込まれ、舞台設定とその描写でも大いに楽しませてくれる。さらにアメリカズカップの解説などでも活躍し、日本を代表するセーラーの一人だからこその視点が、船好き、海好き、水辺好きの心を躍らせるのかもしれない。
 ストーリーは、破れ寺の和尚と寺の居候の浪人が江戸市中を大騒ぎに陥れる怪事件を解決していくという内容で、これも痛快。書き下ろしのシリーズ第一作である。

水の都・江戸を舞台にした
時代小説のシリーズ第一作
「暗闘」俊傑江戸始末〈一〉
著者/二宮隆雄
発行/廣済堂文庫
定価:619円(税別)



船厨
 産卵期が決まっていないせいか、季節を問わず、一年中鮮魚として味わうことのできる鰺(あじ)。それでも夏は中型の鮮魚が出そろうし、夏休み、防波堤などから家族連れが手軽に鰺釣りを楽しんでいるシーンがよく思い出されるから、どうしても「夏の魚」のイメージが色濃くなる。そして、事実、夏の鰺は旨い。
 多くのボーターが様々な釣りを楽しんでいることだろうが、鰺釣りの場合、その釣趣を楽しむのではなく「食べること」をとにかく第一の目的にしているのではあるまいか。鰺をキャッチ・アンド・リリースするという話も聞いたことがない。その意味では、なかなかに潔く健全な釣魚だと思うのだが、いかがだろう。
 調理法は、それこそゴマンとあろう。鰯や秋刀魚などと同じく鮮度が落ちやすいものの、釣りたての刺身は絶品。唐揚げや塩焼きもいい。しかし食べるために釣ったのだからたまにはもっと手を掛けて、拘ってみたい。ここでご紹介するのはこんがりと焼き上げた鰺を炊き込んだ「鰺飯」だ。生姜汁をたっぷり使うことで、防波堤釣りで得た大衆魚を材料にしたとは思えない、高貴ともいえる香り漂う一品となった。
鰺飯の作り方
●材料(4人分)
鯵2尾、米3カップ、だし昆布5cm、しょうが搾り汁大さじ1、塩小さじ1/2、酒70cc、醤油大さじ1
●作り方
1)米を研いで3カップの水にだし昆布を入れてつけておく
2)鯵は三枚におろし、塩をふって30分程おく
3)2をこんがりと焼く
4)1にしょうが搾り汁、酒、塩、醤油を加え、焼いた鯵の骨を取りのぞき、米の上にのせて炊く
5)炊きあがったらだし昆布を取り出し、鯵をほぐすようにかき混ぜる
6)好みで針しょうが、大葉の千切り、あさつきの小口切り、いりごま等を添える



海の博物誌
 ハリケーンやサイクロンとも呼ばれる台風はサマーシーズン到来と共に遥か南西よりやってきます。
 北太平洋西部の海上(赤道~フィリピン)は一年を通じて水温が高く、一年中上昇気流が発生し、台風の元である積乱雲の発生や消滅が繰り返し行われています。この空域で「弱い渦巻」が発達すると積乱雲が渦巻きの中心に集められ、積乱雲の中心にある上昇気流によって、周辺の空気が集められます。地球の自転作用により、反時計回りとなる積乱雲の集合体は最初の「弱い渦巻き」を強めることになり、このような現象が持続すると「弱い渦巻き」が発達して台風となります。気象庁では中心付近の平均風速がおおよそ17m/s以上と定義しています。
 このように発達した台風が九州、本州、北海道へ進むにつれ、その勢力が弱まるのは何故なのでしょうか。
 もともと台風は暖かな海面から供給された水蒸気が凝結して雲粒になる時に放出される熱をエネルギーとして発達します。しかしながら日本近海は寒流との境目であり、上空も寒気の流れ混みがあり、熱エネルギーが急速に断たれ、台風が温帯低気圧に変化してしまうわけです。
 平均的な台風の持つエネルギーは広島や長崎に投下された原子爆弾の10万個分に相当する巨大なものです。もし寒気や寒流が日本付近に来なかったら、いま以上に日本は台風天国になっていたのかも知れません。



ヤマハニュース

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漁船や沿岸漁業の情報「大漁ネット」
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【編集航記】
菊地眞弓さんのエッセイ、二宮隆雄著「暗闘」のご紹介と、偶然、東京の運河・水路の話題が重なりました。以前にも何度か話題に出た東京都による「運河ルネッサンス」は、水の都・江戸を復活させようとの試みで、様々なベントが企画され、水面利用に関する規制も幾分緩和されつつあります。人々の目が再び水際に向けられ、東京が楽しく、美しい「水の都」へと再生することを願いたいものです。(編集部・ま)

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