日本や中国では古くから「朝の虹は雨の前兆、夕方虹が出ると翌日は晴れる」と言われてきた。ヨーロッパに「A rainbow in the morning is the shephers’s warning, a rainbow at night is the shepherd’s delight. ~朝の虹は羊飼の用心、夕虹は羊飼の喜び」ということわざがある。これを現在の知識で採点すると、まあ50点というところ。
虹は、太陽を背にしたとき、前方に浮いている水滴に光が当たり、水滴がプリズムの役目を果たして光が七色に分かれるもの。したがって朝の虹は西の空に見える。つまり西の空に水滴があるということになる。日本の天気は西から東へと変わって行くので、西の空に水滴があるならば、雲があるということだから、やがて雨になるのではないか・・・とも考えられるが、実は、見えている虹は、せいぜい数キロメートルしか離れていないのである。数百キロも先の虹が見えるなどということはありえない。だから、朝の虹は雨の前兆というよりも「雨の降り始め」と言うほうが近い。
一方、夕虹のほうは、水蒸気が東のほうにあるということで“日本の天気は西から東へ”の原則によれば、雲がさらに遠ざかっていく、すなわち天気は良くなるといえる。